著者
岩本 一樹 西田 雅太 和﨑 克己
雑誌
研究報告コンピュータセキュリティ(CSEC)
巻号頁・発行日
vol.2013-CSEC-63, no.2, pp.1-7, 2013-12-02

Android を搭載するスマートフォンの普及とともに Android のアプリも増加しており,Android の対象とするマルウェアも増加している.しかし公開されるすべてのアプリを解析者が解析することは困難なので,大量にあるアプリの中から解析者が解析するべき疑わしいアプリを絞り込む必要がある.本研究では Android アプリの制御フロー解析の結果から生成されたグラフを過去のマルウェアと比較することで,新たに公開されたアプリの中から疑わしいアプリを自動的に抽出する方法を検討する.同一の機能をもっているメソッドであっても,コンパイル環境やソースコードの機能に影響を与えないような違いによって,異なる命令列が生成される場合がある.ゆえに制御フロー解析の結果のグラフの不要なノードを削除することでグラフを縮約させ,命令列の違いに依らない特徴を抽出した.また,ノードの並び順を決めることで可能な限り隣接行列の比較だけで済むようにグラフを正規化することで,グラフの比較の高速化をはかった.結果,自動的に定義ファイルを作成し,効率よく解析するべきアプリを絞り込むことができた.
著者
若宮 翔子 李 龍 角谷 和俊
雑誌
情報処理学会論文誌データベース(TOD) (ISSN:18827799)
巻号頁・発行日
vol.6, no.3, pp.159-176, 2013-06-28

今日の都市における交通ネットワークの複雑化や人々の活動領域の拡大などにより,都市空間での近接感は単に地理的な距離だけでなく移動時間や訪れる頻度によって歪んでおり,あらゆる場所間の近接関係を直感的に測ることが困難である.そのため,ユーザの目的ごとに距離や時間などの観点から都市空間での近接性の歪みを考慮して近接したところを容易に探せるようにする必要がある.本研究では,経験的・社会的な観点から生じる空間の歪みによる都市地域の複雑な近接関係を抽出するために,位置ベースSNSを通した群衆の移動経験に基づく地域間の近接性分析手法を提案する.具体的には,都市空間での膨大な群衆のライフログが簡単に得られるTwitterを用いて実空間における群衆の移動経験を観察し,市区町村を単位とした地域間の近接性を測定し,都市空間における地域クラスタ間の空間的な歪みを分析する.実験では,Twitterにおける群衆のライフログと社会調査の一環として地域間の移動量を集計したパーソントリップOD量データを用いて群衆の移動経験を抽出し,移動距離,移動時間,移動量の観点で測定した地域クラスタ間の近接性を比較する.また,日常生活における規則的な移動に関する調査結果であるパーソントリップOD量データと比べ,Twitterのデータを用いた群衆の移動経験では,より多様な目的の移動経験を中心とした地域クラスタ間の近接性を観察することが可能であることを示す.
著者
井垣 宏 福安 直樹 佐伯 幸郎 柗本 真佑
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.54, no.12, pp.1266-1269, 2013-11-15

ソフトウェア開発を伴うPBLでは,コンパイラや統合開発環境,版管理システムといった演習環境の導入,保守に関する課題と開発プロセスを受講生に如何に重視させるかという課題が存在する.我々は演習環境をクラウド化(PBL as a Service)することで,演習環境の導入コストの削減と受講生のモニタリングを実現した.クラウド化された演習環境を前提とすることで,プロジェクトにおけるプロセスの定量的評価尺度の策定が可能となり,プロセスを重視したPBLを実施できるようになった.
著者
油井 誠 小島 功
雑誌
情報処理学会論文誌データベース(TOD) (ISSN:18827799)
巻号頁・発行日
vol.4, no.4, pp.11-33, 2011-12-28

本論文では無共有計算機設計においてデータウェアハウス処理を行ううえでタプルの再分散の問題に着目し,タプルの再分散を必要としない並列データベース構成法を述べる.特にΦハッシュ分割と呼ぶ,タプルの再分散を必要としないテーブル分割手法を提案する.Φハッシュ分割ではノード数に対するスケーラビリティを維持しながら,TPC-Hなどの複雑なデータ分析問合せを並列処理することができる.TPC-HのSF=100による評価実験で,提案手法がMapReduceに基づく競合システムHiveに対して顕著な性能面での優越(3.1倍~19.9倍)があることを示すとともに,我々の問合せ処理手法の現実装における有効範囲と制限に考察を与える.
著者
武田 元治
雑誌
大妻女子大学文学部紀要
巻号頁・発行日
vol.16, pp.1-13, 1984-03
著者
浅見 徹
出版者
松蔭女子学院大学学術研究会
雑誌
文林 = Bunrin (ISSN:02886170)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.19-40, 1994-03-20
著者
村山 優子 齊藤 義仰 西岡 大 佐藤 英彦 向井 未来
雑誌
研究報告セキュリティ心理学とトラスト(SPT)
巻号頁・発行日
vol.2013-SPT-5, no.19, pp.1-7, 2013-05-09

本予稿では,本研究では,災害発生直後から必要な当事者間の意思疎通である緊急時のクライシスコミュニケーションを災害コミュニケーションと呼び,関連する研究課題を 4 件紹介する.災害から 4 ヵ月後に,被災者が避難所から移動した仮設住宅では,未だに立地条件の悪さから不便な生活が続いている.今回,無人の商店システムを運用した結果を報告する.また,復旧時には,情報の提供や取得に通信環境が整わない間,twitter が活用された.しかし,誤報も多く,その解決のために,何故,人は,他人のツイート・メッセージを転送 (リツイート) するかを調査したので,報告する.また,復興状況を逐次確認できる定点観測のシステム,復興ウォッチャーについて報告する.さらに,津波の脅威を後世に伝えるための試みの,オンライン津波資料館の研究課題を述べる.以上,実践的な災害コミュニケーション支援の研究課題を紹介する.
著者
池田 彩乃 千葉 祐貴 羽田 久一
雑誌
研究報告ユビキタスコンピューティングシステム(UBI)
巻号頁・発行日
vol.2013-UBI-40, no.16, pp.1-5, 2013-10-29

SNS やメールなど速報性のあるコミュニケーション手段の一般化により、人々はいつもディスプレイから離れることが出来ないでいる.本研究ではディスプレイの見過ぎから生じる問題を解決するために、ディスプレイを見た疲れを癒しつつメールや SNS 上のメッセージの新着の確認や返信などの操作が出来るぬいぐるみ型操作デバイスを提案し実装を行った.本システムではぬいぐるみに特定の動作をさせることでコンピュータにコマンドを送り、音声合成によりメッセージを確認することが出来る.さらにメッセージの返信には音声認識を用いることでぬいぐるみと遊ぶ感覚で画面を利用せずにネットワークコミュニケーションを行うことが可能となる.
著者
服部 健太 溝江 真也 三角 正樹
雑誌
第54回プログラミング・シンポジウム予稿集
巻号頁・発行日
vol.2013, pp.99-106, 2013-01-11

仮想化環境やクラウドの浸透によって,ITシステムの利用は高度化しており,それにともないシステム運用の負荷も高くなっている.このような状況の中,多くの現場では,突然のトラブル対応や頻繁な設定変更の依頼などに追われて,エンジニアが疲弊してしまうといった問題がある.現場では,監視ツールやチケット管理ツールなど,運用のための様々なツールを導入したり,個別のスクリプトやマクロを駆使したりするなどして,効率化の努力を行っているところも多いが,最終的に,これらツール間のやり取りを行うのは人手であるため,なかなか負荷軽減につながらない.我々はこのようなITシステムの運用現場を少しでも効率化することを目指して,IT運用自動化プラットフォームKompiraを開発している.従来から数多くある統合運用管理ツールと異なり,Kompiraでは運用自動化に必要な最小限の機能に的を絞ることで,シンプルで軽量なプラットフォームを実現している.運用業務とは数多くのツール間を連携させることであるととらえ,Kompiraはそれらをジョブフローと呼ぶ運用手順を記述したスクリプトで結びつける.本稿では,Kompiraの特長や設計と実装について説明し,実際の適用事例を紹介する.
著者
竹内郁雄
雑誌
情報処理学会研究報告プログラミング(PRO)
巻号頁・発行日
vol.1985, no.14(1985-PRO-032), pp.1-4, 1985-06-18

著者は研究室の同僚とともに,Common Lispとは骨格の異なる新しいLisp方言TAOを開発中である.本報告ではこの立場からCommon Lispに対してコメントする.