著者
桶谷 文哲
出版者
富山大学保健管理センター
雑誌
学園の臨床研究 (ISSN:13464213)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.57-65, 2013-03

平成24年6月に文部科学省は「障がいのある学生の修学支援に関する検討会」(以下、検討会)を設置し、同年12月に報告(第一次まとめ)を公開した。その中で大学等高等教育機関における障がいのある学生への合理的配慮についての考え方が示された。\この動きは、平成18年に国連総会で採択された障害者権利条約の締結に向けた取組の一環であると同時に、障害者差別禁止法制定も見据えたもので、この報告で示された方針は今後の大学におけるあらゆる障がい学生への支援を強く後押しするものであり、社会的にも重要な意義をもつと思われる。本稿では、「障がいのある学生の修学支援に関する検討会」報告(第一次まとめ)と、発達障がいのある学生への支援を取り巻く問題についての筆者らの経験を照らし合わせつつ、発達障がいのある学生支援における合理的配慮の提供のありかたを、主としてパーソナルサポートとの関係に焦点を当てて論じる。
著者
久田 智之 工藤 慎太郎 颯田 季央
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2012, pp.48101248, 2013

【はじめに、目的】腰背筋群は内側筋群の多裂筋と外側筋群の最長筋・腰腸肋筋からなると言われており,内側筋群と外側筋群は神経支配,機能とも異なることが知られている.その中で,内側筋群である多裂筋の機能は姿勢保持や腰椎のコントロール,障害予防など臨床的に重要である.多裂筋の筋機能を測定するために表面筋電図が多く使われているが,筋電図学的には腰背筋群を脊柱起立筋群として捉えていることが多く,内側筋群・外側筋群を分けて考えられていない.また,多くの研究で使われている筋電図電極貼付け位置は海外の報告を引用していることが多く,日本人の体型に適しているのかという検討はされていない.さらに,我々は第47 回本学会において,超音波画像診断より内側筋群において多裂筋の同定は困難な例も存在し,横突棘筋と捉えることが望ましいと報告している.そこで,本研究の目的は超音波画像診断装置を用いて,多裂筋を含む横突棘筋における従来の筋電貼付け位置の妥当性を検討することとした.【方法】対象は腰部に障害を有してない健常成人男性20 名(平均身長172.8 ± 6.1cm,平均体重61.6 ± 9.2kg)の右側とした.超音波画像装置にはMyLab25(株式会社日立メディコ社製)を使用し,測定はBモード,プローブには12MHzのリニアプローブを使用した.腹臥位にてL2・4 棘突起から3cm,L4 棘突起から6cm外側の3 部位を測定部位とし,短軸像を撮影した.固有背筋の同定は先行研究に従い,横突棘筋と最長筋を同定し,L2・4 棘突起から3cm外側の位置での横突棘筋の有無を観察した.さらに(a)棘突起から横突棘筋外縁までの距離,(b)棘突起から横突棘筋最表層までの距離,(c)棘突起から3cmの位置に存在する筋の筋厚を計測した.すべての測定は同一検者が行い,測定方法においては検者内信頼性が高いことを確認した(ICC(1,1)=0.90 〜0.99).また,L2・4 の棘突起から横突棘筋外縁までの距離と身長,体重,腹囲,上前腸骨棘間の距離の関係をspeamanの順位相関係数により検討した.【倫理的配慮、説明と同意】対象には本研究の趣旨,対象者の権利を説明し紙面にて同意を得た.【結果】L2 レベルにおいて棘突起3cm外側に横突棘筋の存在した例は2 例,最長筋の存在した例は18 例であった.L4 レベルでは横突棘筋の存在した例は4 例,最長筋の存在した例は16 例であった.L2・4 レベルともに,横突棘筋の表層に最長筋が存在した.L4 棘突起6cm外側にはすべての例において腰腸肋筋が存在した.また,(a)棘突起から横突棘筋外縁までの距離はL2 レベルで2.55 ± 0.41cm,L4 レベルで2.76 ± 0.36cmであった.(b)棘突起から横突棘筋最表層までの距離はL2,L4レベルともに0.39 ± 0.07cmであった.(c)棘突起3cm外側に存在する最長筋の筋厚はL2 レベル2.69 ± 0.01cm,L4 レベルで2.63 ± 0.55cmであった.棘突起から横突棘筋外縁までの距離はL2 レベルにおいて,上前腸骨棘間の距離のみ相関関係を認めた(r=0.44,p<0.05).【考察】表面筋電における多裂筋の電極貼付け位置はVinksらにおけるL4 外側3cmの位置が多く引用されている.しかしながら,本研究の結果からL4 レベルにおいて棘突起から外側3cmの深層には多くの例で多裂筋を含む横突棘筋は存在しないことが明らかになった.さらに,多くの例でL4 レベルの棘突起外側3cmには最長筋を主とする外側筋群が2 〜3cmの厚みで存在する.そのため,現在までの表面筋電における報告は腰背筋群の外側筋群の筋電位を測定している可能性がある.表面筋電の電極貼り付け位置として,横突棘筋が最表層部に来る位置が考えられるが,棘突起から横突棘筋最表層部までの距離は3 〜4mmとなり,棘突起に非常に近く,アーチファクトの影響を受けやすいと考えられる.また,Vinksらは最長筋の表面筋電の電極貼り付け位置として,L2棘突起外側3cm を提唱している.今回の計測においても,L2 外側3cmには最長筋を主とする腰背筋群の外側筋群が存在していた.そのため同部位での筋活動の測定は最長筋の筋活動を測定できている可能性が高い.L2 棘突起から横突棘筋外縁までの距離と上前腸骨棘間の距離に相関がみられた.骨盤から起始し,下位腰椎に付着する横突棘筋は隣接する椎体に停止する線維束と幾つかの椎体をまたいで停止する線維束に分類できる.後者ほど筋束の外縁を走行するため,より高位の横突棘筋は骨盤の大きさと相関したと考えられる.つまり,Vinksらの結果は黄色人種と比較して,大きな人種を対象にしているため,今回の測定結果の相違が生まれたと考えた.【理学療法学研究としての意義】本研究により従来の多裂筋の表面筋電でよく引用されていた電極貼り付け位置は多裂筋ではなく外側筋群の筋電を測定していた可能性がある.そのため従来の研究結果は電極の種類や貼り付け位置を考慮する必要がある.
著者
ポンサピタックサンティ ピヤ ポンサピタックサンティ ピヤ
出版者
長崎県立大学 東アジア研究所
雑誌
東アジア評論 (ISSN:18836712)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.65-74, 2016-03

本研究の目的は、現代タイ社会における若者の精霊信仰にメディアが及ぼす影響を明らかにすることである。筆者は、2015年夏に、タイの若者の精霊信仰に対する考えかたを調査するために、タイ・バンコクの大学生を対象にアンケート調査をおこなった。本論文は、その調査の中で特に、マスメディアと精霊信仰の役割についての質問項目をとりあげ分析考察をめざすものである。調査の結果、タイの若者の多くは、テレビドラマやテレビ番組、映画から精霊に関するイメージや情報を得ていることが明らかになった。また、若者がイメージする男性精霊は特定のものに集中しているが、イメージされる女性精霊は多様であることがわかる。さらに、現代タイ社会において女性の精霊は怖いイメージとして捉えられているが、男性の精霊は優しいイメージとして捉えられている。このような研究結果により、タイの若者は、テレビや映画などのメディアに表象される精霊イメージの影響を受けていると考えられる。
出版者
大阪市立自然科学博物館
巻号頁・発行日
1970

大阪における博物館の系譜1.沿革2.現況3.職員及び人事4.庶務報告5.収集保管事業6.調査研究事業7.展覧事業8.普及指導事業
著者
伊藤 寿茂 上杉 翔太 柿野 亘
出版者
日本貝類学会
雑誌
Venus (Journal of the Malacological Society of Japan) (ISSN:13482955)
巻号頁・発行日
vol.74, no.3-4, pp.79-88, 2016-11-17 (Released:2016-12-10)
参考文献数
36
被引用文献数
2

Host species for the glochidia of the freshwater unionid mussel Cristaria plicata (Leach, 1815) were identified by determining whether the glochidia infected 27 fish taxa. The fishes were kept in tanks for 11–17 days after glochidial infection, and the numbers of glochidia and metamorphosed juveniles detached from the hosts were counted. Living juveniles of C. plicata detached from Tribolodon hakonensis, Pseudorasbora parva, Oryzias sp., Anabas testudineus, Trichogaster trichopterus, Trichopodus microlepis, Macropodus opercularis, Odontobutis obscura, Acanthogobius flavimanus, Gymnogobius urotaenia, G. castaneus, Tridentiger brevispinis, Rhinogobius giurinus, R. nagoyae and Rhinogobius sp. Therefore, these fishes were identified as suitable host species for the glochidia of C. plicata. Some native fishes that inhabit Anenuma Lake (e.g., Gy. castaneus) are considered to be useful local hosts. Moreover, some labyrinth fishes such as Anabas testudineus, which can climb out of the water and crawl over wet land, may disperse glochidia and juveniles over land in southern areas.
著者
大見 士朗 和田 博夫 濱田 勇輝
出版者
公益社団法人 日本地震学会
雑誌
地震 第2輯 (ISSN:00371114)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.85-94, 2012-09-28 (Released:2012-10-26)
参考文献数
15
被引用文献数
2 3

Seismic activity near the Yake-dake (Mt. Yake) volcano in the Hida mountain range that took place immediate after the 2011 off the Pacific Coast of Tohoku earthquake was investigated. It initiated about ten minutes after the mainshock of the Tohoku earthquake and lasted for about one month. At the beginning, two active swarms were observed. One is at the northern flank of the Yake-dake volcano and the other is located between Yake-dake and Mt. Norikura volcanoes. The latter activity decreased by March 20, and the former activity lasted until early April. It includes two M≥4.5 earthquakes and we could locate more than 9,600 events in the study area during March and April. We mainly focused on the activity near the Yake-dake volcano in this paper. Near the Yake-dake volcano, seismic activity began with M4.7 (JMA) earthquake at 14:57 JST on March 11. This M4.7 event is located 3 km north to the volcano and seismicity increased between the summit of the Yake-dake volcano and the hypocenter. On March 21, an M4.8 (JMA) event took place at 13:15 JST also at 3 km north to the volcano. After this second M≥4.5 earthquake, seismic activity migrated to the north about 1 km. Focal mechanism solutions of these swarm earthquakes show NW-SE compression stress field, which coincides with regional stress field indicated by previous studies. No temporal changes of focal mechanisms are shown during March and April, which probably indicates no magmatic activity such as dyke intrusion related to the Yake-dake volcano took place in this time period.
著者
上野 哲
出版者
独立行政法人 国立高等専門学校機構 小山工業高等専門学校
雑誌
小山工業高等専門学校研究紀要 (ISSN:02882825)
巻号頁・発行日
vol.51, pp.1-6, 2018-12-27 (Released:2019-07-26)

Das japanisch Ausbildungssystem der Fußball Trainer ahmt das deutsche Ausbildungssystem nach. Viele japanische Fußballspieler betätigen sich in der Bundesliga. Deutschland ist auch ein beliebtes Trainingsland für japanische Fußball Trainer. Hingegen ahmte das japanische Ausbildungssystem der Fußball Shiedsrichter, das deutsche Ausbildungssystem nicht nach. Warum hat Japan das deutsche Ausbildungssystem hier nicht nachgeahmt? Der Zweck dieses Aufsatz ist, die Erforschung dieser frage in anbetracht meiner Erfahrungen in Deutschland.

8 0 0 0 OA 歌壇風聞記

出版者
歌壇風聞記社
巻号頁・発行日
1937