著者
村上 圭一 後藤 逸男
出版者
養賢堂
巻号頁・発行日
vol.82, no.12, pp.1290-1294, 2007 (Released:2011-01-20)

農業生産者が土壌の性質に合わせた土壌改良や施肥を行うための手段として、土壌診断が奨励されている。しかし、生産現場では必ずしも土壌診断が土づくりに貢献しているとは言い難い。筆者らは全国各地の野菜生産地において土壌診断調査を行い、かつては生産性が低かった日本の土が現在どのように変化しているか、あるいは農業生産者が土づくりに対してどのような意識を持ち、どのような土づくりを実践しているかなどについて調べてきた。ここでは、土壌のリン酸過剰がアブラナ科野菜根こぶ病の発病を助長するメカニズムを紹介する。
著者
松井 寛二 森岡 弥生 竹田 謙一
出版者
信州大学農学部附属アルプス圏フィールド科学教育研究センター
巻号頁・発行日
no.3, pp.11-16, 2005 (Released:2011-03-05)

4頭の木曽馬の馬房内の夜間の姿勢と体温変化の特徴を明らかにし、姿勢および体温変化と睡眠の関連を考察した。姿勢と行動はビデオカメラを用いて、体温(膣温)はデータロガを用いて記録した。姿勢は、1)立位(歩行・摂食)、2)立位(休息)、3)伏臥および4)横臥の4型に区分して記録した。伏臥および横臥の出現パターンには個体差が認められた。4頭平均の伏臥持続時間は16.4分、横臥持続時間は4.2分、夜間11.5時間の横臥回数は6.1回であった。体温は17時の38.1-38.6℃から早朝の37.6℃前後まで漸減した。伏臥から横臥の姿勢変化時にノンレム睡眠からレム睡眠に移行し、横臥時にレム睡眠であることが推察された。
著者
小泉 達治
出版者
農林水産省農林水産政策研究所
巻号頁・発行日
no.28, pp.25-62, 2018 (Released:2018-10-18)

自動車用燃料として使用できるバイオ燃料は,化石由来燃料からの代替エネルギー利用によるエネルギー安全保障問題への対応,温室効果ガスの削減,農業・農村経済の活性化等の目的により,世界中で導入が進められている。本研究では米国,ブラジル,EU,インドネシア,マレーシアのバイオ燃料政策・市場構造を定性的に分析し,バイオ燃料が世界の食料需給及びフードセキュリティに与える影響についての考察を行った。世界のバイオ燃料生産量の増加率は鈍化しているものの,いまだ増加傾向は続いている。バイオ燃料の主原料は依然として農産物が大部分を占めているため,現段階でもバイオ燃料は世界の食料需給に影響を与えている状況にある。バイオ燃料による食料価格下支え効果は,2000年代半ば以降の世界の食料需給構造を大きく変えた要因の一つであると考えられる。今後も,世界のバイオ燃料需要量はほぼ横ばいで推移するものの,食料由来のバイオ燃料需要量が世界の食料需給に影響を与え続けていく見込みである。これは,今後も食料価格が下落しにくい構造が継続していくことを意味する。一方,農産物は農民にとって重要な所得源であるため,バイオ燃料生産を通じて,食料価格を「下支え」し,価格の暴落を防ぐことは,農民の所得安定・増加にもつながると考える。このため,バイオ燃料が世界のフードセキュリティにとってプラスとなるような取組を国際社会で進めていくことが今後,重要となる。
著者
吉原 泉 矢田部 健一 村上 文生
出版者
栃木県農業試験場
巻号頁・発行日
no.46, pp.43-48, 1997 (Released:2011-03-05)
著者
松本 和浩 李 忠けん 千種 ひつ
出版者
園芸学会
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.293-297, 2008 (Released:2011-01-27)

韓国産イチゴ品種‘Mae-hyang’、‘Seol-hyang’および‘Keum-hyang’と‘章姫’を4℃または20℃で4日間貯蔵し、果肉硬度、可溶性固形物濃度、滴定酸度、アントシアニン濃度および糖組成の品種間差異を調査した。各品種の糖組成をみると‘Mae-hyang’および‘Keum-hyang’はスクロースが、‘Seol-hyang’および‘章姫’はフルクトースとグルコースが主体であった。また糖蓄積型ごとに各貯蔵温度における糖組成の変化が異なることが明らかになった。低温貯蔵によりいずれの品種も果肉硬度が上昇したが、特に‘Mae-hyang’において顕著であった。また、‘Mae-hyang’は貯蔵温度にかかわらず酸含量および糖酸比の変化が少なく、20℃貯蔵区における総可溶性糖含量の低下も他品種比べ少なく、安定した貯蔵品質を示した。一方、‘Seol-hyang’は他品種に比べ20℃貯蔵区において酸含量の上昇と糖酸比の低下が起こりやすかった。また、‘Keum-hyang’はいずれの貯蔵区でもアントシアニン濃度が高く、4℃貯蔵区でも糖含量の低下がみられた。これらの結果より、‘Mae-hyang’が他の韓国産新品種に比べ貯蔵中の硬度と品質を保ちやすい長期貯蔵に適した品種であると認められた。