1 0 0 0 亜イレウス

著者
馬越 正通
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.1110-1114, 1985-06-10

亜イレウスとは,腸管の閉塞状態が比較的軽度で,まだある程度の内容の通過があるので排ガスや排便もみられ,浣腸や腸管運動促進剤の使用などにより軽快してしまうものや,症状が増悪もしないが完全には軽快しないで一進一退の状態をくり返す,概して慢性の経過をとるものをいう.したがって,緊急手術など救急処置を必要とする病態ではないが,経過によっては急性イレウスの状態に移行することもあるので,亜イレウスを管理するには急性イレウスの病態を熟知しておかねばならない. 急性イレウスは日常遭遇する機会も多く,その症状経過は閉塞部位や閉塞の型によって著しい差がみられ,緊急手術を必要とするものから,待期的手術でよいもの,また非手術的療法で治癒できるものもあり,その病態はきわめて多彩である.
著者
武居 哲洋
出版者
メディカル・サイエンス・インターナショナル
巻号頁・発行日
pp.572-578, 2015-07-01

つい10年ほど前まで,救急医学系の学会に参加するたびに「アルコール性ケトアシドーシスalcoholic ketoacidosis(AKA)の1例」といった症例報告に遭遇するほど,本邦ではあまり知られない疾患であったが,近年はその知名度もずいぶん高まってきたように思える。しかし,本疾患に関するサンプル数の大きい系統立った臨床研究はほとんど存在しないため,いまだに不明な点が多く,誤解も根強く存在している。本コラムでは,過去の総説,臨床研究を俯瞰することで,AKAの病態生理,診断,治療についてできるかぎりシステマチックにまとめることを試みた。 まずPubMedで「alcoholic ketoacidosis」および「alcoholic ketosis」を検索し,英文で書かれた総説と臨床研究を抽出した。一部割愛したが,1971年以来11篇の主要な総説が抽出された1〜11)。医学中央雑誌で「アルコール性ケトアシドーシス」「アルコール性ケトーシス」を検索したところ,和文の総説は1篇のみであった12)。システマチックレビューやメタ解析は存在しなかった。一方,法医学関係の研究を除外すると臨床研究はわずか7篇しか渉猟し得ず,すべて観察研究であった13〜19)。この臨床研究の少なさこそが,AKAに関する我々の理解不足につながっていることは否めない。すなわち,AKAに関する臨床的なエビデンスで確立されたものは何一つ存在しないと言ってもいいだろう。 個人的にも,日常的にAKAに関していくつかの疑問をもっている。数少ない文献を手がかりに,本コラムでは下記の疑問にできるかぎり答えていきたい。なお,我々の施設でも相当数のAKA症例を経験しているため20,21),これらの自験例の結果も交えながら解説することをお許しいただきたい。・慢性アルコール依存患者の代謝性アシドーシスはAKAで説明がつくのか?・AKAは突然死の原因として重要なのか?・AKAの診断にケトン体濃度測定は必要か?・AKAの標準的治療は何か?Summary●大酒家は容易にケトーシスを発症し,アルコール性ケトアシドーシスは決してまれな疾患ではない。●ケトアシドーシスには主にβ-ヒドロキシ酪酸が関与しており,アセト酢酸の関与は少ない。●大酒家の代謝性アシドーシスには,乳酸アシドーシスをはじめとした他の原因がしばしば合併する。●適切な輸液療法により転帰は良好とされるが,時に多臓器不全から死に至ることがあり注意が必要である。●アルコール性ケトアシドーシスは栄養障害の一形態とも考えられ,栄養障害を総合的に治療する視点が必要である。●血中β-ヒドロキシ酪酸値を含んだアルコール性ケトアシドーシスの診断基準の作成が望まれる。
著者
河合 伸也
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.1111-1113, 2002-09-25

I.はじめに 運動器(筋骨格系)の重要性がようやく脚光を浴びる時代になりました.20世紀は『がんの10年』や『脳の10年』でしたが,21世紀は『運動器の10年』から始まります.運動器の障害・外傷は個人的・社会的損失が大きいだけでなく,運動器が高いQOLを保持する役割を担っているという観点から運動器が見直されています.この観点において運動器に関連する専門職(殊に,整形外科医)の役割は大きいものがあります.
著者
亀口 憲治
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.215-224, 1989-04-15

1.システムズ・アプローチの理論的背景 1)家族システム論 家族療法の理論の中でも「家族システム論」は,中心的な位置を占めてきたが,わが国の心理臨床の世界では,この用語や概念的枠組がいまだ市民権を得ているとはいえない現状にある。そもそも「こころの専門職」としての心理臨床の世界に,「物や機械」の世界で使われる「システム」などという言葉を持ち込むこと自体に,不快感をあらわにする心理臨床家も少なくないようである。そこには「システム」という用語は,機械や道具の属性にのみかかわるものだとする暗黙の前提や「思い込み」があるのではないだろうか。確かに,わが国では一般的にそのような社会的文脈の中で,この用語が用いられる場合が多かったことは事実である。しかし,今日ではこの用語は,物理・化学領域だけではなく,生物学的領域でも,社会的・経済的・政治的領域のいずれでも広く用いられるようになってきている。筆者は,心理臨床の世界でもおおいに使われるべき概念だと考えている。したがって,本論では主に「人工的な機械システム」ではなく,「自然な生命システム」という意味や文脈で「システム」という用語を使うことを理解していただきたい。
著者
高田 忠敬 内山 勝弘 安田 秀喜 長谷川 浩 里井 豊 国安 芳夫
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.627-631, 1985-05-20

はじめに 1935年Whippleら1)が乳頭部癌に対し,はじめて二期的膵頭十二指腸切除を行つた.しかし,当初胆管および膵断端の消化管への吻合はなされておらず,1943年Whipple2),Child3),Cattelら4)により胆管および膵断端と消化管の吻合を同時に行う一期的膵頭十二指腸切除術が考案された.これらの術式の特徴は,重篤な合併症としての膵腸吻合部や胆管空腸吻合部の縫合不全,逆行性胆管炎などの対策として,これらの吻合部に食物を通過させないようにしたことである.これに対し,1960年今永5)は縫合不全や胆管炎の発生と食物の通過経路とは関係がないとし,Braun吻合を付加しないCattel変法とも言われる再建法を報告した. 膵頭十二指腸切除後の再建法で長年問題となつていたのは,膵腸吻合部の縫合不全であることは言うまでもないが,再建法ならびに吻合法,素材の種々の工夫,膵管外瘻の付加,さらに高カロリー輸液法などの栄養管理が進み,縫合不全は以前に比べ激減してきており,実際われわれも最近3年間に施行した膵頭十二指腸切除57例では1例も経験していない.しかし,Fortnerら6)の提唱以来,積極的に郭清を行う拡大膵頭十二指腸切除の普及により,頑固な下痢の発生など消化吸収障害の問題が新たな合併症としてクローズアップされてきた7)こともあり,膵頭十二指腸切除についても術後の消化機能を温存する術式が望まれるようになつてきた.
著者
川上 佳夫 石川 由華 斉藤 まるみ 大塚 幹夫 中村 晃一郎 金子 史男
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.816-817, 2007-09-01

要約 14歳,男児.1年前より右後頭部に脱毛斑が出現し,徐々に拡大,6か月前から排膿を認めた.近医で抗生剤内服による加療を受けたが改善がなかった.創部細菌培養は陰性であった.病変部を切開したところ,内腔は不良肉芽で覆われ,数本の毛髪が観察された.病理組織学的にリンパ球,好中球,形質細胞,異物巨細胞の浸潤からなる肉芽組織であり,pilonidal sinus(毛巣洞)と診断した.頭部に発症したpilonidal sinusの報告は自験例と本邦,海外の報告を含め5例あるが,そのうち4例が後頭部に発症しており,臥床時の摩擦などによる外的刺激が毛髪の穿孔機序に関与している可能性が示唆された.
著者
橋本 幸成 宇野 彰 水本 豪
出版者
日本言語聴覚士協会
巻号頁・発行日
pp.96-106, 2017-06-15

濁音,半濁音,拗音を表す仮名文字の書字障害を認めた失語症例に対して,キーワードを用いた書字訓練を行った.本症例は漢字の形態想起が困難であったため,仮名単語をキーワードとして用いた.キーワードの語彙特性として,親密度,表記妥当性,および心像性が高い単語を選択した.訓練方法としては,言語聴覚士が1モーラを音声呈示し,症例が呈示された音声をもとにキーワードの音韻列,仮名文字列を想起したうえで,1モーラに対応する仮名文字を書字した.訓練は,ABABデザインによる単一事例実験計画に基づき有効性が認められた.最大13日間という短い訓練期間で濁音,半濁音,拗音表記のすべての仮名文字が書字可能となり,訓練経過後1年半においても仮名書字が実用的であったため訓練効果は維持されていると思われた.
著者
末廣 栄一
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.1024-1030, 2021-09-10

Point・抗血栓薬服用例において外傷性頭蓋内出血を認めた場合,すみやかに抗血栓薬を中止し適切な中和療法を行う.・血腫拡大による二次性脳損傷は不可逆的な変化をもたらすため,症状が軽いうちに対応することが重要である.・頭部外傷の急性期を過ぎたら,抗血栓薬の再開を忘れずに行う必要がある.
著者
荒木 尚
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.1011-1023, 2021-09-10

Point・身体的虐待による頭部外傷を総称してabusive head trauma(AHT)と呼ぶ.・乳幼児の急性硬膜下血腫を認める場合にはAHTを鑑別する必要がある.・AHTの病態にはけいれんが強く関与し,超急性期から抗けいれん薬投与が必要である.・AHTの診断は脳神経外科をはじめ,複数診療科・多職種によるチームにより行われることが望ましい.
著者
武井 由紀子 野村 直子 壷内 鉄郎 飯島 康仁 石戸 岳仁 塩野 理 矢野 実裕子 水木 信久
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.913-918, 2017-06-15

要約 目的:受傷7日目の外傷性視神経症に対し視神経管開放術が有効であった1例の報告。 症例:39歳の男性が自転車走行中に乗用車と接触して転倒。頭蓋骨骨折による気脳症のため総合病院脳神経外科入院。受傷7日目に当科受診。初診時の左矯正視力0.01,左眼の相対的求心性瞳孔障害陽性,左眼瞼外方に受傷痕を認めた。左眼視野は鼻側周辺のみであった。頭部CTで左視神経管上壁陥凹を認め,同日内視鏡下経鼻的視神経管開放術を施行し,術翌日よりステロイドパルス療法を併用した。左眼の中心暗点は術翌日より消失した。治療開始後37日目に左視力1.0となった。 結論:受傷1週間が経過した外傷性視神経症に対して外科療法およびステロイド全身投与を行い良好な経過を得た。

1 0 0 0 腸チフス

著者
加藤 貞治
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.170-176, 1976-03-01

概念 Salmonella typhiの感染によって起こる熱性の全身感染症で,消化器のリンパ組織に特異な病変を生じ,菌血症,高熱,比較的徐脈,バラ疹,脾腫,白血球減少を主徴とする急性法定伝染病である.
著者
松島 正浩
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.179-183, 2000-03-30

1 はじめに 尿道カルンクル,尿道脱に関してデーターベース,オービットメドライン,医学中央雑誌で過去30年間のデーターを調査したが,登録されていたのは5作のみで,いずれも病院の統計または尿道ポリープの鑑別疾患としての記載のみである。よって,尿道カルンクル,尿道脱の基本的事項は周知のことであり,最近のトピックスは皆無である。
著者
八木 剛平 伊藤 斉 三浦 貞則
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.49-58, 1978-01-15

Ⅰ.序文 向精神薬(主として抗精神病薬)によるいわゆる遅発性ないし持続性ジスキネジアは従来精神病院入院中の高齢者(50〜60歳)の一部に観察され,長期(一般に数年以上)にわたって抗精神病薬を投与されたものが多いが症状の起始は明らかでなく,いったん生じた異常運動は抗精神病薬の中断後も消失することはない(恒常性ないし非可逆性)とされていた13)。われわれは1968年以来,それまで遅発性ジスキネジアの認められなかった患者について,抗精神病薬療法の経過を注意深く観察してきたが,1975年までの約8年間に18例について症状の新たな発生を観察するとともに,その経過を追跡して症状の消失を確認することができた。これらの症例の一部は第9回国際神経精神薬理学会において既に報告したが22),当時観察中であった症例についてもその転帰が明らかになったので,ここに改めて報告することにした。本論文の目的は,第一に多くは塔年者において,抗精神病薬療法のかなり早期に発症した軽症のジスキネジアが,原因薬物の中止によって消失したこと,しかしその後の長期経過は楽観を許さないことを示して,遅発性ジスキネジアに関する従来の定説に若干の修正を促すこと,第二にその発症と可逆性に関与する諸要因を検討して遅発性ジスキネジアを発症した精神分裂病者(以下分裂病者と略称)に対する薬物療法について考察することにある。
著者
坪川 恒久
出版者
メディカル・サイエンス・インターナショナル
巻号頁・発行日
pp.218-219, 2016-03-01

亜酸化窒素(笑気)は,最も古くから使われている全身麻酔薬であり,鎮痛作用,鎮静作用を併せもつ。しかし,近年,亜酸化窒素を使用する機会は大きく減少している(レミフェンタニルの登場でとどめを刺された感がある)。ビタミンB12,葉酸の代謝阻害によりミエリン鞘の合成を障害するし,閉鎖腔への析出も一部の疾患では問題になる。しかし,亜酸化窒素は無味無臭で緩徐導入に適している。亜酸化窒素の最小肺胞濃度(MAC)は104%と鎮静作用は弱く,血液/ガス分配係数が0.47とデスフルランと同等であり(213ページ表1参照),すみやかに吸収,排泄される。そのため,高濃度で投与することになり,薬物動態学的には興味深い現象を引き起こす。亜酸化窒素を使いこなすことで,吸入麻酔の幅が広がる。また,鎮痛作用もN-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)受容体を介していて,オピオイドとは異なることから,術中のワンポイントとしての使い方もある。まだまだ捨てたもんじゃない。
著者
長浜 孝 小島 俊樹 中馬 健太 八尾 建史 田邉 寛 原岡 誠司
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.1252-1259, 2018-08-25

要旨●通常内視鏡像で早期胃癌に認められる伸展不良所見の成り立ちについて概説した.T1a〜T1b1は胃壁強伸展下では非腫瘍粘膜と同様に伸展性が保たれた(伸展良好)癌である.早期胃癌で伸展不良所見を認める代表的な病態は,粘膜下層(SM)深部に大量に浸潤した癌(T1b2)と潰瘍(瘢痕)を合併した癌〔T1a,UL1,T1b,UL1〕,の2つである.T1b2は,癌細胞塊,炎症細胞浸潤,癌性線維症が原因となり,領域性のある塊状の肥厚と硬化を来す.内視鏡で送気し胃壁を強く伸展させると,SM浸潤部の伸展不良が原因となり,非浸潤部との伸展性の差により台状挙上所見が出現する.一方,T1a〜T1b1においても潰瘍(瘢痕)を合併すると,粘膜下層の線維化が主な原因となり肥厚と硬化を来し,ひだ集中像を代表する伸展不良所見が出現する.しかし,線維化の形状は明瞭な領域性に乏しいため,胃壁強伸展下では集中ひだは瘢痕中心部一点に集中し,走行は直線的で挙上を伴わない,すなわち台状挙上所見は陰性である.
著者
鈴木 文男
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.22-23, 1989-01-10

long RP' tachycardiaとは,いわゆる上室性頻拍のなかで,頻拍中のP波の出現時相が,先行するQRS(R)波よりも,それにひき続くR波に近接するタイプの頻拍のことをいい,したがって,R-P'/P'-Rの比が1よりも大きい頻拍のことである.この際,P'波と表記するのは,この心房波の由来が洞性のものではなく,異所性P波ないしは逆伝導性P波であることを示すためである. 本タイプの頻拍が注目をひくようになったのは,1967年,Coumelがその心電図的,電気生理学的特徴を報告してからである1).
著者
斎藤 かよ
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.62-63, 1963-11-10

74名のセツラー 真夏の8月というのに,野にはもう桔梗の花や,萩,女郎花などの秋草が美しく咲き乱れていた. 日本のチベットと称されているこの地方,岩手県下閉伊郡田野畑村で,順天堂大学医学部セツルメント無医地区無料診療班が, 1.無医地区を実際に理解すること 2.無医地区における衛生思想の普及 3.無料医療奉仕の3つの目的を掲げて診療活動を続けること4年である.私たち看護学生は2年め.将来医療に従事し,病める人びとの友となろうという私たち診療班員は,この遠い地の医療に恵まれない人びとのために,少しでもお手伝いできたらという目的で,夏休みの数目を診療に励んできた.
著者
岡谷 恵子 小野田 舞 柏木 聖代 角田 直枝 川添 高志 小西 美和子 斎藤 大輔 澤柳 ユカリ 重富 杏子 任 和子 橋本 幸
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.559-563, 2021-07-10

救急外来を受診する高齢患者の約半数は入院に至らずに帰宅する患者である。これらの患者が再受診や予定外の入院をすることなく,住み慣れた場所で生活の質を維持しながら療養を継続するためには,初回受診時に帰宅後の生活を見据えた医療機関と地域・在宅での療養をつなぐ統合的な療養生活支援が必要である。 日本看護管理学会では,2022(令和4)年度の診療報酬改定に向けて,「救急外来における非入院帰宅患者に対する看護師による療養支援」への評価を要望する。これは上述の療養生活支援の役割を外来看護師が担うことへの診療報酬上の評価を求めるものである。救急医療の限られた資源を適切に活用することにもつながり,病院経営上,組織運営上の効果も大きいと思われる。 本稿では要望作成に当たった検討委員会の立場から,要望の目的と意義を述べる。
著者
藤澤 春菜
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.122-127, 2021-02-15

私は地域包括支援センターで保健師として働く傍ら、東京都杉並区にある老舗銭湯「小杉湯」にも看護師としての力を活かして関わっています。そこでは「小杉湯×医療」という小杉湯スタッフと医療関係者との交流や学び合いの場を開催したり、近隣住民向けのイベントのサポートをしながら来場者とコミュニケーションを取ったりしています。 このように書くと「なぜ銭湯で?」と疑問に思うかもしれません。しかしこれらを行う目的は、本業である地域包括支援センターの活動と重なるものです。本稿では、私が本業の枠を越えて「街の銭湯」に関わる理由をお伝えできたらと思います。