著者
瀧井 一博
出版者
講談社
雑誌
(ISSN:03850366)
巻号頁・発行日
vol.34, no.9, pp.44-47, 2009-09
著者
辻村 亮彦
出版者
法制史学会
雑誌
法制史研究 (ISSN:04412508)
巻号頁・発行日
vol.60, pp.73-108,en6, 2011

<p>本稿では、明治民事訴訟法施行以前に行われた「敬慎願」と呼ばれる裁判手続について、フランス法の継受という観点から検討を行う。<br>フランス(旧)民事訴訟法典四八〇条以下のrequête civileは、現在の「再審」に相当する手続であり、これに箕作麟祥が「敬慎ノ願書」という訳語を当てた。「丁寧な」「礼儀正しい」を意味するこのcivileという語は、この手続がフランス古法以来の判決取消手続に由来することを示しており、箕作の「敬慎」という訳語もそれを踏まえたものであった。<br>控訴、上告の制度が整備された後も、救済の必要がありながらもこれらの手続によっては救済されない事案があることが明治前期の司法官たちに認知され、その解決策をrequête civilに求めた。このような模索の一つの結果が明治一一年司法省丁第三四号達であったが、この達は大審院からの伺に対する事例判断に止まり、敬慎願に関する要件と効果を定める規範ではなかった。その後も裁判所と司法省との間の伺指令等により、相手方が決め手となる証書を隠匿していた場合と証拠を偽造していた場合に、判決の取消が認められるようになっていく。<br>明治一七年に入り、テヒョーによる民事訴訟法の編纂が本格化するのと軌を一にして、ボワソナードが敬慎願の規則制定に関する意見書を提出し、司法省は「民事訴訟手続」を編纂して従来の手続の内容を整理し、司法統計上も「敬慎願」が項目化され、一定の「制度」としての位置を認められる。しかし、「再審」の規定を置く明治民事訴訟法の施行までは、明確な法的根拠のない「敬慎願」が裁判上の慣行として行われ続けることになった。<br>このように、フランスのrequête civileに起源をもつ「敬慎願」は、日本の実情に合わせた改変を受け、法令による裏付けのないまま裁判慣行として定着しており、明治前期の「法の継受」の一つのありようを見ることができる。</p>
著者
南雲 千香子
出版者
学習院大学
雑誌
人文 (ISSN:18817920)
巻号頁・発行日
no.10, pp.69-84, 2011

本稿では近代日本語研究の一環として、明治期に大量に日本へ流入した専門用語、その中でも法律用語に焦点を絞り、漢語の観点から考察を行った。その事例研究として、現在の法律用語に大きな影響を与えている箕作麟祥訳『仏蘭西法律書・訴訟法』を取り上げ、箕作麟祥がどのように法律用語を漢語訳していたかを明らかにすることを目的とした。 『仏蘭西法律書・訴訟法』の漢語から箕作麟祥が作った、あるいは法律的な意味を加えたと思われる漢語を選別し3 グループに分類した。その中から典型的な特徴を現している4 つの語を取り上げ、詳しく語の成立を見た。その結果を基に、『仏蘭西法律書・訴訟法』の漢語を改めて5グループに分類した。『仏蘭西法律所・訴訟法』よりも用例を遡ることが出来ないもの、あるいは『仏蘭西法律書・訴訟法』以外で用例を見ることが出来ないもの、日本や中国の古典籍などで使用されている語を法律用語として使用しているものが『仏蘭西法律書・訴訟法』の漢語の大半を占めていることがわかった。このことから、主に箕作麟祥自身が新たに語を作る、あるいは古くから存在している語を転用して、法律用語へ当てはめる方針を取っていたことが明らかになった。This paper will examine legal terms in the Meiji era from the perspective of Sino-Japanese relation as part of a study on modern Japanese languages. As a case study, legal terms in Furansu-Hôritsusho-Soshôhô(仏蘭西法律書・訴訟法)were translated into Sino-Japanese by Rinshô MITSUKURI. First, I classified Sino-Japanese into three categories according to their source. Second, I selected four words in each category and researched the history of them. On the basis of this research, I classified Sino-Japanese again in greater detail. This classification revealed that Rinshô MITSUKURI created a new Sino-Japanese to translate Furansu-Hôritsusho-Soshôhô and used terms had which existed from ancient times as legal terms.
著者
紙屋 信義
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要 (ISSN:13482084)
巻号頁・発行日
vol.52, pp.297-305, 2004-02-28

An improvisation ability, is important for an instruction on a music education, solfege of a player, and fosterage of a fundamental music ability by a keyboard harmony, music performance of an organ on a church music to be on a keyboard instrument. Improvisation importance is watched, recently, as a reaction of a music education by the technique attaching importance to employing an only score. However, in Japanese music education for content and a method about an improvisation, an object is many, and least important with no a system. An education person of music aims at recognition and an improvement to a keyboard instrument and thinks about a method in order to learn a sequence as the measure. I think about impromptu necessity and significance and propose an improvisation method with method of various music. It makes recognition for music enlarge, for a musician to learn an improvisation. It fixs its eyes upon an element of a various music and by making technique of an abundant music develop, can express an abundant music.
著者
寺本 千名夫
出版者
専修大学北海道短期大学
雑誌
環境科学研究所報告 (ISSN:13464736)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.47-71, 2004-12-30

北海道(特に札幌市)においても、本州より遅れたとはいえ、都市型農業の展開が見られるようになってきた。具体的には、農家の直売、さっぽろとれたてっこ事業、さとらんど、さっぽろ農学校、いちごフェア等の事業である。さっぽろとれたてっこ事業は、市内農家の朝どり野菜を市場、小売店等の既存の流通ルートを利用して消費者に供給する事業である。さとらんどは、農業交流体験施設で、事業費250億円、面積102haにも及び交流、生産支援、酪農のゾーンに分かれ、年間40万人もの入園者がある。さっぽろ農学校では、農業に関心を持つ市民が2年間講習を受け、就農、さらにはNPO法人化を検討するまでになっている。いちごフェア等は、いちご、果樹生産者と商工業者、市民との交流を基礎においている。課題としては、札幌市の都市型農業は、どちらかと言えば行政主体で、農家側の活動が消極的であることが指摘される。この点の克服が必要である。