著者
有谷 航 中山 寛介
出版者
公益社団法人 日本放射線技術学会
雑誌
日本放射線技術学会雑誌 (ISSN:03694305)
巻号頁・発行日
vol.79, no.7, pp.708-716, 2023 (Released:2023-07-20)
参考文献数
16

Magnetic resonance cholangiopancreatography(MRCP)は低侵襲に胆汁や膵液を直接画像化できる方法であり,Heavily T2強調3Dマルチスライス法では自由呼吸下で呼吸同期撮像を行うことで高画質な膵胆管の全体像が得られる.1回のデータ収集時間(echo train duration: ETD)を被検者の呼吸状態に合わせることで撮像時間が調整できるが,高速スピンエコー法におけるETDの変化は,画像コントラストや空間分解能に影響を与える.本研究では,ETDが画質に及ぼす影響について,ファントムを用いて評価した.いずれの条件でも模擬膵臓と模擬膵管は高い画像コントラストを示した.また,ETD延長に伴い空間分解能が劣化したが,視覚評価では有意差が認められなかった.より臨床的な条件では一部で視覚的に有意な差が認められ,phase partial Fourier(PPF)による影響が考えられた.PPFを使用せずに被検者の呼吸状態に応じてETDを変化させることで,画質を損なうことなく被写体の動きを抑えた最適な撮像時間での画像取得が可能になると考えられた.
著者
東山 繁樹 中山 寛尚 福田 信治
出版者
愛媛大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2016-04-01

がん細胞における細胞形質の不均一性の起因を膜型細胞増殖因子EGFファミリーの細胞外領域切断“エクトドメイン・シェディング”活性の“ゆらぎ”と関連付け、研究を進めた。ヒト乳がん細胞MCF7細胞からStem type、Basal type、Luminal typeの各クローンを樹立後、各細胞タイプとEGFファミリー膜型増殖因子のシェディング定量解析を行なった。その結果、proAREGのシェディング活性が各細胞タイプとの相関性を示すこと、proAREGに特異的なシェディング制御機構としてCUL3-RhoA軸が制御するアクチンダナミクスが関与することが明らかとなった。
著者
小松 隆 千葉 実行 戸塚 英徳 蓬田 邦彦 三国谷 淳 小野寺 庚午 高橋 健 中山 寛
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.281-287, 1994-03-15 (Released:2013-05-24)
参考文献数
16

うっ血性心不全を呈し,瀉血療法が有効であった原発性心ヘモクロマトーシスの1例を経験した.症例は38歳,男性.主訴は動悸.飲酒歴,輸血歴ならびに鉄剤内服歴はないが,家族歴に父親が心不全による突然死.平成元年より糖尿病ならびに肝機能障害で通院中であったが,平成3年7月25日早朝より動悸ならびに呼吸困難が出現し入院皮膚は青銅色を呈していた.入院時検査所見では血清鉄ならびにフェリチン,尿中鉄の増加を認めた.入院時胸部X線では心胸郭比61.5%と心拡大と両肺野にうっ血を,心電図では心拍数約160-180/分の心房細動を認めた.心エコー検査では左室内腔の拡大,左室全周性の壁運動低下を認めた.心筋シンチグラムでは左室のT1取り込みが全体的に不均一であり,脾臓の取り込み増加も認めた.心臓カテーテル検査では左室駆出率37.8%と左室ポンプ機能の低下を認めたが,冠動脈造影は正常であった.右心室心内膜心筋生検にて核周囲のライソゾームにヘモジデリンの沈着ならびにミトコンドリアの空胞変性を認め,原発性心ヘモクロマトーシスと診断した.瀉血療法開始の10カ月目に心臓カテーテル検査を再施行したところ,左室駆出率59.8%まで左室ポンプ機能は改善し,心筋生検でもヘモジデリン沈着の減少を認めた.原発性心ヘモクロマトーシスは予後不良でまれな疾患であるが,瀉血療法により臨床症状ならびに心機能の改善を認めた症例を経験し,治療上留意すべき点と思われ報告する.
著者
中山 寛 曽根 光男 高木 幹雄
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.91-100, 1989-01-15
被引用文献数
24

気象衛星画像では 雲頂高度の低い雲と積雪とが同程度の輝度温度になるので 輝度温度のみを用いて雲と積雪とを分類することは難しい.そこで 本文では気象衛星NOAAの赤外画像を対象とし 雲と積雪との分類 雲の種類の分類をフラクタル次元と低次統計量とを用いて階層的に行う手法を提案する.なお フラクタル次元とは 形状の複雑さを表す非整数次元であり 本文では 画像濃度面の起伏の複雑さを表す特徴量とする.本手法の有意性をグランドトルースを用いて検証する.また 従来の統計的なテクスチャー特徴量を用いる手法と本手法とを認識率 処理時間で比較して 本手法の有効性を示す.
著者
渡部 康弘 吉武 敏幸 駒崎 弘 荒木 久勝 森岡 清訓 姜 黎 劉 佩林 李 信行 中山 寛
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ICD, 集積回路 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.82, pp.43-48, 2002-05-16
被引用文献数
1

MPEG-4エンコード・デコード同時動作を行う携帯機器向けの低消費電力MPEG-4 CODECコアを開発した。本CODECコアでは、追跡型動き検出アルゴリズム、パイプラインサイクル数最適化、クロック供給自律制御などの技術を用い、QCIF 15fps CODEC動作時9mW、CIF30fpsエンコード動作時38mWという低消費電力動作を実現している。また、MPEG-4で特徴的なエラーコンシールメント処理機能を実装し、ノイズのある通信路でのエラー耐性強化にも対応した。本CODECコアを使用することにより、携帯TV電話、デジタルカメラ、PDAなど様々な携帯機器で、動画像送受信システムを構築することが可能である。