著者
平井 啓久 古賀 章彦 岡本 宗裕 安波 道朗 早川 敏之 宮部 貴子 MACINTOSH Andrew カレトン リチャード 松井 淳 中村 昇太
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2012-04-01

病原体が通常宿主特異性を持つために、宿主と病原体は頑健な宿主寄生体関係を示す。これを病態生理的発現型と見なすことができる。その特性を基盤にして、アジアの霊長類(特に多様性の高いテナガザル類ならびにマカク類)に焦点をあて、これらに感染する病原体(ウイルス(サルレトロウイルス)、細菌(ヘリコバクター)、寄生虫(マラリア原虫))との共進化を以下の項目からひもとく。(1)双方の遺伝子の分化機構を明確にする。(2)霊長類の生物地理学的分化との総合的見知から、病原体と宿主霊長類の双方の進化史を描く。(3)宿主応答機構ならびにゲノム内分化機構から宿主寄生体関係史を遺伝生理学的に明らかにする。
著者
田辺 和裄 平井 誠 本間 一 堀井 俊宏 美田 敏宏 中村 昇太
出版者
大阪大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

本研究では、DNAポリメラーゼδの校正機能を欠損させることによって高頻度に突然変異を発生するネズミマラリア原虫Plasmodiumberghei(ミューテーター原虫)を用い、原虫の進化を予測する進化モデル実験系の構築を目指した。ミューテーター原虫に生じた変異をゲノムワイドに解析した結果、変異率は対照原虫よりも75-100倍上昇していた。また、サルファ剤耐性試験の結果から、ミューテーター原虫は薬剤耐性の予測を可能にする新たな研究手法となり得ることが明らかになった。
著者
左近 直美 上林 大起 中田 恵子 駒野 淳 中村 昇太
出版者
大阪府立公衆衛生研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

ノロウイルスの長期にわたるシステマティックな疫学研究により、ノロウイルスに対する免疫は集団レベル、個体レベルともに遺伝子型特異的であり、その持続期間は2~3年であることを示した。また、繰返される感染によって免疫は増強されることが推察された。多様な遺伝子型の存在下で、年齢や感染歴を背景にダイナミックにヒトの中で流行している。これらはノロウイルスワクチンの基礎的知見となる。
著者
布仁特古斯 宮本 拓 中村 昇二 野坂 能寛 青石 晃宏
出版者
Japanese Society of Animal Science
雑誌
日本畜産學會報 = The Japanese journal of zootechnical science (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.73, no.3, pp.441-448, 2002-08-25
被引用文献数
6 9

中国内蒙古自治区の中部に位置するシリンゴル盟アバハ・ノール旗 (シリンホト市の所在旗) の草原地域に住む遊牧民の家庭で製造されている馬乳酒の10試料から乳酸球菌 (153株) と乳酸桿菌 (105株) を合わせて258株分離した. 各試料には, 乳酸球菌の優勢な試料と乳酸桿菌の優勢な試料が見られた. これら乳酸菌株の分類学的性状を調べたところ, 乳酸球菌では<i>Enterococcus faecium</i> (23.3%) と<i>Leuconostoc mesenteroides</i> subsp. <i>dextranicum</i> (20.9%) の出現率が高く, <i>Streptococcus thermophilus</i> (6.9%), <i>Lactococcus lactis</i> subsp. <i>lactis</i> (3.9%) および<i>Pediococcus dextrinicus</i> (0.8%) も分離された. 一方, 乳酸桿菌では<i>Lactobacillus plantarum</i> (21.3%) がおもに分離され, <i>Lactobacillus casei</i> (9.3%) や<i>Lactobacillus paracasei</i> (4.7%) の中温性乳酸桿菌も多く分離された. また, ホモ型乳酸発酵を示す<i>Lactobacillus helveticus</i> (1.6%) および<i>Lactobacillus kefiranofaciens</i> (1.2%) の乳酸菌種も含まれていた. その他に, 今回実施した性状試験では菌種の同定ができなかった<i>Enterococcus</i> sp. (3.4%) と<i>Lactobacillus</i> sp. (2.7%) が分離された.