- 著者
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橋本 千絵
宮部 貴子
徳山 奈帆子
- 出版者
- 京都大学
- 雑誌
- 国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
- 巻号頁・発行日
- 2018-10-09
メスが寿命よりも数十年も早く繁殖を終えるという「閉経」は、これまでヒトとクジラ類でしか確認されたことのない非常に稀な進化しにくい形質で、ヒトでなぜ閉経が進化したかについては未だに解明されていない。ヒトに最も系統的に近いチンパンジー・ボノボにおいても、閉経の有無は未だに決着がついていない。本研究は、これまで長期継続調査を続けたウガンダ共和国カリンズ森林保護区の野生チンパンジーとコンゴ民主共和国ルオー科学保護区の野生ボノボを対象に、非侵襲的に収集する尿試料による性ホルモンの動態分析を行い、加齢による性生理の変化と閉経の有無について明らかにする。さらに、閉経の進化に関係する社会的・繁殖戦略的な要因、つまり、老齢メスの子どもの生存率や母親から子どもへのサポートによる孫世代の繁殖成功度の増加などについても調べ、大きな議論を呼んでいる「おばあさん仮設」の検証を行う。平成31年度においては、研究代表者の橋本がウガンダ共和国カリンズ森林保護区で野生チンパンジーを対象とした調査を行い、現地調査補助員によるホルモン試料収集と老齢メスの行動記録を行った。また、研究代表者の橋本と研究分担者の徳山がコンゴ民主共和国ルオー科学保護区で野生ボノボを対象とした調査を行い、現地調査補助員によるホルモン試料収集と老齢メスの行動記録を行った。さらに、分担者の宮部と研究協力者の毛利がホルモン試料の分析について実験を開始した。また、これまでに採取した尿試料についてのホルモン分析を行い、学術誌に投稿するための論文を準備・投稿を行い、学会で発表した。