- 著者
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中村 昇
- 出版者
- 中央大学人文科学研究所
- 雑誌
- 人文研紀要 (ISSN:02873877)
- 巻号頁・発行日
- vol.92, pp.297-320, 2019-09-30
1960年代,日本の舞台芸術,そしてアンダーグラウンドの世界を席巻し,後にヨーロッパでも,BUTOH という新たなジャンルを生みだした土方巽の暗黒舞踏について論じる。土方の舞踏とは,どのような芸術であり,どのようなパフォーマンスだったのか。土方の稀代の名著『病める舞姫』を中心にすえ,その内容を分析することによって,土方の世界のとらえ方,存在論,認識論を解明していく。世界を構成するさまざまな要素の融合や多層化によって,世界の見方を根底から覆す土方の方法論の秘密を探っていく。最終的に,土方の舞踏の定義「命がけで突っ立った死体」という概念をあらためて考え再定義する。