著者
高岩 義信 九後 太一 早川 尚男 棚橋 誠治 金谷 和至 五島 敏芳 小沼 通二 伊藤 憲二 伊藤 和行 九後 太一 受川 史彦 平田 光司 小長谷 大介 田中 希生 田中 正 難波 忠清 西谷 正 吉川 直志 坂東 昌子
出版者
筑波技術大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-11-18

日本の素粒子論研究が世界的に評価される礎を築いた湯川秀樹・朝永振一郎・坂田昌一の遺した資料を活用してその学問の系譜を研究することを目標とし、その資料の利用環境整備を行った。史料データベースを充実させネットワーク上のサーバーを介して一般に公開している。このサーバで稼働するオープンソフトウェアの検討およびカスタマイズ、さらにその後継ソフトウェアの検討を行った。またこれらの資料を科学史研究に利用するのに有益な史料作成者データのデータベースを、史料カタログと連携するものとして構築することによって、史料の有効利用に資することができるようにすることを検討した。また今後へ向けての課題の検討を行った。
著者
加納 靖之 橋本 雄太 中西 一郎 大邑 潤三 天野 たま 久葉 智代 酒井 春乃 伊藤 和行 小田木 洋子 西川 真樹子 堀川 晴央 水島 和哉 安国 良一 山本 宗尚
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
JpGU-AGU Joint Meeting 2017
巻号頁・発行日
2017-03-10

京都大学古地震研究会では,2017年1月に「みんなで翻刻【地震史料】」を公開した(https://honkoku.org/).「みんなで翻刻」は,Web上で歴史史料を翻刻するためのアプリケーションであり,これを利用した翻刻プロジェクトである.ここで,「みんなで」は,Webでつながる人々(研究者だけでなく一般の方をふくむ)をさしており,「翻刻」は,くずし字等で書かれている史料(古文書等)を,一字ずつ活字(テキスト)に起こしていく作業のことである.古地震(歴史地震)の研究においては,伝来している史料を翻刻し,地震学的な情報(地震発生の日時や場所,規模など)を抽出するための基礎データとする.これまでに地震や地震に関わる諸現象についての記録が多数収集され,その翻刻をまとめた地震史料集(たとえば,『大日本地震史料』,『新収日本地震史料』など)が刊行され,活用されてきた.いっぽうで,過去の人々が残した膨大な文字記録のうち,活字(テキスト)になってデータとして活用しやすい状態になっている史料は,割合としてはそれほど大きくはない.未翻刻の史料に重要な情報が含まれている可能性もあるが,研究者だけですべてを翻刻するのは現実的ではない.このような状況のなか,「みんなで翻刻【地震史料】」では,翻刻の対象とする史料を,地震に関する史料とし,東京大学地震研究所図書室が所蔵する石本コレクションから,114冊を選んだ.このコレクションを利用したのは,既に画像が公開されており権利関係がはっきりしていること,部分的には翻刻され公刊されているが,全部ではないこと,システム開発にあたって手頃なボリュームであること,過去の地震や災害に関係する史料なので興味をもってもらえる可能性があること,が主な理由である.「みんなで翻刻【地震史料】」で翻刻できる史料のうち一部は,既刊の地震史料集にも翻刻が収録されている.しかし,ページ数の都合などにより省略されている部分も多い.「みんなで翻刻【地震史料】」によって,114冊の史料の全文の翻刻がそろうことにより,これまで見過ごされてきた情報を抽出できるようになる可能性がある.石本文庫には,内容の類似した史料が含まれていることが知られているが,全文の翻刻により,史料間の異同の検討などにより,これまでより正確に記載内容を理解できるようになるだろう.「みんなで翻刻」では,ブラウザ上で動作する縦書きエディタを開発・採用して,オンラインでの翻刻をスムーズにおこなう環境を構築したほか,翻刻した文字数がランキング形式で表示されるなど,楽しみながら翻刻できるような工夫をしている.また.利用者どうしが,編集履歴や掲示板機能によって,翻刻内容について議論することができる.さらに,くずし字学習支援アプリKuLAと連携している.正式公開後3週間の時点で,全史料114点中29点の翻刻がひととおり完了している.画像単位では3193枚中867枚(全体の27.2%)の翻刻がひととり完了している.総入力文字数は約70万字である.未翻刻の文書を翻刻することがプロジェクトの主たる目的である.これに加えて,Web上で活動することにより,ふだん古文書や地域の歴史,災害史などに興味をもっていない層の方々が,古地震や古災害,地域の歴史に関する情報を届けるきっかけになると考えている.謝辞:「みんなで翻刻【地震史料】」では,東京大学地震研究所所蔵の石本文庫の画像データを利用した.
著者
伊藤 和行
出版者
京都大学文学部科学哲学科学史研究室
雑誌
科学哲学科学史研究 (ISSN:18839177)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.117-132, 2008-01-31

Von Neumann's "First Draft of a Report on the EDVAC" is known as the first paper on the modern computation theory, where he compared electric circuits to neuron networks. The idea of conceiving neuron networks as logical circuits was proposed by W. S. McCulloch and W. Pitts, and was called the McCulloch-Pitts Model. This model led von Neumann to develop his automata theory, in which he proposed five models like the cellular model. Through them, he tried to present a unified study of modern computing machines and the human nervous system.
著者
伊藤 和行
出版者
京都大学文学部科学哲学科学史研究室
雑誌
科学哲学科学史研究 (ISSN:18839177)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.117-132, 2008-01-31

Von Neumann's "First Draft of a Report on the EDVAC" is known as the first paper on the modern computation theory, where he compared electric circuits to neuron networks. The idea of conceiving neuron networks as logical circuits was proposed by W. S. McCulloch and W. Pitts, and was called the McCulloch-Pitts Model. This model led von Neumann to develop his automata theory, in which he proposed five models like the cellular model. Through them, he tried to present a unified study of modern computing machines and the human nervous system.
著者
伊藤 和行
出版者
日本科学哲学会
雑誌
科学哲学 (ISSN:02893428)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.15-28, 1997-11-10 (Released:2009-05-29)

Galileo and Descartes made an important contribution to the making of modern mechanics in the Scientific Revo-lution. However, there are crucial differences between their views on the nature of gravity and on the concept of iner-tial motion. They indicate the difference between their methods of science.Huygens supported Descartes' mechanical natural phi-losophy and based his theory of light on the corpuscular theory. But he criticized Decartes' excessive confidence in his own philosophy. Huygens gave higher priority to the solution of individual problems than to the construction of a whole system. He developed the problem-oriented method of Galileo's mathematical physics.
著者
高岩 義信 九後 太一 伊藤 憲二 五島 敏芳 金谷 和至 棚橋 誠治 小沼 通二 坂東 昌子 受川 史彦 伊藤 和行 田中 正 山脇 幸一 難波 忠清 西谷 正 吉川 直志
出版者
筑波技術大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

日本における素粒子物理学の発展への道を開いた湯川秀樹・朝永振一郎・坂田昌一の遺した資料を保存する記念史料室等で、その資料を近年のアーカイブズ学の知識によってカタログ情報を国際標準に準拠する史料記述の形式で統一的にデータベース化することにより、史料整理と保存の体制整備と利用促進を図った。それにより、未整理であった資料を含め記念史料の全体について把握が可能になり、その管理について見通しが良くなった。さらにそのデータベースは、ネットワーク経由で相互参照(横断検索)が可能なオンライン検索システムを採用して一般向けに提供するための環境づくりを行ったので、当科研費事業の終了後にもその整備と運用の継続が可能になり、様々な研究課題に利用できるようになり、現実にこれらの史料の参照の要求にこたえることが可能になった。
著者
伊藤 和行
出版者
日本医史学会
雑誌
日本医史学雑誌 (ISSN:05493323)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.29-40, 1995-03-20
参考文献数
18
著者
伊藤 和行
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

本研究では,17世紀科学革命の核心とも言える力学の誕生過程に焦点を定め,基本的物理概念-「重さ」,「物質量」,「速さ」,「加速」,「力」,「モーメント」-に関して,ガリレイから,カヴァリエリ,トリチェッリ,デカルト,ホイヘンス,ニュートンらにおける,それらの概念の変遷を検討した.とくに数学的運動論の提唱者であるガリレイに関しては,速度概念とその数学的表現に関して大きな問題を抱えていたことが明らかになった.ガリレイは加速運動の考察において瞬間的速度を表すために「速さの度合」という中世的概念を用い,それを「不可分者」という数学的概念によって扱おうとしたが,それが含む理論的問題点のために彼の落下法則の証明は不完全なものとなっていた.ガリレイの直面したのは無限小量をどのように理解し,数学的に処理するかという問題だった.ガリレイの落下法則はホイヘンスやニュートンにおいても,一定力下の加速運動の法則として,一般的な加速運動の考察の出発点となっていたが,無限小量の導入によりガリレイの証明はまったく過去のものとなった.ニュートンの最大の功績は重量と質量の概念的区別をし,運動法則を定式化したことであるが,彼の第二運動法則が解析化され,力学体系の核心となるにはまだ半世紀を要するのであり,18世紀の解析力学の発展過程に関するさらなる研究が必要である.本研究ではガリレイの主要著作,および他の科学者の力学関係著作に関して,コンコーダンスを作成した.報告書ではとくに約2,000語を選び,各人ごとにまとめてある.このコンコーダンスは後日Webサイトにおいて公開する予定である.また約20,000語に及ぶ全体のコンコーダンスもWebサイトにおいて公開することを計画している.
著者
伊藤 和行
出版者
日本医史学会
雑誌
日本医史学雑誌 (ISSN:05493323)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.59-68, 1997-03-20
参考文献数
12
著者
伊藤 和行 中田 良一
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

近代西欧科学の発展過程においてモデルとなった古典力学は,17世紀後半にニュートンによってその基礎を築かれたとみなされているが,『プリンキピア』における議論はまったく幾何学的なものであって,現代の我々が馴染んでいるような解析的な科学として成立したのは,18世紀中頃から後半のことである.本研究では,この古典力学の解析化・体系化の過程を,その過程において中心的な役割を果たしたレオンハルト・オイラーの力学理論を中心に検討した.彼以前にも,18世紀前半には,ヨハン・ベルヌーイ,ジャン・ダランベール,ダニエル・ベルヌーイらによって力学の解析化の試みがなされていたが,本研究で検討したように,彼らは,幾何学的に微分小量間の関係式を導くことによって物体の軌道を求めていた.それに対して,オイラーは,空間に固定された座標軸を設定し,各座標に対して二階の微分方程式の形式の運動方程式を立てて問題を解くという方法を体系的に用い,運動エネルギーや角運動量の保存則を導出している.さらに彼は,その方法を質点から剛体へと拡張し,剛体の運動方程式を導出した.このオイラーにおける新しい代数的解析学に基づく力学への転換は,本研究で明らかにしたように,1740年代後半に,惑星運動の考察,そして剛体運動の研究と結びついて起こった.また,彼の運動方程式自体も,それ以前と以後とでは数学的表現が大きく変わっていることも明らかになった.すなわち,初期には,運動方程式の導出はガリレオの落下法則と結びついており,距離の一階微分方程式という特異な形態を取っていたのである.後期には座標の二階微分方程式の形態を取るようになり,落下法則の影響も薄れていくが,単位系としてその影響は残っている.本研究の成果として,オイラーの力学に関する重要な論文を翻訳し,『オイラー力学論文集』として刊行する準備を進めている.
著者
伊藤 和行
出版者
京都大学
雑誌
京都大學文學部研究紀要 (ISSN:04529774)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.132_a-109_a, 1996-03-31

この論文は国立情報学研究所の学術雑誌公開支援事業により電子化されました。