- 著者
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樋口 理
向野 晃弘
中根 俊成
前田 泰宏
小森 敦正
右田 清志
八橋 弘
中村 英樹
川上 純
松尾 秀徳
- 出版者
- 日本臨床免疫学会
- 雑誌
- 日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
- 巻号頁・発行日
- vol.37, no.4, pp.334a-334a, 2014 (Released:2014-10-07)
【背景と目的】全身性および臓器特異的自己免疫疾患では,古くから自律神経障害を伴う症例が知られるが,その分子病態は未解明である.近年,急性あるいは慢性経過を示し,広汎な自律神経障害を呈す自己免疫性自律神経節障害(AAG)の主因が,自律神経節後シナプス領域に局在するganglionicアセチルコリン受容体(gAChR)に対する自己抗体であることが多角的実験手法により証明され,自律神経障害における自己抗体介在性の分子病態の存在が注目されている.本研究では,膠原病や自己免疫性慢性肝疾患における抗gAChR抗体の陽性率を解明する.【方法と結果】長崎大学病院と長崎医療センターにて集積された自己免疫疾患217症例(関節リウマチ,シェーグレン症候群,全身性エリテマトーデス,自己免疫性肝炎,原発性胆汁性肝硬変,その他関連症例を含む)を対象とした抗gAChR抗体探索を実施し,平均22.6%の抗体陽性率を確認した.一方,抗gAChR抗体検査目的で当院に送付された著明な自律神経障害を呈する自己免疫疾患合併12症例の血清検体では,50%(6/12)の抗体陽性率を確認した.【結論】膠原病や自己免疫性慢性肝疾患に抗gAChR抗体が潜在することが明らかとなった.特に,広汎かつ著明な自律神経障害を呈す症例はAAGに匹敵する抗体陽性率を示し,当該抗体と各種自律神経症状の因果関係が疑われた.