著者
生友 尚志 永井 宏達 西本 智一 田篭 慶一 大畑 光司 山本 昌樹 中川 法一 前田 香 綾田 裕子
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.33 Suppl. No.2 (第41回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.A0851, 2006 (Released:2006-04-29)

【目的】広背筋は上半身の中で最も大きい筋であり、その働きは多岐にわたる。この広背筋の筋電図学的研究は多くなされているが、その中でもPatonらは広背筋を6つに分けて筋活動の測定を行い、機能的な分化があることを報告している。また、前田らも同様の方法により行っているが、両者とも肩関節運動時の筋活動を測定しており体幹運動時の筋活動は測定していない。さらに広背筋の体幹伸展、回旋動作の研究は多く行われているが、体幹側屈動作時の筋活動の研究は少ない。本研究の目的は、体幹側屈動作を先行研究に加えて測定し、広背筋の体幹側屈時の筋活動とその機能的分化について筋電図学的特徴を明らかにすることである。【対象と方法】対象は上下肢及び体幹に整形外科的疾患のない健常成人男性10名(平均年齢24.9±3.0歳)とした。なお、被験者には本研究の趣旨を説明し同意を得た上で測定を行った。筋電図の測定にはNORAXON社製MyoSystem 1400を使用し、表面電極による双極誘導法にて行った。測定筋は右広背筋とし、Patonらの方法をもとに広背筋をC7棘突起と上前腸骨棘を結んだ線上で等間隔に4つ(広背筋上部、中上部、中下部、下外側部)に分け、筋線維に平行に表面電極を貼付した。また、体側のTh9の高さの筋腹(広背筋上外側部)にも貼付した。測定動作は腹臥位での右肩関節伸展・内転・水平伸展・内旋・下方突き押し、端座位での体幹右側屈・プッシュアップ、側臥位での体幹右側屈・右股関節外転・左股関節内転、背臥位での右骨盤引き上げ運動の計11項目とした。プッシュアップは端座位で臀部を床から持ち上げた状態で3秒間保持した時の積分筋電図値(以下IEMG)を、それ以外は3秒間最大等尺性収縮した時のIEMGを求め、それらを徒手筋力検査に準じた肢位にて測定した肩関節伸展最大等尺性収縮時のIEMGを100%として正規化し、各部位ごとに%IEMGを求めた。統計処理は反復測定分散分析を行った。【結果と考察】各動作において部位ごとの%IEMGを比較すると、全ての動作において有意な差がみられた。肩関節水平伸展、内旋においては広背筋上部が他の部位に比べて高値を示し、肩関節内転やプッシュアップは広背筋下外側部が高値を示した。肩関節下方突き押しについては広背筋上外側部、下外側部が高値となった。これに対して、体幹側屈動作では側臥位体幹右側屈において広背筋上外側部、中下部、下外側部が高値を示し、座位体幹右側屈、側臥位右股関節外転・左股関節内転、背臥位右骨盤引き上げ運動においては広背筋下外側部が高値となった。本研究の結果より、広背筋は筋線維により機能的に分化していることが確認できた。また、広背筋の上部線維は肩関節運動時に大きく働き、外側線維については体幹の側屈を伴うような運動時に大きく働くということが示唆された。
著者
二瓶 正登 荒井 穂菜美 前田 香 青木 俊太郎 土屋垣内 晶 岩野 卓 冨岡 奈津代 岡村 尚昌 三原 健吾 城月 健太郎 堀内 聡 坂野 雄二
出版者
日本不安症学会
雑誌
不安症研究 (ISSN:21887578)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.54-63, 2018-10-31 (Released:2018-12-28)
参考文献数
16
被引用文献数
3

Fear of Negative Evaluation Scale日本語短縮版(SFNE)はFNEを測定する1因子構造の尺度である。しかし近年の研究においてSFNEが順向項目因子と逆転項目因子の2因子から構成される尺度である可能性が報告された。本研究ではWeb調査を通して参加した一般成人500名と大学生・専門学校生82名を対象に,SFNEの因子構造,信頼性および妥当性を検討した。探索的因子分析の結果,8項目からなる順向項目因子と4項目からなる逆転項目因子の2因子が抽出された。各因子の内的整合性と再検査信頼性は十分に高かった。逆転項目因子と比較して,順向項目因子の方が高い妥当性を有していた。本結果は逆転項目因子に比べ順向項目因子の方がFNEを正確に測定していることを示しており,FNEの測定においてはSFNEの順向項目因子を使用することが推奨される。本結果の意義と本研究の課題について検討した。
著者
古野 真菜実 前田 香奈 今泉 修 神藤 真優 日比野 治雄 小山 慎一
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第63回研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.60, 2016 (Released:2016-06-30)

人間の肌に蓮の花托(花弁・おしべ・めしべを取り去った部分) をコラージュした画像は「蓮コラ」と俗称されており,肌から多数の蓮の実が覗いている様は体験的に不快を喚起することが知られている。また蓮コラと似た斑点模様を持つ広告やプロダクトに対しても不快感を訴える者がいる。蓮コラや斑点模様が不快を喚起する要因として,嫌悪を感じやすい傾向である「嫌悪感受性」との関連が挙げられている。蓮コラと嫌悪が密接に関わっているならば,蓮コラージュ対象が人間にとって身近であればあるほど不快感が増す可能性がある。また嫌悪的な蓮をある対象にコラージュすると,嫌悪が増幅する現象が蓮コラであると考えられる。よって本研究では蓮コラによる不快現象を確認し,更にその不快感が蓮コラージュ対象の違いによるものだと推察し検討を行なった。人間と動物の蓮コラに対する不快感評定の結果, 蓮コラは蓮単体よりも不快感が強かった。しかし人間と動物の間に不快感の差は見られなかった。この結果は蓮コラージュ対象への心理的距離の近さによって部分的に説明されることが示唆された。本研究は蓮コラや斑点模様による不快の予防と軽減に繋がると考えられる。
著者
生友 尚志 永井 宏達 西本 智一 田篭 慶一 大畑 光司 山本 昌樹 中川 法一 前田 香 綾田 裕子
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2005, pp.A0851, 2006

【目的】広背筋は上半身の中で最も大きい筋であり、その働きは多岐にわたる。この広背筋の筋電図学的研究は多くなされているが、その中でもPatonらは広背筋を6つに分けて筋活動の測定を行い、機能的な分化があることを報告している。また、前田らも同様の方法により行っているが、両者とも肩関節運動時の筋活動を測定しており体幹運動時の筋活動は測定していない。さらに広背筋の体幹伸展、回旋動作の研究は多く行われているが、体幹側屈動作時の筋活動の研究は少ない。本研究の目的は、体幹側屈動作を先行研究に加えて測定し、広背筋の体幹側屈時の筋活動とその機能的分化について筋電図学的特徴を明らかにすることである。<BR>【対象と方法】対象は上下肢及び体幹に整形外科的疾患のない健常成人男性10名(平均年齢24.9±3.0歳)とした。なお、被験者には本研究の趣旨を説明し同意を得た上で測定を行った。筋電図の測定にはNORAXON社製MyoSystem 1400を使用し、表面電極による双極誘導法にて行った。測定筋は右広背筋とし、Patonらの方法をもとに広背筋をC7棘突起と上前腸骨棘を結んだ線上で等間隔に4つ(広背筋上部、中上部、中下部、下外側部)に分け、筋線維に平行に表面電極を貼付した。また、体側のTh9の高さの筋腹(広背筋上外側部)にも貼付した。測定動作は腹臥位での右肩関節伸展・内転・水平伸展・内旋・下方突き押し、端座位での体幹右側屈・プッシュアップ、側臥位での体幹右側屈・右股関節外転・左股関節内転、背臥位での右骨盤引き上げ運動の計11項目とした。プッシュアップは端座位で臀部を床から持ち上げた状態で3秒間保持した時の積分筋電図値(以下IEMG)を、それ以外は3秒間最大等尺性収縮した時のIEMGを求め、それらを徒手筋力検査に準じた肢位にて測定した肩関節伸展最大等尺性収縮時のIEMGを100%として正規化し、各部位ごとに%IEMGを求めた。統計処理は反復測定分散分析を行った。<BR>【結果と考察】各動作において部位ごとの%IEMGを比較すると、全ての動作において有意な差がみられた。肩関節水平伸展、内旋においては広背筋上部が他の部位に比べて高値を示し、肩関節内転やプッシュアップは広背筋下外側部が高値を示した。肩関節下方突き押しについては広背筋上外側部、下外側部が高値となった。これに対して、体幹側屈動作では側臥位体幹右側屈において広背筋上外側部、中下部、下外側部が高値を示し、座位体幹右側屈、側臥位右股関節外転・左股関節内転、背臥位右骨盤引き上げ運動においては広背筋下外側部が高値となった。本研究の結果より、広背筋は筋線維により機能的に分化していることが確認できた。また、広背筋の上部線維は肩関節運動時に大きく働き、外側線維については体幹の側屈を伴うような運動時に大きく働くということが示唆された。<BR>
著者
古野 真菜実 前田 香奈 今泉 修 神藤 真優 日比野 治雄 小山 慎一
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.63, 2016

人間の肌に蓮の花托(花弁・おしべ・めしべを取り去った部分) をコラージュした画像は「蓮コラ」と俗称されており,肌から多数の蓮の実が覗いている様は体験的に不快を喚起することが知られている。また蓮コラと似た斑点模様を持つ広告やプロダクトに対しても不快感を訴える者がいる。蓮コラや斑点模様が不快を喚起する要因として,嫌悪を感じやすい傾向である「嫌悪感受性」との関連が挙げられている。蓮コラと嫌悪が密接に関わっているならば,蓮コラージュ対象が人間にとって身近であればあるほど不快感が増す可能性がある。また嫌悪的な蓮をある対象にコラージュすると,嫌悪が増幅する現象が蓮コラであると考えられる。よって本研究では蓮コラによる不快現象を確認し,更にその不快感が蓮コラージュ対象の違いによるものだと推察し検討を行なった。人間と動物の蓮コラに対する不快感評定の結果, 蓮コラは蓮単体よりも不快感が強かった。しかし人間と動物の間に不快感の差は見られなかった。この結果は蓮コラージュ対象への心理的距離の近さによって部分的に説明されることが示唆された。本研究は蓮コラや斑点模様による不快の予防と軽減に繋がると考えられる。
著者
生友 尚志 永井 宏達 大畑 光司 中川 法一 前田 香 綾田 裕子
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.34 Suppl. No.2 (第42回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.A0604, 2007 (Released:2007-05-09)

【目的】広背筋は背部の複数の部位から起始し、停止部で上下の筋線維が反転して付着する。このような広背筋の筋線維による解剖学的な違いはよく知られているが、運動学的な違いについては知られていない。Patonらは広背筋を6つの部位に分けて肩関節運動時の筋活動を測定し、部位別の差異があることを報告している。我々は第41回日本理学療法学術大会において、広背筋を5つの部位に分け、肩関節運動に加え体幹側屈運動時の筋活動を調べ、運動学的に上部線維と下部線維の2つに分けられることを報告した。今回の研究の目的は、前回の測定項目に体幹伸展、体幹回旋運動を加え、広背筋を上部線維(ULD)と下部線維(LLD)に分けて筋活動を測定することで、ULDとLLDの作用について明らかにすることである。【対象と方法】本研究に同意を得た健常成人男性14名(平均年齢20.9±2.4歳)を対象とした。筋電図の測定はNoraxon社製MyoSystem1400を使用し、右側のULDとLLDの2ヶ所にて行った。第7頚椎棘突起と上前腸骨棘を結んだ線上で、ULDは第7胸椎レベル、LLDは第12胸椎レベルの位置にそれぞれ筋線維に平行に表面電極を貼付した。測定項目は肩関節運動として腹臥位にて右肩関節内旋・水平伸展・内転・下方突き押しの4項目、体幹運動として腹臥位体幹伸展、側臥位体幹右側屈、端座位体幹右回旋・左回旋の4項目の計8項目とした。各運動項目を5秒間最大等尺性収縮させた時の安定した3秒間の積分筋電図値(IEMG)を求め、それらを徒手筋力検査に準じて測定した肩関節伸展最大等尺性収縮時のIEMGを100%として正規化し、各筋線維ごとに%IEMGを求めた。また、各運動項目のULDとLLDの筋活動比(LLDの%IEMG/ULDの%IEMG)を求め、Friedman検定を用い比較検討した。【結果と考察】ULDの%IEMGは水平伸展で61.6±20.8%と最も大きく、以下内転41.3±15.6%、体幹右回旋35.4±29.8%、下方突き押し34.7±26.1%、体幹側屈30.5±20.6%、内旋29.5±17.1%、体幹伸展28.1±9.3%、体幹左回旋4.9±3.1%であった。LLDの%IEMGは体幹側屈で100.7±28.4%と最も大きく、以下下方突き押し83.2±28.9%、体幹右回旋66.3±27.5%、内転54.6±21.9%、体幹伸展42.2±11.7%、水平伸展36.8±16.5%、内旋19.8±10.7%、体幹左回旋8.0±5.0%であった。筋活動比は運動項目間において有意な差がみられ(p<0.01)、体幹側屈で最も大きな値を示し、反対に肩関節内旋や水平伸展で最も小さな値を示した。今回の研究により、ULDは肩関節内旋や水平伸展時に選択的に作用し、LLDは体幹側屈時に選択的に作用することが明らかになった。
著者
井上 博之 田代 渉 近堂 徹 西村 浩二 前田 香織
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IA, インターネットアーキテクチャ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.74, pp.31-36, 2008-05-23
参考文献数
7
被引用文献数
2

気象情報のセンシングとその表示に関して,広島市で行っている取り組み内容を中心を報告する.特にCO2濃度については市内の数カ所で長期間に渡る測定を行っており,その表示としてWebページによる提供や高解像度ディスプレイを使用したCO2濃度表示装置を公共場所に設置している.また,広島市立大学学内には,休講情報などの学内コンテンツを同時に表示する電子掲示板を開発し,約半年間の運用で得られた結果について報告する.その結果から,数値のみのCO2表示装置を広島市立広島工業高校とともに開発した事例等を紹介する.
著者
前田 香 関口 真有 堀内 聡 Justin W. Weeks 坂野 雄二
出版者
日本不安症学会
雑誌
不安症研究 (ISSN:21887578)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.113-120, 2015-03-31 (Released:2015-05-29)
参考文献数
17
被引用文献数
5 6

他者からの肯定的評価への恐れは,社交不安症の認知的特徴である。本研究の目的はFear of Positive Evaluation Scale(FPES)日本語版の信頼性と妥当性を検討することであった。対象者は324名の大学生であった。確認的因子分析の結果,原版と同様に8項目1因子構造が確認された。また,内的整合性と5週間の再検査信頼性は原版と同様に高いことが示された。妥当性を確認するために,他者からの否定的評価への恐れ,および対人交流への不安との関連性を検討した。その結果,予測された関連性が確認された。第一に,対人交流への不安,他者からの否定的評価への恐れとの間に正の相関が認められた。第二に,他者からの否定的評価への恐れを統制した場合に対人交流への不安を予測した。したがって,FPES日本語版の信頼性と妥当性が確認され,その有用性が議論された。
著者
永井 宏達 生友 尚志 大畑 光司 中川 法一 前田 香 綾田 裕子
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.34 Suppl. No.2 (第42回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.A0605, 2007 (Released:2007-05-09)

【目的】我々は第41回日本理学療法学術大会にて広背筋を5つの部位に分けて筋活動を調査し、運動学的に上部線維と下部線維に分けられることを報告した。さらに広背筋下部線維においては体幹側屈作用があることを示唆した。体幹側屈運動については、通常、腹斜筋、脊柱起立筋が主動作筋に挙げられるが、これらと広背筋下部線維との関係については明確ではない。本研究の目的は、さまざまな体幹側屈動作における腹斜筋、脊柱起立筋と広背筋下部線維の筋活動比を調べ、体幹側屈動作時における側屈筋群の動員の特徴を明らかにすることである。【対象と方法】対象は上肢、下肢及び体幹に整形外科的疾患のない健常成人男性10名(平均年齢25.9±4.0歳)とした。被験者には本研究の趣旨を説明し研究参加への同意を得た。筋電図の測定にはNORAXON社製MyoSystem 1400を使用し、表面電極による双極誘導を行った。測定筋は、右広背筋下部線維(以下LLD)、右外腹斜筋(以下EO)、および右腰部脊柱起立筋(以下LES)とした。LLDは第7頸椎棘突起と上前腸骨棘を結んだ線上で第12胸椎レベルの位置、EOは臍より右へ15cm外側、LESは第3腰椎棘突起の3cm外側に電極を貼付した。測定動作は各肢位における側屈運動(側臥位体幹右側屈、端座位体幹右側屈、仰臥位右骨盤引き上げ)、および体幹側屈モーメントを生じる上下肢の動作(側臥位同側股関節外転、端座位対側肩関節外転)の計5項目とした。測定は3秒間最大等尺性収縮した時の積分筋電図値(以下IEMG)を求め、各筋の徒手筋力検査の肢位での最大等尺性収縮時のIEMGを100%として、各筋ごとに%IEMGを求めた。その上でLLDとEO、LESの関係を明らかにするため、LLDの%IEMGをEO、LESそれぞれの%IEMGで除した値(LLD/EO、LLD/LES)を筋活動比として求めた。統計処理には、動作ごとの筋活動比を比較するためにFriedman検定を用いた。なお、有意水準は5%未満とした。【結果と考察】統計より、LLD/EO、LLD/LESのそれぞれにおいて、運動項目間で有意な差が見られた(p<0.01)。LLDとEOの筋活動比は、対側肩外転1.52±0.99、側臥位側屈1.33±0.48、座位側屈0.99±0.62、同側股関節外転0.50±0.29、骨盤引き上げ0.48±0.43であった。LLDとLESの筋活動比は、側臥位側屈1.48±0.54、対側肩外転1.16±0.42、座位側屈0.74±0.38、同側股関節外転0.40±0.21、骨盤引き上げ0.37±0.27となった。本研究では、側臥位側屈と端座位対側肩関節外転においてEO、LESに対してLLDの筋活動が他の動作よりも相対的に大きくなることが示唆された。一方、同側股関節外転や骨盤引き上げといった、骨盤の固定や動きが生じる動作ではLLDの関与が小さくなることが示唆された。
著者
藤本 大地 前田 香織 近堂 徹 大石 恭弘 相原 玲二
雑誌
研究報告インターネットと運用技術(IOT) (ISSN:21888787)
巻号頁・発行日
vol.2017-IOT-36, no.24, pp.1-6, 2017-02-24

スマートフォンやタブレット等のモバイル端末 (以下,端末) の普及に伴い,端末からのクラウドサーピス利用が拡大している.端末ではリソースの制約から高負荷な処理や大量のデータ保持が難しい場合があり,Mobile Cloud Compming (MCC) により処理の一部をクラウドヘオフロードできることが望ましい.そのためには,端末とクラウドとで連携したアプリケーション動作が必要となるため,ネットワーク接続性とアプリケーション応答性が重要となる.そこで本研究では,MCC の処理モジュールとして仮想マシン (VM) を想定し,ネットワーク遅延情報に基づいた VM の動的マイグレーションを支援するシステムを開発する.プロトタイプシステムでは OpenFlow を用いて VM と端末間の経路遅延情報を収集し,VM のマイグレーション先を選択する.加えて VM と端末の両者に対して移動透過通信機能を提供することで,サービス応答性の低下を抑制しつつ通信継続性を確保したライブマイグレーションが可能であることを示す.
著者
相原 玲二 藤田 貴大 前田 香織 野村 嘉洋
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.43, no.12, pp.3889-3897, 2002-12-15
被引用文献数
36

本論文では,ノードがネットワークを越えて移動しても同一アドレスを使用して通信を開始・継続することができる,インターネット上の新たなアーキテクチャとして,Mobile IP with Address Translation(MAT)を提案する.移動透過性実現のため,MATではノードを識別するIPアドレスを,ノード識別子と位置指示子に区別して扱い,両者をIP Address Mapping Server(IMS)により対応づける.通信相手がMAT対応ノードか否か(アドレス変換の要/不要)の判断およびIMSの探索にはDNSを用いる.MATはIPv4,IPv6いずれにも対応でき,きわめて多数のノードが移動ノードとなる場合にも対応できる.本論文ではMATアーキテクチャについて述べ,プロトタイプ実装および評価などにより,MATは許容できるオーバヘッドで移動透過性を実現可能であることを示す.In this paper,we propose a new architecture providing mobility support in the Internet,called Mobile IP with Address Translation (MAT).Mobility support means that communications to/from a mobile node can be started and continued without changing its IP address whenever the node moves through networks.To realize mobility support,a node supporting MAT has two IP addresses corresponding to a node identifier and a locator of the node.These two addresses are mapped by an IP Address Mapping Server (IMS).We use the Internet DNS to distinguish whether a node is supporting MAT or not,and to search IMSs.MAT can be applied to both IPv4 and IPv6,and has an advantage in the case that there are many mobile nodes.We describe MAT architecture and show mobility support of MAT by implementation of a prototype system and its evaluations.
著者
岸田 崇志 前田 香織 河野英太郎 近堂徹 相原玲ニ
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.517-225, 2004-02-15
被引用文献数
5

広帯域ネットワークやQoS保証のあるネットワークなど多様なネットワークが利用できるようになり,狭帯域ネットワークでは難しかったリアルタイム性の高い,また信頼性の高い音声伝送の実現が可能になってきた.そして,より品質の高い音声伝送への要求も高まっている.こうした変化にあわせ,音声伝送の利用場面も多岐にわたり,各場面で音声伝送システムに要求される条件も様々に異なる.本論文では,広帯域ネットワークで利用される様々な音声伝送場面をリアルタイム性,ロバスト性などの観点から分類した.これに基づき,各場面で要求度の高いパラメータを調整することにより,あらゆる利用場面に対応できる多目的な音声伝送システム``MRAT(Multipurpose RAT)''の設計と開発を行った.MRATは音声会議システムの1つであるRAT(Robust Audio Tool)を広帯域ネットワーク上で使用することを想定して拡張し,低遅延音声伝送機能やReed-Solomon符号を用いたFECによるエラー回復機構などを実装している.MRATの評価としてはエンド--エンド間の低遅延化とロバスト性向上の検証を行い,その有用性を示す.また,MRATの実証実験として1年間にわたって行った多地点での遠隔合唱や遠隔講義などについて記述し,多様な場面での実用性を示す.It is becoming easy to use various networks such as broadband networks and QoS guaranteed networks.Also, it is possible to realize high robustness and high real-time audio transmission.Moreover, high quality audio transmission is required.The most required condition for audio transmission differs depending on various scenes.In our study, we classify conditions of audio communications required in various situations from the viewpoints like real-time and robustness and design a multipurpose audio transmission system called as ``MRAT (Multipurpose RAT)''.We enhance RAT (Robust Audio Tool) that is one of audio communication tools, and add two new options. One is to keep shorter delays between end-nodes.Another is an error recovery using a Forward Error Correction with Reed-Solomon code to recover packet losses.By using these options, MRAT has three modes; a Chorus mode, a Conversation mode, and a Broadcast mode.Therefore, MRAT can correspond to various scenes.We show some evaluations of MRAT like measurements of end-to-end delays and effects of an error recovery.We also show practicality of MRAT by practical experiments such as distance chorus at multi-locations and distance lectures.
著者
相原 玲二 大塚 玉記 近堂 徹 西村 浩二 前田 香織
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. QAI, [高品質インターネット] (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.159-166, 2001-11-20

広帯域IPv6インターネット上での高品質画像伝送を行うため、マルチキャスト等に対応するMPEG2伝送システムを開発した。高品質画像をリアルタイムに伝送するには、パケットロスや伝送遅延ゆらぎのないネットワークが要求されるが、現実には実現困難であり、前方誤り訂正(FEC)機能等を持つ伝送システムが必要となる。本稿では、開発したFEC機能を持つMPEG2 over IPv6システムについて述べる。また、アフリカ南部で観測された皆既日食のJGN回線などを利用した中継実験について紹介する。この実験では、全国9地点(広島を除く)および広島市内4地点へMPEG2画像をIPマルチキャストにて伝送し、合計700名以上の参加者が2時間にわたりその中継映像を観察した。その際得られた実測データをもとに、誤り訂正機能が極めて効果的に機能したことを示す。
著者
本多 満正 田邉 康夫 村石 幸正 小松 寛 前田 香織 山岡 寛人
出版者
日本教科教育学会
雑誌
日本教科教育学会誌 (ISSN:02880334)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.37-42, 2005-12-01 (Released:2018-05-08)

中学校理科の学習項目である「電磁誘導」と技術・家庭科の電気領域の学習項目である「エネルギー伝送」と「交流」について視覚をともなって学習する教材を開発し,実験授業でその学習効果を調べた。開発した教材は,豆電球2個を抵抗値の大きいニクロム線で並列に接続した回路に交流を流す実験,そのニクロム線部分の前後に昇圧用・降圧用の変圧器を組み込んだ回路に交流と直流を流す実験,および電磁誘導の実験から構成される。変圧器によって高電圧・低電流で送電した場合には電圧降下が少なく,豆電球2個の明るさの違いが目立たない。変圧器の有無によって,明るさが違うことから変圧器の働きを理解する。変圧器に直流を流し豆電球が点灯しないことから変圧器の仕組みと交流の作用を学習する。本教材による実験授業の結果,送電における変圧器の働きと仕組みに関する認識の定着が向上することが明らかとなった。
著者
土手 貴裕 近堂 徹 前田 香織 高野 知佐
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.64, no.3, pp.650-658, 2023-03-15

ITシステムの新たなアーキテクチャとしてマイクロサービスが注目されている.マイクロサービスではシステムが持つ各機能を独立したコンポーネントとして分割し,それらをAPIで疎結合させることで,機能単位での頻繁な改修が容易となり,顧客の要望への迅速な対応が可能となる.しかし,マイクロサービスの導入によりシステム構成が複雑化し,システム状態を把握するための時系列データであるメトリック数も増大するため,障害原因であるコンポーネント(障害原因箇所)の特定が困難となる.本論文では,マイクロサービスにはコンポーネント間でAPI呼び出しによる依存関係があることに着目し,メトリックの定常時からの変化量にコンポーネント間の依存関係を組み合わせることで障害原因箇所を特定する手法を提案する.また,提案手法による障害原因箇所特定システムを開発し,ECサイトを模したマイクロサービスのベンチマークを用いた実験を行った.特定精度および特定に要する時間について評価を行い,これらの結果から提案手法の有効性を示す.
著者
前田 香織 近堂 徹 相原 玲二
雑誌
インターネットと運用技術シンポジウム2014論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, pp.78-84, 2014-11-27

IPv6 ではプラグアンドプレイ機能の実現などマルチキャストが積極的に使用されているが,多数のマルチキャストパケットによる端末のリソース消費問題や無線 LAN(L2) において再送制御されないことによるパケット損失問題などが課題として指摘されている.今後 IPv6 が普及したときに,IPv4 に比べてマルチキャスト通信による弊害が顕在化する可能性がある.そこで本研究では実際に多数の端末が接続された無線 LAN に流れているマルチキャストパケットの実態を調査した.1日に平均約 1000 台の端末が接続する無線 LAN において IPv4 と IPv6 のマルチキャストパケットを約 3 ヶ月間実測した結果,IPv4 と IPv6 ではそれぞれ同程度のマルチキャストパケットが流れていることが判明した.これにより今後 IPv6 が普及した時,無線 LAN に頻繁に接続される機器に対するマルチキャストの影響について考察する.
著者
生友 尚志 永井 宏達 大畑 光司 中川 法一 前田 香 綾田 裕子
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2006, pp.A0604, 2007

【目的】広背筋は背部の複数の部位から起始し、停止部で上下の筋線維が反転して付着する。このような広背筋の筋線維による解剖学的な違いはよく知られているが、運動学的な違いについては知られていない。Patonらは広背筋を6つの部位に分けて肩関節運動時の筋活動を測定し、部位別の差異があることを報告している。我々は第41回日本理学療法学術大会において、広背筋を5つの部位に分け、肩関節運動に加え体幹側屈運動時の筋活動を調べ、運動学的に上部線維と下部線維の2つに分けられることを報告した。今回の研究の目的は、前回の測定項目に体幹伸展、体幹回旋運動を加え、広背筋を上部線維(ULD)と下部線維(LLD)に分けて筋活動を測定することで、ULDとLLDの作用について明らかにすることである。<BR>【対象と方法】本研究に同意を得た健常成人男性14名(平均年齢20.9±2.4歳)を対象とした。筋電図の測定はNoraxon社製MyoSystem1400を使用し、右側のULDとLLDの2ヶ所にて行った。第7頚椎棘突起と上前腸骨棘を結んだ線上で、ULDは第7胸椎レベル、LLDは第12胸椎レベルの位置にそれぞれ筋線維に平行に表面電極を貼付した。測定項目は肩関節運動として腹臥位にて右肩関節内旋・水平伸展・内転・下方突き押しの4項目、体幹運動として腹臥位体幹伸展、側臥位体幹右側屈、端座位体幹右回旋・左回旋の4項目の計8項目とした。各運動項目を5秒間最大等尺性収縮させた時の安定した3秒間の積分筋電図値(IEMG)を求め、それらを徒手筋力検査に準じて測定した肩関節伸展最大等尺性収縮時のIEMGを100%として正規化し、各筋線維ごとに%IEMGを求めた。また、各運動項目のULDとLLDの筋活動比(LLDの%IEMG/ULDの%IEMG)を求め、Friedman検定を用い比較検討した。<BR>【結果と考察】ULDの%IEMGは水平伸展で61.6±20.8%と最も大きく、以下内転41.3±15.6%、体幹右回旋35.4±29.8%、下方突き押し34.7±26.1%、体幹側屈30.5±20.6%、内旋29.5±17.1%、体幹伸展28.1±9.3%、体幹左回旋4.9±3.1%であった。LLDの%IEMGは体幹側屈で100.7±28.4%と最も大きく、以下下方突き押し83.2±28.9%、体幹右回旋66.3±27.5%、内転54.6±21.9%、体幹伸展42.2±11.7%、水平伸展36.8±16.5%、内旋19.8±10.7%、体幹左回旋8.0±5.0%であった。筋活動比は運動項目間において有意な差がみられ(p<0.01)、体幹側屈で最も大きな値を示し、反対に肩関節内旋や水平伸展で最も小さな値を示した。今回の研究により、ULDは肩関節内旋や水平伸展時に選択的に作用し、LLDは体幹側屈時に選択的に作用することが明らかになった。<BR><BR>
著者
前田 香雪
出版者
The Ceramic Society of Japan
雑誌
大日本窯業協會雑誌 (ISSN:03669998)
巻号頁・発行日
vol.10, no.109, pp.Plate1-Plate1, 1901
著者
加森 剛徳 林 健汰 前田 香織 近堂 徹 相原 玲二
雑誌
インターネットと運用技術シンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.2017, pp.25-32, 2017-11-30

コンピュータの仮想化技術やネットワークの広帯域化により,通信セッションを維持したままインターネットに接続された物理ホスト間で仮想マシン (VM) のグローバルライブマイグレーションが可能になっている.しかし,グローバルライブマイグレーションでは異なるクラウドプロバイダが提供する任意のクラウドで多数の利用者が資源を共有するので,それを前提としたライブマイグレーションの権限制御機構が求められる.これに対して本研究では,複数のクラウドプロバイダ間においても VM 利用者の権限に基づいた安全なライブマイグレーションができるような支援システムを開発する.この支援システムではマイグレーションの権限を利用者の属性によって認証する暗号文ポリシー属性ベース暗号を用いる.また,支援システムは異なるプロバイダのマイグレーションでもセッションを維持するため,移動透過通信機構も有する.本稿では支援システムの開発について述べる.また,実装したプロトタイプシステムを用いて,追加した認証機構や移動透過通信機構のオーバヘッドの実験的評価を行い,支援システムの実用性について述べる.
著者
林 健汰 加森 剛徳 前田 香織 近堂 徹 相原 玲二
雑誌
インターネットと運用技術シンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.2017, pp.19-24, 2017-11-30

クラウドアプリケーションを利用したファイルの共有や共同作業を行う場合,作業者の属性に基づいてファイルへのアクセス権限や作業権限を設定できると管理コストを下げる効果がある.本研究ではクラウドアプリケーションとして仮想デスクトップを対象とし,利用者の属性に合わせた作業権限を設定できる認証機構を開発する.認証機構には暗号文ポリシー属性ベース暗号を用いる.これにより,利用者数や属性数が増えても鍵の管理が煩雑にならず,共同作業や引継ぎの安全性を向上できる.仮想デスクトップ上の画面共有を対象とする認証機構のプロトタイプシステムを実装し,それを用いて属性ベース暗号を採用したことによる認証処理のオーバヘッドを示す.属性数やその組み合わせを複雑にするとオーバヘッドは大きくなるが,その時間は実用上問題がないことを示す.また,RSA 暗号との比較により,開発する認証機構が複数利用者の画面共有において有用であることを示す.