著者
木下 裕一郎 吉沢 滋 種市 修浩 加藤 貴文 降旗 浩司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会ソサイエティ大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1996, no.2, 1996-09-18
被引用文献数
2

デジタル磁気記録読出し波形を数ビット(bと略)毎に切出し、ニューラルネット(NNと略)に学習、認識させるニューロ弁別(この様に略)はNNの学習能力により、干渉波形を学習させる事で高密度弁別が可能となり、NNの未学習入力も認識する汎化能力により、記録密度変動にも強い特徴を持つ。この二つの特徴とその実現可能性はシミュレーションですでに示した。また、この方法は従来の1b波形中の1点の振幅或は位相で判断するのではなく、数bの波形全体で判断するいわば波形弁別なので、高周波正弦波雑音や、幅の狭いパルス雑音に強い特徴的な雑音弁別特性をも持つ事がわかっている。しかし、ランダム雑音では1点の雑音レベルでなく入力する全サンプリング点での雑音レベル:ランダム雑音波形が問題なので、取扱いが難しくこれまでエラーレート評価ができないでいた。ここでランダム雑音エラーレートの問題点、線密度と雑音の関係、研究手法等について、まだ模索中ではあるがこれまでの考察結果を述べる。
著者
加藤 貴彦 黒田 嘉紀 中尾 裕之
出版者
宮崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

1.サンプルの収集:某電気機械器具製造工場の従業員とその関連会社の従業員、男性1225名、女性429名の計1654名から文書による研究協力の承諾を得た後、詳細なライフスタイル情報・健診データとゲノムDNAを収集した。2.遺伝子診断結果を用いた介入研究:DNAの抽出に成功し、ALDH2遺伝子型の分析の成功例は850名である。意識調査の結果、「解析結果の返却を希望した」社員420名を2群(初期介入群、後期介入群)に分け、専属産業医が遺伝子診断結果を用いた対面による飲酒に関する健康指導を実施した。通知群235名中、期間中に通知できたのは154名(65.5%)で、うち139名(59.1%)を追跡できた。非通知群は、233名中203名(87.1%)を追跡できた。通知前後の飲酒習慣、肝機能検査データは、通知前と通知後1年後の健康診断データを使用した。その結果、毎日飲酒する人の割合は、通知前後で男女とも飲めない遺伝子であるGG型保有者で通知群、非通知群ともに増加傾向がみられた。不況による過ストレスや女性への深夜勤務導入などが要因として考えられた。男女別、遺伝子型別に通知前と通知後5か月のGOT、GPT、_Y-GTP値を比較したが、通知群、非通知群ともに有意な変化はみられなかった。3.行動変容ツールとして有用な候補遺伝子の探索:PhIPの代謝に関与するGlutathione S-transferase (GST) A1の遺伝子多型と前立腺癌、口腔扁平上皮癌、尿路上皮癌との関連性について症例・対照研究を行った。その結果、GSTA1遺伝子多型と喫煙者前立腺癌、男性喫煙者口腔扁平上皮癌、非喫煙者尿路上皮癌罹患とのあいだに、統計学的に有意な関連性が認められた。
著者
加藤 貴彦 東 監
出版者
産業医科大学学会
雑誌
産業医科大学雑誌 (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.205-209, 1992
被引用文献数
1

チトクロームP-450は, 生理的な物質や, 環境中の化学物質の代謝に関与している重要な薬物酸化酵素である. この中で, チトクロームP-4502D6デブリソキン-4-ハイドロキシラーゼは, 常染色体劣性に遺伝する遺伝的多型性の存在が報告されており, 代謝活性が低いpoor metabolizer(以下,PM)は, 各種薬物の代謝障害に関与していることが明らかとなっている[Goughetal(1990)Nature347:773-776]. PMの頻度には,人種差が存在することが報告されているが, 日本ではデブリソキンが薬剤として認可されていないため, これまで日本人のPMに関しては全く検索されていなかった. 今回, 我々はデブリソキンを投与せず, 白血球DNAを用いたGoughらの方法により, 東洋人(日本人25人, 中国人20人)で, チトクロームP-4502D6の遺伝子レベルの検索を行い, 白人の頻度と比較検討した. Goughらの方法を用いれば白人においては, すべての正常者と79%のPMを同定できるはずだが, 我々は東洋人のPMを同定できなかった. これらの結果は, 東洋人のPMの遺伝子レベルのメカニズムが, 白人のそれとは異なっていることを意味している.
著者
小宮 康裕 中尾 裕之 黒田 嘉紀 有薗 克晋 中原 愛 加藤 貴彦
出版者
公益社団法人日本産業衛生学会
雑誌
産業衛生学雑誌 (ISSN:13410725)
巻号頁・発行日
vol.47, no.5, pp.204-209, 2005-09-20
被引用文献数
1

禁煙や節酒支援への応用の可能性を検討する目的で, GSTM1およびALDH2遺伝子多型の遺伝子診断に対する意識調査を行った.対象は製造業の従業員1,654名(男性1,225名, 女性429名)で1,434名(86.7%)が回答した.GSTM1およびALDH2の遺伝子診断結果を知りたいと回答したのは, それぞれ52.2%と56.6%だった.一方, 知りたくないと回答したのは, それぞれ9.9%と7.2%だった.結果を知りたい理由は, 自分への喫煙の影響を知りたい, 将来の病気予防, 副流煙の影響を知りたい, 自分のアルコール許容範囲を知りたい, など個人の感受性を意識した理由が多かった.また, 知りたくない理由では, 結果を知っても止められない, 止める意志がないが多かった.多変量解析では, 現在喫煙している人(男性: OR=1.66 95%CI 1.29-2.14, 女性: OR=2.33 95%CI 1.37-3.98), 喫煙と肺がんの関連を知っている人(男性: OR=1.81 95%CI 1.25-2.63, 女性: OR=2.77 95%CI 1.42-5.40), CAGE TESTの点数の高い人(男性: OR=1.96 95%CI 1.42-2.68, 女性: OR=2.52 95%CI 1.07-5.94)で双方の遺伝子診断結果を知りたいと回答した人が有意に多かった.今回の調査より, GSTM1およびALDH2の遺伝子診断の禁煙支援や節酒支援への応用の可能性が示唆された.
著者
真鍋 龍治 欅田 尚樹 加藤 貴彦 黒田 嘉紀 秋山 幸雄 山野 優子 内山 巌雄 嵐谷 奎一
出版者
日本衛生学会
雑誌
日本衛生学雑誌 (ISSN:00215082)
巻号頁・発行日
vol.63, no.4, pp.717-723, 2008 (Released:2008-09-30)
参考文献数
25
被引用文献数
3 5

Objectives: The purpose of this study was to investigate the incidence of multiple chemical sensitivity (MCS) and effectiveness of the Quick Environment Exposure and Sensitivity Inventory (QEESI) in Japanese workers in specific buildings. Methods: The survey was performed in 2004–2006 in Japan. QEESI (Japanese version) and a checklist on accumulation of fatigue developed by the Ministry of Health, Labour and Welfare were used in the examination of 410 workers in specific buildings. Three criteria of QEESI’s “symptom severity”, “chemical intolerance”, and “other intolerance” were evaluated in this study. Clinical histories were also surveyed. Result: Responses were obtained from 368 (89.8%) workers. The results showed that 132 (35.9%) individuals have been diagnosed as having allergy. Only two (0.5%) individuals were found to be MCS patients. There was no sick building syndrome patient. Applying the “high” criteria with QEESI to the standard of Miller and Ashford, we determined that only four (1.1%) individuals met all the three criteria, and 17 (4.6%) individuals met two of the three criteria. The QEESI score of allergy persons was higher than that of nonallergy persons. Among nonallergy persons, those who have a high score on accumulation of fatigue in the checklist showed a high score in QESSI. Conclusions: These findings indicated that the QEESI score tended to increase with workload and be high in individuals with allergy. Therefore, careful consideration is required, when QEESI is applied for screening MCS patients in Japan.