著者
萩原 正敏
出版者
公益社団法人 日本化学会・情報化学部会
雑誌
ケモインフォマティクス討論会予稿集 第41回ケモインフォマティクス討論会 熊本
巻号頁・発行日
pp.1S01, 2018 (Released:2018-10-26)
参考文献数
5

我々はスプライシングなどの遺伝子発現過程を、蛍光・発光プローブによって生体内で可視化する独自技術を開発し、創薬スクリーニングに用いることで、RNAスプライシングを操作できる合成化合物を開発してきた。その作用機序の検討やトランスクリプトーム解析などから、スプラシング操作薬の標的となり得る遺伝性疾患の条件が判明しつつある。遺伝病データベース等をもとに標的疾患をリストアップして、独自のスプライシングアッセイと、疾患iPS細胞および疾患モデルマウスによる薬効評価を行っている。このような新しい創薬手法を駆使して、従来は治療出来なかったライソゾーム病などの遺伝病や特殊な癌などに対する治療薬候補物質を見出している。また、脳梗塞や神経変性疾患などに対する再生医療も、小分子で実現できる可能性が見出されている。ケミカルバイオロジーに立脚した新しい創薬手法とその今後の可能性について議論する。
著者
原 正敏
出版者
日本図学会
雑誌
図学研究 (ISSN:03875512)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.45-65, 1969 (Released:2010-08-25)
参考文献数
35
著者
萩原 正敏 武内 章英 大江 賢治 二宮 賢介 飯田 慶 奥野 友紀子
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究の目的は、スプライシング異常に起因するRNA 病を標的とした新規治療方法を創製することであり、関連する論文を2報、報告した。一つ目は、加齢黄斑変性症における病的な脈絡膜血管新生を抑制する化合物SRPIN803を同定した論文である(Molecular Pharmacology May 20, 2015 mol.114.097345)。SRPIN803は、SRPK1(SRSF protein kinase 1)とCK2 (Casein kinase 2)を同時に抑制することにより、リード化合物であるSRPIN340よりも強い病的血管新生作用を示した。加齢黄斑変性症のモデルマウスにおいて点眼による効果であり、臨床応用の可能性が示唆される報告である。二つ目は、メタボリックシンドロームにおける脂肪分化を抑制する化合物BINDYを同定した論文である(Bioorganic & Medicinal Chemistry 23:4434,2015)。BINDYは、リード化合物であるINDYよりも強いDYRK kinase阻害効果を有し、脂肪分化に重要な転写因子であるPPARγとC/EBPαの発現を抑制することにより、3T3-L1細胞の脂肪分化を抑制した。最近、DYRK1Bの機能獲得型の遺伝子変異がメタボリックシンドロームを増悪させる報告からも、BINDYがメタボリックシンドロームに効果を示す可能性が示唆された。
著者
萩原 正敏
出版者
日本毒性学会
雑誌
日本毒性学会学術年会 第42回日本毒性学会学術年会
巻号頁・発行日
pp.S16-3, 2015 (Released:2015-08-03)

患者の染色体や遺伝子の異常に起因する先天性疾患に対して、mRNAレベルで病態に影響を与える化合物を見つけ、症状の発現を抑えることは論理的に可能である。TG003のような特異的な蛋白リン酸化酵素阻害剤は特定のmRNAのスプライシングパターンだけを変化させる。最近我々は、TG003を使ってジストロフィンの変異部位を含むエクソンのスキッピングを促進することで、ジストロフィン蛋白の発現を亢進させ、デュシェンネ型筋ジストロフィーの薬剤治療が可能であることを示した。一連のリン酸化酵素阻害剤の開発途上で、抗ウイルス薬、疼痛抑制薬、加齢横班症治療薬などを見出した。一方で我々は、エクソンの選択的使用に応じてGFP/RFP等異なる蛍光タンパク質が発現するスプライシングレポーター技術を開発し、スプライシング制御因子の同定を進めてきた。その独自技術を発展させて、家族性自律神経失調症(Familial Dysautonomia)の原因遺伝子であるIKBKAPのスプライシング異常を可視化するスプライシングレポーターを作製し、家族性自律神経失調症の病態解明を行うとともに、異常スプライシングを是正できる低分子化合物RECTASを見出した。RECTASを患者細胞に投与すると病態が改善し、この遺伝病も薬物治療が可能であることが判明した。このように染色体や遺伝子に異常があっても、そこから発現するmRNAに影響を与える化合物によって症状の発現を抑え得る。我々は、独自のトランスクリプトーム創薬技術をさらに発展させ、難治のウイルス性疣贅治療薬の臨床試験に向けて準備を進めている。当然ながら標的遺伝子以外のmRNAも創薬候補化合物投与の影響を受ける。トランスクリプトーム創薬における毒性を如何にして評価すれば妥当であるのか、この場を借りて議論したい。
著者
原 正敏
出版者
日本図学会
雑誌
図学研究 (ISSN:03875512)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.47-48, 1992 (Released:2010-08-25)
著者
藤井 義明 萩原 正敏 加藤 茂明 審良 静男 久武 幸司 半田 宏 大熊 芳明 上田 均 箱嶋 敏雄 梅園 和彦
出版者
東北大学
雑誌
特定領域研究(A)
巻号頁・発行日
1997

本計画研究班の研究課題は、転写因子も含めて転写因子間の相互作用が最終的に遺伝子発現としてどのようにアウトプットされるかというメカニズムを分子のレベルで解明することを主な目的としている。Preinitiation complexの構成成分であるTFllHの9つのsubunitsをリコンビナントDNAを用いて発現させ、再構成に成功し、各々のサブユニットの機能を検討する系が確立された。またこの系を用いてERCC3のヘリカーゼ活性が転写活性化のプロモーターエスケープの段階に重要であることを示した。転写伸長反応もDSlFとNELFの抑制とpTEFbとFACTの活性化系によって精密にコントロールされていることが明らかにされた。DSlFの一つサブユニットp160のC末端の変異はゼブラフィッシュでは神経の発達異常を引き起こすことが分かった。広範な転写因子の共役因子として働くcbpについては、さらにgi3,AhR/Arnt,HlF-1α,lRF3などの共役因子として働くことやβ-カテニンが阻害して,P53の転写活性を抑制することを示した。2ハイブリッド法によってMBFl,UTF1,P68/P72が各々転写因子FT2-F1,RAR,ERα,βの転写共役因子として働くことを明らかにし、その構造を決定した。ノックアウトマウスを作製することによってAhR,AhRR,STAT3などの機能解析を行なった。
著者
加藤 勝雄 菅原 正敏 対馬 清造
出版者
日本衛生学会
雑誌
日本衛生学雑誌 (ISSN:00215082)
巻号頁・発行日
vol.16, no.5, pp.398-402, 1961
被引用文献数
1

仙台市北警察署においてとり扱った約1ヵ年間の自殺未,既遂者ならびに岩手県における月別自殺数について,自殺未,既遂・性・年令・企図時刻ならびに気象要素との関係を検討した。<br>1) 自殺未遂・既遂を比較すると,男に比し女に未遂の割合が多い傾向が見られる。<br>2) 自殺企図は20∼24才層に最も多く,続いて25∼29才,15∼19才層に多い。而して性別には一般に男に多いが,15∼19才層では男に比し女が非常に多い。<br>3) 自殺企図の時刻は1昼夜を4時限に分けて見ると,第1・2時限よりも第3・4時限に次第に多く,また午前よりも午後に,昼よりも夜に多い傾向が見られる。<br>4) 自殺企図は気圧の高い時よりも比較的低い時に多く,しかも気圧の上向時や停滞時よりも下向時に多い。<br>5) 岩手県における月別自殺者について見ると,4・5・6月に特に多く,気温・日照時夫々の月平均とは大体平行関係に,気圧とは逆行関係に在り,気湿とは一定の関係が見られない。従って自殺は気温・日照時とは正相関,気圧とは負の相関を示し,気湿とは明らかな相関を見ない。また月較差については気温のみ正相関を示すが,気圧・気湿・日照時では明らかな相関は見られない。
著者
萩原 正敏 野島 孝之
出版者
東京医科歯科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

タンパク質をコードするmRNAは核外に輸送されて翻訳されるため、mRNAの核外輸送は遺伝子発現の重要な制御ステップのひとつである。スプライシングされたmRNA上に形成されるEJC(exon junction complex)と呼ばれる複合体中のREF(RNA export factor)が、mRNAの核外輸送を担っているとのモデルが考えられている。最近我々は、mRNAのキャップ構造にもREFが結合することを見出した。REFのRNA結合部位を調べたところ、キャップ構造よりも100塩基下流の部位に結合することが示された。REFはDExD box型RNAヘリカーゼであるUAP56/BATと強固に2量体を形成していることから、UAP56によるRNPリモデリングが生じ、キャップ構造から下流のmRNA上へ移動する機構があるのかもしれない。REFはCBP20に主として結合していたが、この複合体にはSRPK1もカップリングしており、リン酸化制御を示唆するデータが得られた。このことは、キャップ構造によってRNA上に呼び込まれるREFがイントロンレスmRNAのスプライシングに依存しない核外輸送を担っている可能性を示している。また単純ヘルペスのmRNAはウイルスタンパク質ICP27がREFと相互作用することにより核外へ輸送されているが、我々の解析ではICP27は、PMLをコードするmRNAのスプライシングを制御するスプライシング調節因子としての機能を有することが判明した。ICP27のRNA認識機構は予想外に複雑であることが判明したので、CLIPと呼ばれる新しい研究手法でICP27の標的遺伝子転写産物の解析を進めた。このことは、ウイルス感染のより、感染細胞の特定のmRNAのスプライシングパターンが変化することを意味しており、極めて興味深い。
著者
飯田 幸彦 泉沢 直 石原 正敏
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会関東支部会報 (ISSN:13416359)
巻号頁・発行日
no.2, pp.43-44, 1987-12-01

昭和62年4月1日、14日の寒波の襲来により場内の気温が氷点下に低下したため、麦類の幼穂及び出穂直前の穂が凍死した。そこで、場内の麦類について、早晩性の違いによる品種間差や収量への影響について調査した。