著者
吉岡 一志
出版者
山口県立大学
雑誌
山口県立大学学術情報 (ISSN:21894825)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.103-110, 2018-02-28

By analyzing the different ways in which children encounter "yōkai spirits", the purpose of this study is to clarify the relationship between "yōkai spirits" and children, and also to consider the significance to children of "school ghost stories". Previous research into folklore has explained contemporary "school ghost stories" as residual "folk sensations" handed down from pre-modern times. This study attempts to reveal the contemporary significance of "school ghost stories", and the results of the survey show clearly that modern children categorize "school ghost stories" as an aspect of play.
著者
吉岡一生著
出版者
[吉岡一生]
巻号頁・発行日
2001
著者
吉岡 一志
出版者
山口県立大学
雑誌
山口県立大学学術情報 (ISSN:18826393)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.33-38, 2013-03-31

The purpose of this thesis is to consider why children tell "Gakkou no Kwaidan" through a statistical verification of hypothesis that the cause of "Gakkou no Kwaidan" boom is resistance by children who are oppressed at school and home. In 2007, this survey was carried out at five public elementary schools and two public junior high schools in Tohoku, Kinki and Chugoku regions. For this analysis it was examined what variables determined children's attitude toward ghost story by means of four independent variables: sex, educational phase, student subculture, and parent-child relationship. As a result of analysis, it didn't support the conventional hypothesis that "Gakkou no Kwaidan" boom caused by children resistingpressure. It was proposed a new hypothesis that the source of occurring" Gakkou no Kwaidan" was will of children trying to acquire an identity of its own because there was correlation between attitude toward ghost story and variables associated with recognition and communication.
著者
吉岡 一男 Kazuo Yoshioka
雑誌
放送大学研究年報 = Journal of the University of the Air (ISSN:09114505)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.107-120, 2000-03-31

夜空が何故暗いか? という疑問が17世紀に指摘されて以来,一部の天文学者を悩ましていた.それは,恒星が宇宙空間に無限に広がって輝いているならば夜空が昼間よりもはるかに明るいことになる,という現実とは異なる結論が導かれるからである.これをオルバースのパラドックスという.それを回避するために,宇宙有限説,孤立宇宙説,無限階前説,吸収説など様々な説が唱えられた.しかし,いずれの説も成り立たないことがわかった. 現在,ハッブルの法則に従う宇宙の膨張によりこのパラドックスが回避されると考えられている.すなわち,宇宙の膨張から帰結される宇宙年齢の有限性と宇宙の膨張に伴う膨張効果(ドップラー効果と希釈効果)によりパラドックスは回避される. しかし,通俗書に書かれているパラドックスの記述には,歴史の記述が不正確であったり,パラドックスの回避の説の記述が誤解を招いたり誤っている本が見られる.また,宇宙年齢の有限性の効果の方が膨張効果よりも圧倒的に効くのにその記述も見られない. 一方,宇宙の膨張を持ち出さなくても恒星の寿命が有限で空間密度が低いことでパラドックスを回避できる,と考えることもできるが,その場合も現在恒星が輝いていることの自然な説明を宇宙の膨張が与えることを指摘した.また,パラドックスが認識されるためには,背景となる理論が確立されている必要のあることも指摘した.
著者
長竿 淳 野尻 あゆ美 進藤 順治 吉岡 一機
出版者
日本野生動物医学会
雑誌
日本野生動物医学会誌 (ISSN:13426133)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.79-87, 2017-12-22 (Released:2018-05-04)
参考文献数
20

スローロリス(Nycticebus coucang)の上腕腺における組織学的特徴について検討した。上腕腺は組織学的ならびに超微細構造学的にアポクリン腺に類似し,形態の異なる3つの終末部と毛包に開口する導管から構成されていた。免疫組織化学的性状に関しては,上皮マーカーであるcytokeratin AE1/AE3抗体とエックリン腺マーカーであるS-100 Protein抗体ならびにCD44抗体に対して陰性で,アポクリン腺マーカーであるCD15抗体に対して陽性を示す終末部と,上皮マーカー,エックリン腺マーカー,アポクリン腺マーカーのいずれのマーカーにも陽性を示す終末部が認められた。以上より,スローロリスの上腕腺は形態的にアポクリン腺の特徴を示す3種の異なる終末部から構成され,免疫組織化学的性状に関しては,アポクリン腺と,アポクリン腺およびエックリン腺両者の特徴を有する腺の2種類の終末部から構成されると推察された。
著者
吉岡 一志
出版者
山口県立大学
雑誌
山口県立大学学術情報 (ISSN:18826393)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.31-37, 2016-03-31

The purpose of this paper is to examine the possibility of denying the existence of ghosts through scientific thinking. In the past there has been a tendency to think that immature children mistakenly believe in "paranormal phenomena" and it is not fully understood how rational adults are able to believe in them. This study examines the relationship between belief in "paranormal phenomena" and scientific thinking. The results of this study show that the acquisition of scientific thinking has no effect on the denial of the existence of "paranormal phenomena". It is suggested that the premise of immature children believing in "paranormal phenomena" should be revised.
著者
岡 隆治 印鑰 史衛 森 善樹 伊藤 真也 沖 潤一 長谷川 浩 吉岡 一 平田 哲 片桐 一
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.16, no.6, pp.597-603, 1984-06-25 (Released:2013-05-24)
参考文献数
26

10歳時に心臓カテーテル造影検査にて原発性肺高血圧症と診断した症例が経過中に,血小板減少,血管内溶血などのまれな合併症状を呈し,診断確定後2年8カ月の経過でうっ血性心不全のため死亡した1例を経験した.病理組織学的には,肺小動脈の内膜の肥厚が著明でありPlexiform lesionも認められた.肝臓ではうっ血とグリソン鞘および中心静脈を中心とする線維症を認めた.これまで原発性肺高血圧症に血小板減少症を合併したという報告はあるが,血管内溶血や肝線維症を合併した症例はほとんどなくきわめて貴重な症例と考えられ報告した.
著者
大野 秀樹 大脇 将夫 中島 尚志 吉岡 一機 武藤 顕一郎 小山田 敏文
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.65, no.12, pp.929-932, 2012-12-20 (Released:2017-05-26)
参考文献数
14

猫の膝関節に,大腿骨と膝関節の関節包の間に膝関節筋があることを確認した.膝関節筋は1歳までは発達するが,加齢に従い筋線維は退縮し脂肪組織に置換する傾向がみられた.また筋紡錘の分布密度が高く,退縮した筋を充塡する脂肪組織の間にも筋紡錘が残存していた.この理由から猫においては加齢に従い膝関節筋の肉眼的観察が困難になり,今までその存在が明らかにならなかった.また,膝関節筋が機能的には膝関節筋の動力学的モニターとして機能していることが示唆された.
著者
吉岡 一男
出版者
放送大学
雑誌
放送大学研究年報 = Journal of the University of the Air (ISSN:09114505)
巻号頁・発行日
no.16, pp.211-228, 1999-03-31

おうし座RV型星は,主極小と副極小を交互にくり返す光度変化に特徴がある半規則的な脈動変光星である.この変光星は,光度変化をもとに,RVa型とRVb型に細分類されており,RVb型は脈動周期の光度変化に重なって長周期の光度変化が見られるのに対して,RVa型ではそのような長周期変化は見られない. われわれは,国立天文台堂平観測所の91cm反射望遠鏡の多色偏光測光装置を用いて,この星の多色偏光測光観測を行っている. その結果,現在までに観測された17個のおうし座RV型星の中で,ふたご座SU星,いっかくじゅう座U星,おうし座RV星の3個の星で,偏光が長周期の時間変動をしていることを検出した.これら3個の星はすべてRVb型である.そして,観測された偏光の長周期時間変動は周期的で,その周期は長周期光度変化の周期と大体一致しているようである.この長周期の時間変動はおうし座RV星のほうが,いっかくじゅう座U星よりも顕著である.一方,観測誤差が大きいので,ふたご座SU星に対しては,長周期時間変動の大きさについては,明確な結論は下せない.さらに,偏光の長周期時間変動の特徴から判断すると,RVb現象の説明の1つとして提案されてる星周圏ダスト殻を伴う伴星による単純な掩蔽によっては,この時間変動が引き起こされてはいないようである.
著者
吉岡 一男
出版者
放送大学
雑誌
放送大学研究年報 (ISSN:09114505)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.79-88, 2005

おうし座RV型星は、主極小と副極小を交互にくり返す光度変化が特徴の半規則的な変光星である。この変光星は、光度曲線をもとにRVa型とRVb型に細分類されており、RVb型が脈動周期に重なって長周期の光度変化を示すのに対して、RVa型はそのような長周期変化を示さない。またこの変光星は可視域のスペクトルをもとに、酸素過剰なAグループと炭素過剰なB,Cグループに細分類されている。われわれは、国立天文台の堂平観測観測所と岡山天体物理観測所の91cm反射望遠鏡に偏光分光装置(HBS)を取り付けて、明るい5個のおうし座RV型星の偏光分光観測を行った。そして次の結果を得た。(1)ふたご座SS星といっかくじゅう座U星とおうし座RV星では、偏光度の波長依存性に時間変動が見られる。とくにふたご座SS星の時間変動は、この星には星周圏ダスト層がないとの、われわれのMCP観測から得られた結果を覆す。(2)上記の時間変動の多くには脈動の位相との相関が見られないが、長周期光度変化と相関がありそうな星がある。(3)いっかくじゅう座U星のいくつかの観測では、その偏光度にいくつかの波長でピークが見られ、ピークの波長が放射の吸収帯に一致している。この結果を確認するために、さらなる観測を要する。(4)おうし座RV星以外では、偏光位置角に波長依存性は見られない。おうし座RV星では、長周期光度変化の増光期に5500Å付近よりも短波長域で偏光位置角が波長とともに減少している。この波長依存性は、たて座R星の過去の偏光分光観測で観測されたものと似ている。
著者
吉岡 一男 Kazuo Yoshioka
雑誌
放送大学研究年報 = Journal of the University of the Air (ISSN:09114505)
巻号頁・発行日
no.12, pp.137-150, 1995-03-30

おうし座RV型変光星は,F型からK型にわたるスペクトル型をもつ超巨星の脈動変光星で,その変光はセファイドほど規則的ではなく,しばしば変光周期や変光の振幅が変化している.この変光星の特徴は,深い極小光度と浅い極小光度を交互に示すことで,相次ぐ2つの主極小光度の間の変光周期は,30日から150日の範囲にある. この変光星の可視域のスペクトルに基づいた分類によれば,A,B,Cの3つのグループに分類されている.A,Bグループはそれぞれ酸素過剰と炭素過剰のスペクトルを示し,CグループはCH,CN等の吸収帯が見えない点を除き,Bグループと似たスペクトルを示している.一方,星周圏の放つ赤外放射のエネルギー分布により,この変光星は酸素過剰および炭素過剰な星周圏ダストの放射を示す2種類に大別されている.ところが,Bグループの星の中に,酸素過剰な赤外放射の分布の特徴を示すものが観測されている. そこで,両分類の関係を調べるために,国立天文台堂平観測所の91cm反射望遠鏡の多色偏光測光装置を用いて,13個のおうし座RV型変光星を観測した.ここでは,その内の7個の星の解析結果を報告する.得られた主な結論は,次のとおりである.1)多くのおうし座RV型変光星は,固有の偏光成分を示す.2)観測された偏光度は,極大光度時よりも極小光度時の方が大きい傾向を示す.3)B,Cグループでは、観測された偏光度が,とくに極小光度時近くで0.6μmあたりで極大になる傾向を示す.4)Aグループに属するふたご座SS星では,固有の偏光度や偏光位置角が,極小光度時近くで波長とともに増す傾向がわずかに見られる.
著者
吉岡 一男
出版者
放送大学
雑誌
放送大学研究年報 (ISSN:09114505)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.127-136, 2007

おうし座RV型星は、主極小と副極小を交互にくり返す光度変化に特徴がある半規則的な変光星である。この変光星は、光度曲線をもとにRVa型とRVb型に細分類されており、RVb型が脈動周期に重なって長周期の光度変化を示すのに対して、RVa型はそのような長周期変化を示さない。またこの変光星は可視域のスペクトルをもとに、酸素過剰なAグループと炭素過剰なBグループとCグループに細分類されている。われわれは、国立天文台の堂平観測所と岡山天体物理観測所の91cm反射望遠鏡に偏光分光測光装置(HBS)を取り付けて、明るい5個のおうし座RV型星の偏光分光観測を行った。そして、それぞれの星に対して星間偏光を差し引いて固有偏光を求め、次の結果を得た。ふたご座SS星といっかくじゅう座U星とおうし座RV星では、固有偏光度の波長依存性に時間変動が見られる。上記の時間変動の多くには脈動の位相との相関が見られないが、長周期光度変化と相関がありそうな星がある。いっかくじゅう座U星のいくつかの観測では、その固有偏光度にいくつかの波長でピークが見られ、ピークの波長が放射の吸収帯に一致している。ふたご座SS星とヘルクレス座AC星とおうし座RV星では、固有偏光位置角にも波長依存性が見られる。とくにおうし座RV星では、長周期光度変化の増光期に5500Å付近よりも短波長側で固有偏光位置角が波長とともに減少している。この波長依存性は、たて座R星の過去の偏光分光観測で観測されたものに似ている。
著者
吉岡 一男 Kazuo Yoshioka
雑誌
放送大学研究年報 = Journal of the Open University of Japan (ISSN:09114505)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.117-126, 2010-03-23

おうし座RV型星は、主極小と副極小を交互にくり返す光度変化に特徴がある半規則的な変光星である。この変光星は、光度曲線をもとにRVa型とRVb型に細分類されており、RVb型が脈動周期に重なって長周期の光度変化を示すのに対して、RVa型はそのような長周期変化を示さない。またこの変光星は可視域のスペクトルをもとに、酸素過剰なAグループと炭素過剰なB,Cグループに細分類されている。 われわれは、岡山天体物理観測所の188cm反射望遠鏡に偏光分光測光装置(HBS)を取り付けて、明るい4個のおうし座RV型星の偏光分光観測を行った。そして、それぞれの星に対して星間偏光を差し引いて固有偏光を求め、固有偏光の波長依存性に関して次の結果を得た。(1)HBSで求めたふたご座SS星の固有偏光の波長依存性には3つのタイプがある。それらは脈動変光の位相の違いによると思われる。(2)HBSで求めたいっかくじゅう座U星の固有偏光の波長依存性には4つのタイプがある。それらは長周期光度変化の位相の違いによると思われる。(3)HBSで求めたオリオン座CT星の固有偏光の波長依存性は、多色偏光測光装置(MCP)で求めた結果に等しい。したがって、オリオン座CT星の固有偏光は時間的に一定と思われる。(4)HBSで求めたおうし座座TV星の固有偏光の波長依存性には4つのタイプがある。それらは長周期光度変化の位相の違いによると思われる。ただし、MCPで求めた両者の相関関係とは異なっている。
著者
吉岡 一男 Kazuo Yoshioka
雑誌
放送大学研究年報 = Journal of the University of the Air (ISSN:09114505)
巻号頁・発行日
no.18, pp.133-149, 2001-03-31

おうし座RV型星は,主極小と副極小を交互にくり返す光度変化に特徴がある半規則的な脈動変光星である.この変光星は,光度曲線をもとにRVa型とRVb型に細分類されており,RVb型が脈動周期の光度変化に重なって長周期の光度変化が見られるのに対して,RVa型にはそのような長周期変化は見られない.また,この変光星は可視域のスペクトルをもとに,酸素過剰なAグループと炭素過剰なB,Cグループに細分類されている. われわれは,国立天文台堂平観測所の91cm反射望遠鏡を用いて,おうし座RV型星の多色偏光観測を行った.観測された17個の星の内,4個の星に対して星間偏光成分を取り除いて固有偏光成分を求めた.星間偏光成分は,near-neighbor法で決定された.われわれが得た星間偏光成分の偏光位置角は,他の観測者の得た値に近いが,われわれが得た星間偏光成分の偏光度のいくつかは,他の観測者の値と大きく異なる.われわれの得た値は,星間偏光に対してより根拠のある仮定に基づいているので,より信頼度が高い. われわれの求めた固有偏光成分は,いっかくじゅう座U星を除き,星周圏ダストの幾何的配置が時間変動をしないことを示唆している.さらにわれわれの結果は,Aグループの星で観測された偏光度が中間の波長で極大値をとる傾向がある,というわれわれがすでに得ている結果を支持している.
著者
吉岡 一男 Kazuo Yoshioka
雑誌
放送大学研究年報 = Journal of the University of the Air (ISSN:09114505)
巻号頁・発行日
no.21, pp.237-249, 2004-03-31

おうし座RV型星は、主極小と副極小を交互にくり返す光度変化に特徴がある半規則的な変光星である。この変光星は、可視域のスペクトルをもとに、酸素過剰なAグループと炭素過剰なB,Cグループに細分類されている。 われわれは、国立天文台堂平観測所の91cm反射望遠鏡を用いて、おうし座RV型星の多色偏光観測を行った。観測された17個の星の内、12個に対してはすでに星間偏光成分を取り除いて固有偏光成分を求めている。 本論文では、さらに3個の星に対して固有偏光成分を求めた。星間偏光成分はnearneighbor法を一部変えた方法で求めた。求めた星間偏光成分の内、偏光位置角の決定誤差は小さいが、偏光度の決定誤差は大きいので、決定的なことはいえない。しかし今回は、Aグループの星の固有偏光成分の偏光度が中間の波長域で極大値をとり、Bグループの星では中間の波長域で極小値をとるというこれまで得られてきた傾向とは逆の結果が得られた。このことは、星周圏ダスト殻の数が必ずしもA,Bグループと相関してはいないことを示唆しているのかも知れない。
著者
吉岡 一男 松田 利通 Kazuo Yoshioka Toshimiti Matsuda
出版者
放送大学
雑誌
放送大学研究年報 = Journal of The Open University of Japan (ISSN:09114505)
巻号頁・発行日
no.32, pp.117-125, 2014

われわれは、おうし座RV型変光星の化学組成の異常を説明する3つの説の当否を決めるため、2個のおうし座RV型変光星、AC HerとRV Tauを観測し、これらの星の化学組成を求めた。 観測は、県立ぐんま天文台の150cm反射望遠鏡に取り付けたエッシェル分光器を用いて行い、解析は吉岡が作成したプログラムを用いて、太陽を比較星とする一種の相対成長曲線法で行った。整約はソフトアウェアIRAFを用いて行った。 そして、次の結果が得られた。1) 両星とも太陽に相対的な元素量は、散らばりは大きいが、凝縮温度と相関関係を示し、[M/H]の値は凝縮温度が高いほど少ない。この結果は、両星ともダスト・ガス凝縮が働いていることを示してる。2) 上述の相関は、AグループのRV Tauの方がBグループのAC Herよりも顕著である。これは、Bグループの星にはダスト・ガス凝縮が見られるが、Aグループの星には明確には見られない、というGiridhar et al.( 2000)18)の結果に反する。3) AC HerとRV Tauの[S/H]と[Zn/H]の値によれば、2)の結果は、もともとの[Fe/H]の値が-1よりも小さなpost-AGB星はダスト・ガス凝縮の影響を受けない、というGiridhar et al(. 2000)18)の結果には反しない。4) 両星とも相対的な元素量が各元素の第1電離ポテンシャルと相関関係が見られず、第1電離機構が働いていないことを示している。5) 両星とも相対的な元素量が各元素の第2電離ポテンシャルと相関関係が見られず、第2電離機構が働いていないことを示している。 以上の結果を確認するために、成長曲線法の異なる方式で再解析することが望まれる。
著者
吉岡 一男 Kazuo Yoshioka
雑誌
放送大学研究年報 = Journal of the University of the Air (ISSN:09114505)
巻号頁・発行日
no.15, pp.71-90, 1998-03-31

おうし座RV型星は光度曲線をもとに,RVa型とRVb型に分類されている.また,可視域のスペクトルをもとに,酸素過剰のAグループと炭素過剰のB,Cグループに分類され,さらに,AグループはTio帯の有無をもとに,A1,グループとA2グループに細分されている.さらにまた,赤外放射のエネルギー分布をもとに,この星は酸素過剰グループと炭素過剃グループに分類されている. ところが,可視域での分類と赤外放射での分類が必ずしも対応しておらず,可視域で炭素過剰なスペクトルを示しながら,酸素過剰な赤外放射を示すものがある. そこで,両分類の関係を調べるために,おうし座RV型星の多色偏光観測を行っている.観測は,国立天文台堂平観測所の91cm反射望遠鏡に多色偏光測光装置を取り付けて行っている.現在までに17個のおうし座RV型星が観測され,次の結果が得られている。1)多くの星で偏光の時間変動が観測され,固有の偏光成分をもつことが確認された.2)時間変動の検出率は,RVa型よりもRVb型が高く,また,A2グループよりもA1グループの方が高い.3)Aグループでは,偏光度pが中聞の波長域で極大値をもつ傾向があるのに対して,B,Cグループでは,pが中間の波長域で極小値をもつ傾向がある.4)U MonやRV Tauでは,長期的な時間変動が見られる.この変動は周期的で,周期がそれぞれの星の光度変化の振幅の長期的変化の周期に近いようである. 以上の結果の解釈も述べられている.