著者
安井 正佐也 木山 博資 水村 和枝 時實 恭平 校條 由紀 吉村 崇志
出版者
名古屋大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究は,異なるストレスを負荷した二つのモデル動物(慢性疲労症候群CFSモデル,線維筋痛症FMモデル)の病的疼痛について研究を行った.その結果,いずれのモデルにおいても機械的アロディニアや筋性痛覚過敏が誘発することを実証した.さらに末梢組織に炎症等は認めないが,いずれのモデルにも,腰髄後角でミクログリアの活性化を認めた.このミクログリア活性化を薬剤(ミノサイクリン)で抑制すると,有意に機械的アロディニアおよび筋性痛覚過敏を抑制した.この事から,ストレス負荷によって生じる異常な疼痛の発症に,ミクログリアが大きく関与していることが示唆された.
著者
箕輪 はるか 北 和之 篠原 厚 河津 賢澄 二宮 和彦 稲井 優希 大槻 勤 木野 康志 小荒井 一真 齊藤 敬 佐藤 志彦 末木 啓介 高宮 幸一 竹内 幸生 土井 妙子 上杉 正樹 遠藤 暁 奥村 真吾 小野 貴大 小野崎 晴佳 勝見 尚也 神田 晃充 グエン タットタン 久保 謙哉 金野 俊太郎 鈴木 杏菜 鈴木 正敏 鈴木 健嗣 髙橋 賢臣 竹中 聡汰 張 子見 中井 泉 中村 駿介 南部 明弘 西山 雄大 西山 純平 福田 大輔 藤井 健悟 藤田 将史 宮澤 直希 村野井 友 森口 祐一 谷田貝 亜紀代 山守 航平 横山 明彦 吉田 剛 吉村 崇
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
JpGU-AGU Joint Meeting 2017
巻号頁・発行日
2017-03-10

【はじめに】日本地球惑星科学連合および日本放射化学会を中心とした研究グループにより、福島第一原子力発電所事故により放出された放射性物質の陸域での大規模な調査が2011年6月に実施された。事故より5年が経過した2016年、その調査結果をふまえ放射性物質の移行過程の解明および現在の汚染状況の把握を目的として本研究プロジェクトを実施した。2016年6月から9月にかけて、のべ9日間176名により、帰還困難区域を中心とする福島第一原子力発電所近傍105箇所において、空間線量率の測定および土壌の採取を行った。プロジェクトの概要については別の講演にて報告するが、本講演では福島県双葉郡大熊町・双葉町の土壌中の放射性セシウム134Csおよび137Csのインベントリ、土壌深部への移行、134Cs/137Cs濃度比、また空間線量率との相関についての評価を報告する。【試料と測定】2016年6・7月に福島県双葉郡大熊町・双葉町の帰還困難区域内で未除染の公共施設36地点から深さ5 cm表層土壌を各地点5試料ずつ採取した。試料は深さ0-2.5 cmと2.5-5 cmの二つに分割し、乾燥処理後U8容器に充填し、Ge半導体検出器を用いてγ線スペクトルを測定し、放射性物質を定量した。【結果と考察】137Csのインベントリを航空機による空間線量率の地図に重ねたプロットを図1に示す。最大濃度はインベントリで137Csが68400kBq/m2、比放射能で1180kBq/kg・dryであった。インベントリは空間線量率との明確な相関がみられた。深部土壌(深さ2.5-5.0 cm)放射能/浅部土壌(深さ0-2.5 cm)放射能の比はおおむね1以下で表層の値の高い試料が多かったが、試料ごとの差が大きかった。また原子力発電所より北北西方向に134Cs/137Cs濃度比が0.87-0.93と明確に低い値を持つ地点が存在した。
著者
二宮 和彦 北 和之 篠原 厚 河津 賢澄 箕輪 はるか 藤田 将史 大槻 勤 高宮 幸一 木野 康志 小荒井 一真 齊藤 敬 佐藤 志彦 末木 啓介 竹内 幸生 土井 妙子 千村 和彦 阿部 善也 稲井 優希 岩本 康弘 上杉 正樹 遠藤 暁 大河内 博 勝見 尚也 久保 謙哉 小池 裕也 末岡 晃紀 鈴木 正敏 鈴木 健嗣 高瀬 つぎ子 高橋 賢臣 張 子見 中井 泉 長尾 誠也 森口 祐一 谷田貝 亜紀代 横山 明彦 吉田 剛 吉村 崇 渡邊 明
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2018年大会
巻号頁・発行日
2018-03-14

日本地球惑星科学連合および日本放射化学会を中心とした研究グループにより、福島第一原子力発電所事故により放出された放射性物質の陸域での大規模な調査が2011年6月に実施された。事故より5年が経過した2016年、その調査結果をふまえ放射性物質の移行過程の解明および現在の汚染状況の把握を目的として、福島県の帰還困難区域を中心として、100箇所で空間線量の測定と土壌の採取のフィールド実験を行い[1]、同時に計27箇所で土壌コア試料を採取した。本発表では、このコア土壌試料について分析を行ったので、その結果を報告する。土壌採取は円筒状の専用の採土器を用いて行い、ヘラを用いて採取地点で2.5 cmごとに土壌を切り取って個別にチャック付き袋に保管した。採取地点により、土壌は深さ20-30 cmのものが得られた。土壌を自然乾燥してからよく撹拌し、石や植物片を取り除いたのちにU8容器へ高さ3 cmに充填した。ゲルマニウム半導体検出器を用いてガンマ線測定し、土壌中の放射性セシウム濃度を定量した。なお、各場所で採取した試料のうち最低でも1試料は、採取地点ごとに放射性セシウム比(134Cs/137Cs)を決定するために、高統計の測定を行った。深度ごとの測定から、放射性セシウムは土壌深部への以降が見られているものの、その濃度は深度と共に指数関数的に減少していることが分かった。一方で土壌深部への以降の様子は土壌採取地点により大きく異なることが分かった。また、本研究の結果は同一地点で表層5 cmまでの土壌を採取して得た結果ともよく整合した[1]。[1] K. Ninomiya et. al., Proceedings of the 13th Workshop on Environmental Radioactivity 2017-6 (2017) 31-34.
著者
北 和之 篠原 厚 河津 賢澄 二宮 和彦 稲井 優希 箕輪 はるか 大槻 勤 木野 康志 小荒井 一真 斎藤 敬 佐藤 志彦 末木 啓介 高宮 幸一 竹内 幸生 土井 妙子 阿部 善也 岩本 康弘 上杉 正樹 遠藤 暁 大河内 博 勝見 尚也 神田 晃充 久保 謙哉 小池 裕也 末岡 晃紀 鈴木 杏菜 鈴木 正敏 鈴木 健嗣 高瀬 つぎ子 高橋 賢臣 張 子見 中井 泉 長尾 誠也 南部 明弘 藤田 将史 森口 祐一 谷田貝 亜紀代 横山 明彦 吉田 剛 吉村 崇 渡邊 明
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
JpGU-AGU Joint Meeting 2017
巻号頁・発行日
2017-03-10

【研究背景】 2011年3月に起こった、東京電力福島第一原子力発電所の事故により、福島県を中心とする陸域に大規模な放射能汚染が起こった。事故後の2011年6月には、日本地球惑星科学連合および日本放射化学会を中心とした有志の研究グループが、汚染状況の把握のための土壌採取のフィールド実験を実施した。これにより初期の汚染状況が明らかとなったが、航空機サーベイ等による汚染状況の把握は継続して行われているものの、実際に土壌を採取して汚染状況の詳細を把握する大規模な調査はそれ以降行われていない。事故から5年以上が経過し、土壌に沈着した放射性核種(主に放射性セシウム:134Csおよび137Cs)は環境中でその化学形態等を変化させ、土壌の深部への浸透や流出により、初期とは異なる分布状況に変化していることが予想される。帰還困難区域の除染作業が開始されようという状況で、土壌の放射性核種の汚染状況を把握するのはきわめて重要である。そこで本研究では、福島県内の帰還困難区域を中心として土壌採取のフィールド実験を行い、その分析により現在の汚染状況の把握することを目的に実施した。【調査概要】 本研究プロジェクトは、2016年6月から9月にかけての9日間、のべ176名で実施した。福島県内の帰還困難区域を中心として、公共施設等を選定したうえで、各自治体との情報交換を行い、除染が行われていない地点全105か所を土壌採取場所として選択した。まずはNaIシンチレーターもしくは電離箱を用いて地面から1 mおよび5 cmの空間線量の測定を行い、専用の採土器を用いて表層より5 cmの土壌を採取した。試料採取場所におけるばらつきを評価するために、1地点ごとに5試料の採取を実施し、5年間の環境中での放射性核種の移動状況を評価するために、土壌は表層部の0.0-2.5 cmと、深部の2.5-5.0 cmに分けて採取した。また放射性核種の移行過程をより詳しく調べるために、4地点につき1地点程度、深さ30 cmのコア試料の採取も行った。本講演では、この調査について概要を説明し、事故直後と5年後の比較などいくつかの初期結果について簡単に紹介する。より詳細な結果については、別の講演にて報告が行われる。
著者
沖村 光祐 中山 友哉 吉村 崇
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.59, no.8, pp.369-376, 2021-08-01 (Released:2022-08-01)
参考文献数
29

冬季うつ病は日照時間の短い冬に,気分の落ち込みや社会性の低下などの抑うつ症状が現れる季節性の精神疾患である.欧米の高緯度地域では罹患率が人口の約10%とされ,社会問題になっているが,発症機序は不明である.うつ病は統合失調症や双極性障害に比べて遺伝率が低く,環境因子とともに多数の遺伝子が関与しているため,従来の順遺伝学や逆遺伝学を用いたアプローチには限界があった.近年,精神疾患のモデル動物としてゼブラフィッシュやメダカなどの小型魚類が注目を集めているが,メダカにケミカルゲノミクスのアプローチを適用することで,冬季のうつ様行動を制御する分子機構が明らかになってきたので紹介する.
著者
太田 航 吉村 崇
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.251-257, 2011 (Released:2016-04-15)
参考文献数
21

四季の存在する地域に棲む動物は,季節の変化に応じて行動や生理機能を変えることで環境の変化に適応している.このとき動物たちは日照時間(光周期)を季節の指標としているため,このような性質は光周性と呼ばれる.ウズラやマウスを用いた最近の研究により,脊椎動物における光周性の制御機構が徐々に明らかとなりつつある.本稿では光周性研究の歴史から,我々の研究によって明らかとなった動物が「春」を感じるしくみ,及び光周性制御に重要な光情報を感知している「脳深部光受容器」の発見までを概説し,光情報をもとに引き起こされる動物の巧みな生存戦略を紹介する.
著者
合田 直樹 宇野 雄博 赤木 洋祐 宇野 理恵 小野 聡弓 志摩 智之 田邊 貴史 多保 智史 樋笠 正晃 吉村 崇光
出版者
動物臨床医学会
雑誌
動物臨床医学 (ISSN:13446991)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.175-179, 2014

12歳の猫の血清蛋白分画においてγグロブリン分画のモノクローナルガモパシーが認められ,尿蛋白分画においてベンスジョーンズ蛋白が疑われた。X線検査にて複数の長骨にパンチアウト像が認められ,骨髄生検にて形質細胞の腫瘍性増殖が確認されたことから,多発性骨髄腫と確定診断した。プレドニゾロン,メルファランにて治療を開始した。タンパク尿,低アルブミン血症,高コレステロール血症,および浮腫を呈し,ネフローゼ症候群を合併し,治療開始から20日目に死亡した。
著者
丸山 迪代 吉村 崇
出版者
日本電気泳動学会
雑誌
電気泳動 (ISSN:21892628)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.25-29, 2019

<p>熱帯以外の地域に生息する動物の生理機能や行動は季節によってダイナミックに変化する.我々の研究グループは,洗練された季節応答を示すウズラを用いて季節繁殖の分子機構の解明に取り組んできた.まず季節繁殖の中枢が存在する視床下部内側基底部に着目して解析を行うことで,季節繁殖の制御に重要な一連の遺伝子群を明らかにした.さらに比較生物学アプローチにより,鳥類,哺乳類,魚類の季節繁殖の制御機構の共通点,多様性を示した.現在,我々は動物の行動に季節変化がもたらされる仕組みにも興味を持っており,明瞭な季節性を持つメダカに着目して研究を行なっている.最近の研究から,メダカが季節に応じて目の色覚をダイナミックに変化させることで環境の季節変動に巧みに適応していることが明らかとなった.本稿では,我々のグループの研究から明らかになった動物の季節適応のしくみについて紹介する.</p>
著者
篠原 厚 高橋 成人 笠松 良崇 吉村 崇 二宮 和彦 畑中 吉治 畑澤 順 金井 泰和
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2012-04-01

医薬用放射性試薬や有用放射性同位体の供給の確保は、我が国の医療や基礎-応用にわたる研究レベルの維持には必須である。本研究では、サイクロトロンにより大強度照射・RI製造法を開発し、PETイメージング核種として124-Iと62-Zn、白金系抗がん剤の機序解明のために191-Ptの製造、分離、精製法を開発し、それぞれ核医学・薬学分野に貢献した。さらに、イメージング技術に基づくがん治療への展開として、新たに211-Atによるアルファ線内用療法の開発プロジェクト(概算要求事項)をスタートさせるに至った。一方で、国内生産の要請のある99m-Tcの加速器による製造・精製法の確立へも貢献した。