著者
小山 耕平 浅谷 公威 榊 剛史 坂田 一郎
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回 (2019)
巻号頁・発行日
pp.2E5J602, 2019 (Released:2019-06-01)

ソーシャルメディアは世論形成に影響を与えている。特に、特定の情報がソーシャルメディア上にて急速かつ広範に拡散する減少はネット炎上と呼ばれ、政府の政策や企業の株価などに大きな影響を与えている。さらに、新聞やテレビいった従来のメディアがネット炎上を後追いで報道する事例も増加し、ネット炎上の社会的影響力は強くなりつつある。ネット炎上は企業の不祥事などに対して、改善を促す効果がある一方、ネット炎上の対象となることを恐れ、情報発信の萎縮を引き起こしているとの指摘もある。本研究は、「ネット炎上」発生メカニズムの一端を解明することを目的に、Twitter上で高頻度にネット炎上に参加するユーザー群を想定して分析を行った。分析の結果、高頻度でネット炎上に関与する「高頻度炎上関与ユーザー群」の存在が確認され、かつ、高頻度炎上関与ユーザー群は密な情報ネットワークを形成しており、フォロワー数が多いことが確認された。以上の分析より、高頻度参加ユーザーは共振構造を持ち、ネット炎上の拡散に影響を与えていることが推測される。
著者
瀬川 友香 浅谷 公威 坂田 一郎
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第35回 (2021) (ISSN:27587347)
巻号頁・発行日
pp.1I4GS4c04, 2021 (Released:2021-06-14)

ソーシャルメディアの急速な普及により,社会的相互作用が大きく進歩した一方で,誹謗中傷などの攻撃的な言動が問題視されている.誹謗中傷によって精神的な病気や自殺に追い込む事例もあり,社会において攻撃的な言動のメカニズムの解明や検出は重要である. ソーシャルメディア上の攻撃のテキストベースの分析は,文章の短さや曖昧さから攻撃を特徴付けることは困難となっている.この問題を解消するために攻撃に関わるユーザーベースの分析も行われているが,その結果は多種多様であり一定の知見は得られていない. そこで本研究では,ユーザーの性質とネットワーク上の関係から攻撃をいくつかに類型化し,その特徴を明らかにすることを目的とし,日本語Twitterのサンプリングデータから,sentence-BERTを用いて抽出した攻撃ツイートを分析した. 攻撃はユーザー同士のネットワークが近いところで起こるパターンが多いことや,ネットワーク上の遠いユーザーに攻撃を行なっているユーザーは普段からネガティブな投稿を多く行なっている傾向があることを明らかにした.また,集団攻撃を行うユーザーは普段から繋がっている傾向が高いことが示唆された.
著者
三浦 大樹 浅谷 公威 坂田 一郎
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第36回 (2022) (ISSN:27587347)
巻号頁・発行日
pp.3M4GS402, 2022 (Released:2022-07-11)

今日の社会において,ソーシャルメディアは情報拡散に重要な役割を果たしている.しかし拡散されていく情報には誤っているものも多くあり,社会的な問題となっている.SNS上における誤った情報の拡散に関しての研究は多くなされており,その拡散力の強さなどが知られている.しかし既存の研究は情報拡散時点のユーザーの行動に焦点を当てており,情報拡散を引き起こすユーザーの内在的な特性については幅広く分析されていない.本研究ではユーザの過去にも焦点を当てることで陰謀論に取り込まれるユーザの本来の特性と彼らに生じる変化について新たな知見を得ることを目指す. そこで本研究ではコロナ禍だけでなく過去のユーザ間のリプライ・リツイートネットワークにもクラスタリングを施し,コロナ禍においてTwitterで多く使われたハッシュタグについて網羅的に分析を行った.その結果,コロナは実は存在しないと考えるようになった人々がコロナ禍に入ってから急速に集まり独自のコミュニティを作って孤立化したことが明らかになった.
著者
浅谷 公威 川畑 泰子 鳥海 不二夫 坂田 一郎
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

オンラインソーシャルネットワーク(OSN)上の友人関係やその中での会話のネットワーク構造は,同類選好と優先的選択によりその多くの部分が説明される.しかし,これらのメカニズムには特定の属性を持つ人間への別の属性を持つ人間からの一方的な選好は想定されていない.OSNには地理的制約がなく検索性も高いため,一方的な選好によるコミュニケーションが起こりやすいと考えられる.我々はTwitterにおける家出に関するツィートとそれに対するリアクションを抽出し,ユーザー間のネットワークを分析することで,OSN上に数千人単位の一方的な選好によるコミュニケーションが存在すること確認した。そこでは,お互いに関係が疎な2つのグループ間(誘い出す側と,家出を表明する側)で一方向のコミュニケーションが存在する.さらに、前者のグループのユーザーの2割程が後者への一対多のコミュニケーションをとっており,明確な一方的な選好が存在することが想定される.また,そのような一対多のコミュニケーションをとるユーザーからのツィートは誘い出しの意図が想定される割合が非常に高いことが分かった.
著者
鈴木 凱亜 大知 正直 榊 剛史 坂田 一郎
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第32回 (2018) (ISSN:27587347)
巻号頁・発行日
pp.1B302, 2018 (Released:2018-07-30)

ソーシャルメディア上でユーザのコミュニティが形成・発展する背景には,ユーザ同士の性格的な相性が関わっていると思われるが,その影響を定量的に捉えた研究は少ない.本研究では,Twitterユーザの投稿テキストから推定された性格スコアと,会話ネットワーク上のコミュニティの分析指標との相関を分析することで,性格とコミュニティ形成の関係を考察した.また,Homophilyと呼ばれる「類は友を呼ぶ」現象が見られるような性格はないか,確認した.本研究により得られる知見は,よりユーザの効用やチームパフォーマンスを向上させるようなSNSプラットフォームの設計などへの応用が期待される.
著者
藤田 桂英 梶川 裕矢 森 純一郎 坂田 一郎
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.144-149, 2012-05-20 (Released:2012-07-31)
参考文献数
8

本論文では,重み付き引用ネットワーク解析における新興論文群の発見に対し,どの属性を考慮した重みが有効かを調査した.重み付き引用ネットワークでは出版年など論文の属性情報を解析に用いることが可能である.また,複数の学術領域ごとに重みを考慮した重み付き引用ネットワークを作成し,トポロジカルなクラスタリング手法によりクラスタに分割後,各種類のパフォーマンスをvisibility, speed, topological relevance から評価した.
著者
磯沼 大 藤野 暢 浮田 純平 村上 遥 浅谷 公威 森 純一郎 坂田 一郎
雑誌
研究報告自然言語処理(NL) (ISSN:21888779)
巻号頁・発行日
vol.2016-NL-227, no.6, pp.1-6, 2016-07-22

近年,記事生成などへの自動要約技術の適用が注目されている.本研究で対象とする決算記事は,どの事業や事象が企業全体の業績変動に大きな影響を及ぼすかといった記者の知見をもとに作成される.したがって自動要約においてはこうした記者の知見を抽出し,情報抽出・要約に適用する技術が必要である.本研究では過去の決算短信と決算記事から業績変動と短信文の掲載パターンを学習し,記事に掲載されるべき文を決算短信から抽出する手法を提案する.提案手法は 2 パートに分かれ,第 1 パートでは各事業セグメントの業績変動と,記事掲載パターンを学習することにより,各事業セグメントの重要度を判定する.第 2 パートでは,判定した各事業セグメントの重要度と極性判定を用いることで各文の重要度を評価し,抽出を行う.極性判定では,決算記事中の各表現に関する極性を自動で獲得し,非負値行列因子分解 (NMF) による極性値推定を行うことで,決算記事に未出現の表現も含めた多様な表現に関する極性の獲得を可能にした.提案手法を適用して決算短信から抽出された文と実際の決算記事を比較した実験において,重要文抽出精度の評価を行い,事業セグメントの重要度判定と NMF による極性推定の有用性を確認した.
著者
松本 洋一郎 德永 保 吉川 潔 辰巳 敬 真壁 利明 橋本 周司 松尾 豊 坂田 一郎 上山 隆大 浦島 邦子
出版者
東京大学
雑誌
特別研究促進費
巻号頁・発行日
2014-04-01

シンガポールは一人当たりGDPではわが国を超え、大学ランキングでも台頭しているが、わが国における政策研究は限られていた。本研究では、シンガポールの科学技術政策(特にバイオメディカル推進策)について、文献調査や現地での専門家への聞き取り等によって明らかにした。シンガポールでは産業政策のために科学技術政策が実施されているといっても過言ではない。著名研究者を大量に誘致するなどし、旧来から行われてきた多国籍企業誘致を先端科学分野の研究開発へ拡充する形で、成功を収めてきている。大学政策においては、テニュア制度や会計、財務など、モデルとする米国の事例から徹底的に学ぶ姿勢が見られた。
著者
森 純一郎 榊 剛史 梶川 裕矢 坂田 一郎
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.28, 2014

本論文では、萌芽研究領域特定のための大規模論文情報を用いた引用予測に関する研究を行う。
著者
植村 宗則 坂田 一仁 富川 盛雅 Nagao Yoshihiro Ohuchida Kenoki Ieiri Satoshi Akahoshi Tomohiko Hashizume Makoto
出版者
福岡医学会
雑誌
福岡医学雑誌 = Fukuoka acta medica (ISSN:0016254X)
巻号頁・発行日
vol.106, no.7, pp.213-222, 2015-07-25

Introduction: We evaluated the differences in instrument manipulation skills between expert laparoscopic surgeons and novices. Methods : Six expert surgeons who had performed more than 500 laparoscopic surgeries and one skilled instructor at Kyushu University Training Center for Minimally Invasive Surgery, and 20 medical students who had experienced no laparoscopic surgery were enrolled. A new skill assessment task was designed using zippers on an unstable, mobile platform in a box trainer. The examinees were asked to close the zippers, while trying to avoid moving the platform. The path lengths of the tips of the instruments and of the platform were measured, and the performance time was also recorded. Surgical skill score was calculated from the correlation between the path lengths of the instruments and that of the platform, in addition to the performance time. Results : The path lengths of the tips of both instruments and of the platform were significantly shorter in the experts than in the novices (all p < 0.05). The performance time was also significantly shorter for experts than novices (p < 0.05). The surgical skill score was significantly higher for experts than novices (p <0.01). Conclusion : The differences in the instrument manipulation skills between expert laparoscopic surgeons and novices could therefore be evaluated using our surgical skill scoring system.1.はじめに・内視鏡外科手術は従来の開腹手術に比べ切開創が小さく術後回復が早いため,患者に対して利点が多い.他方,術具の操作性が低く,術者にとって負担が大きい上に,高度な技術が要求される.このことから,内視鏡外科手術における手術トレーニングの必要性が認識されつつある.最も一般的なトレーニング方法としてボックストレーナーを用いたトレーニングが挙げられるが,手術手技の客観的な評価系が確立されていないため,指導者が付き添っていない場合,独善的なトレーニングになってしまうことが懸念される.今回我々はBi-Hand Coordination 技術(BHC 技術)が内視鏡外科手術を安全かつ効率的に行う上で重要であることに注目し,それ客観的評価システムを考案したので報告する.2.手法・2.1 対象・コントロール群として内視鏡外科手術経験数500 例以上の医師7 名(Expert 群)と対照群の内視鏡外科手術未経験の医学部生20 名(Novice 群)を被験者とした. 2.2 技術評価モデル・BHC 技術を評価するために,滑りやすい台座上にそれぞれ異なる方向に開閉するジッパーを設置したトレーニングモデルを用いた評価タスクを考案した.モデルと鉗子先端は磁気センサを備え,タスク中のそれぞれの軌跡を計測することが出来る. 2.3 実験方法・初めに,被験者はジッパーの操作を行わずジッパーの上を決められた順番通りになぞる(task1).次に,開いているジッパーを順次閉じていく(task2).task1,task2 とも開始から完遂までの時間および台座と鉗子の軌跡をそれぞれ計測した. 2.4 評価方法および評価関数・第1 の評価として両群間におけるtask2の鉗子先端および台座の移動距離,タスクを完遂するまでの時間を比較した.第2の評価として,task1 における鉗子先端の軌跡とtask2 における鉗子先端の軌跡の差分dI とtask2 における台座の軌跡DS の相関関係から回帰直線を算出し,Expert 群における回帰直線を基準に評価タスク結果を点数化した.評価スコアSは技術点S_I≦50,時間点としてS_T≦50合計100点満点とした.技術点S_FはExpert 群における最小dI をとる相関関数上の点R から切片までの距離l_Rと任付スコア対象の点P から相関関数と垂直に交わる点から切片までの距l_Pを用い,S_I=50l_R/l_Pと定義した.また時間点S_TはExpert 群における最速タイムT_Eと任意の完遂時間T_AよりS_T=50T_E/T_Aとした.統計解析にはt検定をそれぞれ用いた. 3.結果・Expert 群はNovice 群に比べ,鉗子先端の移動距離,台座の移動距離が有意に小さく,タスクを有意に早く完遂することができた.task1 における鉗子先端の軌跡とtask2 における鉗子先端の軌跡の差分とtask2 における台座の軌跡の相関関係を比較したところ両群間に相関が認めたが,Expert 群はより強い関係を示した評価タスク結果を点数化するためのExpert群における回帰直線は,相関係数0.40(p <0.01),切片-0.60,決定係数0.92(p < 0.01)であった.評価スコアは,Expert 群61.1 ±21.9,Novice 群40.3 ± 15.7 でありExpert 群は有意にNovice 群より高得点であった.4.むすび・評価システムは内視鏡外科手術におけるBHC 技術の客観的評価系になりうると考えられた.
著者
石塚 光洋 塩崎 裕也 折口 貴彦 坂田 一朗
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.34, no.30, pp.13-16, 2010-07-23

3DフルHDプラズマディスプレイを実現するため、3D化に必要な技術として、パネル性能向上を目的としたセルデザインと材料を新規開発した。また併せて3D表示時のクロストークを低減する新たな駆動方法を開発した。これらの技術内容を紹介する。
著者
坂田 一拓 市村 重博 倉島 顕尚
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告グループウェアとネットワークサービス(GN) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2000, no.6, pp.37-42, 2000-01-20

携帯電話を用いたメールサービスは、単独の受信者にメールを送信する機能しか持たないため、利用者がグループコミュニケーションを行う際にはメーリングリストを用いる。コミュニケーションには、そこで交換される情報を目的とするものと、雑談のように情報交換の行為を目的とするものがある。メーリングリストには、後者のコミュニケーションを行う場合、そこに参加する意思のない者にまで不要なメールを配信してしまう、という問題があった。本論文で提案するメーリングリストサーバは、グループの各メンバの意思に応じてメールの配送先を動的に変更するセッション召集方式により、この問題を解決する。A mailing-list system is used for group communication over mobile-phone e-mail services, since the services allow their users to specify only one recipient for each e-mail. Two types of group communication can be considered, i.e., the exchanging of concrete information and mere casual conversation. Traditional mailing list servers are not well suited for the latter, since they deliver e-mails even to members who are not interested in the content of the e-mails. As a means of solving this problem, we propose a mail-delivery method called "session-call method" which dynamically changes the members of the delivery group in accordance with recipients' requests.
著者
磯沼 大 森 純一郎 坂田 一郎
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第37回 (2023) (ISSN:27587347)
巻号頁・発行日
pp.1T3GS605, 2023 (Released:2023-07-10)

近年、ChatGPTをはじめとした幅広いタスクに汎化できる汎用言語モデルを学習する方法として、タスクごとにプロンプトを付与しマルチタスク学習を行うinstruction tuningが注目されている。 これまで様々なプロンプトがinstruction tuningのために作成されているが、どのようなプロンプトがモデルの汎化性能向上に最適なのか明らかになっていない。 本研究では学習用プロンプトを二段階最適化により最適化するinstruction optimizationを提案し、instruction tuningに最適なプロンプトを明らかにする。 評価実験において、タスクの指示をプロンプトに用いる実験設定(zero-shot)では、二段階最適化によりプロンプトを多様化することが汎化性能向上に有効である一方、タスクの例示をプロンプトに用いる実験設定(few-shot)では、多様な種類の例示ではなく同一の例示を用いる方が有効であることが明らかになった。
著者
三浦 崇寛 浅谷 公威 宮本 由美 清水 愛織 坂田 一郎
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第36回 (2022)
巻号頁・発行日
pp.3K4GS1002, 2022 (Released:2022-07-11)

持続可能な開発目標(SDGs)達成に向けて、環境や人体に危険性のある物質をいち早く検知し対応への取り組みに繋げることは、規制の整備を行う国だけでなく化学物質を利用する企業や研究者にとっても求められている。これまで化学物質のリスクはQSARなどを用いた物性が着目されていたが、環境問題に繋がる環境蓄積性などはマイクロプラスチックを筆頭として物性から推定することが難しい。そこで本研究では、規制内容が近い物質は学術コミュニティにおいて類似の文脈で議論されているという仮定に基づき、有害性のある化学物質に関する論文の引用情報と文書情報を機械学習により分類することで危険度の高い物質について議論している論文とその物質名を抽出する手法を提案する。4つの有害性/環境対応に関するカテゴリに対して実験を行った結果、書誌情報を用いることで有害性に関する論文を網羅的に取得することが可能であり、特に引用表現が物質の危険性予測に有効であることを示した。評価実験では抽出された論文を目視により評価を分類精度の検証を行なった上で、有害性関連論文の数から有害性のある物質推定を行い提案手法が有効であることを示した。