著者
石塚 丈晴 堀田 龍也
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:21888930)
巻号頁・発行日
vol.2015-CE-131, no.12, pp.1-4, 2015-10-03

2014 年 9 月より英国 (イングランド) の公立小学校の全学年にこれまでの教科 「ICT」 に代わり,新教科 「Computing」 が導入された.この 「Computing」 に関しては,national curriculum では児童が教わるべき内容は,非常に簡潔に記載にとどまり,具体的なカリキュラムについては小学校に任された.本報告書では,現在最も多くの小学校で採用されている教材集である 「SWITCHED ON Computing」 から,プログラミング教育に関する内容を抽出して,その内容の概略を紹介し,3 回に渡って継続的に調査したロンドン市内の小学校での実施状況も含めて報告する.
著者
塩谷 京子 堀田 龍也
出版者
日本教育情報学会
雑誌
教育情報研究 : 日本教育情報学会学会誌 (ISSN:09126732)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.27-38, 2008-01-21
被引用文献数
2

小学生に情報活用能力を育成するための指導は,各教科と領域で行われている.しかしながらこの指導を,学級担任・司書教諭・情報主任(以下,三者という)が別々に行っているため,指導内容の重複があり非効率な状態にある.そこで,三者の役割や指導内容を明確にしたカリキュラムを開発することが,指導状況の改善につながるのではないかと考えた.開発したカリキュラムは,三層構造とし,各層が互いにリンクできるように作成した.開発したカリキュラムの運用を2006年5月〜7月までの3ヶ月間11校に依頼し,指導に携わる三者にアンケートを実施した.その結果,カリキュラムを階層化したことにより,コミュニケーションをとるときに役立つこと,目的に応じた使い方ができることが確認された.さらに,子どもの指導内容の習得度は,三者の連携が進んでいる学校ほど高いことが確かめられた.以上より,開発したカリキュラムは,指導状況の改善に有効に働くことが示された.
著者
中原 淳 西森 年寿 杉本 圭優 堀田 龍也 永岡 慶三
出版者
放送大学
雑誌
メディア教育研究 (ISSN:13441264)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.61-74, 2000

近年、教師教育において情報技術を用いた学習環境が注目されており、その中のひとつの可能性としてCSCL(コンピュータを用いた協調学習支援)がある。本論文では、教師を対象としたCSCL環境を具体的にどのようにデザインすればよいのか、という問いに対して、状況的学習論とCSCLの先行実践、教師教育の知見を理論的に考察することを目的とする。より具体的には、CSCL上で展開されるべき教師同士の相互作用の室と、そうした相互作用を支援するインタフェースの2点に言及する。教師教育を目的としたCSCLは、学習者としての教師が自らの教育実践を他の教師と語り、批評しあい、それをもとに教育実践に対して内省を深めることができる環境としてデザインされるべきである。
著者
堀田 龍也 清水 康敬 中山 実
出版者
独立行政法人メディア教育開発センター
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本研究は,教員それぞれのICT活用指導力に応じた研修を実現するために,学校現場の教員のICT活用指導力の現実性に着目し,特にICT活用初心者に対するコンサルテーションを開発し検証することを目的とした.いくつかの調査結果をもとに,ICT活用実践に対するコンサルテーションシステムを検討した.学校現場へのICT活用の普及の現状から考え,Web上のシステムとして公開することよりも,出版物として世にアピールする方が所与の目的に寄与すると判断し,研究成果を出版物にまとめた.また,研究の経緯や成果については,国内外の学会で積極的に報告した.
著者
堀田 龍也
出版者
玉川大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2008

本研究では,初等中等教育の学校の情報化を先進諸国並に推進するために,国が示した教育の情報化の目標を都道府県や市区町村の地方自治体が達成するために必要な「組織的コンサルティング機能」を運用する体制の開発を目指した。英国のBECTA,韓国のKERISでは,(1) 政策解説支援機能:国が示した目標等の政策をわかりやすく解説する機能,(2) 要因調査支援機能:阻害要因を調査し,目標達成のための重点を明らかにする機能,(3) 実施手順支援機能:下位目標に分解し,目標達成のための手順として提示する機能,(4) 研修啓発支援機能:リーダーとなる者への研修・啓発を行う機能,(5) 年次運用支援機能:年次進行を意識した予算策定や人事配置等の運用モデルを開発する機能,(6) 中間評価支援機能:目標の中間的達成度を評価する機能を備えており,政権交代等によって再編を繰り返しながらも,教育の情報化の主導権を担う地方自治体を支援する安定的な基盤組織となっていた。上記の6つの機能が明らかになったことから,研究代表者および分担者の所属する独立行政法人メディア教育開発センター内に,日本版の組織的コンサルティング機能を持たせる体制を検討したが,同センターが独立行政法人として廃止されることとなり,この体制は実現させることができなかった。また,関連財団等も法人改革の最中であり,新機能を担うことは容易ではない状況であった。今後の我が国の体制としては,(1) 政策解説支援機能は国の広報機能として持つこと,(2) 要因調査支援機能は学会等の役割として持つこと,(3) 実施手順支援機能/(4) 研修啓発支援機能は研究者等が強くこれを意識して実践研究を進めること,(5) 年次運用支援機能/(6) 中間評価支援機能は各自治体が自律的に備えていくことが期待される。しかし根本的には,BECTAやKERISのような組織を持たない我が国の教育の情報化の推進は極めて困難であることが指摘された。
著者
高橋 純 堀田 龍也 青木 栄太 森下 誠太 山田 智之
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.117-120, 2009
被引用文献数
2

教科書に準拠した算数科提示用デジタルコンテンツを活用した授業実践を行い,実物投影機を活用した授業との比較から,本コンテンツを評価した.その結果,提示用デジタルコンテンツを活用した授業では,実物投影機を活用した授業と同じレベルまで理解度が高まっていた.児童や教員を対象にしたアンケート結果では,両群共に4段階評価で平均3を越える高い評価であったが,両群を比較すれば,本コンテンツを活用した授業の方が高い評価であった.児童の楽しさや満足,教員の板書のしやすさといった項目で,より高い評価が得られていた.また,本コンテンツを活用した授業の方が,拡大提示にかかる操作時間は短く,数多くの指導場面で教科書の拡大提示が行われるといった授業の特徴も明らかとなった.
著者
高橋 薫 村松 浩幸 椿本 弥生 金 隆子 金 俊次 村岡 明 堀田 龍也
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.97-100, 2009

本稿では,総合的な学習の時間にアントレプレナー教育(起業家教育)に取り組んでいる山形県米沢市立南原中学校の実践を,言語力育成の観点から評価した結果を報告する.同校の実践では,一連のビジネスのプロセスの中に,言語力育成に配慮した授業デザインがなされている.生徒の言語力の変容を,実践の前後に生徒が書いた意見文の質(客観的評価)と,実践後のアンケート(主観的評価)から評価した.その結果,実践後は産出する文章の質を向上させており,より高度な論証を行っていることが明らかになった.また,実践後のアンケートから,生徒は自らの言語力の伸張に自信を深めていることが確認された.以上のことから,客観的評価と主観的評価の双方から,言語力の伸張が確認され,授業デザインの効果が推察された.
著者
石塚 丈晴 高田 浩二 堀田 龍也 森谷 和浩 前田 喜和
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.77-80, 2008
被引用文献数
4

本研究では,携帯情報端末の中でも児童にとって親和性が高いと考えられる携帯電話を,水族館での学習に使用するシステムを設計し開発した.開発したシステムを用いて実証実験を行ない,児童の水族館での学習への携帯電話端末利用の可能性について検討した.その結果,児童は日本語入力を含め,問題なくシステムを利用していたという結果が得られた.また,携帯電話端末を積極的に利用した児童は,携帯電話を利用した本システムの有効性を評価し,今後も利用したいと回答しており,携帯電話を端末としたシステムの利用可能性が示された.
著者
石塚 丈晴 堀田 龍也 山田 智之 畠田 浩史 青木 栄太 笹田 森 伊藤 博康 田中 優
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.121-124, 2008

教員の情報収集を効率化するため,2006年度に開発・実証実験を行った,教員に有用なWeb情報の所在を配信するシステム"Teacher's Desktop"に,「リコメンド」「検索精度の向上」「ランキング」「マイブックマーク」の4機能を追加し,実証実験によりシステムの評価を行った.その結果,「リコメンド」「検索精度の向上」「ランキング」機能については,使用感・利便性ともに肯定的な評価を得て,教員の教育情報の効率的な検索への効果が認められた.一方,「マイブックマーク」機能に関しては,ほとんど利用されず,実装方法が今後の課題として残った.
著者
清水 康敬 山本 朋弘 堀田 龍也 小泉 力一 吉井 亜沙
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.249-257, 2007
参考文献数
3

教育の情報化の推進に関するアンケート調査を全国の5,000校に発送し,3,869名の教員と2,019名の管理職からの回答を得て,推進のための要因と阻害要因等に関する学校種の違い,教員の経験年数,学校に対するコンピュータや電子メールアドレスの支給の有無,教員の性別の違い等について分析した,その結果,小学校から中学校,高等学校になるにしたがって学校に対するコンピュータ等の整備が進んでいるが,利用については逆に減少していること,男性教員の方が女性教員より利用度が高いこと,授業でのコンピュータ等の利用度は小学校の方が高いこと,教員の経験年数が10年以上20年未満の教員の利用度が高いこと,コンピュータが学校等から支給されている教員の利用が有意に高いことなどを明らかにした.