著者
安藤 明人 曽我 祥子 山崎 勝之 島井 哲志 嶋田 洋徳 宇津木 成介 大芦 治 坂井 明子
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.70, no.5, pp.384-392, 1999-12-25 (Released:2010-07-16)
参考文献数
25
被引用文献数
48 73

The Aggression Questionnaire (Buss & Perry, 1992) has been used to investigate links between personality factors and health outcomes. We developed the Japanese version of the Buss-Perry Aggression Questionnaire (BAQ) and assessed validity and reliability of the scale. Study I (N=1 125 college students) used a 45-item rating questionnaire measuring each of four components of aggression: Anger, Hostility, Physical Aggression, and Verbal Aggression. Four aggression subscales emerged clearly from exploratory factor analysis. Study II (N=611 college students) used a 24-item questionnaire and replicated factor structure and factor loadings of Study I. The scales were shown to be highly internally consistent, and stable at appropriate levels over 4-month time period. Normative data, factorial validity, and external evidence of construct, convergent, and discriminant validity for the scales were also presented.
著者
金子 功一 大芦 治 Kaneko Kouichi 大芦 治 オオアシ オサム Oashi Osamu
出版者
千葉大学教育学部
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要 (ISSN:13482084)
巻号頁・発行日
vol.58, pp.79-87, 2010-03

本論文では,近年の学習方略に関する海外および日本における研究の動向を分析した。その結果,学習方略はその研究対象として,学習全般と個別の教科を扱ったものの双方があること,研究の多くが自己効力感や価値といった動機づけ要因,学習方略に対する認知や学習観を代表とする自己制御要因などとの関連を検討していることなどが明らかになった。また,学習方略の測定に関する諸問題についても検討を加えた。そして,今後の課題として,学習方略と発達差,将来の目標,教師の職業的援助などに関する研究を行っていく必要性を論じた。
著者
大芦 治
出版者
日本基礎心理学会
雑誌
基礎心理学研究 (ISSN:02877651)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.19-25, 1992-08-31 (Released:2016-11-12)

This experiment was designed to examine the reformulated theory of learned helplessness (Abramson, Seligman, & Teasdale, 1978) and the diathesis-stress model of depression (Metalsky, Abramson, Seligman, Semmel, & Peterson, 1982). Thirty depressed and 30 non-depressed students were divided into three groups (contingent, noncontingent, control). In the contingent group, subjects received controllable aversive noise. In the noncontingent group, subjects received uncontrollable aversive noise. In the control group, subjects did not receive any pre-treatment. Then three groups were exposed to seventy escape trials. The results partially supported the reformulated learned helplessness model. As the theory predicts, the pretreatment significantly impaired the performance of both depressed and nondepressed. On the other hand, contrary to the theory's prediction, depressed subjects did not show any significant impairment in their performance as compared with nondepressed subjects in the contingent and noncontingent group. And in the control group depressed subjects performed better than nondepressed subjects. These findings are inconsistent with diathesis-stress model which claims that only depressed subjects show helplessness when exposed to uncontrollable events.
著者
大芦 治
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要 (ISSN:13482084)
巻号頁・発行日
vol.52, pp.13-19, 2004-02-28

Oashi (2003a) said that type A behavior pattern (type A) is psychologically composed of two components: One is a strong need for achievement the other is a need for maintaining self-esteem. The author tried to explain those two components from the view point of a dynamic psychological perspective. It is found that two components of type A behavior is well understood in terms of H.Kohut's theory of narcissistic personality and further studies from dynamic psychological perspective of type A is needed.
著者
大芦 治 岡崎 奈美子 山崎 久美子
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.41-51, 1996

本研究は, 虚血性心疾患の危険因子として知られるタイプA行動パターンの発達モデルを検討しようというものである。検証したモデルは, 両親の有名大学を志向する社会・文化的な価値観が子どもに対して学習, 進学に関する過干渉, 過保護を主とした養育態度を生起させ, それが, 子どものタイプA行動パターンの発達を促進するというものである。被験者は, 大学生(子ども)とその両親である。子ども側には, タイプA行動パターンに関する質問紙を, 両親側には有名大学を志向する価値観の質問紙, 養育態度に関する質問紙をそれぞれ実施した。結果はパス解析を用いて分析された。仮定されたモデルはほぼ支持されたが, 子どもが男子の場合と女子の場合で若干差がみられた。すなわち, 男子では母親からの影響が, 女子では父親からの影響がそれぞれ大きかった。この性による違いを考察する中で, 本研究で扱った進学や教育に関する要因以外に様々な社会・文化的な要因が介在することが予想され, 今後に検討課題を残すこととなった。
著者
下山 和弘 大芦 治 海野 雅浩 内田 達郎 長尾 正憲 小田切 一浩 山崎 久美子
雑誌
老年歯科医学 (ISSN:09143866)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.132-140, 1993

高齢歯科患者の主訴と抑うつ傾向との関連を明らかにするために, 東京医科歯科大学高齢者歯科治療部の外来患者 (男性88名, 女性132名, 平均年齢74.5歳) を対象にZungの自己評価式抑うつ性尺度 (SDS) により抑うっ傾向の調査を行った。SDSの質問項目よりQOLの因子と抑うつ感の因子を抽出し, SDSの総得点, QOLの因子得点, 抑うつ感の因子得点と口腔内状況との関連については以前報告した。今回は被検者を主訴により義歯不適合 (上下顎全部床義歯装着者) 群義歯不適合 (その他の義歯装着者) 群, 義歯破折群, 義歯不適合・歯疼痛動揺群歯疼痛動揺 (義歯装着者) 群, 歯疼痛動揺 (義歯非装着者) 群, 心身医学的対応症例群その他の主訴をもつ群に分類し, 上記の3得点について2 (男女別) ×2 (該当する主訴の分類) の分散分析を行った。歯疼痛動揺 (義歯装着者) 群ではその他の群と比較するとQOLの因子得点が有意に低く, SDSの総得点が低い傾向があった。また心身医学的対応症例群ではSDSの総得点および抑うつ感の因子得点が有意に高かった。SDSの総得点は主訴の相違によらず女性が男性よりも有意に高かった。すなわち主訴の相違は男女間の抑うっ傾向の差に影響していなかった。本研究の結果から高齢歯科患者の主訴と抑うっ傾向との問には関連があることが推察された。歯科治療時には顎口腔系における主訴の内容を踏まえたうえで, 患者の抑うっ傾向を含めた精神的身体的な状態の把握が必要であることが示唆された。
著者
岩田 美保 大芦 治 鎌原 雅彦 大芦 治 オオアシ オサム Oashi Osamu 鎌原 雅彦 カンバラ マサヒコ Kambara Masahiko 中澤 潤 ナカザワ ジュン Nakazawa Jun 蘭 千壽 アララギ チトシ Araragi Chitoshi 三浦 香苗 ミウラ カナエ Miura Kanae
出版者
千葉大学教育学部
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要 (ISSN:13482084)
巻号頁・発行日
vol.57, pp.103-107, 2009-03

本研究は現職教員を対象として,勤務校で直面している教育心理学等の専門的な支援が必要と思われる問題及びスクール・カウンセラーの配置状況や意見・要望について調査を行った。児童・生徒の適応上の問題としては,「不登校等問題行動への対応」「特別支援の必要な児童・生徒への対応」「親・家庭環境への対応」,教員自身の問題ではストレスやメンタルヘルスに関わることが最も多かった。こうした問題点は教育心理学等の一般的知識に関わることよりも,個別のケースに関して直面している問題であることが圧倒的に多いと考えられ,今後学校心理学はこうした問題に具体的に対応できるようなケース分析を中心とした独自の体系を構築していく必要があることが示唆された。また,スクール・カウンセラー等によるニーズに即した支援体制には未だ多くの課題が残されていることが示唆され,今後もさまざまな角度から議論・検討される必要があると考えられた。