著者
石井 正子 三浦 香苗
出版者
昭和女子大学
雑誌
學苑 (ISSN:13480103)
巻号頁・発行日
vol.808, pp.62-73, 2008-02

This research was done in an attempt to find out what kind of experience in real life and sense of values are influential to life-destroying behaviors in elementary school children and junior high school students and how the relations are different among the two age-groups. The subjects who gave answers to our questionnaire were 225 elementary school children from 3 schools and 256 junior high school students also from 3 schools. As for the factor analyses of their answers concerning their experiences in real life and sense of values, the two groups showed a similar five-factor structure but the factor structures of the life-destroying behavior in both groups were different. Many experiences in real life correlated with life-destroying behaviors while correlations between the sense of values and life-destroying behavior were limited. As for the results of a multiple linear regression analysis, only one factor 'affirmation of violence & exclusion of the aged' related to all the life-destroying behaviors. Their affinity to the nature had a positive influence to the elementary school children's 'unconscious killing with light motive' and 'killing waterside creatures' and junior high school students' 'unconscious killing with light motive' and 'brutal killing'. The elementary school children's experience of breeding pets had a negative influence to 'killing familiar creatures' and 'killing small wild animals'. The junior high school students' sense of 'denial to physical punishment' had a restrictive influence to their 'unconscious killing with light motive' and 'brutal killing'.
著者
三浦 香苗 渋谷 美枝子 土屋 明子
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要. I, 教育科学編 (ISSN:13427407)
巻号頁・発行日
vol.44, pp.29-44, 1996-02-29
被引用文献数
3

小学校で学習する"算数"は,中学校では"数学"と教科名がかわり,より論理的で抽象的な内容になる。さらに,中学校で学習する数学は高校の数学へ,大学や専門機関で学ぶ数学という学問へと,より高度で複雑になり発展・深化していく。算数は,数学への入口としての教科であり,論理的思考・抽象的思考を学ぶものであると位置づけられる。学習指導要領によれば,算数科の目標は,「数量や図形についての基礎的な知識と技能を身に付け,日常の事象について見通しをもち筋道を立てて考える能力を育てるとともに,数理的な処理のよさが分かり,進んで生活に生かそうとする態度を育てる」(文部省,1989a p.38)である。中学校数学科の目標の設定についての部分では,「小学校算数の性格を受け継ぎ,心身の発達に応じて,算数の目標を更に十分に達成させるとともに,小学校のときよりも一層論理的,抽象的に思考することができ,数学的な理解を深め,数学的な考察や処理についての能力を一層高めるようにする」と,算数と関連させて数学の目標を位置づけ,数学科の目標は「数量,図形などに関する基礎的な概念や原理・法則の理解を深め,数学的な表現や処理の仕方を習得し,事象を数理的に考察する能力を高めるとともに数学的な見方や考え方のよさを知り,それらを進んで活用する態度を育てる」(文部省,1989c p.9)という算数科ときわめて類似したものである。平成元年に学習指導要領が改訂され,円周率などの複雑な計算については電卓使用を教科書に明記するなど,算数においても大幅な変更が行われた。算数科改善の具体的事項の4項目の1つとして「中学校との指導の一貫性を一層図る」(文部省,1989b p.2)が挙げられ,これまで6年生の比例・反比例で未知数にxyを使用していたものが,4年生で文字を使用して数量関係を式に表すことがとり入れられた。この学習指導要領は,小学校では平成4年度,中学校では5年度より施行されている。算数と数学の学習内容の関連について,小学校教員と中学校教員の認識を調べた結果(三浦 1994a)によれば,中学校数学の授業を理解する前提として,小学校教員は22項目の算数の基礎的知識・技能のほとんど全ての習得を期待していたのに対し,中学校教員はより限られた項目に対しては習得を重視していたものの,習得していなくとも中学校数学の授業に支障がないとする項目もみられ(渋谷・三浦,1994),小学校教員と中学校教員の算数の達成重要度認識がかなり異なったものであることが示された。このような点を踏まえ,中学校数学とのつながりという観点から,最低限必要な算数の基礎的学習内容を特定し,小学校卒業時およびその後の学習内容の達成状況を調べることが,本研究の第1の目的である。先行研究では,小学校卒業時には,算数の基礎的学習内容である四則演算計算は平均約83%,文章題は平均約64%の児童に習得されていることが確認されている(渋谷・三浦,1995a)。今回,中学生にも同様の内容の調査を行うことで,中学入学後もこれらの算数の基礎的な学力が定着しているか,また,その後の学力の向上がどのような問題にみられるかを検討する。第2に,既に行なった調査内容に,図形や関数等の内容を加えた,より広い領域の学習内容の「算数の基礎的学力診断テスト」を作成し,領域間の達成度の関連を検討する。我々は,小学生向け算数学力診断テスト作成のための調査を行ない,四則演算計算・文章題について,小学校卒業時の習得状況および誤答傾向,四則演算計算と文章題の関連について,以下の点を明らかにしている。(1)文章題解決においては主に立式過程で誤りが生じ,計算過程以降の誤りは1割以下と少ない。文章題解決においては,数量関係を把握して式に表すことが,誤りを生じさせ易い困難な過程である。(2)計算力が高いほど文章題の正答率が高く,計算力の高さによって,誤って立式する演算の種類が異なり,文章題解決過程で生じる誤りの種類には質的差異がみられる(渋谷ほか,1995)。今回の調査では,図形に関する知識などを問う図形問題をとり入れるが,計算力や数量関係の把握を必要としない図形問題は,計算力・文章題とどのように関連しているのかを検討する。さらに,数学の学習者である中学生自身が,算数の学習内容をどの程度中学校数学を理解する前提として必要と認識しているのかを調べることが第3の目的である。これについては,数学の学習内容を全て修了した時点の認識として中学卒業時の3年生,算数の学習内容についての記憶が比較的多いと思われる中学1年生に,小学校算数の学習内容である具体的な個々の問題について,"この問題ができることは,中学校の数学の授業についていくために必要かを尋ね,その差異を検討する。第4の目的は,学習内容の達成重要認識と達成度との関連を検討することである。算数で学習した個々の知識が数学の授業において必要だと認識するかどうかは,個々の知識を習得しているかどうかで異なるであろうか。算数のある問題を解ける生徒は,"この知識があったため数学のある部分が容易に理解できた"と考えるのか,あるいは"この種の知識がなくとも支障がなかった"と考えるのだろうか。逆に,ある算数の問題が解けない場合に,数学の学習においてその問題を解けることが必要と思わないのか,あるいは,"この問題が解ければ数学も容易に理解できるのに"と達成重要度認識が高いのだろうか。この点についても,第3の目的で検討する,算数の学習内容のどの部分が中学校数学の理解に必要と認識されているか,と関連させて検討する。
著者
三浦 香苗 太田 亨 深川 美帆
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

学生によるビデオ会議(日本語使用)を,タイ,トルコ,豪州の協定校と,1 対1及び多地点同時通信で行った。その結果(1)1対1の方が多地点より議論が円滑であった。(2)会議のturn数を日:豪,日:タイ,日:トルコで比較すると,日:豪が有意に多かった。(3)「結婚」「職業」などは異文化会議を進めやすいトピックである。(4)国によっては,サブトピックより更に下位の話題が活発に出た以上の結果の原因が文化差か,グループの傾向か等は未だ特定できない。
著者
小松 侯子 森田 雅之 山本 道子 桜井 磐 吉田 正樹 松本 文夫 高橋 京子 三浦 香苗 関根 優子 石田 政子 辻原 佳人 国分 勝弥 高橋 孝行 白井 裕二
出版者
日本環境感染学会
雑誌
環境感染 (ISSN:09183337)
巻号頁・発行日
vol.10, no.3, pp.41-48, 1995

病院給食は, 食事療法を目的とした患者に細心の注意を払い, 安全かつ衛生的に食事を提供しなければならない. そこで医療機関における配膳車および食器類の衛生管理運営状況についてのアンケート調査を実施した. またこの調査を基に, 当院の給食用配膳車および食器類の細菌汚染調査を行った.<BR>1. アンケート調査結果から細菌調査を実施した医療機関は74%あり, その内訳は手指培養試験が21%, まな板無菌試験が21%, 厨房室内汚染菌調査が19%などであった.<BR>2.病院給食の配膳および食事介助者は病棟看護婦, 病棟婦で76%を占めていた. その時の手洗い励行率は67%, マスク着用率は15%であった.<BR>3. 当院の給食用配膳車の配膳前, 下膳後の細菌汚染調査では, 配膳前と比べて下膳後に<I>Staphylococcus aureus (S. aureus), Staphylococcus epidermidis (S. epidermidis)</I> および腸内細菌群が多く検出された.<BR>4.配膳車の天蓋, 棚, 手スリ, タイヤの細菌汚染調査で, タイヤから<I>S. aureus, S. epidermidis</I>および腸内細菌群が多く検出された. また, 配膳搬送専用エレベータ床, 配膳室床からも配膳車のタイヤと同様の菌が検出された.<BR>5.独食患者および介助必要患者の病院給食用食器, トレーからは, 下膳後に<I>S. aureus, S. epidermidis</I>, 腸内細菌群が検出された.<BR>以上, 今回の細菌汚染調査結果から, 定期的な配膳車のタイヤ汚染調査は院内の環境汚染状況を把握する一つの方法とも考えられた. また食器類は患者個人専用ではないため, 感染防止上, 使用後は十分に洗浄消毒する必要がある. さらに患者給食の配膳は病棟看護婦, 病棟婦の大部分が携わっていることから, 手洗いの励行を徹底することが改めて認識された.
著者
三浦 香苗 長澤 陽平 石井 正子 Kanae MIURA Yohei NAGASAWA Masako ISHII 千葉市立宮崎小学校 植草幼児専門学校 Miyazaki Elementary School in Chiba-shi Uekusa Kindergarten Teacher Training School
出版者
昭和女子大学
雑誌
學苑 = GAKUEN (ISSN:13480103)
巻号頁・発行日
vol.761, pp.27-39, 2004-02-01

The purpose of this study is to investigate how contemporary college students perceive destroying living things. In Study 1, an attempt was made to make a scale incorporating factor analysis of various items concerning destroying lives. The result extracted three subscales: "brutal destruction for play", "destruction for human living", and "destruction for educational practice". In Study 2, we examined relationships between the three subscales and student past experiences. Results showed that the three subscales had correlations with "wild play experience" and "experience of gathering food". In Study 3, the scale of destroying lives was completed, and the correlation with human living experience and their sense of life value were investigated. The results showed that experience of keeping a pet worked negative toward "brutal destruction" and "dissection". Also, "field play experiences" and "experiences in home" worked positive toward "dissection".
著者
海野 裕子 三浦 香苗
出版者
昭和女子大学
雑誌
昭和女子大学生活心理研究所紀要 (ISSN:18800548)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.53-62, 2007-03-31

Feelings of undergraduate students about being alone were clarified by comparing feelings about being alone actively and passively. Undergraduate student participants (N=315) completed a questionnaire consisting of rating scales and free descriptions. The results indicated the following. (1) A Majority of participants indicated that they were "quite often, " "often" or "sometimes, " actively alone. However, most participants also indicated that they were "sometimes," "rarely" or "never" passively alone. (2) Most free descriptions indicated that feelings about being alone passively, were negative, whereas descriptions about being alone actively included a variety of feelings, such as negative feelings, ambivalent feelings, and neutral feelings. (3) Results suggest that feelings about being alone were closely related to instability and difficulties that are peculiar to adolescence.
著者
海野 裕子 三浦 香苗 Yuko UMINO Kanae MIURA
出版者
昭和女子大学生活心理研究所
雑誌
昭和女子大学生活心理研究所紀要 (ISSN:18800548)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.51-61, 2010
被引用文献数
2

Relationship between emotions about spending time alone, how they spend their time to be alone,and the degree of loneliness and anthrophobic tendencies in university students were investigated. We administered a multiple-scale questionnaire to 347 university student participants. The main results were as follows:(1) A positive correlation was found between emotions about independence/ideals, and "awareness of individuality," an aspect of loneliness; and a weak negative correlation was found between emotions about loneliness/anxiety and "understanding and sympathy between people," also an aspect of loneliness. However, there was no relationship between emotions about fulfillment/satisfaction,and loneliness.(2) A positive correlation was observed between awareness of individuality and how participants spent their time during rest/liberation, and introspection.(3) Anthrophobic tendencies showed a significant positive correlation with loneliness/anxiety,and a significant negative correlation with fulfillment/satisfaction.(4)Anthrophobic tendencies showed a significant positive correlation with rest/liberation. These results suggest that awareness of individuality in loneliness was related to time to be alone, and that anthrophobic tendencies, a personality characteristic, were also related to time to be alone.
著者
岩田 美保 大芦 治 鎌原 雅彦 大芦 治 オオアシ オサム Oashi Osamu 鎌原 雅彦 カンバラ マサヒコ Kambara Masahiko 中澤 潤 ナカザワ ジュン Nakazawa Jun 蘭 千壽 アララギ チトシ Araragi Chitoshi 三浦 香苗 ミウラ カナエ Miura Kanae
出版者
千葉大学教育学部
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要 (ISSN:13482084)
巻号頁・発行日
vol.57, pp.103-107, 2009-03

本研究は現職教員を対象として,勤務校で直面している教育心理学等の専門的な支援が必要と思われる問題及びスクール・カウンセラーの配置状況や意見・要望について調査を行った。児童・生徒の適応上の問題としては,「不登校等問題行動への対応」「特別支援の必要な児童・生徒への対応」「親・家庭環境への対応」,教員自身の問題ではストレスやメンタルヘルスに関わることが最も多かった。こうした問題点は教育心理学等の一般的知識に関わることよりも,個別のケースに関して直面している問題であることが圧倒的に多いと考えられ,今後学校心理学はこうした問題に具体的に対応できるようなケース分析を中心とした独自の体系を構築していく必要があることが示唆された。また,スクール・カウンセラー等によるニーズに即した支援体制には未だ多くの課題が残されていることが示唆され,今後もさまざまな角度から議論・検討される必要があると考えられた。