著者
山川 義徳 金井 良太
出版者
The Academic Association for Organizational Science
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.6-15, 2014-06-20 (Released:2014-10-03)
参考文献数
33
被引用文献数
1

近年,脳科学を通じた人(の心)の理解には著しい発展が見られている.その中では,心の状態を数値化する脳計測技術とその状態を解釈するための脳解析技術,さらに意味づけし制御するための脳活用技術が存在している.そこで,本論文では,それぞれの技術についての解説及びそのマネジメントについての提言を行うとともに,ビジネスパーソンや経営者に対してこれらの技術をどのように適用できるかという点について論考する.
著者
熊谷 千津 山川 義徳
出版者
公益社団法人 日本アロマ環境協会
雑誌
アロマテラピー学雑誌 (ISSN:13463748)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.1-7, 2017-08-23 (Released:2017-08-23)
参考文献数
16

われわれは,ゼラニウム精油嗅覚刺激がプレ更年期女性のQOLに与える効果を明らかにする目的で,40代女性30名を対象に実験を行った。ゼラニウム精油は携帯型簡易芳香器を用いて,2月経周期の間,毎日吸入した。介入前後にMRIを撮像し大脳皮質灰白質の量(GM-BHQ),神経線維の異方性(FA-BHQ)を分析した。質問紙はピッツバーグ睡眠調査票,STAI, POMS2, VASを用いて調査した。VASにおいては,若々しさに関する4項目,生活の充足に関する6項目を評価した。解析は,実験開始より前に介入をスタートした2例を除外し28例で行った。介入によって,若々しさが増加したと感じた女性ほどGM-BHQが増加し,アンチエイジング効果が脳構造に反映している可能性が示唆された。さらに,食事が美味しくとれるなどの生活の充足度が低いと感じている女性ほど,ゼラニウム精油の嗅覚刺激によるFA-BHQの改善効果が表れやすいことが示唆された。今後は例数を増やし対照群を設けてプレ更年期のQOLに与えるゼラニウム精油嗅覚刺激の効果を追究していきたい。
著者
石川 敦雄 西田 恵 渡部 幹 山川 義徳 乾 敏郎 楠見 孝
出版者
日本環境心理学会
雑誌
環境心理学研究 (ISSN:21891427)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.1-14, 2016 (Released:2017-05-08)
参考文献数
49

室内空間の多くは社会的な相互作用のための場であり,より良い対人関係・行動に配慮した室内空間が期待されている。本研究の主な目的は,一般的な水準の広さや明るさ等の室内空間の物理的要因が印象形成に影響を及ぼすかどうかを検証することである。実験1の156名,実験2の364名の社会人は,室内空間CGと人物の合成画像を見て対人印象と対人関係への期待を評価した。次に,室内空間CGを見て広さ,明るさ等の物理的要因と感情的要因を評価した。実験1および実験2の結果に基づくパス解析により,室内空間の「広々した」印象が対人印象「共同性」因子に影響し,その「共同性」因子が対人関係の期待に影響することが示唆された。これらの実験結果は,日常的な空間としてデザインされる物理的要因が印象形成に影響を及ぼすことを示している。
著者
山川 義徳 金井 良太
出版者
The Academic Association for Organizational Science
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.6-15, 2014

近年,脳科学を通じた人(の心)の理解には著しい発展が見られている.その中では,心の状態を数値化する脳計測技術とその状態を解釈するための脳解析技術,さらに意味づけし制御するための脳活用技術が存在している.そこで,本論文では,それぞれの技術についての解説及びそのマネジメントについての提言を行うとともに,ビジネスパーソンや経営者に対してこれらの技術をどのように適用できるかという点について論考する.
著者
松本 実紗 伊香賀 俊治 山川 義徳 内田 泰史 村上 周三 安藤 真太朗 満倉 靖恵 中島 侑江
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会大会 学術講演論文集 平成30年度大会(名古屋)学術講演論文集 第6巻 温熱環境評価 編 (ISSN:18803806)
巻号頁・発行日
pp.137-140, 2018 (Released:2019-10-30)

寒冷暴露が脳機能に悪影響を及ぼすと仮定し、高知県梼原町在住の90名について、2016年度及び2017年度の冬季に住宅の温熱環境測定、対象者の血圧及び活動量測定、MRI 装置による脳機能検査、アンケート調査を実施した。多変量解析の結果、個人属性、生活習慣、血圧及び活動量を考慮した上でも、居間の床上1.1mの冬季室温が寒冷な居住者は全脳領域神経線維拡散度の得点が有意に低いことを確認した。
著者
伊香賀 俊治 満倉 靖恵 小熊 祐子 福永 興壱 星 旦二 伊藤 史子 苅尾 七臣 星出 聡 藤野 善久 久保 達彦 中村 裕之 福島 富士子 鈴木 昌 渡辺 麻衣子 白石 靖幸 安藤 真太朗 川久保 俊 山川 義徳
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2017-05-31

超高齢化の進行に伴う医療費・介護費等の増大は、先進各国共通の課題であり、疾病・介護予防へと政策が転換され始めている。個人の努力による生活習慣改善に限界が指摘される中で、本研究では住環境(住宅や地域)の改善によるCo-Benefit である健康寿命延伸効果に着目し、大規模なフィールド調査と追跡・介入調査によって住環境と脳情報や要介護状態等、新たな客観データによる健康影響の客観的論拠の獲得を進めている。本年度は、さまざまな世代を対象として自宅と自宅以外の環境が居住者の健康に及ぼす影響の調査を目的とした横断面調査の補充ならびに、研究代表者らの科研費基盤A(23246102、26249083)から実施してきた経年調査(縦断面調査)、住環境・執務環境の建替・改修前後調査(介入調査)を実施した。具体的には、青壮年期~中年期を対象とした調査では、自宅環境と居住者の健康(客観指標:家庭血圧、脳MRI撮像データ、睡眠状態、体温、身体活動量、心拍、IgE抗体等)との関連の検証に加え、オフィスでの知的生産性の検証を行った。日中の知的生産性はオフィス環境そのものの影響のほか、前日の自宅での睡眠・休息が影響するため、良質な自宅・オフィスの環境がもたらす相乗効果に関する被験者実験を行った。また、自宅と自宅以外の環境の相乗効果は幼・少年期にも存在するため、幼稚園・小中学校での活発な身体活動と自宅での良好な睡眠が、病欠確率と学習効率への影響を調査・分析した。環境側の調査項目としては温度・湿度、(一部の調査で光・音・空気環境、カビ・ダニ)測定等を行った。今年度の調査対象地は、高知県(梼原町、高知市)、山口県(長門市)、福岡県(北九州市)、東京都(23区内)、神奈川県(横浜市、藤沢市)、山梨県(上野原市、大月市)、広島県(広島市)、三重県(津市、伊勢市)、熊本県(熊本市)、石川県(志賀町)等であった。