著者
川崎 浩司
出版者
日本混相流学会
雑誌
混相流 (ISSN:09142843)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.11-18, 2012-03-15 (Released:2012-06-20)
被引用文献数
4 7

A undersea earthquake with a magnitude of 9.0 "The 2011 off the Pacific Coast of Tohoku earthquake" took place off the Pacific coast of Japan at 14:46 JST (5:46 UTC) on March 11, 2011. A massive tsunami caused by the earthquake struck the Pacific side of Japan, especially the coasts of Aomori, Iwate and Miyagi prefectures, resulting in a cataclysmic disaster "East Japan Great Earthquake Disaster (Higashi Nihon Daishinsai in Japanese)". This paper describes the fundamental characteristics of Tsunami and the brief overview of the past huge tsunami disasters in Sanriku area. The tsunami damages of the East Japan Great Earthquake Disaster are, furthermore, reported on the base of the field survey, which was conducted from April 4 to 9, 2011 as a group of the 2011 Tohoku Earthquake Tsunami Joint Survey Group of Japan.
著者
田島 芳満 川崎 浩司 浅野 雄司 Noel M. ORTIGAS
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.I_1431-I_1435, 2014 (Released:2014-11-12)
参考文献数
8
被引用文献数
1

This paper aims to overview the hydrodynamic characteristics of storm surges and waves induced by Typhoon Haiyan around Leyte and Samar, Philippines, especially based on the results of the post disaster joint survey of PICE and JSCE. A number of local residents remained along the coast when inundation started and, based on intensive interviews of those local residents, the survey team obtained information of not only the heights of inundation and run-up, but also other hydrodynamic features such as timings and durations of inundations, flow directions and the level of surface water fluctuations. Comparisons of these findings of the disaster survey and numerical analysis clearly indicated that the wind-induced stormy waves had significant impact on inundations especially along the east coast of Leyte and Eastern Samar.
著者
板宮 朋基 村上 智一 小笠原 敏記 川崎 浩司 下川 信也
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B3(海洋開発) (ISSN:21854688)
巻号頁・発行日
vol.74, no.2, pp.I_773-I_778, 2018 (Released:2018-09-12)
参考文献数
19

最大級台風の最悪コースによる三大湾への襲来に対する高潮浸水予測の数値計算は,これまで数多く行われている.その結果は自治体などにおいてハザードマップなどの防災情報として活用されている.しかし,地域の住民や子供たちに有益な防災情報として提供していると思われがちであるが,実際には災害をリアルに捉えることが難しく,発災時に取るべき行動を,感覚的・知覚的に学ぶことができない.そこで本研究では,数値計算で得られる高潮浸水の結果を基に,専門知識がない人でも直感的に浸水状況を理解してもらうため,VR(人工現実感)ヘッドマウントディスプレイ(HMD)を用いた高潮想定没入体験システムの開発と有用性の評価を行う.HMDはスマートフォンに装着して用いるため,1セット当たり約9万円と低価格で構築でき,運用が容易である.
著者
新美 達也 川崎 浩司 馬渕 幸雄 長山 恒紀 辻 貴仁 大家 隆行 松田 和人
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.I_211-I_215, 2013 (Released:2013-11-12)
参考文献数
3
被引用文献数
8

Video images taken in the 2011 Tohoku Earthquake qualitatively showed that the Teizan canal has a potential for the reduction effect of tsunami disaster. The main purpose of this study is to examine the tsunami mitigation effect of the Teizan canal numerically with the numerical wave flume “CADMAS-SURF”. The numerical results revealed that the present Teizan canal has some effects on tsunami disaster reduction, such the time delay of tsunami run-up and the decrease of inundation depth. The prevention and mitigation functions of the canal for tsunami disaster were confirmed to go up by increasing the height of the dike and the width of the canal. Furthermore, the tsunami mitigation effect of the canal was found to be more efficient for small-scale tsunami than large-scale tsunami.
著者
佐藤 兼太 川崎 浩司 越村 俊一
出版者
日本混相流学会
雑誌
混相流 (ISSN:09142843)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.316-323, 2023-09-15 (Released:2023-10-08)
参考文献数
18

Characteristics of tsunami flow in cities are three-dimensional, highly non-linear and non-hydrostatic. A fully three-dimensional free-surface fluid model is required to simulate such a flow field. Fluid simulations in the field of coastal engineering are often large-scale since large areas are the subject of the simulations. The numerical model must be not only accurate but also efficient. In recent years, the lattice Boltzmann method (LBM) has attracted much attention as a novel simulation method and has been successfully applied to various engineering fields. Moreover, the cumulant LBM has attracted attention because it has excellent numerical stability even for high Reynolds number flows. The single-phase free-surface flow model using the cumulant LBM is a suitable approach for simulating violent flow fields in coastal engineering. In this study, we propose a single-phase free-surface flow model based on the cumulant LBM using the volume-of-fluid (VOF) model. We demonstrate that the cumulant LBM is stable under violent flows and reproduces the pressure field well compared with the traditional single relaxation time model. We find that a larger bulk viscosity can reduce the numerical oscillation of the impact pressure acting on a structure, although a bulk viscosity that is too large reduces the accuracy and stability. The results of the proposed model are in good agreement with previous experimental results.
著者
Tracey H. A. TOM 金 洙列 武田 将英 倉原 義之介 原 知聡 西山 大和 川崎 浩司 間瀬 肇
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.75, no.2, pp.I_133-I_138, 2019
被引用文献数
2

<p> 海洋工事は気象や海象の影響を受けやすく,作業船の運航ルートの設定や荒天時の作業可否の判断,避難港の利用にあたり,できるだけリードタイムの長い海象情報は重要である.本研究では,全球波浪予報値とニューラルネットワーク(NN)を利用した1週間波浪予測法を提案し,その基礎となる精度検証を行った.日本気象庁波浪モデルやアメリカ海洋大気庁波浪モデル,ヨーロッパ中期予報センター波浪モデルによる1週間先以上の全球波浪予報値が提供されているが,それらの日本沿岸における波浪予報値としての精度は良くない.そこで,NNを利用した非線形変換による精度の良い波浪予測法を目指し,その第一歩として,全球波浪解析値および予報初期値を用いてその可能性を調べたものである.</p>
著者
金 洙列 武田 将英 間瀬 肇 倉原 義之介 原 知聡 西山 大和 川崎 浩司 水谷 英朗
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B3(海洋開発)
巻号頁・発行日
vol.75, no.1, pp.18-26, 2019
被引用文献数
2

<p> 本研究は,作業船の準備や港湾・海洋工事の施工計画に役に立つ波浪予測法を確立することを目的として,全球波浪予報値と機械学習の一つであるGroup Method of Data Handling (GMDH)における部分表現式を用いた日本沿岸の1週間先までの波浪予測法を提案する.具体的には,常陸那珂港を対象として,3種類の全球波浪予報値とGMDHの部分表現式を利用した1週間先までの波浪予測が可能なモデルを構築し,予報初期値と解析値を用いて精度検証を行った.その結果,有義波高に対しては,アメリカ海洋大気庁波浪モデルとヨーロッパ中期予報センター海洋波浪モデルの2種類の全球波浪データを用いる部分表現式,周期に対しては,日本気象庁波浪モデルとヨーロッパ中期予報センター海洋波浪モデルの2種類を用いる部分表現式が予測精度が良いことがわかった.</p>
著者
川崎 浩司 下川 信也 村上 智一
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.I_211-I_216, 2016 (Released:2016-11-15)
参考文献数
4
被引用文献数
1 2

近年,地球温暖化による台風の強大化と海面上昇が危惧されており,過去最大級の伊勢湾台風を上回る巨大台風の襲来が及ぼす影響について検討することは重要である.つまり,襲来する可能性がある台風の規模と台風襲来によって起こりうる高潮災害の規模を予測することが必須となる.そこで,本研究では,伊勢湾湾奥部を対象に,室戸台風級の超巨大台風時,および現在/将来気候から予想される最大高潮条件における高潮浸水計算を行い,超巨大台風による浸水特性について検討した.その結果,海抜ゼロメートル地帯である伊勢湾湾奥部では,一旦,高潮によって溢水すると,人的・物的被害が一気に拡大することがわかり,甚大な高潮災害を軽減させるためには早期避難が重要であるとことがわかった.
著者
川崎 浩司 鈴木 一輝
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B3(海洋開発) (ISSN:21854688)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.I_144-I_149, 2012 (Released:2012-09-18)
参考文献数
5

東北地方太平洋沖地震以降,東海・東南海・南海三連動型地震がM9クラスで発生する可能性が指摘されている.そこで,本研究では,M9.0の地震規模を仮定した東海・東南海・南海三連動型巨大地震を対象に津波伝播予測を実施した.従来の想定であるM8.7の三連動型地震津波との比較から,地震規模の違いによる津波高および津波到達時間への影響を検討するとともに,太平洋沿岸および内湾における三連動型巨大地震津波の津波伝播特性について考究した.その結果,M9.0の場合,太平洋沿岸では,その津波高がM8.7と比べ約2倍となること,波源域から離れた沿岸では,津波到達時間が早まることが明らかとなった.さらに,内湾では,津波の高さが太平洋沿岸部に比べ小さいものの,湾口部が狭く外洋に津波が出にくいために,水位の高い状態が長時間続くことが判明した.
著者
川崎 浩司 鈴木 一輝 高杉 有輝 青木 伸一
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B3(海洋開発)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.I_1170-I_1175, 2014

台風0918号襲来時に伊勢湾・三河湾で観測された気象・海象観測データに基づき,同台風による高潮特性を議論するとともに,台風0918号が三河湾の水塊構造に及ぼす影響について考究した.その結果,三河港で生じた高潮は,台風通過の影響で伊勢湾側の水塊が自由長波として三河湾湾内に流入したことによって生じたことがわかった.さらに,密度・水質構造の観点からは,台風接近時の東風に起因した鉛直混合により底層の貧酸素状態が解消されたこと,台風通過の河川出水に伴って密度成層の再形成やクロロフィルaの増大が生じるなど,台風襲来時のみならず,台風通過後においても三河湾の水塊構造が大きく変化することを明らかにした.
著者
高橋 誠 海津 正倫 田中 重好 島田 弦 伊賀 聖屋 川崎 浩司 伊賀 聖屋 室井 研二
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

2004年スマトラ地震(インド洋大津波)の最大被災地、インドネシアのアチェ地域と中部ジャワ地震の被災地、ジョグジャカルタ地域を事例に、被災からの長期復興プロセス、特に生業・経済復興と災害文化の定着に焦点を置き、空間の改編から再生、普通の人々の被災経験、組織およびネットワークの再編の相互作用という視点からコミュニティベースの災害復興メカニズムを探ることによって、様々な社会-空間のスケールで機能する災害後復興ガバナンスの中にコミュニティを位置づける多層的復興モデルを導出するとともに、フォーマルな災害対応にインフォーマルな分権的アプローチを組み込む条件を指摘した。
著者
高橋 誠 田中 重好 木村 玲欧 島田 弦 海津 正倫 木股 文昭 岡本 耕平 黒田 達朗 上村 泰裕 川崎 浩司 伊賀 聖屋
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

インド洋大津波の最大被災地、インドネシアのバンダアチェとその周辺地域を事例に、被災から緊急対応、復興過程についてフィールド調査を行い、被害の状況、被害拡大の社会・文化的要因、避難行動と緊急対応、被災者の移動と非被災地との関係、住宅復興と地域の社会変動、支援構造と調整メカニズム、災害文化と地域防災力などの諸点において、超巨大災害と地元社会に及ぼす影響と、その対応メカニズムに関する重要な知見を得た。