著者
浦野 正樹 松薗 祐子 長谷川 公一 宍戸 邦章 野坂 真 室井 研二 黒田 由彦 高木 竜輔 浅川 達人 田中 重好 川副 早央里 池田 恵子 大矢根 淳 岩井 紀子 吉野 英岐
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究では、東日本大震災を対象として発災以来社会学が蓄積してきた社会調査の成果に基づき、災害復興には地域的最適解があるという仮説命題を実証的な調査研究によって検証し、また地域的最適解の科学的解明に基づいて得られた知見に基づいて、南海トラフ巨大地震、首都直下地震など次に予想される大規模災害に備えて、大規模災害からの復興をどのように進めるべきか、どのような制度設計を行うべきかなど、復興の制度設計、復興の具体的政策および復興手法、被災地側での復興への取り組みの支援の3つの次元での、災害復興に関する政策提言を行う。また、研究の遂行と並行して、研究成果の社会への還元とグローバルな発信を重視する。
著者
室井 研二
出版者
香川大学
雑誌
香川大学教育学部研究報告. 第I部 (ISSN:04549309)
巻号頁・発行日
vol.126, pp.1-16, 2006

2003年7月19日〜20日にかけて九州一帯を記録的な集中豪雨が襲い、福岡県太宰府市、飯塚市、熊本県水俣市等で甚大な被害が発生した。以前、筆者はこの災害について太宰府市を対象に調査する機会を得た。その一応の成果は室井(2005)でまとめたが、その後、調査対象地に飯塚市を加え、現在は両地域の比較を念頭に置きつつ調査を継続している。本稿では両地域がこの災害でどのような被害を受け、どのように対応し、現在どのような復興状況にあるのかを概観する。調査データの整理と記述を主眼とした作業論文であるが、最終節では両地域における地域防災の課題について社会学的な観点から論及してみることにしたい。
著者
室井 研二
出版者
西日本社会学会
雑誌
西日本社会学会年報 (ISSN:1348155X)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.7-19, 2020 (Released:2021-03-31)
参考文献数
46

災害研究の理論的課題とは何なのか。本稿では英語圏の災害研究の理論的系譜を検討し、以下のことを主張した。(1)災害社会学の源流は発災直後の緊急対応に照準した機能主義的アプローチであるが、今日的にはむしろ災害の発生を自然環境適応の所産として捉える地理学(生態学)的アプローチから学ぶべき点が多い。(2)研究の方法論に関しては、脆弱性理論とレジリエンス論を接合する「中範囲のハザード理論」という視角が有効である。(3)日本の災害研究は欧米の災害研究の影響をあまり受けず、もっぱら都市・地域社会学の応用的研究として展開してきた。しかし、阪神大震災では脆弱性論、東日本大震災では人間生態学と通底する研究成果が生みだされ、研究の方法論に関しても欧米の災害研究に示唆を与える面がある。国産の実証的研究成果を欧米の災害理論との関連を視野に入れて意味づけ、国際的共有を図るとともに、災害を社会分析の方法論的観点として位置づけ、災害研究と既存の連字符社会学の統合や相互啓発を図ることが重要である。
著者
室井 研二
出版者
The Japan Sociological Society
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.18-31, 1997-06-30 (Released:2009-10-13)
参考文献数
28

従来, 理論と実践は対立概念として想定されてきたといえるが, 今日では実践それ自体が理論的な主題とされる場合も多い。本稿では「実践」の理論的含意を主にA.ギデンズの学説に即して考察する。最初に, 意味学派的用法の「実践」が, マルクス主義的用法とは異なったやり方で, 近代認識論に対する方法論的な対抗を意図した概念であることを指摘し, その内容をやや敷衍して解説する。ギデンズの「実践」もそのような意味学派の知見に依拠し, 社会研究の方法論的再考を志向するものであるが, 同時にそれ自体が日常的な人間行為のモデルとしての側面も備えている。それ故, 次に, そのモデルの内実について検討する。主眼とされるのは意識的な対象化に先行するいわば社会内属的な次元での「理解」の様態や準拠基盤であるが, その大要を主に時間と空間といった観点に引きつけて整理した。最後に, 人間行為に対するそのような着眼の背後には, 社会的現状認識や望むべき社会構築のあり方に関するギデンズ独自の価値観が投影されており, 近代批判としての視角が意図されていることを指摘する。他の批判理論との比較を通して, その特徴と可能性について検討した。
著者
藤井 和佐 西村 雄郎 〓 理恵子 田中 里美 杉本 久未子 室井 研二 片岡 佳美 家中 茂 澁谷 美紀 佐藤 洋子 片岡 佳美 宮本 結佳 奥井 亜紗子 平井 順 黒宮 亜希子 大竹 晴佳 二階堂 裕子 中山 ちなみ 魁生 由美子 横田 尚俊 佐藤 洋子 難波 孝志 柏尾 珠紀 田村 雅夫 北村 光二 北川 博史 中谷 文美 高野 宏 小林 孝行 高野 宏 白石 絢也 周藤 辰也 塚本 遼平 町 聡志 佐々木 さつみ
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

研究課題に関する聞きとり調査、質問紙調査等から、地方社会における構造的格差を埋める可能性につながる主な条件として(1)地域住民の多様化の推進及び受容(2)生業基盤の維持(3)定住につながる「地域に対する誇り」が明らかとなった。過疎化・高齢化が、直線的に地域社会の衰退を招くわけではない。農林漁業といった生業基盤とムラ社会の開放性が住民に幸福感をもたらし、多様な生活者を地域社会に埋め込んでいくのである。
著者
高橋 誠 海津 正倫 田中 重好 島田 弦 伊賀 聖屋 川崎 浩司 伊賀 聖屋 室井 研二
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

2004年スマトラ地震(インド洋大津波)の最大被災地、インドネシアのアチェ地域と中部ジャワ地震の被災地、ジョグジャカルタ地域を事例に、被災からの長期復興プロセス、特に生業・経済復興と災害文化の定着に焦点を置き、空間の改編から再生、普通の人々の被災経験、組織およびネットワークの再編の相互作用という視点からコミュニティベースの災害復興メカニズムを探ることによって、様々な社会-空間のスケールで機能する災害後復興ガバナンスの中にコミュニティを位置づける多層的復興モデルを導出するとともに、フォーマルな災害対応にインフォーマルな分権的アプローチを組み込む条件を指摘した。