著者
斎藤 隆文 品野 勇治 金子 敬一 宮村 浩子
出版者
東京農工大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2005

本研究は,離散構造データの幾何的配置変動が引き起こす複雑かつ大域的な位相構造変化について,理論的ならびに実験的に追究し,諸問題に共通するメカニズムを明らかにすることを目的としている.本年度は,階層的クラスタリングを対象とした安定性評価に関する検討と,CG,可視化,形状処理の各分野における関連課題の検討を行った.階層的クラスタリングの位相構造変化を見る新しい考え方である「仮想要素追加法」を初年度に考案した.当初はクラスタリングを行った結果の階層構造の各ノードに対してだけ,適用していたため,実際には近接した配置であっても,階層構造として離れた位置にあるクラスタ同士の安定性はわからなかった.本年度は,このような場合の安定度の算出方法と,その可視化方法について検討した.その結果,構造全体におけるクラスタ構造の安定性を可視化することに成功した.CG,可視化,形状処理の各分野において,種々の問題に取り組み,関連する課題を検討した.その過程において,人物の顔を撮影した動画像を,実時間でイラスト風に処理する手法や,固定カメラで撮影された長時間にわたる時系列画像をもとに,有効情報を可視化する手法などを提案,発表した.
著者
七夕 高也 清水 久代 篠村 知子 高野 誠 宮村 中村 浩子 斎藤 隆文
出版者
The Institute of Electrical Engineers of Japan
雑誌
電気学会論文誌. C, 電子・情報・システム部門誌 = The transactions of the Institute of Electrical Engineers of Japan. C, A publication of Electronics, Information and System Society (ISSN:03854221)
巻号頁・発行日
vol.128, no.6, pp.962-969, 2008-06-01
被引用文献数
3 1

We developed an imaging system and image analysis software for phenotype analysis of rice seedlings growth. The developed imaging system could collect rice seedlings growth images in test tubes every 10 minutes. The image analysis software could detect leaf tip points and collect measurement of leaf height. Using this system, we could obtain detailed measurement and analysis phenotype of rice seedlings growth depends on time parameters, germination timing and leaf elongation timing.
著者
海野将範 七夕 高也 宮村 (中村)浩子 斎藤 隆文 篠村 知子
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告グラフィクスとCAD(CG) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.13, pp.49-54, 2007-02-19

本研究では、イネの生長を直上から記録した時系列画像から葉の生長特性を可視化し、解析することを試みる。植物の網羅的解析では数ヶ月に及ぶ生長の観察が必要とされるが、本研究においては直上からイネを観察した際に見られる成長運動に着目し、座標変換および時空間平面への投影により葉の成長運動の軌跡を2次元上に可視化する。これにより発芽誘導からの時間による葉の運動パターンの変化、日周変動、および回旋運動等を観察することができた。In this paper, we present visualization and analyzing method for growth and development of rice leaves from image series taken right above a rice plant. To observe growth pattern of plants for more them two months, we pay attention to the growth and development that was observed above. The tracks of the leaf growth are visualized in two dimensions image using coordinate transform method, then generating to the spatiotemporal image. As a result, we observed many important biological events such as the growth movement pattern according to time from the germination inducement, the circadian rhythm, and the root-tip rotation.
著者
青木 伊豆男 渡辺 邦洋 斎藤 隆
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.250-255, 1987-04-05

シッフ塩基[N-(アルキル)サリチリデン-1-ブチルアミン]とそのZn及びBe錯体の蛍光及びりん光特性に及ぼすアルキル置換基の効果を検討した.錯体の吸収スペクトルはシッフ塩基の中性分子ではなく,その陰イオンに類似していた.シッフ塩基の中性分子は低温においても蛍光を示さず,陰イオンは室温(296K)では微弱であるが蛍光を示し,低温では強い蛍光を示した.錯体は室温でも強い蛍光を示し,そのスペクトルは77Kにおけるシッフ塩基陰イオンのスペクトルに類似していた.又,錯体は77Kにおいて強いりん光を示すがシッフ塩基陰イオンのりん光性は小さい.錯体の蛍光及びりん光はシッフ塩基イオンが金属イオンに配位することにより固定され,イオンの振動が抑制された結果と考えられる.又,シッフ塩基のフェニル環中のアルキル置換基は鈴体の蛍光及びりん光に大きな影響を及ぼす.アゾメチン基に対して5位のアルキル基はシッフ塩基のπ電子を非局在化させることにより,錯体の蛍光を増大させ,4位のアルキル基は局在化させることにより,りん光を増大させると考えられる.
著者
軍司 祥雄 斎藤 隆 磯野 可一 松原 久裕
出版者
千葉大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1995

消化器癌に対する集学的治療のなかで免疫療法の比重は未だ低い。これは免疫療法の理論的構築が動物実験ではなされているものの実際に臨床の場では顕著な効果を得られないことによる。この免疫応答不全の原因を究明することは癌の治療に大きな寄与をすると考えられる。担癌マウスの免疫応答不全の原因として脾細胞ではそのT細胞リセプター/CD3複合体(TCR/CD3 complex)のうちζ鎖が欠損し、IgEの高親和性リセプターであるFcεRIγ鎖がζ鎖に置き代わってTCR/CD3 complexを形成していることを示唆する実験結果が報告されている。我々はこのことが癌患者の免疫応答不全の原因となっていると考え癌患者の末梢血リンパ球のT細胞および腫瘍浸潤リンパ球を用いて検索した。担癌患者の末梢血リンパ球および手術時に摘出した癌部より0.5% collagenase処理により分離したリンパ球を0.5%digitoninでlysisしmonoclonal anti-CD3εAbで免疫沈降する。さらに2次元SDS-PAGEでTCR/CD3complexの構造を解析した。結果1.担癌患者の末梢血リンパ球105症例136回の分析ではζ鎖の発現が減弱したもの41回、完全に消失したもの47回であり約1/3の検索で完全消失を示した。大腸癌、胃癌、食道癌、肝癌、膵癌、乳癌などの症例において検索したが、特に癌の種類によるζ鎖の発現変異は認めなかった。TNM classificationによる癌の進行状況との関係をみるとstageが進行するのに従いζ鎖の発現の減弱、および消失する頻度が増強した。特に再発症例では47症例の検索中、発現の減弱は17例、消失は21例に見られた。2.癌患者の手術時摘出標本より分離した腫瘍浸潤リンパ球34症例(胃癌21例、大腸癌13例)の検討ではTCR/CD3 complexの構造異常が見られる症例は24例に見られ、そのうちζ鎖の消失が認められたものは18症例(52.9%)と高率であった。大腸癌、胃癌の両者においてこの現象は認められ、さらに末梢血Tリンパ球での構造変化が見られない症例でも腫瘍浸潤リンパ球では変化が見られ、癌局所のリンパ球から先に構造変化がくると事を示唆した。さらにζ鎖の発現の推移をみた症例では癌の進行が進むにつれて発現の減弱、消失が認められ、また治療に反応して発現が回復した症例も経験しζ鎖の発現消失は可逆的である可能性が示唆された。癌抗原がT細胞上に提示されたとしてもζ鎖の構造異常がその後のT細胞内のシグナル伝達を阻んでいる可能性があり、担癌患者の免疫応答不全の原因となっている可能性が示唆された。この原因の解明をさらに進めている。
著者
軍司 祥雄 斎藤 隆 磯野 可一
出版者
千葉大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1994

担癌マウスの脾細胞ではそのT細胞リセプター/CD3複合体(TCR/CD3 complex)のうちζ鎖が欠損し、IgEの高親和性リセプターであるFcεRIγ鎖がζ鎖に置き代わってTCR/CD3 complexを形成していることを示唆する実験結果が報告され、我々はこのとこが癌患者の末梢血リンパ球のT細胞でおきているのかを検索した。担癌患者の末梢血リンパ球を0.5% digitoninでlysisしmonoclonal anti-CD3ε Abで免疫沈降する。さらに2次元SDS-PAGEでTCR/CD3 complexの構造を解析した。1.これら55症例68回の分析では正常人と同じ構造を示したもの24回、ζ鎖の発現が減弱したもの21回、完全に消失したもの24回であり約1/3の検索で完全に消失を示した。この時、特に癌の種類によるζ鎖の発現変異は認めなかった。TNM classificationによる癌の進行状況との関係をみるとstageが進行するに従いζ鎖の発現の減弱、および消失する頻度が増強した。特に再発症例では17症例の検査中、発現の減弱は6例、消失は10例に見られた。癌患者のTCR/CD3 complexの構造をグループにわけてみると(1)正常なタイプ、(2)抗CD3ε抗体でζ鎖の発現が見られないが抗ζ鎖抗体での免疫沈降でζ鎖の発現がみられるタイプ(3)抗CD3ε抗体、抗ζ鎖抗体でもまったく発現の認められないタイプ、(4)またマウスの結果と同様にζ鎖の発現がみられずFcεRIγ鎖がζ鎖に置き代わっていると思われるようなタイプに分類できた。さらにζ鎖の発現の推移をみた症例では癌の進行が進むにつれて発現の減弱、消失が認められ、また治療に反応して発現が回復した症例も経験しζ鎖の発現消失は可逆的である可能性が示唆された。癌抗原が担癌患者のT細胞上に提示されたとしてもTCR/CD3 complexの構造異常がその後のT細胞内のシグナル伝達を阻んでいる可能性があり、担癌患者の免疫応答不全の原因となっている可能性が示唆された。この原因の解明をさらに進めている。
著者
岡部 めぐみ 瀬川 大勝 宮村(中村) 浩子 斎藤 隆文
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告グラフィクスとCAD(CG) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.86, pp.29-34, 2004-08-18
参考文献数
5
被引用文献数
3

本論文では,多重スケール解析を用いて非写実的顔画像を生成する手法を提案する.サイズの異なるGaussianフィルタを複数組み合わせて周波数分解を行い,複数の異なる周波数帯域の情報を得る.そして,各帯域の詳細度を考慮し,それぞれに重み付けを行なうことで,輪郭などの局所的な情報や,陰影などの大域的な濃淡情報を得ることができる.これにより,輪郭線で表現できるフラットな情報だけでなく,陰影によって顔の凹凸情報も同時に表現する.さらに,色の情報を組み合わせることによって,よりアトラクティブな画像を得ることを可能としている.この手法の特徴は,少ないパラメタで描画結果を制御でき,また,照明条件に依らず,安定した結果が得られることである.We propose a new method to create non-photorealostic facial images. Our method is based on a multi scale analysis which uses Gaussian filters for frequency decomposition. By recomposing with proper weight for each band-pass image, we can get non-photorealistic facial images which include both local edge information and rough shading information of the source image. Furthermore, color information is added to create more attractive images. This method has the robustness against lighting conditions. Also, a user can control the drawing result with a few parameters.