著者
新井 啓
出版者
立正大学経済学会
雑誌
経済学季報 (ISSN:02883457)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.109-148, 2011-02

本稿は新井[2004],[2007],[2009a],[2009b],[2010a],[2010b],[2010c]における一連の研究の続きとして日経平均先物2008年9月限の証券会社別の超過需要開数のパラメータを推定している.本稿において超過需要関数の測定を行った期間はリーマンショック直前の期間であり,証券会社の行動も観測期間の半ばから一方的に日経先物のポジションを解消していく証券会社が見られるなど他の期間に比べると特徴のある期間であるといえる.そのため日経平均が比較的安定している期間に比べると推定は困難であった.また推定できる証券会社の数が他の観測期間と比較すると小さく,この期間に日経平均先物の取引を手控えていた証券会社が存在していた.このことが本稿における観測期間における特徴的なことである.本稿の推定結果からゴールドマンサックス証券が観測期間の半ばから戦略を変えていることが明らかになった.またドイツ証券が本稿の観測期間において最大の売りポジションを取っているが,超過需要曲線の傾きを示すパラメータの値は非常に大きく,積極的に先物を売る戦略を取っていたことが明らかとなった.
著者
甲野 雄次 新井 啓五 泉対 博 松川 俊一 糸原 重美
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獣医学雑誌 (ISSN:00215295)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.117-125, 1986-02-15
被引用文献数
1

羊を用いて牛白血病ウイルス (BLV) の感染防御実験を実施した。Triton X-100により不活化した100倍濃縮BLV培養液をフロインド完全アジュバントとともに8頭の羊に2週間隔で3回筋肉内接種した。最終免疫から2週後, すなわちgp抗体価が1:32〜1:256に達した時に, 4頭の免疫羊に50μlのBLV感染羊血液を皮内接種したが感染は成立しなかった。この4頭を含めた8頭の免疫羊の抗体価が1:1〜1:8に低下した時, 同一方法で再び攻撃接種を行った。その結果, すべての羊は抗体価の著明な上昇を示し, 同時にBLVも分離された。BLV感染羊の血清から分離した種々の量の免疫グロブリンを, 健康羊に腹腔内接種した後攻撃接種を行った結果, 1:64の抗体価を持った個体では感染防御が成立した。実験に用いたすべての羊につき感染防御の成立と液性抗体価の関係を調べた結果, 1:64以上の抗体価を持つすべての羊および1:32の抗体価を持つ羊の半数で感染防御が成立したが, 1:16以下の抗体価を持つ個体では1頭が感染防御を示したにすぎなかった。
著者
新井 啓 川上 芳明 大澤 哲雄 波田野 彰彦 糸井 俊之 水澤 隆樹 筒井 寿基 谷川 俊貴 高橋 公太
出版者
一般社団法人 日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科学会雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.94, no.4, pp.525-528, 2003-05-20 (Released:2010-07-23)
参考文献数
19

症例は, 28歳男性および30歳男性の兄弟. 弟は左精巣の腫脹を主訴に受診し精巣腫瘍を疑われ手術となった. 術中, 子宮・卵管の遺残を認めたため, 交叉性精巣転移を伴うミュラー管遺残症候群に精巣腫瘍を合併したものと診断された. 兄は不妊症を主訴に受診し精巣の生検の際, 子宮・卵管の遺残を認め, 交叉性精巣転移を伴うミュラー管遺残症候群と診断された.
著者
荒川 千恵子 三沢 浩 新井 啓一 三浦 史郎 渡辺 政利 新井 英明
出版者
一般財団法人 住総研
雑誌
住宅総合研究財団研究年報 (ISSN:09161864)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.203-214, 2000 (Released:2018-05-01)

本研究は公的集合住宅の建替時に,居住環境の連続性を確保するため,居住者から各人の「エピソード記憶」を聴き,建替計画に生かす手法の提案である。ふるさとに等しい住み慣れた団地に,彼らが喜んで戻れる計画手法がないからである。そこで4団地を対象に調査を行ない,「生活用語」を手掛かりにして記憶を引き出し,かつ自由記述で暮らしの状況をみた。加えて住まいの「空間用語」を使い,空間の良し悪しを聴いた。結果として,今までの計画では普遍性がないとして排除された個人の記憶を,建替時に活用し得ることが分かってきた。この手法は馴染みある団地の再建が期待でき,かつ居住者に計画への参加を広げる可能性も持っている。
著者
新井 啓哲
出版者
THE CARBON SOCIETY OF JAPAN
雑誌
炭素 (ISSN:03715345)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.223, pp.232-243, 2006-06-15 (Released:2010-06-28)
参考文献数
55
被引用文献数
4 5
著者
新井 啓
出版者
立正大学経済学会
雑誌
経済学季報 (ISSN:02883457)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.101-167, 2011-11

本稿は新井[2004],[2007],[2009a],[2009b],[2010a],[2010b],[2010c]における一連の研究の続きとして日経平均先物2007年3月限の証券会社別の超過需要関数のパラメータを推定している.これまでの研究により日経平均株価が一方的に上昇するような期間における証券会社別の超過需要関数の計測は比較的容易に行えることが明らかになっている.日経平均先物2007年3月限が取引された期間において日経平均株価は徐々に上昇していく傾向にあった.本稿における証券会社別の超過需要関数の推定結果から,多くの外資系の証券会社の超過需要曲線の傾きを示すパラメータの推定値は理論とは逆の値になり,外資系の証券会社がトレンドを追うような積極的な取引戦略を行っていたと結論することができる.日系の証券会社の中でも野村証券については超過需要関数の計測が非常に困難であった.これは日経平均株価の水準の上昇以外のその他の要因が大きく影響しているためと思われる.
著者
新井 啓
出版者
立正大学経済学会
雑誌
経済学季報 (ISSN:02883457)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.129-150, 2010-01

本稿は,日経平均先物市場における個別証券会社の先物契約超過需要関数を計測することを目的としている.時系列データの利用により各証券会社の超過需要関数を計測する場合に問題となるのが系列相関の問題である.計量経済学の技術的な方法によれば解決可能ではあるが,モデルを改良していくと,経済理論とは無縁ではあるが統計的には申し分のない測定結果を得ることができる.これでは経済学的な意味がない.本稿では,計量経済学の技術的な方法を利用するのではなく,経済理論によって時系列のデータを扱った場合の系列相関の問題をいかにして解決していくべきかを述べる.本稿での計測式は各証券会社の先物契約保有量が日経平均先物の絶対水準で説明されるとの回帰式である.しかしこれをそのまま測定すると系列相関の問題が発生する.そのため,ある証券会社が他の証券会社がどれだけ日経平均先物のポジションを増減させるのかを知っているというゲーム理論的な状況を先物の取引者の期待の形成に取り入れる.これは各証券会社の建玉間の共変動を利用するものである.この経済理論によって導かれた計測式は,ある証券会社の先物のポジションを価格の絶対水準と大口の証券会社の建玉で説明するものである.そのため価格の絶対水準を理論的に消すことができるならば寡占市場の分析で用いられる企業者の生産量の決定式に等しい.したがって本稿の理論を発展させることができれば,金融市場におけるゲーム論的状況を分析する際にも役に立つものである.
著者
新井 啓
出版者
立正大学経済学会
雑誌
経済学季報 (ISSN:02883457)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.89-121, 2010-09

本稿では証券会社別の日経平均先物の超過需要関数のパラメータを利用して日経平均オプション契約の超過需要関数を数値計算的に求めた.日経平均先物の証券会社別のポジションは週次ベースで日本経済新聞上で知ることができる.しかし日経平均オプションの証券会社別のポジションを知ることはできない.そのため同じ原資産である日経平均先物の超過需要関数のパラメータを利用することで日経平均オプションの証券会社別超過需要関数を推定することになった.経済モデルから直接的に推定するのではなく数値計算とならざるを得なかったのは,日経平均オプションの超過需要関数を計測するためには各証券会社の予想価格分布の標準偏差を求める必要があり,これは日経平均先物の超過需要関数のパラメータになってはいるものの,他のパラメータとの積になっているために,それを分離して日経平均先物の証券会社別超過需要関数のパラメータを推定する場合には,超過需要関数が線形であるために推定すべきパラメータの数が多すぎてしまい,推定が不可能になってしまうからである.このようにして導出された証券会社別の日経平均オプションの超過需要関数によって個別証券会社の日経平均オプションのポジションを逆算できることを示した.
著者
平野 滋 中野 宏 松井 雅裕 新井 啓仁
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.120, no.9, pp.1140-1146, 2017-09-20 (Released:2017-10-03)
参考文献数
8
被引用文献数
2

この数年来, 甲状腺癌に対する薬物治療が激変している. かつて放射性ヨウ素 (RAI) 不応の再発・転移分化型甲状腺癌に対しては, 1970年代にドキソルビシンが治療選択肢として提唱されたが定着せず, その後長きに渡り RAI 不応甲状腺癌に対する有効な薬物治療法はなかった. 髄様癌や未分化癌について有効な薬物療法がなかったのは言うまでもない. 2014年に multi-target kinase inhibitor (m-TKI) であるソラフェニブ (sorafenib) の有効性が証明され, 日本でも保険適応となり, その後, レンバチニブ (lenvatinib), バンデタニブ (vandetanib) が相次いで登場し日常臨床における治療オプションがさらに充実するようになった. ソラフェニブは第3相ランダム化試験である DECISION 試験で, レンバチニブは同じく SELECT 試験において, RAI 不応分化型甲状腺癌に対しプライマリーエンドポイントである無増悪生存期間 (PFS) を有意に改善させた. その後, ソラフェニブは髄様癌に対する適応も取ったが, レンバチニブは分化型甲状腺癌,髄様癌, 未分化癌のすべてに適応を追加した. 分化型甲状腺癌における分子標的薬の適応は, 切除不能再発・転移病変で, RAI 不応かつ病勢進行の早いものとされるが, 開始のタイミングを逸すると効果が得られないので症例ごとの検討が必要である. また多彩な副作用が発生し得るが, 適切にコントロールすることで長期的な腫瘍制御は可能と考えられる. 慎重投与として大血管近傍, 気管・食道近傍, 皮膚浸潤などが指摘されており, 腫瘍縮小にともなう動脈出血が報告されている. 多くは未分化癌であるが, 従来治療困難な癌に対し優れた効果を認めており, 合併症対策を検討することが重要である. 分子標的薬使用中の手術についても創傷治癒遅延の懸念が示されているが, 十分な検討はなされていない. 大きな期待を持たれて登場した分子標的薬であるが, まだ十分に使いこなせているとは言えず, 外科医目線の検討が今後必要と考えられる.
著者
平岡 克己 岡田 諭士 新井 啓之
出版者
東海大学
雑誌
東海大学紀要 工学部 (ISSN:05636787)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.53-58, 2003

At the Fukuoka airport under strong wind, a veteran worker, who was checking the rock pin of the bulk cargo door of an MD'll airplane, fell down. In order to investigate the relationship of this fall accident and strong wind, a wind tunnel experiment and numerical computations using Fluent were carried out. Using a 1/100 scale model of the airplane, velocity distribution was measured by a hot wire probe. Calculating the three-dimensional inviscid incompressible flow, a flow field was obtained. It was shown that when there is a side wind against the airplane axis, a strong blow with complex vortices occurs on the leeward rear side of the fuselage. It is considered that such a strong wind broke down the worker's balance and led to the fall accident.
著者
新井 啓之 宮川 勲 小池 秀樹 長谷山 美紀
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.32, no.26, pp.33-36, 2008-06-23
被引用文献数
1

デジタルサイネージの広告効果測定への適用を想定した,混雑時にも適用可能でかつ簡易な初期設定で利用可能な映像からの人数推定方法を提案する.本手法では,各画素が実空間の人物表面上でどのくらいの面積を占めるかを考慮することにより,画素から人数への変換係数を定義する.そして入力画像において検出された前景画素に沿ってこの変換係数を積算することにより推定人数を得る.局所的な処理結果の単純な積算として人数を推定できるため,混雑時においても安定な処理が可能となる.また処理に必要な幾何パラメータは,人の平均身長など先験的知識から決定されるものとカメラ校正により取得できるもののみであり,カメラ校正を行っておけばカメラ毎の細かなチューニングは不要となる.実画像を用いた実験により本手法の妥当性を確認した.