著者
有本 卓
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.2, no.4, pp.4_37-4_47, 2009-04-01 (Released:2011-05-01)
参考文献数
17
被引用文献数
2

人が類人猿と峻別でき,文明を開くに至った要因の一つに手先の器用さ,巧みさがある.それは拇指と他の指との拇指対向性(ngers-thumb opposition)の発達に伴って獲得された.本論文では,任意形状の物体を拇指対向性に基づいて物体把持するときのダイナミクスを導出し,その特徴付けをリーマン幾何学に基づいて与える.指先と物体との間に転がり拘束を許すとき,オイラー・ラグランジュの方程式は弧長パラメータを含むが,形状の第一基本量のみに依存する.しかし弧長パラメータの更新は第二基本量を含む1 回の非線形微分方程式に従わねばならない.非ホロノミック拘束と思われた転がり拘束は,弧長パラメータを含めてフロベニウスの意味で可積分になり,ホロノミック拘束とみなされる.また,システム全体を表すリーマン多様体上に定義されたモース・リヤプノフ関数の性質に基づき,安定把持がディリクレ・ラグランジュの安定定理の拡張版によって証明できることを示す.
著者
宮崎 文夫 有本 卓
出版者
The Society of Instrument and Control Engineers
雑誌
計測自動制御学会論文集 (ISSN:04534654)
巻号頁・発行日
vol.14, no.4, pp.428-433, 1978-08-30 (Released:2009-03-27)
参考文献数
11
被引用文献数
6 7

Biped locomotion is a type of movement in which the mover makes use of the gravity skillfully. The purpose of this paper is to investigate the dynamics of biped locomotion from the viewpoint of both classical mechanics and modern control theory. To this end, a mathematical model with moderate degrees of freedom is proposed, which is derived as a model of five-link locomotion expressing the essence of human biped locomotion. The structural features of the model are discussed from the viewpoint of freedom of dynamics and controllability. It is then shown that some specific dynamical features of the locomotion model can be characterized in terms of angular momentum. It is finally shown that the ‘gait stability’, which is a special type of stability inherent to biped locomotion, is realized by a proposed control which satisfies the final condition of a swinging leg.
著者
有本 卓
出版者
物性研究刊行会
雑誌
物性研究 (ISSN:05252997)
巻号頁・発行日
vol.82, no.4, pp.625-654, 2004-07-20
被引用文献数
7

この論文は国立情報学研究所の電子図書館事業により電子化されました。
著者
大西 弘之 鈴木 寿 有本 卓
出版者
The Robotics Society of Japan
雑誌
日本ロボット学会誌 (ISSN:02891824)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.232-240, 1998-03-15 (Released:2010-08-25)
参考文献数
17
被引用文献数
3 6

This paper discusses on a method of computing the scale of magnification, the angle of rotation, and the quantity of parallel translation that is based on a Hough transform and a Fourier transform. This method applies a Radon transform to images in all directions, differentiates the Radon transformed planes, divides the differentiated planes into positive and negative areas, computes the power spectra of period 2π by applying one-dimensional Fourier transforms to positive and negative differentiated planes, applies a Mellin transform, and gets the scale of magnification and the angle of rotation. Known methods by using 2D Fourier transforms are unable to compute uniquely the angle of rotation from power spectra since they are π-periodic. The proposed method can compute uniquely the angle of rotation from power spectra since they are 2π-periodic. Moreover, to reduce the computational cost, a Radon transform is replaced by a Hough transform by taking account of edges. Experiments were applied to actual images of industrial parts.

1 0 0 0 制御原理

著者
有本卓著
出版者
共立出版
巻号頁・発行日
1972

1 0 0 0 情報理論

著者
有本卓著
出版者
共立出版
巻号頁・発行日
1976
著者
登尾 啓史 浪花 智英 有本 卓
出版者
The Robotics Society of Japan
雑誌
日本ロボット学会誌 (ISSN:02891824)
巻号頁・発行日
vol.7, no.5, pp.403-413, 1989-10-15 (Released:2010-08-10)
参考文献数
14
被引用文献数
1 4

移動ロボットの実際的な障害物回避経路を高速に生成するアルゴリズムを提案する. このアルゴリズムは, 作業空間を上から撮影した実画像から効率的に作成されるクワッドツリーというモデル上で機能するので, 作業空間の障害物の配置の変化に柔軟に対応できる. また, クワッドツリーは作業空間のすべての領域を位置に関して階層的に管理しているので, 移動ロボットより小さな領域を探索しないようにすることによりロボットと障害物の干渉を調べなくても障害物回避経路が生成できる.膨大な個数のノードを保持するクワッドツリーを直接的に探索して障害物回避経路を選択すると計算時間がかかる. そこで本研究では, クワッドッリー上にノード数を小さくおさえたパスグラフを展開し, それを探索することで間接的に障害物回避経路を選択し, アルゴリズムを高速化する. 最後に, この高速性を従来の経路生成アルゴリズムとの比較で実験的に確認する.
著者
鈴木 寿 大西 弘之 有本 卓
出版者
The Robotics Society of Japan
雑誌
日本ロボット学会誌 (ISSN:02891824)
巻号頁・発行日
vol.5, no.6, pp.431-441, 1987
被引用文献数
4 1

連想データベースを自己組織化する簡単で効率の良い方法を提案すると共に, 自律移動知能ロボットへ応用する.システムは, 予め規定された処理部と, 初期状態では空白な記憶部とから成る.現時点の入力信号に対し, 処理部はこれに似ている過去の入力信号を記憶部から検索し, その関連情報を呼び出す.もし現入力信号の随伴情報がこの関連情報と一致しなければ, 新たな情報が記憶部のデータベースに付加され, その影響は次回の処理に反映される.このように記憶状態と入力信号の双方に依存して, データベースは自己組織化的に成長してゆく.データベース組織化の履歴は入力系列に依存するので, 個々のデータベースは固有な構造を獲得する.もし十分な長さの入力系列が与えられると, 入力信号と関連情報の対応関係は, 入力系列のそれに一致するようになる.脳における直観的情報処理の概念的ではあるが本質的なモデルを与えているという点で, また実用的立場からは, 要求された応答をユニパーサルに学習する学習機構へ応用できるという点で, 本システムは意義深い.この学習機構を利用した廊下用のカメラ方式自律移動ロボットを紹介する.ロボットの頭脳は, プロセッサーi80286を搭載したマイクロ計算機によって構成され, ロボットの行動は, C言語に追加設計した小規模のロボット言語を用いて制御される.良好な実験結果が示される.
著者
有本 卓 平井 慎一 小澤 隆太
出版者
立命館大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2004

冗長自由度系に関するベルンシュタイン問題に挑戦し、手先拘束が無い多関節到達運動に関しては、作業空間における仮想スプリング・ダンパー仮説(Virtual Spring-Damper Hypothesis)に基づく方法が有効に機能することを、理論的かつロボットの腕を用いた実験により、実証した。この仮説は、運動生理学の分野において唱えられた平衡点仮説、仮想軌道仮説、および逆ダイナミクス生成仮説と異なり、逆動力学の不良設定性を解消することなく、従って人為的な最適化のためのコスト関数を導入する必要のない全く自然な運動生成法を導く。また、冗長関節系による書字作業のように、重力下で手先拘束がある場合、仮想スプリング・ダンパー仮説が有効に機能し得るか、検証した。この場合、二つの重力補償法を考案し、良好なシミュレーション結果を得たが、決定的な方法と断定するまでには至っていない。また、理論的な検証についても、現時点では結論し得ていない。本年度は、冗長関節系について、理想運動が繰返し学習によって獲得できることを理論的、かつ、実験的に示すことに成功した。この結果は、幼児の到達運動に関する学習の様式と対比させ得る。幼児が初めて、目の前の物体を取ろうとして手を伸ばすとき、腕や手の関節の動きを見ずに、手先のみを見ていることが観察されている。冗長関節系の場合、手先空間の次元は関節空間の次元より低くなる。この低次元作業空間で与えた理想軌道と学習更新則に基づいて、繰返し学習が有効に機能し得ることを見出した。しかも、低次元の作業空間のみに理想軌道を与えたとき、高次元の冗長な関節運動と理想の制御入力信号が一意的に定まることを理論的に示すことに成功した。この結果は、冗長関節系にも繰返し学習の理論体系があり得ること、また、これらの力学的本質が運動能力の獲得に関する発達心理学や脳科学の知見と対比し得ることを示唆する。
著者
山本 博資 有本 卓
出版者
東京大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1994

上記課題の研究により,下記の成果を得た。1.秘密情報が離散情報で,暗号の安全性レベルを盗聴者の秘密情報に対する条件付きエントロピーで評価する場合(a)通信路が離散的放送型通信路(Discrete Brroadcast Channel)の場合に対して、暗号文レート R,鍵レートRk、安全性レベルh,正規の受信者に対する歪許容値Dの達成可能領域(Achievable region)を確定した.(b)通信路がガウス性ワイヤータップ通信路(Wiretap Channel)の場合に対して、暗号文レート R,鍵レートRk、安全性レベルh,正規の受信者に対する歪許容値Dの達成可能領域(Achievable region)を確定した.2.秘密情報が連続値を取り,暗号の安全性レベルを盗聴者が達成できる歪の最小値で評価する場合(a)通信路が離散的放送型通信路(Discrete Brroadcast Channel)の場合に対して、暗号文レート R,鍵レートRk、安全性レベルhD^^〜,正規の受信者に対する歪許容値Dの達成可能領域(Achievable region)の内界(inner bound)を導出した.(b)通信路がガウス性ワイヤータップ通信路(Wiretap Channel)の場合に対して、暗号文レート R,鍵レートRk、安全性レベルD^^〜,正規の受信者に対する歪許容値Dの達成可能領域(Achievable region)の内界(inner bound)を導出した.3.秘密情報が離散情報で,暗号の安全性レベルを盗聴者が達成できる歪の最小値で評価する場合(a)通信路が無雑音通信路(Noiseless Channel)の場合に対して,暗号文レートR,鍵レートRk、安全性レベルD^^〜,正規の受信者に対する歪許容値Dの達成可能領域(Achievable region)の内界(inner bound)と外界(Outer bound)を導出した.
著者
鈴木 寿 大西 弘之 有本 卓
出版者
日本ロボット学会
雑誌
日本ロボット学会誌 (ISSN:02891824)
巻号頁・発行日
vol.5, no.6, pp.431-441, 1987-12-15 (Released:2010-08-25)
参考文献数
20
被引用文献数
1

連想データベースを自己組織化する簡単で効率の良い方法を提案すると共に, 自律移動知能ロボットへ応用する.システムは, 予め規定された処理部と, 初期状態では空白な記憶部とから成る.現時点の入力信号に対し, 処理部はこれに似ている過去の入力信号を記憶部から検索し, その関連情報を呼び出す.もし現入力信号の随伴情報がこの関連情報と一致しなければ, 新たな情報が記憶部のデータベースに付加され, その影響は次回の処理に反映される.このように記憶状態と入力信号の双方に依存して, データベースは自己組織化的に成長してゆく.データベース組織化の履歴は入力系列に依存するので, 個々のデータベースは固有な構造を獲得する.もし十分な長さの入力系列が与えられると, 入力信号と関連情報の対応関係は, 入力系列のそれに一致するようになる.脳における直観的情報処理の概念的ではあるが本質的なモデルを与えているという点で, また実用的立場からは, 要求された応答をユニパーサルに学習する学習機構へ応用できるという点で, 本システムは意義深い.この学習機構を利用した廊下用のカメラ方式自律移動ロボットを紹介する.ロボットの頭脳は, プロセッサーi80286を搭載したマイクロ計算機によって構成され, ロボットの行動は, C言語に追加設計した小規模のロボット言語を用いて制御される.良好な実験結果が示される.