著者
稲垣 克哲 森 奈美 本田 洋士 髙木 慎太郎 辻 恵二 茶山 一彰
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.58, no.8, pp.448-454, 2017-08-20 (Released:2017-08-30)
参考文献数
24
被引用文献数
1 15

症例は20歳,男性.社交不安障害の治療中に全身倦怠感と黄疸が出現し,入院した.自己判断で抗ストレス・強壮目的にアシュワガンダと複数の処方箋薬を併用していたが,入院1カ月前からアシュワガンダを過剰摂取していた.DDW-J 2004薬物性肝障害診断基準では8点「可能性が高い」となり,アシュワガンダによる肝細胞障害型の薬物性肝障害と診断したが,本製品及び併用薬の中止後,肝酵素は低下するも高ビリルビン血症は増悪し,中止1カ月後にT-Bil 31.3 mg/dLとなった.肝生検では類洞内に限局して多数の胆汁栓を認め,ウルソデオキシコール酸(UDCA)とフェノバルビタールにて利胆を図り,改善した.薬物性肝障害において,起因薬物中止後も肝内胆汁鬱滞が増悪することは少なく,またアシュワガンダによる肝障害の報告事例はない.アシュワガンダは無承認無許可医薬品であり,販売実態の調査や不適切使用について注意喚起が必要である.
著者
本田 洋 羽生 健
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.238-246, 1989-11-25
被引用文献数
4

走査型電子顕微鏡を用いてモモノゴマダラノメイガとマツノゴマダラノメイガ成虫の触角上の感覚器について形態, 数, 分布を比較検討した。観察に先立ち同一試料で検体の全面を観察できる特殊な試料固定装置を考案作製した。両種の触角からはBahm's bristle, s.styloconicum, s.trichodeum, s.chaeticum, s.squamiformium, s.basiconicum, s.auricillicum, s.coeloconicumの合計8種類の感覚器が見いだされ, これらの感覚器の形態および分布様式には性差あるいは種間差はなかった。一方, いずれの種においても, s.trichodeumは雌よりも雄に多く, その数は8,000〜8,500本(雄), 6,500〜6,800本(雌)であり, 逆にs.basiconicumは雄(760本)よりも雌(1,400本)に多く見いだされた。しかし, 残りの7種類の感覚器に関しては数の上での性差は両種にはみられなかった。以上の結果から, モモノゴマダラノメイガとマツノゴマダラノメイガは, すでにそれぞれの触角上の嗅覚感覚器の匂い物質に対する感受性は一部分化しているが, 感覚器の大きな形態的分化はまだ起きてないと結論した。
著者
本田 洋 松本 義明
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.28-35, 1987
被引用文献数
9

モモノゴマダラノメイガの2系,果実系幼虫とマツ科系幼虫の寄主特異性の比較のために,両系幼虫の寄主植物の有機溶媒抽出物および含有糖類に対する摂食反応を,試料添加のロ紙を幼虫に摂食させる簡易検定法で調べた。<br>1) 両系幼虫ともにそれぞれの寄主植物(スギ葉を除く)の80% MeOH抽出物に対して強い摂食反応を示したが,他の有機溶媒抽出物にはほとんど反応を示さなかった。<br>2) 果実系幼虫はマツ科系の寄主植物であるゴヨウマツの80% MeOH抽出物により摂食を阻害されたが,ヒマラヤスギ,ウラジロモミの同抽出物にはほとんど反応しなかった。<br>3) マツ科系幼虫は果実系幼虫の寄主植物のモモ,クリ,リンゴ果実の80% MeOH抽出物にはいずれも強い摂食反応を示した。<br>4) 果実系の寄主植物のクリにはシュークロースが多量に含まれ,モモ,リンゴあるいはスギ葉にはフラクトース,グルコースが多いがシュークロースは少ない。一方,マツ科系の寄主植物にはいずれもフラクトースが多く,シュークロースはきわめて少ない。<br>5) 果実系幼虫はシュークロースに最も強く反応し,ついでフラクトース,グルコースの順に反応した。また幼虫はソルビトール,イノシトールに弱いながら摂食反応を示したが,マルトースとラクトースでは摂食を阻害された。<br>6) マツ科系幼虫はフラクトースに最も強く反応し,ついでシュークロース,グルコースに反応した。しかし他の供試糖類に対してはほとんど反応を示さなかった。<br>7) 両系幼虫の糖選好性と寄主植物中の糖含有量はほぼ対応していた。<br>8) 以上の結果から,果実系とマツ科系は幼虫の寄主特異性の基礎と考えられる糖類に対する摂食反応が異なり,これら2系は分類学上異なる位置にある集団であると結論される。
著者
本田 洋介 浦川 順治 阪井 寛志 笹尾 登
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.19-25, 2004

超低エミッタンス電子ビームの生成は,第三世代放射光装置,X線領域自由電子レーザー,TeV領域線形衝突型加速器等の実現にとって必要不可欠の技術である.このためにはエミッタンス自身を信頼度高く測定できる「目」(モニター)が本質的である.本稿においては,新しく開発したレーザーワイヤーモニターの原理とその特徴,それを用いたエミッタンス測定,及び今後の展望について紹介する.
著者
小南 陽子 相方 浩 平松 憲 田中 未央 苗代 典昭 中原 隆志 本田 洋士 長沖 祐子 村上 英介 宮木 大輔 三木 大樹 河岡 友和 高木 慎太郎 平賀 伸彦 柘植 雅貴 芹川 正浩 今村 道雄 兵庫 秀幸 川上 由育 高橋 祥一 佐々木 民人 茶山 一彰
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.110, no.3, pp.456-464, 2013 (Released:2013-03-05)
参考文献数
24
被引用文献数
1

症例は61歳男性.毎年,検診にて40mm大の肝嚢胞を指摘されていたが,2011年の腹部超音波検査にて肝嚢胞の増大を指摘.造影CT検査などの各種検査を行ったが確定診断に至らず,嚢胞周囲の軽微な胆管拡張の精査目的にてERCPを施行.その際の胆汁細胞診にて多量の肝吸虫卵を認め,肝吸虫症と診断.プラジカンテルの内服により肝嚢胞の縮小と血中肝吸虫抗体価の陰性化が得られ,肝吸虫の駆虫が確認された.
著者
浦川 順治 照沼 信浩 本田 洋介 坂上 和之 山本 樹 柏木 茂 楊 金峰 鷲尾 方一 栗木 雅夫 福田 将史 高富 俊和 Liu Shenggnuang Deshpande Abhay Potylitsyn Alexander Tishchenko Alexey A. Konoplex Ivan. V. Ghosh Subhendu
出版者
大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2011-04-01

フェムト秒パルスレーザー3倍高調波出力の高強度化(1.0mJから2.7mJへ)及び高安定化(pointing and energy stability <1.0%)を進め、光カソードからの90フェムト秒電子単バンチ及び4ミクロバンチビーム生成・加速(8MeV)後、遷移放射、スミスパーセル放射によるブロードバンド及び準単色化THz(0.3~10THz)特性測定を行った。2から4ミクロバンチ生成によるTHz超放射確認実験は、30cm-5周期小型ウィグラー磁石を使って行った。ウィグラー磁石Gap調整によりFEL共鳴放射条件を満足させた結果、Sub-THz超放射測定に成功した。THz応用実験も行った。
著者
田村 泰盛 服部 誠 今野 浩太郎 本田 洋 河野 義明
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.191-199, 2004-08-25
被引用文献数
8

ブタクサハムシの寄主植物を含むキク科6連11属17種の植物のメタノール抽出物に対する、ブタクサハムシの摂食反応を調べた。メタノール抽出物を添加したろ紙上に残されたブタクサハムシの摂食痕数により摂食刺激活性を評価した。ブタクサの抽出物の摂食刺激活性が最も高く、野外で食害が報告されているオオブタクサ、オオオナモミ、イガオナモミはブタクサの約55-80%の高い活性を示した他、ヒマワリもブタクサの約20%の活性を示した。また、野外で摂食が確認されていない種でもイヌキクイモとゴボウの抽出物が高い摂食刺激活性を示し、レタスのカイザー品種でもブタクサの約10%の活性が認められた。その他の9種のキク科植物のメタノール抽出物は活性を示さなかった。ブタクサハムシの摂食刺激物質である2種のトリテルペノイド(α-amyrin aceaeとβ-amyrin aceae)と2種のカフェー酸誘導体(chlorogenic acidと3、5-dicaffeoylquinic acid)を上記植物について分析したところ、これらの物質は濃度や組成比が異なるものの、多くのキク科植物にも含まれていた。ブタクサのメタノール抽出物に、各種キク科植物のメタノール抽出物を添加したところ、幾つかの種でブタクサハムシの摂食が抑制された。ブタクサハムシの食草の選択は、摂食刺激物質の存在だけでなく、摂食行動を抑制する因子の影響も受けると考えられる。
著者
田村 泰盛 服部 誠 今野 浩太郎 本田 洋 河野 義明
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.191-199, 2004 (Released:2004-11-30)
参考文献数
32
被引用文献数
8 8

The leaf beetle Ophraella communa is an oligophagous insect that infests several asteraceous plants, especially ragweed Ambrosia artemisiifolia, in fields of Japan. The feeding responses of O. communa to methanolic extracts of 11 genera and 17 species of asteraceous plants were examined to determine whether feeding preference depended on chemicals in the plants. The methanolic extracts of 8 asteraceous species stimulated feeding in O. communa, but the other 9 species showed no activity. Two triterpenoids (α-amyrin acetate and β-amyrin acetate) and two caffeic acid derivatives (chlorogenic acid and 3,5-dicaffeoylquinic acid) are known as feeding stimulants for O. communa. The distribution of these compounds was analyzed in 17 asteraceous species. These compounds were found in many species, including nonhost plants of this beetle, however amounts and compositions differed. Even when the methanolic extracts of A. artemisiifolia were added to extracts of some species which did not elicit feeding of O. communa, the feeding of O. communa was not induced by the inactive plants. Feeding deterrents as well as feeding stimulants in the leaves of asteraceous plants appear to determine the feeding preference of O. communa.