著者
本間 友香里 近藤 隆二郎
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集G(環境) (ISSN:21856648)
巻号頁・発行日
vol.68, no.6, pp.II_329-II_339, 2012 (Released:2013-02-13)
参考文献数
25

本研究は,ベルギーゲント市のNPO団体EVA(Ethical Vegetarian Alternative)の活動における特徴や強みを明らかにしたものである.EVAは動物福祉や環境問題のために,ベジタリアニズムを広めることを活動の目的としており,その中でDonderdag Veggiedag(ドンダ-ダーク・フェヒーダーク)という名の週一ベジタリアン運動を展開している.EVAの活動にはフランダース州政府から助成金が出されており,また2009年からドンダ-ダーク・フェヒーダークがゲント市のオフィシャルキャンペーンとなる等,行政との協働関係が構築できている.長い肉食の歴史を持つ国で,ベジタリアニズムを広めるEVAの活動が成功している要因を明らかにするために,EVAの活動における特徴や強みについて検討を行った. その結果,EVAは人々に対し,よりポジティブな印象を与える活動や積極的な情報発信,参加型イベントを開催する等,市民が参加し易い活動を心掛けていることが明らかになった.また質の高い内部マネジメントが行われていたり,政治家との繋がりを作り,それを行政との協働関係構築に発展させる等,行政側と市民側の両方にバランスの取れた活動が行われている.これらのことより,EVAの活動は「明るく」,また戦略に基づいた「冷静」なものといえ,活動を成功へと導いていると結論づけられる.
著者
赤間 亮 波多野 宏之 本間 友
出版者
アート・ドキュメンテーション学会
雑誌
アート・ドキュメンテーション研究 (ISSN:09179739)
巻号頁・発行日
vol.27.28, pp.18-33, 2020-05-31 (Released:2021-06-23)

本稿は、JADS 30周年記念企画行事 第12回秋季研究集会(2019年11月16、17日)の2日目に行われた鼎談の記録である。鼎談においては、JADS創設に関わった初代幹事長/初代会長・波多野宏之氏を迎え、JADSの歴史、アート・ドキュメンテーションの必要性、対象とするアートの範囲について活発な議論が交わされた。
著者
本間 友貴 柿崎 藤泰 石塚 達也 西田 直弥 茂原 亜由美 平山 哲郎 泉崎 雅彦
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.43 Suppl. No.2 (第51回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0561, 2016 (Released:2016-04-28)

【はじめに/目的】我々は腰部骨盤帯の機能評価の一つとして筋の収縮性左右差を重要視し,理学療法に役立てている。そのなかでも腰方形筋(QL)の収縮性は特に左側において低下を認めることが多い。またQLが付着する第12肋骨(12rib)位置を評価すると,右側に比べて左側が水平面上で外方に位置している例が多い。共通して観察されるこの左右差から,QLの収縮性と12rib位置は関係があると推測される。そこで今回は,QLの収縮性に左右差が生じるメカニズムを明らかにするため,骨盤挙上運動におけるQLや12ribの位置変化,その他の下部体幹筋の左右を比較したところ,興味ある知見が得られたのでここに報告する。【対象と方法】対象は健常成人男性12名とした(平均年齢23.5±2.9歳)。課題動作は腹臥位での骨盤挙上運動(等尺性収縮)とし,大腿遠位部に装着した骨盤下制ベルトを介して体重の20%の重さで牽引した。計測項目は12ribとQL,脊柱起立筋群(ES),広背筋(LD),外腹斜筋(EOA)とし,超音波画像診断装置(EUB-8500,日立メディコ社)を用いて計測した。12ribとLDの測定位置は,上後腸骨棘を通過する腰椎長軸に並行な線と12ribの交点とした。QL,ESは第3腰椎レベルとし,EOAは同レベルの側腹部とした。得られた画像から画像解析ソフトImage J(米国国立研究所)を用いて,安静時12rib位置と各筋の断面積および筋厚,また挙上時12rib内方移動率と各筋の増加率を算出した。左右各3回におけるそれぞれの平均値を用いた。統計学的解析は12rib位置と各筋の左右比較をそれぞれ対応のあるt検定を用い,左右の12rib内方移動率と各筋における増加率の関係はPearsonの積率相関係数を用いて分析した。なお,有意水準は5%未満とした。【結果】安静時12rib位置は右側が内方に位置し(p<0.05),挙上時12rib内方移動率は右側が大きかった(p<0.01)。QL,LD,EOAの安静時断面積および筋厚,挙上時増加率は共に右側が大きく(p<0.05),ESは共に左側が大きかった(p<0.01)。右側の12rib内方移動率とQL,LDの間には正の相関が示された(r=0.68,0.83)。また左側の12rib内方移動率とESの間には負の相関が示された(r=-0.68)。【結論】本研究結果より,骨盤挙上運動におけるQLやLD,EOAの収縮性の優位性は右側に見られた。また右側QLの収縮性は12ribの内方移動と関係していた。解剖学的にLDやEOAは12ribを内方移動させる役割があるとされる。右側に見られるこれらの筋群が12ribを内方移動させ,QLの収縮性を高めたものと考えられる。一方,左側はESが強く運動関与していた。ESは12ribの内方移動を阻害し,QLの選択的収縮を困難にしていることが考えられ,代償的なものと捉えている。今回,QLの収縮性に関与する12ribの位置変化や下部体幹筋の収縮性の左右差が認められた。この左右差は体幹機能を評価する上で重要な基礎データとなり得ると考えられる。
著者
本間 友巳
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.51, no.4, pp.390-400, 2003-12-30 (Released:2013-02-19)
参考文献数
27
被引用文献数
2 4

本研究の目的は, いじめ加害者の特徴やいじめ加害の停止と関連する要因を明らかにすることを通して, いじめ加害者への対応について検討することである。調査対象は1,245名の中学生である。主要な結果は,(1) いじめ加害者によるいじめの停止に正の関連を持つ要因は, いじめやいじめ被害者に対する道徳・共感的な認知や感情であった。いじめ加害者のいじめ停止理由の自由記述でも, この結果は支持された。(2) いじめ加害者によるいじめ停止理由の記述を通して, いじめ停止に教師の指導が大きな影響を与えていることも明らかとなった。(3)「加害・継続群」は, 他の群に比べて,いじめ加害に関して大きな問題性を有していた。(4) いじめ加害者への対応として, 感情面まで踏み込んで道徳・共感性を高める取り組みを行うことが重要と考えられた。特に「加害・継続群」の生徒への対応は, 加害者個人のみならず, 加害グループや学級集団にも向けられる必要性が議論された。
著者
茂原 亜由美 本間 友貴 平山 哲郎 石田 行知 柿崎 藤泰 泉﨑 雅彦
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.467-472, 2019 (Released:2019-08-28)
参考文献数
37

〔目的〕努力呼気における広背筋下部線維筋厚の左右非対称性の有無と,骨盤側方挙上角度,呼吸機能との関連性を検討した.〔対象と方法〕若年健常成人男性20名を対象とし,安静呼気位と最大呼気位での左右広背筋下部線維筋厚,骨盤側方挙上角度を測定,また,呼吸機能検査を実施した.〔結果〕安静呼気位において広背筋下部線維筋厚は右側が厚く,筋厚左右比率と%ICの間に負の相関を認めた.最大呼気位には左側広背筋下部線維筋厚が増大した.最大呼気位での筋厚左右比率と骨盤側方挙上角度,%PE maxの間に負の相関を認めた.〔結語〕左右の広背筋下部線維筋厚は,骨盤の前額面上での水平化および%IC,%PE maxとの間に関連性があることが示唆された.
著者
平山 哲郎 本間 友貴 茂原 亜由美 柿崎 藤泰 泉﨑 雅彦
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.513-518, 2018 (Released:2018-07-06)
参考文献数
26
被引用文献数
3

〔目的〕水平面上の胸郭形状を3次元画像解析装置で測定し,胸郭形状の左右非対称性の程度が胸郭可動性,呼吸機能に与える影響について検討した.〔対象と方法〕対象は健常成人男性20名とした.安静呼気位における胸郭水平断面図を作成し,断面積比を左右で比較検討した.また,胸郭断面積左右比と胸郭可動性,呼吸機能の関係について検討した.〔結果〕胸郭断面積比の左右比較では上部胸郭で左側が,下部胸郭で右側が増大する左右非対称性がみられた.また,胸郭断面積左右比,胸郭拡張率,呼吸機能には相関関係が認められた.〔結語〕安静呼気位の胸郭形状には上部胸郭で左側が,下部胸郭で右側が増大する左右非対称性が存在していた.この胸郭形状の左右非対称性の程度は,呼吸運動における胸郭可動性や呼吸機能に反映したものと考える.
著者
石塚 達也 柿崎 藤泰 本間 友貴 石田 行知
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.Ab0683-Ab0683, 2012

【目的】 体幹は身体質量比の0.479を占めるため、上半身質量中心点を含む胸郭の変位が身体運動に与える影響は大きい。臨床的には前額面上、胸郭が骨盤に対して正中に位置している例は少なく、多くの例で左側に変位している。我々は体幹の形態として胸郭が骨盤に対して左側に変位していることは一般的であると捉えている。そこで今回は胸郭側方変位と座位における体幹の荷重左右差の関係を定量的に示すことができたためここに報告する。【方法】 対象は成人男性13名とした(年齢 21.8±1.0歳、身長 171.2±3.4cm、体重 63.5±9.3kg、座高 92.5±1.9cm、BMI 21.6±2.6)。胸郭側方変位の判定は3DイメージメジャラーQM-3000(株式会社トプコンテクノハウス社製)を用いて行った。2台のデジタルカメラを縦に並列にステレオ配置し、基線長が40cmのステレオカメラを作成した。そのステレオカメラを2台使用した。ステレオカメラの位置は左右50°の角度で撮影距離は2mとした。ステレオカメラの後方にはプロジェクターをそれぞれ配置させた。計測肢位は自然立位とし、上肢はレッドコード(インターリハ社製)を用いてゼロポジションで固定した。身体マーキング位置は、頸切痕、剣状突起、両ASIS、両ASIS間の中点、中腋窩線と腸骨稜の交点、中腋窩線と剣状突起を通る床との水平線との交点とした。写真撮影は、プロジェクターにてランダムドットパターン無と有の光を照射し、2パターン行った。撮影した画像データはPCで読み込み、QM-3000にてポイント計測、ポリライン計測し3次元化を行った。その3次元化データより断面図作成を行った。断面図作成は両側の中腋窩線を通る床との垂線とし、前額面上での胸郭側方変位を判定できるものとした。断面図データはCSVファイルに変換し処理を行った。下限はASISレベル、上限は腋窩レベルとし、両ASIS間の中点をy軸に合わせ骨盤中心線とした。その骨盤中心線により体幹を左右に分け、体幹の右側面積、左側面積を求めた。左右で面積が大きい方を胸郭変位側とした。統計処理は対応のあるt検定を用い、危険率5%未満を有意とした。また椅子に体重計を2つ横に並べ、左右の坐骨結節がそれぞれの体重計の中央に位置するように坐骨支持の端座位をとらせた。レッドコード(インターリハ社製)を用いて上肢と下肢をスリングし、上下肢の質量を除いた条件下で体幹の荷重左右差をみた。統計処理は対応のあるt検定を用い、危険率5%未満を有意とした。そして胸郭の側方変位量と体幹の荷重左右差との関係をPearsonの相関係数にて分析した。【倫理的配慮、説明と同意】 ヘルシンキ宣言に沿い、各対象者に対して本研究内容の趣旨を十分に説明し本人の承諾を得た後、同意書に署名した上で計測を実施した。【結果】 胸郭側方変位は右側面積410.8±44.0cm<sup>2</sup>、左側面積426.8±43.8cm<sup>2</sup>で左側面積が有意に大きかった(p<0.05)。体幹の荷重左右差は右側体重17.2±4.0kg、左側体重19.3±2.5kgで左側体重が有意に大きかった(p<0.05)。胸郭側方変位と体幹の荷重左右差の間には、胸郭変位側に荷重の偏りがあるという正の相関がみられた(n=13、r=0.59、p<0.05)。【考察】 今回の研究より、胸郭は左側への変位が多いという結果となった。実際の臨床においても胸郭は骨盤に対して左側に変位している例が多く、その臨床像を反映する結果である。また体幹の荷重左右差については、右側に比べ左側が大きかった。これは左側への胸郭変位の存在により、上下肢の影響を除いた条件下では荷重も左側に偏りを伴うためである。左側への胸郭変位と体幹荷重の左側への偏りの関係が一般的であるが、右側への胸郭変位を呈する例や胸郭変位側とは反対側への荷重の偏りがある例は異常性があると捉えている。例えば、臨床的には腰痛症状を持つ例や腰部の構造破綻のある例などは右側への胸郭変位を呈していることが多い。結果を総合すると、姿勢や体幹機能評価で側方への胸郭変位や荷重の偏りなども考慮することは理学療法の効果判定に有効となると考える。【理学療法学研究としての意義】 本研究結果より、胸郭は左側への変位が多く、体幹の荷重は左側に偏りがあることが定量的に示された。これは姿勢や体幹機能評価などの理学療法評価や治療に有益な情報となると考える。
著者
本間 友巳
出版者
京都教育大学
雑誌
京都教育大学紀要 (ISSN:03877833)
巻号頁・発行日
vol.108, pp.143-150, 2006-03

本研究の目的は,いじめ被害経験を持つ中学生が行ったいじめへの対処の特徴を明らかにする中で,彼らへの支援の方法を検討することである。結果は以下の通りである。(1)いじめ被害者の対処に性差が認められた。男子は直接的な対処が多く,女子では間接的な対処が多かった。(2)半数を超えるいじめ解決者が,解決理由を「外部の影響」として記述していた。さらに彼らの半数以上が,転校やクラス替えなどの状況・物理的要因を解決理由として記述していた。(3)これらの結果から,いじめが解決可能であることを伝えていく啓発活動の必要性が議論された。The purpose of this study is to examine the ways for giving support to Junior high school students being bullied, through clarifying their characteristics of coping with bullying. The main results are as follows. :(1)There was a gender difference in victims' coping. Boys' coping was more direct, while girls' coping was more indirect.(2)More than half of students who had resolved bullying problems described 'outside influences' as a reason of the solution. Moreover, more than half of them gave a description of 'situational factors' like transfering to another school and classes as a reason for the solution. (3)From these results, the necessity for educational activities to inform the victims how bullying can be surely solved was discussed.
著者
高田 響子 本間 友巳
出版者
京都教育大学附属教育実践総合センター
雑誌
教育実践研究紀要 (ISSN:13464604)
巻号頁・発行日
no.9, pp.135-144, 2009-03

本研究の目的は,児童福祉施設における心理職と福祉職がそれぞれの立場と専門的支援をどのように認識しているのかを明らかにし,比較検討することにある。そのため,児童福祉施設の心理職・福祉職を対象に,施設における役割と現状への認識について,半構造化面接を実施し,修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて分析を行った。その結果,心理職の役割認識として「個別的心理支援」,現状認識として「心理職の未確立」が,福祉職の役割認識として「包括的生活支援」,現状認識として「専門的アイデンティティの末確立と模索」というコア・カテゴリーが生成された。また、心理職・福祉職共に、相互理解のもとでそれぞれの専門性を活かしたより質の高い連携の重要性を認識していることが明らかになった。両者の連携が上手く機能していくための具体的な条件は何かを探っていくことが今後の課題である。