著者
三原 鉄也 杉本 重雄
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告情報学基礎(FI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.11, pp.1-8, 2009-11-12
被引用文献数
1

紙とペンによって作られてきたマンガの作成過程においても、パソコン上のツールが利用される等、作成環境や配信環境の電子化が進められている。しかし実際のマンガ制作は、これらを前提としない昔ながらの漫画家と編集者の協業によって進められており、ディジタル化を活用した業務サポートによりマンガの生産性を高めることが求められている。本研究では、これを実現するためのディジタル環境を利用したマンガの制作の過程と、制作過程に作り出されるマンガの内容や諸要素とそれらの関係を記述するモデルについて述べる。さらにそのモデルを基礎とするマンガ制作支援ツールを提案する。Manga is a Japanese term meaning comics, cartoons, and graphic novels. Production process of manga has been moving from traditional Pen-and-Paper based task to PC-based task in networked digital environment. However, the design process of manga, which is the first half of the whole production process, is mainly agreement process between a manga creator and a producer responsible for publishing and is carried out by a traditional paper-centric communication between them. The goal of this study is improve the productivity of the design process of manga using a design support tool in digital environment. In this paper, we first show a model of whole production process of manga and discuss requirements to support the design process. Then, we propose a model to support the design process and a support tool based on the model.
著者
杉本 重雄 永森 光晴 森嶋 厚行 柴山 明寛 三原 鉄也
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2016-04-01

昨年度の研究から、ポップカルチャや途上国の文化財等の文化的コンテンツの利活用性向上には、よく組織化されたアーカイブデータとWeb上の多様なコミュニティ発信情報を横断的・統合的に扱う必要があるとの知見を得た。そのため、アーカイブ横断的・統合的なメタデータ集約技術研究における重要な対象であると判断し、東日本大震災アーカイブに加えてそれらも本研究の中心的な対象として研究を進めることとした。以下、先述の主要研究課題に基いて述べる。課題1:震災アーカイブに関して、第3者による非高品質なメタデータを基礎としつつ、利活用性を高めるための手法が中心課題である。ここでは主題語の共起関係によるメタデータ集約、メタデータから取り出した地域の組織や施設等を表す語に基づく地域指向のオントロジーや地理的実体のLODデータの作成を行い、一定の成果は出したがこれら全体をまとめることは次年度に残されている。文化的コンテンツについては、それぞれの領域で基本的なメタデータ集約のためのモデルを開発し、かつ国際連携も行っている。課題2:津波ディジタルライブラリ(TDL)の研究グループとの連携を進めた。TDLのテキストと前述の地理的実体LODを利用することで過去の災害とのリンク付けに関する研究を進めることができると考えている。文化的コンテンツについては、これまでの成果が、マンガ等を中心としたWebリソースと文化庁のメディア芸術データベースとの結びつけ、国際連携によるモデルの精緻化と発信につながると考えている。課題3:TDLの利用を進めること、デジタルアーカイブネットワーク(DAN)等を利用した実務者と結びつく活動、メタデータ作成や編集におけるクラウドソーシング技術の利用に関わる研究等をコミュニティ連携に関わる研究として進めたいと考えている。また、国内外の研究者との連携、海外発信については想定以上に進んでいると考えている。
著者
両角 彩子 永森 光晴 杉本 重雄
雑誌
情報処理学会研究報告情報学基礎(FI)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.105(2008-FI-092), pp.1-14, 2008-10-30

近年の情報技術の発展に伴い、マンガ作品の情報の共有・交換が盛んに行われるようになった。筆者らの研究室では、マンガに関する情報を統合的に扱うためのマンガメタデータスキーマを開発している。その一部に、読者が作品の内容を書き表すためのメタデータスキーマがある。本稿はマンガの知的内容を表すことを目的としているため、同心ストーリーの表現手法である小説や映画も参考にする。そこで、 Wikipedia 内に表れるマンガ麹小説の作品記事から 100 件をそれぞれ無作為に抽出し、記述項目について調査した。これらの調査結果および目次テンプレートを参考に、読者が作品の知的内容を書き表すためのメタデータ基本セットを提案する。
著者
両角 彩子 杉本 重雄
雑誌
情報処理学会研究報告情報学基礎(FI)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.108(2005-FI-081), pp.7-18, 2005-11-02

利用者の特性に関わらずリソースを簡単に探し出し、利用できること、すなわちリソースへのアクセシビリティを高めることへの要求が、リソースやリソースの利用方法・利用目的の多様化によって高まっている。たとえ内容が同一であるとみなすことのできるリソースであっても、利用者の特性に応じた方法で表現され、また、利用環境に応じた形式で実現されたリソースを、利用者が簡単に選択し、提供することが求められる。この要求を満たすためには、「どのような特性を持つ利用者」が「どのような環境」で「どのようなリソース」を利用したいのかという利用者の要求を表現した上で、利用者の要求とそれにマッチするリソースを選択し、適切なリンクを提供する仕組みが必要である。そこで、利用者が簡単に自らの特性や利用環境に適したリソースへアクセスできるようにすることを目的として、本稿では、アクセシビリティのためのメタデータ、IFLAによるFunctional Requirements for Bibliographic Records (FRBR)、OpenURLの動的なリンキング機能等に基づいて、利用者の特性や環境と、リソースという双方の視点からアクセシビリティに関する情報を表現し、適切に利用者とリソースを結びつけるメタデータスキーマのモデルを提案する。
著者
田畑 孝一 杉本 重雄
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.286-293, 1989-03-15
被引用文献数
2

知識ベースシステムとのコミュニケーションをことばや数値を越えて情感の水準に近付けるためには コミュニケーションに視聴覚情報の積極的な導入を行う必要がある.本論文において 我々はそのようなシステムの方式として「視聴覚情報援用型知識ベースシステム(A Knowledge-based system with audio-visual aids:KS/AV)」 またKS/AVにおける知識表現方法として「オブジェクトベース述語論理(Predicate logic based on objects)」を提案した.オブジェクトベース述語論理においては 定義域上のすべての個体をSmalltalk-80のクラスの概念に基づいて定義し オプジェクトヘのメッセージ送受信のために 述語論理における関数の一つとしてmessage関数を導入した.本論文においてはビデオディスク タッチパネル付ディスプレイ等の視聴覚情報機器を接続したパーソナルコンピュータ上にKS/AVのプロトタイプを製作した.このプロトタイプでは視覚イメージに関して ピデオイメージやグラフィクスイメージのみならずそれらの合成イメージをオブジェクトとして定義した.イメージ表示やその応答入力はオブジェクトのメソッドとして記述した.このプロトタイプ上で幼児を利用者とする視聴覚情報援用型幼児向き読香相談システムを構築し 有効性を確かめた.
著者
阪口 哲男 田畑 孝一 杉本 重雄
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.40, pp.168-169, 1990-03-14

オブジェクトベース述語論理(Predicate logic based on objects)は記号やイメージ等を含む知識を表現するための知識表現方法である。オブジェクトベース述語論理においては、定義域上のすべての個体をオブジェクトと見なし、それらの関係を第一階述語論理によって表現する。我々はオブジェクトベース述語論理の定義を行い、その処理系であるオブジェクトベース述語論理システム(Predicate Logic system based on OBjects:PLOB)の開発を行った。
著者
小平 優衣 鈴木 啓史 三原 鉄也 永森 光晴 杉本 重雄
雑誌
研究報告人文科学とコンピュータ(CH)
巻号頁・発行日
vol.2014-CH-101, no.8, pp.1-8, 2014-01-18

現在ディジタル環境でマンガを探すには,web 上の情報を参照するのが一般的である.タイトルや著者名などの書誌情報が利用される場合が多いが,マンガの内容や主題,キャラクタ等に関する情報も検索に利用されている.内容に即した検索を行うためには,マンガに関する情報を,マンガの何について説明している情報かを記述したデータとして利用できるようにする必要がある.また,これらの情報は一般的な語彙としてまとめられていないため利用することは難しく,情報共有を促進するためにはマンガの概念をディジタル上で機械が扱いやすくできるように形式化する必要がある.異なるマンガリソース間同士の参照や再利用,効率の良いリソースの生成を可能にするため,共通基盤となるマンガに関する情報を体系化し扱うことを可能にするオントロジーの構築を行った.構築のために Wikipedia のマンガに関するカテゴリ名を語彙として利用し,語彙同士の関係性を定義してオントロジーを構築し,マンガリソース同士を結びつけることで LOD として利用することを可能にした.構築したオントロジーは語彙の追加などの拡張が可能であり,マンガのあらゆる情報に繋げることが可能である.
著者
三原 鉄也 永森 光晴 杉本 重雄
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 A (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.J98-A, no.1, pp.29-40, 2015-01-01

昨今の専用のドローイングソフトウェアやモバイルディバイスの普及に伴い,マンガの制作と流通はディジタル環境に移行しつつある.マンガが内包する情報やマンガの内容に関連する情報はコンテンツ本体のデータからの参照が困難であるためディジタル環境におけるマンガの情報の利用は充分に行われていない.そこで,我々はこれまでにディジタル環境におけるマンガの効率的な利用のためのメタデータの開発を行ってきた.本論文では,我々が先に提案したマンガメタデータフレームワーク(MMF)とそれに基づくメタデータによるマンガのアクセスと制作の支援手法について述べる.本研究では,Linked Open Dataを利用したメタデータの効率的な開発とそれらを利用したマンガのアクセスと制作を支援するためのシステムを構築し,ディジタル環境におけるマンガのメタデータの有効性について考察した.
著者
杉本 重雄
巻号頁・発行日
2013

科学研究費助成事業(科学研究費補助金)研究成果報告書:基盤研究(A)2010-2012
著者
柊 和佑 阪口 哲男 杉本 重雄
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.47-57, 2008-02-19 (Released:2008-02-28)
参考文献数
14

毎日、膨大な数のWebページが発信者によって作成・更新され、それに伴って消えるWebページも多く、近年は様々な組織がWeb ページのアーカイブに取り組んでいる。既存のWeb アーカイブは独自に収集と提供を行うことが多く、発信者の意向を考慮した運用は困難である。そこで、先に我々は、発信者がWeb アーカイブと連携することで、収集と提供を効率よく行う組織内Web アーカイブを提案した。この組織内Webアーカイブの研究では、アーカイブの運営組織に改組が起きた場合の対応については未検討であった。そこで、本論文では改組の際に、複数のWebアーカイブが協調的に動作し、Web アーカイブを維持する方法を提案する。改組を分割、合併、消滅に分類、それらに共通した他のWeb アーカイブのデータを取り込む方法を確立し、これを統合と呼ぶ。統合では、各Web アーカイブで使われているメタデータのスキーマ変換と、データの分割を行う。本論文では統合を自動化するために、一連の処理を整理し、変換規則と分割条件を表現する記述を定義している。
著者
柊 和佑 阪口 哲男 杉本 重雄
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.47-57, 2008-02

毎日、膨大な数のWebページが発信者によって作成・更新され、それに伴って消えるWebページも多く、近年は様々な組織がWebページのアーカイブに取り組んでいる。既存のWebアーカイブは独自に収集と提供を行うことが多く、発信者の意向を考慮した運用は困難である。そこで、先に我々は、発信者が Webアーカイブと連携することで、収集と提供を効率よく行う組織内Webアーカイブを提案した。この組織内Webアーカイブの研究では、アーカイブの運営組織に改組が起きた場合の対応については未検討であった。そこで、本論文では改組の際に、複数のWebアーカイブが協調的に動作し、Webアーカイブを維持する方法を提案する。改組を分割、合併、消滅に分類、それらに共通した他のWebアーカイブのデータを取り込む方法を確立し、これを統合と呼ぶ。統合では、各Webアーカイブで使われているメタデータのスキーマ変換と、データの分割を行う。本論文では統合を自動化するために、一連の処理を整理し、変換規則と分割条件を表現する記述を定義している。
著者
杉本 重雄 田畑 孝一
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.38, pp.301-302, 1989-03-15

知識ベースシステムとのコミュニケーションをことばや数値を越えて情感の水準に近付けるためには、コミュニケーションに視聴覚情報の積極的な導入を行う必要がある。我々はそのようなシステムの方式として、「視聴覚情報援用型知識ベースシステム(A knowledge-based system with audio-visualaids:KS/AV)」の開発を進めている。本稿においては、KS/AVにおける知識表現方法である「オブジェクトベース述語論理(Predicate logic based on objects)」について論ずる。オブジェクトベース述語論理においては、定義域上の全ての個体をオブジェクトと見なし、それらの関係を第一階述語論理によって表現する。視聴覚情報を含む全てのオブジェクトはSmalltalk-80のクラスの概念に基づいて定義し、オブジェクトへのメッセージ送受信のために、述語論理における関数のひとつとしてmessage関数を導入した。
著者
三原 鉄也 永森 光晴 杉本 重雄
雑誌
研究報告情報基礎とアクセス技術(IFAT)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.9, pp.1-8, 2011-11-15

近年、ディジタル化、ネットワーク化したマンガの制作と流通が定着しつつある。こうしたディジタルマンガは内容の構成要素を他の要素や外部の実体と結びつけることができる柔軟性を持ちうることが特徴のひとつである。しかしディジタルマンガの多くは紙媒体の様式のマンガをページや書籍単位でファイル化したものであり、登場人物や場面、コマというような内容に関する要素を電子的実体として参照できないため、他の実体との関連付けが困難である。本研究では、ディジタルマンガの構成要素をメタデータとして記述するため、ストーリー構造及び平面表現を構成するビジュアル構造についてのメタデータモデルを提案する。また、これを用いたツールとして、作品のへのコメントを付加可能なディジタルマンガビューワおよびディジタルネームエディタについて述べる。Digital manga - publishing and reading manga on the Internet- is gaining broader acceptance. An advantage of digital manga is the flexibility to make links from its component content to another component and external entity, e.g., linking a character to a scene or to another book. However, in the case of scanned manga, it is difficult to link an internal content such as a character and a scene to another entity because not all internal components are identifiable as a digital entity whereas physical components such as a page and a book are obviously a digital entity. Conventional metadata models for digitized book s lack functions to describe those internal entities. This paper, proposes a metadata model for representing not only the physical components but also the internal components of digital manga focusing on story and visual structures. This metadata model is designed not only for building flexible reading environment but also for efficient production of manga. This paper shows a digital manga viewer for users to share their comments and tweets and it also a storyboard for digital manga called "digital manga name editor".