著者
村上 武敏
雑誌
聖隷クリストファー大学社会福祉学部紀要 = Bulletin of the School of Social Work Seirei Christopher University
巻号頁・発行日
no.18, pp.1-21, 2020-03-31

特に1990 年代以降の医療制度改革により、MSW は必然的に退院援助業務に傾斜してきた。それは医療機関の組織的活動として位置づけられるようになり、MSW は政策的にも医療機関からも期待される活動を担いうる存在となったが、援助過程において効率性を求められるその業務にあって、しかも一貫した長期の援助を展開しにくい環境にあって、MSW の社会科学的な対象認識は希薄になりつつあるように感じられるのである。 本研究では、この1990 年代以降におけるMSW の対象認識の特徴を捉えるために、MSW による実践報告および調査報告、論文等について、1980 年から2014 年までの35 年間を分析した。 意思決定支援に対する関心が高く、さらに退院援助システムなど連携体制構築においても医療福祉固有の対象認識をうかがわせるような記述はなく、「患者一般」という対象像が垣間見える。MSWに求められてきた社会階層的な対象認識は希薄になり、生活問題を社会問題として捉えて解決に向かう実践の志向性は弱くなっている様子がうかがえた。医療福祉が社会科学的な対象認識を失うならば、医療福祉の社会的意義もまた失われることになる。時代に合わせて変化するMSW の存在形態とともに、変化を否定する医療福祉の本質部分を確認する作業となった。
著者
吉田 等明 村上 武 和﨑 宏 五味 壮平
出版者
一般社団法人 CIEC
雑誌
コンピュータ&エデュケーション (ISSN:21862168)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.20-25, 2008-06-01 (Released:2014-11-01)

オンラインでの活動に必要な倫理観について,大学や地域SNSの中でアンケート調査を行った結果を報告する。また,匿名性と個人情報保護という観点から,インターネットと信頼できるネットワークの違いについて議論する。その結果から,ネットワーク社会で倫理観を支えるための要因を推定するとともに,現状で不足している事項について検討し,今後のインターネット倫理教育への提言とする。
著者
鶴田 華子 清水 一行 村上 武 鎌田 康寛 渡邉 英雄
出版者
公益社団法人 日本金属学会
雑誌
日本金属学会誌 (ISSN:00214876)
巻号頁・発行日
vol.85, no.6, pp.239-246, 2021-06-01 (Released:2021-05-25)
参考文献数
17
被引用文献数
1

The plan-view and cross-sectional microstructures of SUS304 steel irradiated by gallium focused-ion beam were investigated using electron backscatter diffraction and energy dispersive X-ray spectroscopy. Structural phase transformation and gallium implantation were confirmed in the region of irradiated austenite grains. The amount of bcc phase and gallium concentration increased with increasing irradiation dose, which suggests that gallium implantation plays an important role as a ferrite stabilizer and also the source of stress effect. Crystallographic orientation relationships between bcc phase and austenite matrix were analyzed by considering the angular deviation between closed-packed planes and closed-packed directions. Differences in transformation behaviors between (001) and (111) austenite grains were discussed from the view-points of fcc-bcc interface structures.
著者
村上 武則
出版者
広島大学
雑誌
廣島法學 (ISSN:03865010)
巻号頁・発行日
vol.10, no.3, pp.213-241, 1987-03
著者
大西 正光 村上 武士 Wu Peiwei 小林 潔司
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.73, no.5, pp.I_309-I_322, 2017 (Released:2017-12-27)
参考文献数
21
被引用文献数
1

水道コンセッション事業の経済的価値は,主に水道料金及び水道の接続数(普及率)に依存する.政府が契約条件として望ましい水道料金及び接続数を設定するためには,民間事業者が有する技術に関する情報を有しておく必要がある.政府が技術に関する十分な情報を有していない場合には,技術提案型入札が適用される場合も少なくない.本研究では,技術提案型入札の下での最低単価落札方式と最大接続数落札方式という2つの落札方式の経済的帰結を理論的に分析する.さらに,水道コンセッション事業では,しばしば事後的に初期契約の見直しが行われることを指摘する.その上で,事業者の戦略的ホールドアップ行動の帰結を分析し,各落札方式の得失について考察する.
著者
村上 武則 SCHELLER Andreas
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

研究成果の第1として、2003年9月29日、ドイツのバヅーラ教授を大阪大学に迎え、「公益企業による生存配慮」と題して、講演会を開催することができた。そこで、教授は、民営化の時代においても、公行政による最低限度の保障の責任として生存配慮概念を維持されようとされる。さらに欧州連合においても、加盟国は、一般的経済的利益の給付は、市場関連的給付として、許容されうると主張されるのが注目されうる。そして、公益企業による生存配慮は、社会的法治国の本質的メルクマールであると結ばれている。研究成果の第2として、日本の近距離旅客輸送の法律問題に関し、ドイツのシュパイア大学で行われた国際シンポジウムにおいて報告したこと、およびその内容を、シュパイア大学法学論叢に公表できた(2004年)ことである。その中では、とくに日本では、ドイツやヨーロッパと異なり、東京圏や大阪圏および中部圏においては、きわめて人口密度が高く、その意味で近距離旅客輸送は、住民の生活と極めて密接な関連を有していることを指摘するとともに、我が国においては明治期以来、近距離旅客輸送は、民間企業によって担われていたこと、しかし同時に行政主体によっても近距離旅客輸送が担われていたことを指摘した。研究成果の第3として、欧州連合、イギリス、ドイツ等における近距離旅客輸送の民営化に関する理論と実態を考察できた。とりわけ、フェーリング(Professor Dr.Fehling)「公的な近距離旅客輸送を例にした生存配慮の改革の考察」(Die Verwaltung 34.Bd,2001)を参考に、様々なモデルについて考察できたことである。このように、近年は世界的に、行政の規制緩和と並んで、民営化が大胆に推進されることになった。国鉄も民営化され、近距離旅客輸送は、いっそうの民営化が迫られている。しかし、どうだろうか。2005年4月25日午前9時20分に発生したJR福知山線の尼崎での大事故は、民営化の落とし穴の如実な例である。人命を預かる近距離旅客輸送として、安全性は効率性以上に尊重されなければならない価値である。この度の事件において、安全性軽視の実態が明白になったが、一日も早く、その原因が解明され、利用者の安全性の保障がなされなければならない。このため、生存配慮としての公益企業、たとえば近距離旅客輸送において、国家は、最低限の保障を担うべきであろう。
著者
太田 照美 村上 武則 シェラー アンドレアス
出版者
京都産業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

ドイツの社会法上の回復請求権の法的性質について損害賠償請求権との違いを明確にした。その学問的意義は大きい。また日本の景観権につき、ドイツの公法上の結果除去請求権の対象とされる絶対権と比較し、わが国の民法学で論争されている「権利論」との関わりで、わが国で初めて考察した。さらに日本の地方公共団体の租税過誤納金返還問題につき、日本で初めて、ドイツの公法上の原状回復請求権により救済を求めることができるとする理論を呈示した。
著者
越後谷 淳一 菊池 弘昭 鎌田 康寛 小林 悟 村上 武
出版者
岩手大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

中性子照射材・模擬材について,動的磁気特性を計測し,ナノ欠陥と磁壁挙動との関係について考察を行うとともに,照射析出による溶質元素の濃度変化評価を目的としたモデル化と定量的解析を行った.また,ローレンツ電子顕微鏡や磁気光学カー効果顕微鏡により,照射モデル材・シミュレーション照射材の格子欠陥と磁壁とのミクロレベルでの相互作用挙動を調べ,欠陥と磁壁とのダイナミックスを解明するとともに,マクロ領域における照射損傷組織と磁壁との相互作用について検討した.