著者
佐藤 雅明 石田 剛朗 堀口 良太 清水 克正 春田 仁 和田 光示 植原 啓介 村井 純
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.253-264, 2008-01-15
参考文献数
11
被引用文献数
3

センタレスプローブ情報システムは,車車間通信と車両自体の移動によってプローブ情報の生成と伝達を行う.車両の存在する周辺の道路交通情報や,安全に関する情報等の即時性が求められる情報等に有効であると考えられている.本論文では,センタレスプローブ情報システムの有用性を活用する手法として,センタレスプローブ通信基盤を利用する渋滞に関する道路交通情報生成アルゴリズムの提案を行った.また,提案した道路交通情報生成アルゴリズムとセンタレスプローブ通信基盤を,実車両で動作する車載システムとして設計と実装を行い,テストコース内で5 台の車両を用いた実証実験を行った.この実験で,実装した車載システムによるプローブ情報の生成と統合が可能であることが分かった.さらに,実車環境においてセンタレスプローブ情報システムが有効に動作することが確認された.Decentralized Probe Vehicle System transmits information by the communication between vehicles, and movement of vehicles. Decentralized Probe Vehicle System is effective in the sensor data depending on a geography position, and the sensor data contributed safely which needs a real-time processing. In this paper, road traffic information generation algorithm was proposed. The design and implementation about algorithm and communication platform for Decentralized Probe Vehicle System was performed. Then, field test was conducted by five vehicles in the test course. As a result, it turned out that generation and integration of probe information are possible using implementation system. Further, it was checked that a system operates effectively in real vehicle environment.
著者
山口 修平 三次 仁 吉田 守 中村 修 村井 純
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SIS, スマートインフォメディアシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.342, pp.43-46, 2011-12-08

オフィスや家庭の消耗品の消費量を、汎用的に予想し、自動的に通知するために、センサを用いて在庫量を測定し、その統計処理をすることで消費動向の切り替わり点を自動的に検出する方法を周期の異なる最尤推定法を組み合わせによって実現した。提案手法は、3台の利用形態が異なるプリンタの実測使用データに基づくシミュレーションによってその妥当性を確認し、消費のステートの切り替え点が自動的に検出できることおよび、それに基づいて発注タイミングや発注量を調整することにより、今回用いたケースでは在庫量を12.5%削減できることを示した。
著者
頴原 桂二郎 小川 晃通 杉浦 一徳 村井 純
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. DPS,マルチメディア通信と分散処理研究会報告 (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.107, pp.79-83, 2001-10-19

本研究では,BSDの経路表を多段化し,D旧servにおけるサービス区分を表わすDSCPの値ごとに経路表を選択できる援構およびそれらを操作するインターフェイスを実装した.DSCPを経路制御に結びつく要素とし,有線・衛星など明らかに異なる特性を持ろリンクを利用した経路を効率良く切り替えることは有用である.このようにDSCPに特別の意味を持たせD旧servのサービス区分をもとに経由すべき経路を選択できるようにすることで,よりサービスに適したパケット転送が可能となる.本実装は2001年春のWIDE合宿のバックボーンで地上・衛星回線の選択に使用され,その有用性を確認するとともに評価をおこなった.また,追加される経路が小規模であると予想されたため,経路表の切り替えおよび経路計算は線的なものとしているが,規模性を考慮した場合,メモリ使用量・計算時間など改善の余地は多く,この点についても考察する.
著者
遠峰 隆史 久松 剛 杉浦 一徳 中村 修 村井 純
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.470, pp.5-8, 2005-12-08

インターネットを用いた複数地点間での映画, 音楽の共同制作をリアルタイムに行うには, 伝送メディア長, 途中経路などによる, データ到達時間の差異を考慮しなければならない. 本研究では, 異なる2地点間における遠隔協調演奏を実現する上で問題となる, リズム管理手法に着目した. 2地点間のネットワーク遅延を演奏者が知覚するためのアプリケーションとして, インターネット・メトロノームの設計・実装を行った. 本実装をもとに, 「愛・地球博」のクロージングフォーラムにおいて, 日蘭間でのジャズセッションによる実証実験を行った.
著者
碓井 利宣 重松 邦彦 武田 圭史 村井 純
雑誌
コンピュータセキュリティシンポジウム2011 論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, no.3, pp.797-802, 2011-10-12

インターネット利用の普及に伴い,様々な悪意を持った新たなマルウェアが日々出現しており,これらについて効果的な対応を効率よく実施するためには,発見されたマルウェアを短時間で分析する必要がある.本研究では,静的解析手法を用いてマルウェアの挙動に関する情報を抽出し,そこで利用されるAPIの傾向によってラベル付けを行う.それらの情報を基にして機械学習であるSupport Vector Machineにより分類する.本手法によって特に挙動の類似性の高いマルウェア同士を同じグループとして分類するシステムを実装した.本システムを用いることで,分析者は分類結果から挙動の傾向を短時間で把握することができ亜種の特定や対策の立案などに活用できる.
著者
澤田 暖 佐藤 雅明 植原 啓介 村井 純
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告高度交通システム(ITS) (ISSN:21862583)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.9, pp.1-8, 2011-03-02

本稿では,車載が容易なスマートフォンを用いて構築された,車両間アドホックネットワークにおいて,位置情報に即した情報の流布を行うプラットフォームである 「iDANS」 を構築した.iDANS は特定エリア内の車両同士で,迅速かつ多くの情報を共有することを目的としている.目的を達成するために,iDANS は走行中の場所に応じて,最も流布すべき情報を優先的に流布する機構を備えている.また,位置情報を正確に取得出来ない端末を中継ノードとして有効利用することも可能としている.iPhone を用いた iDANS の実機動作検証とシミュレーションによる効果測定の結果,iDANS は特定エリア内の車両間で多くの情報を迅速に流布する上で有効であることを確認できた.In this paper, iDANS, which is a location based information dissemination platform for smartphones in vehiclar ad-hoc networks (VANETs), is proposed and evaluated. The primary objective of iDANS is to disseminate and share information swiftly between vehicles within a designated area. In order to meet the demands, iDANS disseminates the information most relevant to the current location on a priority basis. It also makes use of devices which can't acquire the current location accurately as relay nodes. As a result of operation tests and simulations, iDANS was verified that it is effective in disseminating information swiftly among vehicles within a designated area.
著者
関谷 勇司 長 健二朗 加藤 朗 村井 純
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.87, no.10, pp.1542-1551, 2004-10-01

DNSはインターネットの基盤サービスである.しかし,DNSのサービス状況を測定するための手法はまだ確立されていない.そこで本研究では,インターネットにおける名前解決システムであるDNSのパフォーマンスを測定並びに評価するための手法を確立する.本研究にて提案する手法は,世界各地において手軽に実施できる測定手法であり,どのようなDNSサーバ,若しくはDNSサーバ群に対しても行える手法である.本手法では,dnsprobeというツールとダイヤルアップを用いて手軽に測定を行い,基準DNSサーバを用いることによって,測定結果を補正することが可能である.これによって,世界各地からの測定結果を,補正して一律に比較することが可能となる.今回は,この手法を用いて,ルートDNSサーバヘの到達性を27地点から測定する.この結果によって,現在のルートDNSサーバヘの世界の各地点からの到達性と傾向をつかむことができる.本研究の手法を利用することにより,DNSサービスの公平性を判定したり,新たにDNSサーバを設置する場合の設置場所決定に関する一助とすることができる.
著者
植原 啓介 湧川隆次 佐藤 雅明 渡辺 恭人 砂原 秀樹 寺岡 文男 村井 純
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.286-296, 2001-02-15
被引用文献数
6

現在の自動車の情報システムは,サービスごとにセンタシステムや通信基盤を含んだ独立したシステムとして構築されており,新たなサービスを始めるためのコストが高い.そこで我々は,安価にサービスを実現するための基盤として,通信部分をサービスから分離したインターネット自動車システムを提案している.本稿では,インターネットを利用した自動車用通信システムを設計・実装した.このシステムは,高速移動する自動車に安定したInternet Protocol(IP)通信環境を提供するため,インタフェース切替え等の新技術を導入している.車載コンピュータのハードウェアおよびインターネット自動車システムを基盤としたアプリケーションソフトウェアを開発し,実走行環境での実験を行った.実験では,複数の無線通信媒体が切り替わる環境において,連続的に安定したIP通信機能が実現できることが分かった.この結果,今回構築したシステムが自動車の情報化に十分利用できることが検証された.In current information systems for automobiles, each service is an independent system including its own communication system.For this reason it is costly to start a new service.In this paper, to realize an afordable service, we propose a new information system called InternetCAR.In this system the communication system and the service has been seperated.This paper describes the design and implementation of a automobilar communication system which utilized the Internet.The system makes use of interface switching and other new technologies to provide stable IP connectivity for automobiles moving at high speeds.On-board hardware and application software based on the InternetCAR system have been implemented and evaluated in an actual situation environment on board a moving car.The experiments proved that it was possible to provide stable IP connectivity in an environment where different wireless communication mediums are constantly being switched.As a result,it can be said that this system has the ability to safely and reliably connect automobiles to the Internet.
著者
陣崎 明 中村 修 村井 純
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CPSY, コンピュータシステム
巻号頁・発行日
vol.98, no.234, pp.15-22, 1998-08-05
被引用文献数
2

「並列ネットワークサーバComet」のアーキテクチャを述べ、Cometによる並列分散システムの構築および分散型インターネットルータへの応用について検討する。CometはPCIバスをもつ計算機にCometネットワークアダプタを搭載したもので、ネットワークアダプタにハードウェアサポートによる高速プロトコル処理機能をもたせることにより、Gigabitレベルのアプリケーションネットワーク性能やアダプタ内でのパケットフォワーディング機能を実現する。すでにCometネットワークアダプタの試作を完了し、広域のCometネットワークサーバ実験システムの構築を終わって、IEEE1394overIPを用いた実験評価を行っている。
著者
土本 康生 三川 荘子 大川 恵子 村井 純
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-情報処理 (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.87, no.9, pp.855-863, 2004-09-01

社会基盤として定着したインターネットは,広帯域化を進め,新しいアプリケーションが登場し,常に発展を続けている.このような状況においてディジタルデバイドが存在する地域がある.その地域に対して政府開発援助や民間資金により支援が行われているが,それらの援助は一時的なものであり,常に進化し続けるインターネットに対して,ディジタルデバイドを根本的に解決していない.そこで,ディジタルデバイドを解決する手法として情報通信基盤構築と人材育成を密接に連携させて行うブリッジインセンティブモデルを提案した.ブリッジインセンティブモデルは,(1)利用する技術に注目しディジタルデバイドが存在する環境を明確化し,(2)ディジタルデバイドが存在する環境間を先端インターネット技術を用いて相互接続し,(3)最先端のアプリケーションを利用できることをインセンティブとして情報通信基盤構築と人材育成を行う.また,ディジタルデバイドの解消に向けてブリッジインセンティブモデルに従ってSOIASIAプロジェクトを実施した.活動は,A)ディジタルデバイドが存在する日本と東南アジアの間で人工衛星回線を用いて情報通信基盤を構築し,それらを管理する人材の育成として,B)基礎知識獲得支援,C)実戦訓練プログラム,D)先端インターネット技術プログラムを実施した.その結果,上記,A)〜D)の活動を通じ,7か国11組織を相互接続する情報通信基盤が構築され,育成された29名のネットワーク管理者が現在に至るまで継続的にプロジェクト推進業務に活躍している.これらのことから,ブリッジインセンティブモデルが継続的に先端技術を用いることで継続的な発展を促し,解消したディジタルデバイドが新たに拡大しないことを実現し,ディジタルデバイド解消に大きく貢献できることを明らかにした.