著者
牧 利恵 小林 隆司
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.39, no.6, pp.765-768, 2020-12-15 (Released:2020-12-15)
参考文献数
7

要旨:就労支援領域で使用できる患者立脚型アウトカムが,本邦で求められている.そこで今回,Work Rehabilitation Questionnaire(以下,WORQ)の翻訳と言語的妥当性の検討を研究目的とした.方法は,Beatonによる尺度の異文化適応の順番に準拠した.まず,原著者に許可を得た後,2名が別々に翻訳をし,訳語をすり合わせた.次に逆翻訳を行い,原著者に確認をとり修正した.それから,専門委員会を開催して訳語を修正し,ドラフト版を作成した.その後,27名の対象者に予備テストを行い,答えやすさについての個別インタビューを実施し,さらに文言を修正した.最後に,最終版を原著者に報告し,日本語版がWORQのホームページで公開された.
著者
吉村 理 前島 洋 小林 隆司 峯松 亮 佐々木 久登 田中 幸子 金村 尚彦 白濱 勲二 上田 健人 上田 千絵 渡辺 誠 矢田 かおり 宮本 英高 森山 英樹 加藤 浩 河元 岩男
出版者
広島大学大学院保健学研究科
雑誌
広島大学保健学ジャーナル (ISSN:13477323)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.73-77, 2001

頚髄損傷の評価では,頚髄の損傷の程度と損傷高位が重要である.米国脊髄損傷協会は,脊髄損傷の障害の評価法を発表し,脊髄損傷の神経学的および機能的分類のための国際基準として現在国際的に使用されている.しかし可能性に挑戦するリハビリテーションとしては,より詳細な高位分類が必要である.Zancolli分類は頚髄損傷四肢麻痺の上肢機能を細かく分類し,リハビリテーションからみても車椅子ADLが自立する可能性のあるC6を細かく分けているのは有用である.しかしマット上基本動作,移乗・移動などの動作が自立するか否かの判断に重要な肩甲帯筋群の評価がない.従来肘伸展筋である上腕三頭筋はC7髄節筋であるが,Zancolli分類ではC6髄節残存群のサブグループとしているのは混乱をまねく.そこでZancolli分類を改良し,損傷高位別の機能到達目標を決定するための評価表を作成し,ADLが自立する可能性について検討した.改良Zancolli分類でみるとC6BⅡが車椅子ADL自立の境界レベルである.
著者
長尾 宗典 小林 隆司
出版者
日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.37, no.6, pp.637-645, 2018-12-15

要旨:介護保険下の通所リハビリテーション(以下,通所リハ)には,利用者を通所リハから他の社会参加の場へ移行させる役割が求められている.本研究では,以前に通所リハを利用していた脳卒中当時者4名にインタビューを行い,どのような経験を経て通所リハ利用を終了したのか,複線径路等至性アプローチ(Trajectory Equifinality Approach:TEA)を用いて解明した.4名は生活や身体の改善実感を得て,生活への自信を強めて活動圏を拡大させていた.外部からの働きかけで,4名は通所リハ利用終了後にどんな生活を送るかに向き合った.通所リハ利用終了の際は,本人が送りたい生活実現に向け自己決定するプロセスが重要なことが示された.
著者
小林 まり子 森 佐苗 徳森 啓訓 小林 隆司 原田 和宏
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.E3P1234, 2009

【背景と目的】<BR> 加齢や疾病に伴う歩行能力の変化では,歩容の側面からも重要な情報がもたらされることが少なくない.Wolfsonら(1990)は,転倒予防のための16項目の歩行観察評価を作成し,Gait Abnormality Rating Scale(GARS)として報告した.VanSwearingenら(1996)は,改訂版GARSの信頼性と妥当性を示すと共に,それが虚弱高齢者の転倒危険性を反映することを明らかにした.改訂版GARSは 7項目で構成され,それぞれ0~3までの4件法で評価し,点数が高いと歩行が不良とされる.今回我々は,改訂版GARSを遠隔環境下で実施し,この評価の使用可能性を検討したので以下に報告する.<BR><BR>【対象と方法】<BR> 対象は,当院入院中の女性患者5名(平均年齢80.0±6.4歳)とした.疾患の内訳は腰椎圧迫骨折1名、変形性股関節症1名、変形性膝関節症1名,大腿骨頚部骨折1名、膝蓋骨骨折1名であった.全員歩行可能で,認知面の問題はなかった.ヘルシンキ宣言に基づき,対象者には本研究の主旨と方法に関して説明を十分に行い承諾を得た.<BR>対象者に,片道3mの直線コースを2往復してもらった.床面は木製であった.危険防止のためセラピストが横についた.コースから垂直斜め横3mの地点にノートパソコン(pentiumM-1.2GHz, 1GB-RAM, WindowsXP)とウエッブカメラ(Qcam9000)を設置した.skype(ver.3.8)のビデオ通話機能を利用して,歩行の様子をイントラネット(100Mbps)で接続した別室のパソコン(pentium4M-2.2GHz, 1GB-RAM, WindowsXP)にて別のセラピストが観察した.SkypeのビデオをTapur ver1.3にて25fpsで録画するも,コマ落ちが目立つため遠隔ではライブ評価のみとした.遠隔評価と同時に、デジタルビデオ(69万画素)でミニDVカセットに歩行の様子を撮影しておき,1週後に,その映像を必要なだけ見直しながら,原法どおりに評価をおこなった.<BR> 遠隔評価とビデオ評価との一致率と相関係数を求め精度を検討した.<BR><BR>【結果】<BR> 遠隔とビデオ評価との各項目の一致率は60~100%で,全評価項目では77%であった.総合得点のspearmanの順位相関係数は0.9(p=0.037)と相関を示した.<BR><BR>【考察】<BR> 改訂版GARSは,skypeを用いた遠隔環境下のライブ観察でもある程度の一致度が得られることがわかった.しかし,評価を正確に行うには,高スペックのパソコンで映像を録画できることが必要である.また,今回は在宅の環境を想定して歩行距離を3mとしたが,原法に従って10m程度に伸ばすことや側面画像を送ることが精度向上につながると考えられた.今後はセキュリティーの問題を検討し,インターネット環境下でこれを実施する必要がある.
著者
渡辺 賢一 井上 幹雄 中野 るりこ 文 娟 国崎 恵 水戸 沙耶佳 馬 梅蕾 TV プニヤコッテイ G ナラシマン PS スレシュ P パラス M ワヘッド KA ファデア AE リヤド H ベナム 平山 匡男 小林 隆司 小山 博史 神田 光雄
出版者
新潟大学
雑誌
新潟医学会雑誌 (ISSN:00290440)
巻号頁・発行日
vol.120, no.5, pp.279-289, 2006-05-10

【目的】γ-aminobutyric acid (GABA)・リンゴ酢含有飲料水「顆糖熟(かとなーる)^[○!R]」の血圧に及ぼす作用と安全性を検討した.【方法】対象は,正常血圧者(収縮期血圧130mmHg未満かつ拡張期血圧85mmHg未満.N群.8名)と未治療正常高値血圧者(収縮期血圧130-139mmHgまたは拡張期血圧85-89mmHg)・軽症高血圧患者(収縮期血圧140-159mmHgまたは拡張期血圧90-99mmHg)のH群(10名)のボランテア計18名(男/女=13/5.平均46±3歳.)である.1本90mlにGABA70mg含有する飲料水「顆糖熟^[○!R]」を1日1本12週間摂取し,2週間毎に血圧・血液生化学・尿を検査した.【結果】診察所見・自覚所見で有害事象は見られなかった.N群では摂取による血圧の有意な変化は見られなかった(収縮期血圧118±3mmHgから113±4mmHg).H群では,摂取6週目から血圧低下が見られ,開始日(収縮期血圧136±2mmHg)と比較して10・12週目に有意な低下が見られた(収縮期血圧129±3・128±4mmHg,両p<0.05).興味深いことに,摂取中止2週後は更に血圧が低下し(126±3mmHg,p<0.05),中止4過後に血圧が上昇してきて摂取前と差が見られなくなった(130±4mmHg).摂取による血液生化学・尿検査の異常変化は見られなかったが,血糖値・GOT・γ-GTP・LDHの有意な低下と総コレステロール値の低下傾向が見られた.【総括】GABA含有飲料水「顆糖熟^[○!R]」は正常高値血圧者・軽症高血圧患者で緩やかに血圧を降下させ,安全性が高いことが示唆された.