著者
趙 伯陽 桜井 陽平 柴田 清澄 吉川 史隆 友田 豊 水上 元
出版者
Japanese Society of Food Chemistry
雑誌
日本食品化学学会誌 (ISSN:13412094)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.42-47, 2014-04-25 (Released:2017-01-27)
参考文献数
14

ナスのヘタは尋常性疣贅(イボ)の治療に伝承的に用いられている。また、ナスのガク片部のエタノール抽出物が尖形コンジローマの治療に有効であったことが報告されている。そこで、ナスのエタノール抽出物の各種ヒト腫瘍細胞株に対する細胞致死活性を調べたところ、ヒト卵巣ガン由来の細胞株であるHRAに対して細胞致死活性を示し、その効果はガク片部からの抽出物が可食部からの抽出物よりも強かった。この抽出物から活性に基づく分画を行うことにより、2つの細胞致死活性成分9-oxo-(10E, 12Z)-octadecadienoic acid (9-EZ-KODE)および9-oxo-(10E, 12E)-octadecadienoic acid (9-EE-KODE)を単離・同定した。9-EE-KODEは、9-EZ-KODEの約10倍高い細胞致死活性を示した。また、9-EE-KODEの細胞致死活性を各種細胞株を用いて比較したところ、HRAに対して他の細胞株よりも約5倍強い活性を示した。ナスのガク片部の9-EE-KODE含量は可食部よりも高かった。
著者
田中 泰宙 折戸 光太郎 関山 剛 柴田 清孝 千葉 長 田中 浩
出版者
気象庁気象研究所
雑誌
Papers in Meteorology and Geophysics (ISSN:0031126X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.119-138, 2003 (Released:2006-07-21)
参考文献数
80
被引用文献数
40 94

大気エーロゾルとその関連物質の分布の研究のために新たに開発された3次元エーロゾル化学輸送モデルModel of Aerosol Species IN the Global AtmospheRe (MASINGAR) の詳細を記す。MASINGARは大気大循環モデルMRI/JMA98と結合されたオンライン・モデルである。MASINGARは非海塩起源硫酸塩、炭素系、鉱物ダスト、海塩起源のエーロゾルを含み、移流、サブグリッドスケールの渦拡散と対流による輸送、地表面からの物質の放出、乾性・湿性沈着、化学反応を扱う。移流はセミ・ラグランジュ法によって計算される。積雲対流による鉛直輸送は荒川・シューバート法の積雲対流マスフラックスを基にしてパラメタライズされている。モデルの空間・時間解像度は可変であり、T42 (2.8°×2.8°)、鉛直30層 (0.8hPaまで)、で時間刻み20分での積分が標準的に扱われている。さらに、モデルは同化気象場データを用いるナッジング手法による4次元同化システムを内蔵し、これによって特定の期間の現実的なシミュレーションやエーロゾルの短期間の予報が可能となっている。2002年4月の鉱物ダストエーロゾルのシミュレーションから、MASINGARによって総観規模のエーロゾルのイベントが良くシミュレートできることが示唆されている。
著者
柴田 清 葛生 伸 黒田 光太郎 小林 志好 小林 信一 塚本 公秀 英 崇夫 原田 昭治
出版者
公益社団法人 日本工学教育協会
雑誌
工学教育 (ISSN:13412167)
巻号頁・発行日
vol.69, no.6, pp.6_48-6_53, 2021 (Released:2021-12-05)
参考文献数
29

Liberal arts education is attracting great interest in term of source of innovation to comprehend social needs and acceptance of technologies. However, the engineering has not been sufficiently included in the conventional liberal arts education, despite of its significance in modern society. To incorporate engineering in the liberal arts education, the following approaches are discussed. Engineers should learn social science and humanities to understand social needs and to enhance communication skills, and acquire generic engineering principle which is common in all engineering field. General public should develop technological literacy to ascertain the possibilities and limits of technology. Public, including engineers, should know nature of engineering to communicate each other, and obtain ability to identify the risk and benefit of technology.
著者
趙 伯陽 桜井 陽平 柴田 清澄 吉川 史隆 友田 豊 水上 元
出版者
日本食品化学学会
雑誌
日本食品化学学会誌 (ISSN:13412094)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.42-47, 2014

ナスのヘタは尋常性疣贅(イボ)の治療に伝承的に用いられている。また、ナスのガク片部のエタノール抽出物が尖形コンジローマの治療に有効であったことが報告されている。そこで、ナスのエタノール抽出物の各種ヒト腫瘍細胞株に対する細胞致死活性を調べたところ、ヒト卵巣ガン由来の細胞株であるHRAに対して細胞致死活性を示し、その効果はガク片部からの抽出物が可食部からの抽出物よりも強かった。この抽出物から活性に基づく分画を行うことにより、2つの細胞致死活性成分9-oxo-(10E, 12Z)-octadecadienoic acid (9-EZ-KODE)および9-oxo-(10E, 12E)-octadecadienoic acid (9-EE-KODE)を単離・同定した。9-EE-KODEは、9-EZ-KODEの約10倍高い細胞致死活性を示した。また、9-EE-KODEの細胞致死活性を各種細胞株を用いて比較したところ、HRAに対して他の細胞株よりも約5倍強い活性を示した。ナスのガク片部の9-EE-KODE含量は可食部よりも高かった。
著者
柴田 清 渡辺 一哉 笠井 由紀 滝口 泰之 渡辺 一哉
出版者
千葉工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究では深海における沈船中残存油の微生物分解処理の可能性を検討するために、高圧下におけるフェノールの微生物分解について実験的に調査した。その結果、Pseudomonas stutzeri単離株を用いた場合、海表面条件下ではフェノール分解が進行することが確認されたが、2.0MPa~5.0MPa加圧下では分解の進行が確認できなかった。一方、深海泥試料を添加した場合は常圧よりも加圧下の方が分解の進行が速いことが観察され、深海環境下でも有機物の微生物分解が進行する可能性が示された。
著者
余田 成男 石岡 圭一 内藤 陽子 向川 均 堀之内 武 小寺 邦彦 廣岡 俊彦 田口 正和 柴田 清孝
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

全球気象解析データおよび力学コアモデルから気象庁1ヶ月アンサンブル予報モデルまでを駆使して、成層圏変化が大気大循環の主要力学過程に及ぼす影響と力学的役割を明らかにした。特に、成層圏突然昇温現象に関連して、周極渦周縁の大規模前線構造を発見するとともに、極域循環の予測可能性変動の新知見を得た。また、化学-気候モデル実験結果も加えて、成層圏寒冷化、太陽活動変動などの外部要因変動が季節内変動・年々変動の及ぼす力学的役割を明らかにした。
著者
馬場 一泰 柴田 清児ブルース 古川 昌幸 友田 幸一
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
vol.52, no.5, pp.395-399, 2009 (Released:2010-10-15)
参考文献数
2

Various surgery supported equipments have recently advanced remarkably. The possibility of the navigation system as the tool for surgical skill improvement was evaluated in 30 cases between January, 2006 and September, 2008. The 28 cases was assessed as “Useful” of the navigation system, and the 8 cases was assessed as “Necessary” of the navigation system. It was concluded that the usefulness of navigation system had being changed by the surgeon's experience from the first stage to the present and it will play an important role in the surgical skill improvement and safe operation.
著者
柴田 清 杉山 静一 斎藤 文良 早稲田 嘉夫
出版者
公益社団法人 日本金属学会
雑誌
日本金属学会誌 (ISSN:00214876)
巻号頁・発行日
vol.63, no.7, pp.809-816, 1999 (Released:2008-04-24)
参考文献数
35
被引用文献数
1 1

Automobile transportation is one of the predominant sources of air pollution, producing CO2, NOx, and SOx. The weight reduction of automobiles is essential for reducing the environmental burden during their life cycle. High-tension steel, aluminum alloy and resin are candidates for such purpose. However, substituting aluminum for steel is not always beneficial with respect to reducing the burden on the environment, because the energy consumption during aluminum production is considerably greater than that for steel. A generalized equation has been derived to describe the relationship between the driving distance, weight reduction, materials production route, and change in environmental performance. In particular, the effect of the difference of electricity source for aluminum smelting on life cycle CO2, NOx, and SOx, by substituting aluminum for steel in automobile parts, is discussed. The reduction of CO2 emission can be expected for all cases, if 50% of mass reduction is made. On the other hand, aluminum produced by the uncontrolled coal fire power is not capable of reducing NOx emission. It is also suggested that a reduction of SOx emission can only be obtained when using very clean aluminum.
著者
柴田 清継
出版者
武庫川女子大学
雑誌
武庫川女子大学紀要. 人文・社会科学編 (ISSN:09163115)
巻号頁・発行日
vol.59, pp.11-20, 2011

This is my second report of the research into Chinese intellectuals in the Republic of China Era who visited Korea under Japanese control(1910︲1945) and observed its society. Huang Yanpei, the object of my research this time, wrote Chaoxian, after he visited Korea for the second time in 1927. In this paper, I intended to investigate into his views on some international problems around the East Asia at that time by collecting and reading Chaoxian and other materials.
著者
柴田 清孝
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.60, no.9, pp.709-722, 2013-09-30

厳冬期の2013年1月12日に凍結した風蓮湖(根室)ごしに距離10〜20kmの範囲に1つの虚像の下位蜃気楼と数個の虚像の上位蜃気楼を併せ持つ蜃気楼が観測された.この蜃気楼について安定成層の温度プロファイルを仮定してレイ・トレーシングを行い,観測された蜃気楼を定性的に再現することができた.また,これらの成因について調べ,曲率半径のプロファイルが極小層をもつとき,その近辺の全反射による光が蜃気楼を形成することがわかった.極小層の下に極大層がある場合は,この層によるあまり曲げられないレイが重なり,ある距離で多像になる.下位蜃気楼のみがある場合も安定成層による全反射で再現することができた.曲率半径の極値の高度は温度の変曲点高度に対応し,安定成層で温度が下に凸から上に凸に変わる変曲点で曲率半径は極大,逆に上に凸から下に凸に変わる変曲点で曲率半径は極小になる.さらに,複数の距離で複数の虚像を示す蜃気楼は大気の温度構造の情報量を多く含むので,逆問題を解くには有利であり,蜃気楼から温度構造が得られる可能性について言及した.
著者
出牛 真 柴田 清孝
出版者
気象庁気象研究所
雑誌
Papers in Meteorology and Geophysics (ISSN:0031126X)
巻号頁・発行日
vol.62, pp.1-46, 2011 (Released:2011-05-31)
参考文献数
113
被引用文献数
11 70

本論文では、気象研究所で新たに開発した全球化学気候モデル(気象研究所化学気候モデル バージョン2)について記述する。バージョン2(MRI-CCM2)は、バージョン1(MRI-CCM1)と同様のフレームワークをもち、地上から成層圏までのオゾンおよび他の大気微量成分の時空間濃度分布を計算するために必要な化学・物理プロセスをその相互作用とともに考慮している。詳細な対流圏化学過程を新たに組み込んだことで、対流圏と成層圏におけるオゾン化学過程をバージョン2では統一的に取り扱っている。バージョン2の化学モジュールにおいては、90の化学種・172の気相反応・59の光解離反応・16の不均一反応に加えて、改良されたセミ・ラグランジュスキームをもちいた格子スケールの輸送計算、サブ格子スケールの積雲鉛直輸送・乱流鉛直輸送、乾性・湿性沈着、さまざまな起源からの微量成分のエミッション、の各プロセスを取り扱っている。このバージョン2を用いて数値積分を11年間行い、1990年代の微量成分濃度分布の再現実験を行った。数値積分は、大気場の同化を行った場合と行わない場合の2通りについて行った。この数値積分結果においては、南半球極域の下部対流圏におけるオゾン濃度の過小評価および上部対流圏・下部成層圏の中高緯度における過大評価がみられるものの、中・下部対流圏におけるオゾン濃度の地理的な分布や季節変動はオゾンゾンデの観測とおおむね良く一致した。また、一酸化炭素(CO)・一酸化窒素(NO)・ヒドロキシルラジカル(OH)などの濃度分布の特徴もバージョン2は現実的に再現した。南半球高緯度においてCO濃度を約15ppbv過大評価したものの、バージョン2は観測されたCO濃度の季節変動をおおむね良く再現し、観測されたNO濃度の鉛直分布の特徴を捉え、またOHラジカルの濃度分布は最近の他の化学気候モデルが再現した濃度分布と同様の特徴を示した。