著者
石黒 浩 中村 泰 池田 徹志
出版者
大阪大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2007

本年度は体全体を表現メディアとした人間に親和的なアンドロイドシステムの開発を目指して, 親和的動作の生成メカニズムの実装と効果の検証, さらに状況の応じたアンドロイドの振る舞い変化による人間との親和的な関係構築について検証した. 動作の生成メカニズムとして, アンドロイドの動作の印象に大きな影響を与える体全体の振動を軽減する枠組みを提案した. 神経減衰振動子と呼ばれるパターン生成器を用いた制御法とその学習アルゴリズムからなる枠組みで, この手法により振動現象を軽減することができた. この手法は関節間の連動性を調整する枠組みとしても利用可能であり, 学習の目的により動作の印象を変えることが可能であることから, 体全体の自然な動作を生成する枠組みとして期待できる. また, リアルな環境における振る舞いの違いがコミュニケーションへ与える影響の検証を目的として, アンドロイドを病院の診察場面に陪席させる実験を行った. 患者の笑顔や頷きに同期してアンドロイドに笑顔や頷きを表出させた場合に患者の医師に対する印象や診察への満足度が向上するなど, アンドロイドの振る舞いを変化させることにより, 患者の診察への印象が変化することを示した. この研究は, 人間との親和的な関係を構築できる情報メディアとしてのアンドロイドを開発するだけではなく, 人間のロボットの関わるシステムの構成要素を明らかにするものである. すなわち, 三者間のコミュニケーションにおける親和的な関係構築への影響を調査したものであり, アンドロイドが今後, どのような社会的な役割を担い, 親和的なコミュニケーションの実現に寄与するかを検証するための重要な一歩となっている.
著者
玉田 克巳 池田 徹也
出版者
日本鳥学会
雑誌
日本鳥学会誌 (ISSN:0913400X)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.349-355, 2019-10-25 (Released:2019-11-13)
参考文献数
20

北海道においてスズメPasser montanusを対象とした鳥類標識調査を実施して,8か月以上経ってから成鳥3羽を再捕獲した.嘴基部の色は,1羽が黒色で,2羽が黄色であった.野外観察の結果から,6月から7月までの間,幼鳥の嘴基部の色は黄色であったが,成鳥は黒色であった.9月から12月は,ほとんどすべて個体が黄色になり,1–2月には黒色の個体の割合が増加し,3–5月にはすべて黒色であった.このことから嘴基部の色は,季節変化することが考えられた.オスの計測値は,体重,自然翼長,尾長で有意に大きかった.自然翼長は67.7 mmを境界値として性判定ができ,誤判別率は90%であった.
著者
池田 徹 李 徳甫 宮崎 則幸
出版者
一般社団法人 日本接着学会
雑誌
日本接着学会誌 (ISSN:09164812)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.97-105, 2006-03-01 (Released:2014-12-31)
参考文献数
12
被引用文献数
3 2

接着剤厚みが接着継手の破壊靭性値にあたえる影響についての研究は少なくないが,そのメカニズムはいまだ明らかとは言えない。本研究では,様々な厚みの接着継手中のき裂先端付近の損傷域を光学顕微鏡を用いて観察した。0.7mmよりも薄い接着継手において,界面損傷域が観察された。特に最大の破壊靭性値を示した0.3mmの接着剤層厚みの場合は,大規模な界面損傷域が接着剤層中に観察された。このことより,界面損傷域の応力遮蔽効果がこの接着継手の破壊靭性値を上昇させているものと推定された。接着継手中のき裂先端近傍の損傷を有限要素法にGursonモデルを適用して解析したが,その結果は薄い接着剤層ほど応力と損傷が大きくなるというものであった。このことは,接着剤層が薄くなると単調に破壊靭性値が減少するということを示す。そこで,接着剤層と被着材の界面に人工的な損傷を導入して,有限要素法解析を行ってみた。その結果,約0.3mmの接着剤層厚さで最大の破壊靭性値を示し,界面損傷域の応力遮蔽効果を裏付けるものとなった。
著者
池田 徹郎
出版者
震災豫防調査會
雑誌
震災豫防調査會報告
巻号頁・発行日
vol.100, no.2, pp.97-112, 1925-03-31

付録3頁
著者
立本 健司 辻 和也 岩城 敏 池田 徹志
出版者
公益社団法人 計測自動制御学会
雑誌
計測自動制御学会論文集 (ISSN:04534654)
巻号頁・発行日
vol.53, no.11, pp.583-589, 2017 (Released:2017-11-16)
参考文献数
18

In this paper we propose a method to improve projection quality of projection robots that work in our daily environments. In previous work we have proposed a robot CAMPRO-RIS which can project from arbitrary place to a specified position and size without distortion. However, there is a problem that projection quality deteriorates as the distance from the robot to the position becomes larger or the angle becomes steeper. To overcome the problem we propose a planning method that considers the projection quality according to the specification of the projector and simultaneously avoids obstacles. By making use of the redundant degree of freedom of the CAMPRO-RIS, our method computes a potential function that navigates the robot to appropriate areas to project while keeping projection to the specified position. We have confirmed the validity of the proposed method based on the simulated experiments and real robot navigation and projection experiments.
著者
KIM Won-Keun 池田 徹 宮崎 則幸
出版者
一般社団法人エレクトロニクス実装学会
雑誌
エレクトロニクス実装学会誌 (ISSN:13439677)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.153-160, 2003
被引用文献数
4

異方性導電フィルムは, 液晶ディスプレイ実装分野などでの電気的接続に広く用いられている接着材料である。異方性導電フィルムによる接合部は, 樹脂の収縮によって, バンプ間に圧力を発生させ, これによって導通を確保する。一方で, 樹脂の収縮は, 半導体チップや基板との接合部をはく離させる推進力となるため, その両者のバランスのとれた設計が必要である。本研究では基板, 半導体チップと異方性導電フィルムの界面のはく離試験方法を開発し, 異種材界面き裂の応力拡大係数を用いて接合強度の評価を行う手法を提案する。
著者
池田 徹 上野 雄也 宮崎 則幸 伊東 伸孝
出版者
The Japan Institute of Electronics Packaging
雑誌
エレクトロニクス実装学会誌 (ISSN:13439677)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.47-55, 2001-01-01 (Released:2010-03-18)
参考文献数
12
被引用文献数
1

プラスチックパッケージが, はんだリフロー時に割れを起こす現象は, 以前よりよく知られている。この主な原因は, 吸湿した水分がリフロー時に蒸気となり, その蒸気圧によってダイパッド等の角部から樹脂が割れることによる。鉛ブリーはんだの導入によるリフロー温度の上昇は, 割れの防止をより困難なものにすることが予想され, 効果的な設計手法の確立が望まれる。本論文では異種材接合角部の応力拡大係数を, パッケージ中の樹脂角部の強度評価に利用する。すなわち, パッケージの吸湿解析と応力解析より求められる, 樹脂角部の応力拡大係数を用いて, 割れの発生を評価し, さらに, リフロー割れを起こしにくいパッケージの形状設計について検討する。
著者
池田 徹郎
出版者
震災豫防調査會
雑誌
震災豫防調査會報告
巻号頁・発行日
vol.100, no.2, pp.97-112, 1925-03-31

付録3頁
著者
岩城 敏 谷口 和弘 池田 徹志
出版者
広島市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

生活・介護支援ロボットへの応用を念頭に、PC内アイコンと実物体両者へアクセス可能なインタフェースを開発した.頭部動作でパンチルトアクチュエータ上に搭載されたレーザポインタの方向を制御することで実物体ポインティングするシステムを開発した.さらに,TOF(Time Of Flight)型レーザセンサを用いて,実物体を「クリック(3D位置測定)」「ドラッグアンドドロップ」する方式を開発した.最後に,PC画面上レーザスポット位置に人工的なマーカを重畳表示することで,その視認性を改善する方式を開発した.以上3つの方式に対して,複数被験者による性能評価実験を行った結果,提案手法の有効性を確認した.
著者
宮崎 則幸 池田 徹 松本 龍介
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2006

先端デバイスの強度信頼性評価に使用することができる解析プログラムおよび実験手法を開発した。すなわち、解析プログラムとしては、異種材界面強度の破壊力学的評価プログラム、転位密度というミクロ情報を含む構成式を用いた転位密度評価解析プログラム、および大規模分子動力学解析プログラムを開発した。また、実験的手法としては、撮像装置として光学顕微鏡および走査型レーザ顕微鏡を用いた微小領域ひずみ計測システムを開発した。これらの解析的、実験的手法を用いて、電子デバイスの強度信頼性評価を行った。
著者
池田 徹 宮崎 則幸 松本 龍介
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本研究では,まず,マイクロ構造物の接合強度評価パラメータを解析する数値解析手法の開発を行うことを目的とした.このために,前年度までに3次元異方性異種材界面き裂の応力拡大係数を解析する手法を開発していたが,これにグラフィック・ユーザー・インターフェースを整備して,一般ユーザーが'使用しやすいソフトウエアを完成させた.また,当該年度には,熱応力下の異方性異種材接合角部の応力拡大係数を解析する手法を完成させた.これにより,界面き裂のみでなく,さまざまな角度をもって接合した接合角部の特異性応力場の評価が可能となった.これまで,このような熱応力下の異方性異種材界面角部の応力拡大係数を解析する手法は無く,本手法はマイクロ構造物のみに限らず,あらゆる異種材接合角部の定量的な強度評価に道を開くものである.次の目的は,デジタル相関法を用いた々イクロ接合部のひずみ分布の直接測定手法の開発である.これについては,レーザー顕微鏡画像に対するレーザー走査時の位置ずれに起因する画像誤差を,異なる方向に走査した2枚の画像を使って補正する手法を開発し,デジタル画像相関法によるひずみ測定の精度を向上させた.さらにこの計測手法を用いて,部品内蔵基板中のひずみ分布を計測することにも成功した.以上の成果によって,マイクロ構造物中の破壊現象について,数値計算手法による解析結果を実測によって確認することが可能となったことから,強度評価の信頼性を高めることが期待できる.また,数値計算手法では解析が難しい,複雑な内部構造をもったマイクロ構造物内のひずみ分布や,構成部材の材料定数などを実測によって調べることが可能となった.
著者
石黒 浩 浅田 稔 板倉 昭二 細田 耕 宮下 敬宏 神田 嵩行 港 隆史 池田 徹志 MACDORMAN K.F.
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2004

知的な情報システムを実現する方法には2つあり,人間のように,比較的数の少ないセンサと;脳が行うような高度な情報処理機能を組み合わせる方法と,ロボットだけでなく環境もセンサでくまなく覆い,目的達成のために必要な情報をより直接的に得る方法である.本研究では後者のアプローチにおいて,知的な情報処理システムを実現する研究に取り組んだ.具体的には,本研究とは独立に開発してきた知覚情報基盤プロトタイプ(多数のセンサからなる次世代のコンピュータネットワーク)を発展させ,これまでに開発してきた人間との対話を目的としたロボットを組み合わせることで,人間の行動に応じて知的に振舞う知的情報処理システムを実現した.研究期間における研究は,(a)行動に関する知的情報処理,(b)ロボットの行動支援のためのセンサネットワーク,(c)環境一体型ロボットの知的情報処理の主な3項目からなる.行動に関する知的情報処理では,ロボットの歩行や腕の制御,皮膚感覚の学習等,ロボットの基本機能と,ロボットやアンドロイドの見かけの問題をはじめとする人と関わるロボットに関する研究に取り組んだ.センサネットワークに関する研究では,基礎アルゴリズムに加え,床センサやカメラネットワークの利用法を研究した.環境一体型ロボットに関する研究では,センサネットワークと連動して活動するロボットを実装すると共に,遠隔操作等,それに関わる機能について研究を行った.
著者
小金丸 正明 池田 徹 宮崎 則幸 友景 肇
出版者
社団法人エレクトロニクス実装学会
雑誌
エレクトロニクス実装学会誌 (ISSN:13439677)
巻号頁・発行日
vol.12, no.3, pp.208-220, 2009-05-01
被引用文献数
2 3

実装応力に起因するnMOSFETのDC特性変動を,ドリフト拡散デバイスシミュレーションにより評価する手法を検討した。応力効果をデバイスシミュレーション上で取り扱うための電子移動度モデルを検討し,実験結果との比較からその妥当性を検証した。この移動度モデルでは,応力によるSi伝導帯エネルギ変化,および伝導帯エネルギ変化によって引き起こされる電子存在確率と散乱確率の変化を考慮した。このシミュレーション手法を用いて,QFP樹脂封止にともなうnMOSFETのDC特性変動を評価した。その結果,実験で得られたドレイン電流の変動,しきい値電圧の挙動および相互コンダクタンスの変動を再現することができた。