著者
岸田 和明
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.54, no.8, pp.439-448, 2011 (Released:2011-11-01)
参考文献数
8
被引用文献数
1 2

本稿の目的は情報検索研究における評価方法の歴史的な変遷を概観し,評価の高度化のために探究されるべき課題を論じることにある。最初にクランフィールド実験・TRECという2つの画期的な検索実験を紹介する。これらは現在の検索実験の標準的な枠組みを提供した。次に,検索実験における評価指標について論じる。特に,順位付き出力の評価用に開発された平均精度について詳しく説明し,その問題点を議論する。最後に,評価尺度としての「適合性」概念について述べ,その客観的な解釈と主観的な解釈との相違を明確にする。
著者
王 杰 岸田 和明 松井 幸子
出版者
日本計算機統計学会
雑誌
計算機統計学 (ISSN:09148930)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.107-116, 1996-05-31

本研究では,採録論文数と被引用回数という2つの尺度によって,社会科学分野における重要な雑誌群である「コア・ジャーナル」を特定するための実験を行った.研究の素材としては,International Bibliography of the Social Sciences (IBSS)およびSocial Science Citation Index (SSCI)を使用した.その結果,経済学,政治学,社会学,社会人類学・文化人類学の分野別に,IBSSとSSCIの両者に採録されており,採録論文数とインパクト・ファクタ(被引用回数を掲載論文数で補正)の両者あるいはいずれかでコア・ジャーナルとなる雑誌群や,いずれかのコア・ジャーナルではあるが他方には採録されていない雑誌群など,5つの特徴ある雑誌群からなるコア・ジャーナルを特定した.さらに上記の4分野には含まれないが,社会科学分野全体ではコア・ジャーナルとなる学際性の高い雑誌群も見出した.最後に,得られたコア・ジャーナル・リストの利用方法について検討した.
著者
岸田 和明
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.62-67, 2007-02-01
被引用文献数
2

本稿では,シソーラスや件名標目表をはじめとする統制語彙に関して,その基本的な機能や限界を整理した上で,インターネットが高度に発達し,サーチエンジンが広く普及した現在における統制語彙の意義と役割について議論する。具体的には,再現率向上および精度向上のための装置としての統制語彙の機能を確認した上で,検索実験や種々の実証研究等で明らかになっている,その限界について述べる。次に,その点を踏まえ,専門的データベースの検索におけるその意義,ウェブなどの全文検索におけるその意義,複数根拠を提供するための表現としての意義について議論する。さらに,今後の可能性として,シソーラスの自動構築や索引語の自動付与,オントロジやフォークソノミーとの関連についても触れる。
著者
原田 隆史 高久 雅生 小野 永貴 杉岡 秀紀 真山 達志 逸村 裕 江草 由佳 岡部 晋典 小泉 公乃 山本 順一 安形 輝 桂 まに子 岸田 和明 佐藤 翔
出版者
同志社大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究では,「資料」「来館者」「非来館者」「知の拠点」「図書館制度・経営」という5つの観点を研究する5 つのグループを設定して,日本の公共図書館全体を対象とする大規模な質的・量的調査を実施する。これによって日本の公共図書館に関して,それぞれの機能・サービスの基準とし,規模や地域経済など,図書館の状況に応じたベースラインを明らかにする。本研究により日本の公共図書館すべてに適用可能な評価パッケージを開発可能にすることが可能になると考えられる。
著者
岸田 和明
出版者
日本図書館情報学会
雑誌
日本図書館情報学会誌 (ISSN:13448668)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.17-28, 2001-08-31
被引用文献数
1

本稿の目的は, 索引作成支援システムを応用目的とした文献の自動分類あるいは自動索引作成のための統計的手法についての諸研究の整理を試み, その全体像を明らかにするとともに, 個々の手法の特徴を論じることにある。まず, 図書館情報学およびそれに関連した情報検索分野における自動分類法と自動索引法の概要を論じる。そして, 自動分類法と自動索引法とが方法論的には密接に関連していることを確認した上で, それらの方法の大部分が, 標題や抄録中に含まれる語と分類信号(またはディスクリプタ)との関連度を, その語の文献中の重みを加味して加算した計算式に帰着することを示す。そして, その関連度の計算方法および重みの計算方法の設定の違いという観点から, 各手法の体系的な整理を試みる。
著者
根本 彰 影浦 峡 青柳 英治 海野 敏 小田 光宏 河西 由美子 岸田 和明 倉田 敬子 古賀 崇 鈴木 崇史 竹内 比呂也 谷口 祥一 研谷 紀夫 中村 百合子 野末 俊比古 松本 直樹 三浦 太郎 三輪 眞木子 芳鐘 冬樹 吉田 右子 今井 福司 河村 俊太郎 浅石 卓真 常川 真央 南 亮一
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010-04-01

5年間にわたる本プロジェクト(通称LIPER3)では、過去2回のLIPER研究で抽出した図書館情報学教育の問題構造に変化を与えるために次の実践研究を行った。第一に、図書館情報学教育の教育内容を見直すために、新しい標準的な教科書シリーズを執筆し刊行した。第二に、この標準的な教育内容に沿って各教育機関がどのような教育成果を上げているかを自己評価できるように、図書館情報学検定試験を4年間にわたり実施した。第三に、外国の図書館情報学教育の状況を把握し関係者と交流するために、アメリカの標準的教科書を翻訳・刊行し、国際学会で日本の図書館情報学教育について発表し、欧米の教育機関での聞き取り調査を実施した。
著者
岸田 和明
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.62-67, 2007-02-01 (Released:2017-05-09)
参考文献数
14
被引用文献数
2

本稿では,シソーラスや件名標目表をはじめとする統制語彙に関して,その基本的な機能や限界を整理した上で,インターネットが高度に発達し,サーチエンジンが広く普及した現在における統制語彙の意義と役割について議論する。具体的には,再現率向上および精度向上のための装置としての統制語彙の機能を確認した上で,検索実験や種々の実証研究等で明らかになっている,その限界について述べる。次に,その点を踏まえ,専門的データベースの検索におけるその意義,ウェブなどの全文検索におけるその意義,複数根拠を提供するための表現としての意義について議論する。さらに,今後の可能性として,シソーラスの自動構築や索引語の自動付与,オントロジやフォークソノミーとの関連についても触れる。
著者
岸田 和明
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.69, no.3, pp.106-110, 2019-03-01 (Released:2019-03-01)

図書館の館外貸出についての業務記録は,図書の利用の実際を知るための貴重なデータであり,それを解析して業務やサービスの改善に活用する試みは,長年に渡ってなされてきた。最近のデータマイニング技術の発達やビッグデータへの関心の高まりから,この種の図書館利用データの解析とその活用は,新たな局面を迎えた感がある。本論文では,これに関する過去から現在までの動向を概観する。具体的には,計量書誌学やデータマイニング,ビッグデータについて触れた後,廃棄・別置,蔵書評価,図書の推薦に対するデータの解析例を紹介する。また,その他の種類の利用に関するデータの収集などについても論じる。
著者
岸田 和明
出版者
日本図書館情報学会
雑誌
日本図書館情報学会誌 (ISSN:13448668)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.49-66, 2001-11-30
被引用文献数
2

本稿の目的は, 索引作成支援システムを応用目的とした, 文献の自動分類あるいは自動索引作成のための統計的手法について実証的な分析を試み, より優れた方法を提案することにある。このために, まず, 自動分類法と自動索引法に関する先行研究を概観し, その諸手法を整理する。次に, 約9, 000件のレコードから成る『図書館情報学文献目録』のデータを使って, それらの諸手法の性能を実証的に比較評価する。そして, その結果を踏まえて, 情報検索分野のレレバンスフィードバック手法を応用した独自の方法を提案し, この方法の性能が既存のものよりも高いことを実証的に示す。
著者
岸田 和明
出版者
記録管理学会
雑誌
レコード・マネジメント (ISSN:09154787)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.22-34, 1997-07-31 (Released:2017-03-24)

近年、記録/文書をその主題や内容から検索する手法の必要性が認識され始めている。主題や内容からの検索については、情報検索あるいは文献検索の問題として、長年にわたって図書館情報学の分野において研究が進められてきたが、本稿の目的は、その記録/文書への適用可能性を検討することである。具体的にはまず、記録/文書における主題の概念について、特に文献検索におけるアバウトネスの概念との対比の中で議論する。次に、記録/文書の主題検索における現状を文献レビューする。特に、MARC AMCや索引語による検索の問題について論じる。最後に、文献検索理論において発達してきた自動索引法の適用可能性を検討する。すなわち、記録/文書は基本的には個々の機関・組織に特有のものであり、それらに対して人が個別的に索引語を付与することは労力的に困難との立場から、索引作成の自動化の可能性を議論する。
著者
岸田 和明 松井 幸子
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会研究報告会講演論文集 情報知識学会 第3回(1995年度)研究報告会講演論文集 (ISSN:24329908)
巻号頁・発行日
pp.41-46, 1995 (Released:2017-09-16)
参考文献数
7

A scientometric analysis of social science research is tried by using the machine-readable files of the IBSS 1981-1985, which is one of the comprehensive international bibliographies in social sciences including cultural anthropology, economics, political science and sociology. Data used are 40,313 monograph records in the IBSSfile. First, we try to compare the number of scholarly monographs published by each country. As a result, it is shown that a large portion of monographs was published by only a small portion of countries. Second, we examine the correlation among the number of published mono- graphs, GDP and socio-demographic factors such as population and the number of people attaining the education level provided at university. A regression model that incorporates GDP as explanatory variable explains well the variation of the number of monographs by countries (R^2=0.769).