著者
大井 将生 中川 亮 岑 天霞 Desislava Bankova ピーピョミッ 季高 駿士 趙 誼 朴 美煕 張 宇傑 飯塚 陽美 松井 晋 Steven Braun 渡邉 英徳
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.119-124, 2021-04-01 (Released:2021-06-01)
参考文献数
20

本調査の目的は、COVID-19禍における国内及び国外の地域に暮らす人々の生活意識を記録することである。そのための手法として、生活実態や意識をはかるアンケートを作成し、スノーボールサンプリング方式で国内外からデータを収集した。収集したデータに対してワードクラウド・グラフを用いて可視化を行い、回答全体の傾向を考察した。また、回答者数の多かった言語・地域については比較分析を行った。その結果、COVID-19の影響によって意識・考え方が「変化し続けている」と感じている回答者が多いことが明らかになった。また、政治及び情報元への信頼性に関するトピックにおいて、人々の意識・考え方に、回答者の居住地域や使用言語属性による差異があることが示唆された。
著者
大井 将生 渡邉 英徳
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.4, no.s1, pp.s69-s72, 2020 (Released:2020-10-09)
参考文献数
25

本稿の目的は、初等中等教育におけるデジタルアーカイブを活用したハイブリッド型学習のあり方を提示することである。そのために、遠隔オンライン授業をめぐる社会的背景とこれまでの動向を整理し、遠隔オンライン授業の課題について議論する。本研究ではその課題を解決するための学習デザインとして、デジタルアーカイブを活用した遠隔オンデマンド型授業と対面授業の組み合わせによる、探究的キュレーション授業を提案する。デザインした授業で2020年4月より小学校と中学校で年度を通して授業実践を行い、児童生徒の認識変容を検証する。この手法により、学習指導要領で掲げられたICT・MLA資料の活用や探究的な学びを実現するとともに、休校という社会的要請が生じる感染症や災害等の不測の事態、地方と都市の教育格差、不登校による学習機会の喪失など、社会的諸課題の解決にも寄与することができると考える。
著者
渡邉 英徳
出版者
首都大学東京
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

これまでのデジタルアース・アーカイブの研究成果を活かして,インド洋大津波のデータ,企業ビッグデータのデジタルアーカイブを作成し,公開した。加えて,ニューラルネットワークを用いた自動色付け技術を用いて,マスメディア(朝日新聞社,沖縄タイムス,岩手日報社)の所蔵する災害アーカイブなどの資料をカラー化し,取材・時代考証を踏まえた補正を加えたものを,ソーシャルメディア(Twitter,Facebook)で発信する実験を行なった。毎日,その日付に起きた出来事にまつわる画像をアーカイブから選定し,カラー化したものを発信した。各々の着彩写真は数千〜数百回リツイート・シェアされ,年度内のインプレッション数は合計6000万回となった。カラー化写真に対して,ユーザからは多数のリプライ・引用リツイートがあり,写真への感想,時代考証,撮影地の特定など,さまざまなコミュニケーションが創発した。その結果,写真の撮影地や被写体の詳細が判明するなど,資料内容の特定への寄与もみられた。さらに,カラー化した写真をもとにして,若者たちと災害の当事者が語り合い,交流を深めるワークショップを,広島原爆・東日本大震災をテーマとして開催した。このことにより,ローカルなコミュニティ形成に貢献した。カラー化写真およびワークショップは,朝日新聞朝刊一面(6/23)をはじめとするTV・新聞などのマスメディアで多数取り上げられ,年度内に34件の報道があった。こうした反響を受け,カラー化した写真を,日本新聞協会主催の展覧会「よみがえる沖縄1935」などで展示した。
著者
田村 賢哉 井上 洋希 秦那 実 渡邉 英徳
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.128-131, 2018-09-03 (Released:2018-05-18)
参考文献数
10
被引用文献数
1

「デジタルアーカイブ」の多様化により,これまで利用側であった非専門家である市民が積極的にアーカイブズに取り組む可能性を有している.そうした背景から本発表では,デジタルアーカイブにおける市民参加の新しいアプローチとして,ヒロシマ・アーカイブなどの「多元的デジタルアーカイブ」の複数の活動の特徴を述べ,それらの有機的な制作環境の実態について言及した.そうした実践からデジタルアーカイブの社会に及ぼす影響について考察を行い,デジタルアーカイブの新しい研究領域として「参加型デジタルアーカイブズ」を述べる.
著者
渡邉 英徳
巻号頁・発行日
2013

筑波大学博士 (工学) 学位論文・平成25年3月25日授与 (甲第6459号)
著者
渡邉 英徳 原田 真喜子 遠藤 秀一
出版者
特定非営利活動法人 日本バーチャルリアリティ学会
雑誌
日本バーチャルリアリティ学会論文誌 (ISSN:1344011X)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.307-314, 2010
被引用文献数
2

"Tuvalu Visualization Project" is a net art work on digital globe that tells the realities of remote place. This work has both the function as a photograph archive and as a communications platform. Our purpose was to create the chance for users of overlapping the event in remote place with daily life of users and re-interpreting it globally. To achieve such purposes, we made a visualization of the real state of affairs in Tuvalu with a digital globe, and added the pseudoand synchronous communications function to it. We think It will have the possibility of supporting the international contribution activity by the individual and nonprofit organization etc.
著者
原田 真喜子 渡邉 英徳
雑誌
エンタテインメントコンピューティングシンポジウム2014論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, pp.244-251, 2014-09-12

本研究では、ブレインストーミングにおける情報の発散と収れんを円滑にすることを目的に、論文・哲学用語・プレスリリース・Twitter・書籍の横断検索が可能なコンテンツを制作する。本作品は、検索結果から特徴後を抽出し、検索リソースごとに分類して提示し、さらに、感情メタデータの反映と、ユーザによって検索結果を分類・削除する機能を持つ。ワークショップでこれらの手法の効果を検証するユーザアンケートを行った結果、新規情報の発見と議論の拡散に効果があることが示された。
著者
渡邉 英徳
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.6, no.3, pp.117-119, 2022-08-01 (Released:2022-10-05)
参考文献数
2

本特集では、デジタル環境の利点を活かして「電子書籍」を越えることを目指した「Beyond Book (BB)」プロジェクトについて解説する。1990年代から開発が開始されたeBookは「電子書籍」として普及しているとはいえ、デジタル化・ネットワーク化の利点を十分に活かすことができていない。そこで本プロジェクトでは、電子書籍の先にある新しい知識形態のプロダクトとして「BB」の開発を目指した。本特集は5部で構成される。第1〜4部においては、BBプロジェクトのコンセプト・要素技術について解説する。第5部では、BBプロジェクトの後継となる「新しい本」プロジェクトの方針と現状について述べる。
著者
岑 天霞 渡邉 英徳
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.227-230, 2019

<p>本研究の目的は,日中両国の戦争に関する歴史認識を明らかにすることである.このために,すでにネットでアーカイブされている映画情報とコメント情報を分析し,日本と中国の戦争映画の「送り手」と「受け手」の現状を読み取った.まず日中両国の歴史・戦争を題材とした映画の内容と舞台を解読・比較し,日中両国の映画製作側の意図と表現手法の変遷を明らかにする.その上で,映画情報サイトから映画のレビュー情報や,「ニコニコ動画」などの弾幕動画サイトのコメント情報を収集・分析し,若者の映画鑑賞者(これらのサイトの主なユーザは10代後半から30代の若者)の戦争・歴史認識を明らかにする.本研究の成果によって,日中両国の若者における歴史認識の違いを明らかにし,新しい時代における日中歴史和解実現に示唆するものを得ることができると考えられる.</p>
著者
渡邉 英徳
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.16-19, 2021-01-12 (Released:2021-02-24)
参考文献数
6

今回のCOVID-19感染症を巡る社会の動きに、過去の疫病の教訓が十分に生かされているとは、必ずしも言えない。厳重に管理され、社会に“ストック”されるはずの新型コロナウイルス対策専門家会議の議事録が残されず、公文書の存在意義が揺らぐような状況も生まれている。筆者は、こうした状況を踏まえ、歴史に残るであろう現在の社会のありよう=“フロー”を、仔細に記録=“ストック”していくことの重要さを改めて主張したい。本特集では、筆者が主査を務める「SIG COVID-19」のメンバーをはじめとして、各地でアーカイブの実践に取り組んでいる方々の、リアルタイムなアーカイブ活動を網羅することを企図した。これらの取り組みの成果が、現在進行系の、そして近未来・遠未来に確実に起きるであろう、あらたなパンデミックに活かされることを願っている。
著者
渡邉 英徳
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.3, no.3, pp.292-294, 2019-06-24 (Released:2019-08-30)
参考文献数
11

「デジタルアーカイブと可視化」についての事例は,必ずしも共通のデザイン指針に沿っているとは限らず,勃興するテクノロジーから創発する,多種多様なクリエイターの創意によって次々に生み出され,進化し続けている。本特集ではこうした現状を「可視化」するために,研究者による公共データアーカイブの可視化,デザイナーによる大学図書館のデータの可視化,企業内研究者らによるビッグデータの可視化,高校生チームによる被爆前後の広島のVRコンテンツ,そして筆者と高校生のコラボレーションによる,AIを活用した白黒写真データのカラー化実践を紹介する。
著者
渡邉 英徳
出版者
首都大学東京
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

開発したシステムによって,災害の進捗状況をリアルタイムで可視化・アーカイブ化することができ,その結果は事後の報道内容とよく一致していた.成果物は多数のユーザに活用され,公開直後の3日間で30万ページビューを超えるアクセスがあった.加えて,その後に発生した多様な災害に対応するアップデートを施した結果,災害発生タイミングに合わせてアクセス数が増加し,これまでに60万ページビューを超えるアクセスがあり,TV,新聞,ウェブメディアで数多く言及された.このことから,研究代表者らの手法が効果を発揮しており,災害速報システムとして社会に定着しつつあると推測する.
著者
原田 真喜子 渡邉 英徳
雑誌
じんもんこん2012論文集
巻号頁・発行日
vol.2012, no.7, pp.199-204, 2012-11-10

Web集合知を介して誰でも情報の発信・受信・検索が可能になった.しかしWeb集合知の性質は各プラットフォームの性質に依存し,検索結果が言葉の全貌を示しているとは言い難い.また,言葉は日々変化するものであり,Web集合知或いは辞書においても過去の言葉の使われ方を調べることは難しい.本研究では,言葉の俯瞰的な認識と新たな知見の提供を目的に,SNS,サーチエンジン,Web百科事典の性質を客観的/当事者的に分類し,その検索結果を一様に閲覧可能な,言葉アーカイブコンテンツの制作を行った.
著者
渡邉 英徳 坂田 晃一 北原 和也 鳥巣 智行 大瀬良 亮 阿久津 由美 中丸 由貴 草野 史興
出版者
特定非営利活動法人 日本バーチャルリアリティ学会
雑誌
日本バーチャルリアリティ学会論文誌 (ISSN:1344011X)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.497-505, 2011
被引用文献数
2

We defined the approval requirements and established the design method for information architecture "Plural digital archives" that supplemented existing digital archives' weak point. A digital archive that urges multipronged, overall understanding about archived event can be achieved by this design method. And more, we produced an implementation example "Nagasaki Archive" and verified the validity of the design method through the analysis of behavior and comments of users and the access log of the website.
著者
金 甫榮 中村 覚 渡邉 英徳
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.6, no.s3, pp.s147-s150, 2022 (Released:2022-11-02)
参考文献数
9

本研究では、デジタル化した資料の長期保存および公開のための、OAIS情報モデルに準拠したワークフローを提案する。ワークフローの実現には、オープンソースソフトウェアであるArchivematica(長期保存用)とOmeka S(公開用)を用いる。まず、デジタル化資料の真正性を確保するため、OAIS情報モデルで定義するメタデータ要素に基づき、メタデータを分析した。次に、Archivematicaを用いて必要な情報パッケージを作成した上で、それをOmeka Sへインポートするためのツールを独自に開発した。その結果、デジタル化資料の受入から公開までの一貫したワークフローを提案することが可能となった。