著者
牧野淳一郎著
出版者
岩波書店
巻号頁・発行日
2013
著者
牧野 淳一郎
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.57, no.5, pp.330-336, 2002-05-05

最近になってM82銀河の中心近くに太陽質量の1,000倍程度の「中間質量」ブラックホールが見つかった.これまでは太陽質量の100から100万倍の間のブラックホールは全く見つかっていなかった.M82での発見はブラックホール,特に多くの銀河の中心にあると思われる太陽質量の100万倍を超える大質量ブラックホールの形成過程に対する我々の理解を大きく変えるものである.この解説では,大質量ブラックホールの形成過程に対する,上の発見をふまえた新しいシナリオを紹介する.我々はこれがブラックホール形成シナリオの「決定版」になる可能性は十分にあると考えている.
著者
似鳥 啓吾 牧野 淳一郎 阿部 譲司
雑誌
情報処理学会論文誌コンピューティングシステム(ACS) (ISSN:18827829)
巻号頁・発行日
vol.48, no.SIG8(ACS18), pp.54-61, 2007-05-15

本論文では,400個のデュアルコアOpteronプロセッサを用いたCray XD1システム上での高性能な N体シミュレーションコードの実装と,64k粒子の星団のシミュレーションでの性能について述べる.これまでにも多くの天体物理学的 $N$ 体計算の並列化が報告されているが.その中でも数十プロセッサ以上を用いた実装の性能評価には,大きな粒子数が使われる傾向がある.たとえば,これまでのゴードン・ベル賞へのエントリでは,少なくとも70万粒子が用いられている.この傾向の理由は,並列化効率にある.というのも,大規模並列機で小さな粒子数で性能を出すのは非常に困難であるからである.しかしながら,多くの科学的に重要な問題では計算コストは O(N^3.3) に比例するため,比較的小さな粒子数の計算に大規模並列計算機を用いることが非常に重要である.我々は,64k粒子のO(N^2)直接計算独立時間刻み法の計算で2.03Tflops(対ピーク57.7%)の性能を実現した.これまでの64k粒子での同様の計算における最大の効率は,128プロセッサのCray T3E-900での7.8%(9Gflops)である.今回の実装では従来の方法より高スケーラブルな2次元並列アルゴリズムを用いている.さらに今回のような高性能を達成するためにはCray XD1の低レイテンシネットワークが本質的に重要であった.
著者
牧野 淳一郎
出版者
物性研究刊行会
雑誌
物性研究 (ISSN:05252997)
巻号頁・発行日
vol.76, no.3, pp.374-465, 2001-06-20

この論文は国立情報学研究所の電子図書館事業により電子化されました。
著者
牧野 淳一郎
出版者
一般社団法人 日本応用数理学会
雑誌
応用数理 (ISSN:24321982)
巻号頁・発行日
vol.8, no.4, pp.277-287, 1998-12-15 (Released:2017-04-08)
参考文献数
18

I overview the Fast Multipole Method (FMM) and the Barnes-Hut tree method. These algorithms evaluate mutual gravitational interaction between N particles in O(N) or O(N log N) times, respectively. I present basic algorithms as well as recent developments, such as Anderson's method of using Poisson's formula, the use of FFT, and other optimization techniques. I also summarize the current states of two algorithms. Though FMM with O(N) scaling is theoretically preferred over O(N log N) tree method, comparisons of existing implementations proved otherwise. This result is not surprizing, since the calculation cost of FMM scales as O(Np^2) where p is the order of expansion, while that of the tree method scales as O(N log Np).
著者
平木 敬 笹田 耕一 定兼 邦彦 牧野 淳一郎 井田 茂 稲葉 真理
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2009-04-01

本研究開発では、関数型オブジェクト指向言語であるRubyを拡張し、HPC向け高生産言語としてHPC Ruby言語を確立した。また、Rubyの特徴である計算環境の統合を生かし、HPC情報環境における新しいソフトウェア体系を実現した。HPC向け新言語の普及のため地球科学分野、天文分野、離散最適化分野においてRuby言語モデルを用いて問題定式化し、Rubyの科学技術計算位おける優位性を示した。分散実行環境の実証研究では、日米欧を100Gbpsインターネットで結び、その90%を高効率利用する通信方式を確立し、実験により実証した。これらの成果を総合し、Rubyを中心とした科学技術計算の体系を確立した。
著者
台坂 博 大槻 圭史 岩澤 全規 牧野 淳一郎 似鳥 啓吾
出版者
一橋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

本研究では、土星リングに代表されるリングに関する諸問題(構造や起源)の解決を図るためにこれまでにない大粒子数を用いた惑星リング全系のN体シミュレーションを可能とする方法を確立し、その手法を用いたシミュレーションを実施し、その有用性を実証することを目的としている。令和2年度は、引き続き、開発している数値計算コードの検証作業を行った。前年度に引き続き、光学的に薄いリング系におけるリング粒子系の熱速度の進化を、先行論文の結果と比較することで検証を行っているが、現在のところ、再現性の問題の解決にいたっていない。粒子同士の衝突モデルの変更の検討も行っているが、変更には数値計算コードの高速化の鍵となる部分に大幅な修正が必要となるため、その変更を行うかも含めた検討を行っている。
著者
牧野 淳一郎 川井 敦
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
応用力学論文集 (ISSN:13459139)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.101-109, 1999-08-27 (Released:2010-03-17)
参考文献数
28
被引用文献数
1

We overview the Fast Multipole Method (FMM) and the Barnes-Hut tree method. These algorithms evaluate mutual gravitational interaction between N particles in O (N) or O (N log N) times, respectively. We present basic algorithms as well as recent developments, such as Anderson's method of using Poisson's formula, the use of FFT, and other optimization techniques. We also summarize the current states of two algorithms. Though FMM with O (N) scaling is theoretically preferred over O (N log N) tree method, comparisons of existing implementations proved otherwize.
著者
大野 洋介 牧野 淳一郎 蜂巣 泉 戎崎俊一 杉本 大一郎
雑誌
情報処理学会研究報告ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)
巻号頁・発行日
vol.1993, no.72(1993-HPC-048), pp.41-48, 1993-08-19

我々は差分法による数値流体力学における記憶容量不足を解消する専用計算機DREAMの試作機DREAM?1Aを開発した。DREAMは主記憶としてハードディスクを使用することで低コスト大容量を実現するアーキテクチャである。DREAM?1Aの場合、100万円程度のコストで記憶容量は1.4Gバイトである。実効計算速度は14Mフロップスになる。ハードディスクは転送速度が遅く、アクセスタイムが長いという問題がある。DREAMでは転送速度の問題は並列化と小規模の半導体メモリの併用により解決する。差分法はデータあたりの演算量が多いので半導体メモリの利用効率を上げることができる。アクセスタイムの問題は1回の転送量を大きくすることで解決する。
著者
牧野 淳一郎
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.57, no.5, pp.330-336, 2002-05-05 (Released:2011-02-09)
参考文献数
15

最近になってM82銀河の中心近くに太陽質量の1,000倍程度の「中間質量」ブラックホールが見つかった. これまでは太陽質量の100から100万倍の間のブラックホールは全く見つかっていなかった. M82での発見はブラックホール, 特に多くの銀河の中心にあると思われる太陽質量の100万倍を超える大質量ブラックホールの形成過程に対する我々の理解を大きく変えるものである. この解説では, 大質量ブラックホールの形成過程に対する, 上の発見をふまえた新しいシナリオを紹介する. 我々はこれがブラックホール形成シナリオの「決定版」になる可能性は十分にあると考えている.
著者
牧野 淳一郎
出版者
物性研究刊行会
雑誌
物性研究 (ISSN:05252997)
巻号頁・発行日
vol.76, no.3, pp.374-465, 2001-06-20

この論文は国立情報学研究所の電子図書館事業により電子化されました。
著者
牧野 淳一郎
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.57, no.5, pp.330-336, 2002

最近になってM82銀河の中心近くに太陽質量の1,000倍程度の「中間質量」ブラックホールが見つかった. これまでは太陽質量の100から100万倍の間のブラックホールは全く見つかっていなかった. M82での発見はブラックホール, 特に多くの銀河の中心にあると思われる太陽質量の100万倍を超える大質量ブラックホールの形成過程に対する我々の理解を大きく変えるものである. この解説では, 大質量ブラックホールの形成過程に対する, 上の発見をふまえた新しいシナリオを紹介する. 我々はこれがブラックホール形成シナリオの「決定版」になる可能性は十分にあると考えている.
著者
牧野 淳一郎
出版者
一般社団法人日本応用数理学会
雑誌
応用数理 (ISSN:09172270)
巻号頁・発行日
vol.8, no.4, pp.277-287, 1998-12-15
被引用文献数
1

I overview the Fast Multipole Method (FMM) and the Barnes-Hut tree method. These algorithms evaluate mutual gravitational interaction between N particles in O(N) or O(N log N) times, respectively. I present basic algorithms as well as recent developments, such as Anderson's method of using Poisson's formula, the use of FFT, and other optimization techniques. I also summarize the current states of two algorithms. Though FMM with O(N) scaling is theoretically preferred over O(N log N) tree method, comparisons of existing implementations proved otherwise. This result is not surprizing, since the calculation cost of FMM scales as O(Np^2) where p is the order of expansion, while that of the tree method scales as O(N log Np).
著者
似鳥 啓吾 牧野 淳一郎 阿部 譲司
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌コンピューティングシステム(ACS) (ISSN:18827829)
巻号頁・発行日
vol.48, no.8, pp.54-61, 2007-05-15

本論文では,400個のデュアルコアOpteronプロセッサを用いたCray XD1システム上での高性能な N体シミュレーションコードの実装と,64k粒子の星団のシミュレーションでの性能について述べる.これまでにも多くの天体物理学的 $N$ 体計算の並列化が報告されているが.その中でも数十プロセッサ以上を用いた実装の性能評価には,大きな粒子数が使われる傾向がある.たとえば,これまでのゴードン・ベル賞へのエントリでは,少なくとも70万粒子が用いられている.この傾向の理由は,並列化効率にある.というのも,大規模並列機で小さな粒子数で性能を出すのは非常に困難であるからである.しかしながら,多くの科学的に重要な問題では計算コストは O(N^3.3) に比例するため,比較的小さな粒子数の計算に大規模並列計算機を用いることが非常に重要である.我々は,64k粒子のO(N^2)直接計算独立時間刻み法の計算で2.03Tflops(対ピーク57.7%)の性能を実現した.これまでの64k粒子での同様の計算における最大の効率は,128プロセッサのCray T3E-900での7.8%(9Gflops)である.今回の実装では従来の方法より高スケーラブルな2次元並列アルゴリズムを用いている.さらに今回のような高性能を達成するためにはCray XD1の低レイテンシネットワークが本質的に重要であった.In this paper, we describe the implimentation and performance of N-body simulation code for a star cluster with 64k stars on a Cray XD1 system with 400 dual-core Opteron processors. There have been many reports on the parallelization of astrophysical N-body simulations. For parallel implementations on more than a few tens of processors, performance was usually measured for very large number of particles. For example, all previous entries for the Gordon-Bell prizes used at least 700\,k particles. The reason for this preference of large numbers of particles is the parallel efficiency. It is very difficult to achieve high performance on large parallel machines, if the number of particles is small. However, for many scientifically important problems the calculation cost scales as O(N^3.3), and it is very important to use large machines for relatively small number of particles. We achieved 2.03Tflops, or 57.7% of the theoretical peak performance, using a direct O(N^2) calculation with the individual timestep algorithm, on 64k particles. The best efficiency previously reported on similar calculation with 64K or smaller number of particles is 7.8% (9Gflops) on Cray T3E-900 with 128 processors. Our implementation is based on highly scalable two-dimensional parallelization scheme, and low-latency communication network of Cray XD1 turned out to be essential to achieve this level of performance.

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著者
平岡 秀一 塩谷 光彦 狩野 直和 川島 隆幸 川上 厚志 牧野 淳一郎 中村 栄一 磯部 寛之 尾中 敬 岡 良隆 上野 啓司 島田 敏宏 小間 篤 東山 哲也 濱口 宏夫 清水 裕子
出版者
東京大学大学院理学系研究科・理学部
雑誌
東京大学理学系研究科・理学部ニュース
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.4-12, 2002-09-17

金属イオンを自在に並べる/有機ケイ素化合物におけるケイ素の配位数の制御/小型熱帯魚ゼブラフィッシュの変異体を用いた遺伝子ハンティング/GRAPE-6とゴードン・ベル賞/フラーレンの基礎n学て妬くナノバイオテクノロジー/赤外線衛星観測と衛星冷却望遠鏡/やる気を起こさせる神経メカニズム/有機分子ナノ構造のシリコン基板上への自己組織化形成/植物の受精のしくみを解き明かす/酵母生細胞の時空間分解ラマン分光/マカク細胞の加齢に関する研究
著者
牧野 淳一郎 船渡 陽子 中里 直人 和田 桂一 吉田 直紀
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009

新しく開発した、衝突系、無衝突系双方に利用できるParticle-Particle Particle Tree法で使うことを考慮した重力多体問題専用計算機GRAPE-8を開発した。プロセッサチップ単体では40Gflops/Wと現在の汎用マイクロプロセッサの30倍以上の電力効率を実現し、システムとしても6Gflops/W程度を実現した。この結果、大規模な天体物理シミュレーションのために必要な電力コストを大きく削減できた。
著者
斎藤 貴之 台坂 博 出田 誠 岡本 崇 小久保 英一郎 和田 桂一 富阪 幸治 牧野 淳一郎 吉田 直紀
出版者
日本流体力学会
雑誌
日本流体力学会年会講演論文集 (ISSN:13428004)
巻号頁・発行日
vol.2006, 2006-09-05

In this paper, we introduce Project "Origin of the Milkyway". This project aims at reliable modeling of the formation history of our Galaxy (i.e., the Milkyway), as a typical spiral galaxy, with the mass resolution 2-3 orders of magnitude higher than what has been achieved so far. In order to achieve such state-of-the-art simulations, we construct two beowulf type PC-clusters with GRAPE-6A/7, and we develop a new N-body/SPH code for parallel computing.