著者
石隈 利紀
出版者
日本学校心理学会
雑誌
学校心理学研究 (ISSN:13465732)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.73-82, 2012 (Released:2021-12-25)
参考文献数
21
被引用文献数
1

本稿では,「欲求」と「ニーズ」の概念の異同について述べ,3つの実践事例を通して,すべての子どもに届く一次的援助サービスが,苦戦する子どもへの二次的援助サービス・三次的援助サービス(付加的な援助サービス)の土台になるかについて論じた。そしてそのためには,一人ひとりの学校生活の状況を把握しながらの援助,グループプロセスの促進,チームとしての学校づくりが必要であると指摘した。
著者
水野 治久 石隈 利紀
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.530-539, 1999-12-30 (Released:2013-02-19)
参考文献数
49
被引用文献数
54 19

我が国においてカウンセリングが専門的サービスとして認められつつあるが, 援助を受ける側からの被援助志向性や被援助行動に関する研究はほとんど実施されていない。一方で, 米国ではこの領域に関する研究は20年ほど前から行われている。米国における被援助志向性および被援助行動の研究を分類した結果, 1) デモグラフィック要因との関連, 2) ネットワーク変数との関連, 3) パーソナリティ変数との関連, 4) 個人が抱えている問題の深刻さ, 症状との関連の4領域に集約された。研究の課題として, 1) 他の研究を踏まえた上での援助志向性, 被援助行動の定義の必要性, 2) 被援助志向性が低い人に対する介入や被援助志向性が低い人のための援助システムの構築へ結びつく研究の必要性があげられる。このような研究を通して, 我が国の専門・職業的心理学の構築の必要性が示唆された。
著者
水野 治久 石隈 利紀
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.530-539, 1999-12-30

我が国においてカウンセリングが専門的サービスとして認められつつあるが,援助を受ける側からの被援助志向性や被援助行動に関する研究はほとんど実施されていない。一方で,米国ではこの領域に関する研究は20年ほど前から行われている。米国における被援助志向性および被援助行動の研究を分類した結果,1)デモグラフィック要因との関連,2)ネットワーク変数との関連,3)パーソナリティ変数との関連,4)個人が抱えている問題の深刻さ,症状との関連の4領域に集約された。研究の課題として,1)他の研究を踏まえた上での援助志向性,被援助行動の定義の必要性,2)被援助志向性が低い人に対する介入や被援助志向性が低い人のための援助システムの構築へ結びつく研究の必要性があげられる。このような研究を通して,我が国の専門・職業的心理学の構築の必要性が示唆された。
著者
田村 節子 石隈 利紀
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.328-338, 2003-09

本研究では,不登校生徒15例に対する援助チームの実践をもとに,次のことを明らかにすることを目的とした。(1)保護者を含む援助チームの実践モデルを提案し有用性を検討する。ただし,有用性とは援助チームにより援助が促進されることを意味する(2)保護者の状況に応じた援助チームの実践例について,その形態を分類し,その特徴や実践に当たっての問題点を分析・検討する。実践の結果,援助チームは次の4タイプに分類された。タイプ1(典型例)…担任・保護者・スクールカウンセラーの3者で相互コンサルテーションを行う。タイプ2…担任・スクールカウンセラーの2者が相互コンサルテーションを行いながら,それぞれ保護者ヘコンサルテーションを行う。タイプ3…担任がスクールカウンセラーと相互コンサルテーションを行いながら,担任が保護者ヘコンサルテーションを行う。タイプ4…スクールカウンセラーが担任と相互コンサルテーションを行いながら,スクールカウンセラーが保護者ヘコンサルテーションを行い,同時にカウンセリングも行う。このように,担任・保護者・スクールカウンセラーが,核(コア)となって援助を主導し,相互コンサルテーションおよびコンサルテーションを行い,子どもへ援助する形態を"コア援助チーム"と定義し,学校教育においてチーム援助のモデルのひとつとして意義があることを示唆した。
著者
家近 早苗 石隈 利紀
出版者
日本学校心理学会
雑誌
学校心理学研究 (ISSN:13465732)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.57-68, 2011-12-20 (Released:2020-03-10)
参考文献数
24
被引用文献数
1

本研究の目的は,コーディネーション委員会の機能尺度(中学校版)を作成し,その構造と信頼性及び妥当性を検討することであった。教師5名への半構造化面接の回答と特別支援教育コーディネーター44名に対する自由記述調査の結果から,コーディネーション委員会の機能に関する41項目を収集,選定した。これらの項目について調査を実施し,中学校教師432名の回答から,コーディネーション委員会の機能尺度は,①個別のチーム援助の促進機能,②コンサルテーションおよび相互コンサルテーション機能,③マネジメントの促進機能,④学校・学年レベルの連絡・調整機能の4つの下位尺度で構成されていることが示された。さらに,尺度の信頼性と妥当性の検討を行った結果,各下位尺度についてある程度の信頼性と妥当性があることが確認された。
著者
藤井 茂子 石隈 利紀 濱口 佳和
出版者
日本カウンセリング学会
雑誌
カウンセリング研究 (ISSN:09148337)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.14-26, 2018

<p>本研究の目的は,母子保健室登校の援助経験によって生じる,養護教諭の心理的変容過程についての仮説的モデルを生成することである。小学生の子どもの母子保健室登校の援助を経験した13名の養護教諭を対象に,半構造化面接を実施した。面接によって得られた逐語記録を修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチによって分析した結果,57概念,14カテゴリー,3カテゴリーグループが抽出された。選択的コーディングにより,母子保健室登校の援助経験における養護教諭の心理的変化は,学校のサポート要因や母子保健室登校の学校の援助の影響を受け,養護教諭の子どもの成長発達と職務特性についての理解としてまとめられた。養護教諭の心理的変容は,母子保健室登校の援助過程を通して,担任や級友など学校の援助者や母親とかかわりながら,相互に影響を受けることが明らかにされた。また,養護教諭は援助者をつなぐコーディネーターとして機能していた。養護教諭が保健室でともに過ごした母親の心情を受容的共感的に理解したことで,養護教諭の子どもへの理解が深まり,保健室機能や職務特性を理解したことが明らかになった。</p>
著者
石川 満佐育 石隈 利紀 濱口 佳和 Ishikawa Masayasu Ishikuma Toshinori Hamaguchi Yoshikazu
出版者
筑波大学心理学系
雑誌
筑波大学心理学研究 (ISSN:09158952)
巻号頁・発行日
no.29, pp.89-97, 2005-02-28

This study was conducted to investigate the effects of other-esteem and self-esteem on self-expression. Study 1, drawing on the concept of other-esteem advocated by Hwang (2000), developed a scale of other-esteem consists ...
著者
松村 暢隆 小倉 正義 竹澤 大史 緩利 誠 石川 裕之 石隈 利紀
出版者
関西大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

発達障害や学習困難のある児童生徒について、広義の2E教育の観点から、得意や興味等の「認知的個性」を捉えて、それを活かして苦手を補う特別支援の方策を探った。認知的個性の自己チェックリストを開発して、それが通常学級の学習で有用なこと、また発達障害や学習困難な生徒の学習・生活支援に活用できることを示した。併せて、2E教育の多様な形態や可能なカリキュラムの変革について調査、考察した。
著者
田村 修一 石隈 利紀
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.291-300, 2002-09-30 (Released:2013-02-19)
参考文献数
22
被引用文献数
4 4

この研究は, 教師の「被援助志向性」と「自尊感情」との関連を明らかにし, 教師への効果的な援助のあり方を検討するために行われた。日本の中学校教師214名から質問紙を回収した。分析の結果, 以下のことが明らかになった。女性教師は, 男性教師に比べ「被援助志向性」が高かった。男性教師は, 女性教師に比べ「自尊感情」が高かった。「被援助志向性」と「自尊感情」は共に, 年齢による差はなかった。また, 45歳以下の男性教師においては, 「自尊感情」が高いほど「被援助志向性」も高い傾向が見られた。一方, 41歳以上の女性教師においては, 「自尊感情」が高いほど「被援助志向性」が低い傾向が見られた。この結果から, 教師へのサポートをどのように供給したらよいかについて考察された。
著者
児玉 裕巳 石隈 利紀
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.199-216, 2015
被引用文献数
5

本研究では「学習に対する認知的・行動的・情緒的側面からなる態度」に着目し, 中学・高校生(<i>N</i>=1361)を対象に尺度を作成し, 因子構造と信頼性・妥当性, 中学生と高校生の差異, およびプロフィールの特徴について検討した。その結果, 認知的側面では「関与肯定」「コスト受容」「遂行目標の重視」の3因子が, 行動的側面では「習慣的な積極行動」「テスト課題対処」「対処回避」の3因子が, 情緒的側面では「充実感」「統制感」「学習の不安」の3因子が見出され, 一定程度の信頼性と妥当性を確認した。また中学生はポジティブな態度と対処回避の負の関連が強く, 高校生はテスト課題対処と遂行目標の重視および学習の不安との正の関連が強いこと, 遂行目標の重視は高校終盤で下がること, 概ね学年が進むにつれて習慣的な積極行動とテスト課題対処は低くなること, 学校移行期あたりは充実感と統制感は低く学習の不安は高いこと, 中学生の間にポジティブな態度を持つ群は減少してしまうこと, 高校生になると学習のネガティブ感情を持つ群は減ると同時に学習以外のことに関心を持つと推察される群は増えること等が明らかとなった。
著者
田村 修一 石隈 利紀
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.438-448, 2001-12-30 (Released:2013-02-19)
参考文献数
38
被引用文献数
4 11 27

この研究は, 指導・援助上の困難に直面した教師が, どのように他の教師に援助を求めるかについて明らかにし, 加えてバーンアウトとの関連について明らかにすることを目的に実施された。日本の中学校の教師155名から質問紙を回収した。分析の結果, 以下のことが明らかになった。男性教師の場合は, 教師自身の指導・援助に対する同僚からの批判を感じている人と, 同僚に助けてもらうことに抵抗のある人のバーンアウト得点は深刻であった。そして, 同僚からのソーシャル・サポートがある人のバーンアウト得点は低かった。女性教師の場合は, 生徒からの反抗の多い教師と, 同僚に助けてもらうことに抵抗のある人のバーンアウト得点は深刻であった。この結果から, 教師へのサポートをどのように供給したらよいかについて, 考察された。
著者
上村 恵津子 石隈 利紀
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.55, no.4, pp.560-572, 2007-12-30

本研究では,保護者面談において教師が保護者との連携を構築するプロセス,およびその特徴を明らかにすることを目的とした。グラウンデッド・セオリー・アプローチにより教師の発話を分析した結果,9個のカテゴリーが抽出され,これらは2つのプロセス,「援助具体化」と「保護者との関係構築」にまとめられた。教師は,保護者面談において傾聴的発言や自己開示的発言,保護者からの情報収集等により保護者との関係を構築しつつ,面談目的確認,現状の情報提供,状況の分析,振り返り,対応策の検討,さらに随所で行われる保護者からの情報収集により援助を具体化するとの仮説が生成された。この仮説を既存のコンサルテーションモデルと比較すると,面談で取り上げる問題状況と深く関わりを持つ教師が行う保護者面談は,教師が自分自身の対応を振り返り,対応策について積極的に提案する特徴がある反面,問題や目標設定が曖昧になる特徴があると考えられる。保護者面談で教師と保護者が共通理解を図るプロセスは,保護者の理解や方針を取り入れながら教師が自分自身の理解や方針を修正するプロセスであり,保護者との連携構築にはこのような教師の変容が鍵になると考えられた。
著者
石隈 利紀
出版者
筑波大学
雑誌
筑波フォーラム (ISSN:03851850)
巻号頁・発行日
no.63, pp.59-62, 2003-11

私が筑波大学に赴任したのが1990年の9月ですから、今秋でちょうど12年になります。その間、第二学群人間学類、教育研究科(学校教育コース、カウンセリングコース)、心理学研究科、人間総合科学研究科(ヒューマンケア専攻)で、講義をしてきました。 …