著者
細田 耕 池本 周平
出版者
大阪大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

柔軟な皮膚を持ち,ヒトと類似した構造を持つロボットハンドを開発し,ひずみ振動を連関学習することにより,滑りを未然に防ぐような把握制御を実現した.ヒータを備えたハンドシステムを開発し,ひずみセンサと温度センサによって,さまざまな対象物を識別できることを実験により示した.センサの信号強度がノイズ強度に比較して小さいような環境で安定なセンシングを実現するための,確率共鳴現象を基にしたひずみ測定の方法を提案した.
著者
細田 耕
出版者
大阪大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2001

平成14年度は,昨年度整備した実験装置により実験を行い,提案手法の有効性を確認した,また,センサに自由度がある場合についても検討を行い,実験を進め,その有効性を調べた.実験装置の整備提案する手法を実験的に示すための実験装置の整備を行い,自由度発見機構,および自由度の凍結,解放のためのプログラムを作成した.製作した実験装置は,7自由度のロボットアームに視覚センサを備えたものである.実験による検証視覚センサに与えられた作業に必要な自由度を自律的に発見することができることを製作した実験システムにより検証した.多数のセンサを備えたロボットの作成ロボットの持つアクチュエータの自由度だけではなく,センサが複数つくことによるセンサの自由度をどのようにうまく利用できるかについても,モータの場合と同様に考察するために,多数のセンサを備えたロボットを作成し,基礎的な実験を行うことによって,多数のセンサがある場合についての,その自由度間の拘束を自律的に発見できる枠組みを示した.
著者
細田 耕 木村 浩 辻田 勝吉 井上 康介 田熊 隆史
出版者
大阪大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2005

生物のさまざまな適応的行動の中から特にロコモーションに注目し,反射やCPGなどによってもたらされるリズミックな制御系と,振る舞い全体を修飾する調整制御系の相互作用によって適応性の実現を試みた.これらの実現には生物のような筋骨格系が大きな役割を果たしているとの仮説のもとに,二足,四足,ヘビ型とさまざまなロコモーションについて筋骨格からなる新しいロボットを多数試作し,リズミック制御系と調整制御系の役割を実験的に検証した.
著者
細田 耕 鈴木 昭二 浅田 稔
出版者
大阪大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1997

本研究では、視覚情報に基づいて生成される脚式移動ロボットの行動に基づく環境表現手法を提案し,実機によってそれを検証することを目的とする.具体的には視覚誘導により基本的な行動を生成する段階と,それを用いて環境表現を構築する段階に分かれる.使用する脚式移動ロボットに,まず「転ばない」,「脚が接地したまま揺れ動く」,「遊脚を利用して移動する」などの基本サーボ系を埋め込む.これを利用して,断続的に提示される視覚目標に対し,これに追従するよう行動し,この間に,環境中の適当な視覚情報を獲得,これとロボットの行動の相関をとることにより,環境表現を獲得する.さらにこの環境表現に基づき行動し,環境表現の更新及び修正を繰り返す.以下のような項目について,理論の整備,及び実験による検証を行った.(a)脚式ロボットにカメラを装着し,視覚・運動系を構築した.(b)環境に対する先験的な知識がない場合にも,「脚が接地したまま揺れ動く」ために,視覚目標に追従するための制御系と,脚間距離を保つための制御系を組み合わせたサーボ系を開発した.(c)ZMPを観測し,バランスを崩しそうになると,それを回復するための方策を検討し,遊脚を決定するアルゴリズムを開発した.(d)「遊脚を利用して移動する」ためのサーボ系を開発した.(e)以上の方法を実機を用いて,その有効性を検証した.
著者
細田 耕
出版者
大阪大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1996

1.提案する適応型視覚サーボ系の安定性に関する考察をし,その証明をした.2.提案するビジュアルサーボ系の有効性を検証する実験を行った.産業用ロボットアーム(川崎重工業,Js-5)とカメラ(エルモ,UN401)を用いてロボット・カメラシステムを構成し.制御装置としてVMEラックにVxWorksのシステムを構成,高速相関演算装置(トラッキングビジョン,富士通)を用いて,画像特徴量の追跡を行った.3.トラッキングビジョンを用いるための,特徴量の選択について考察し,障害物による隠蔽や,画像ノイズの影響に頑健な方法を提案した.4.提案するビジュアルサーボ系を用いて,未知環境内で障害物を回避する目標値の生成法を考案した.(1)環境やロボットアーム自身の運動学的構成やパラメータを用いず,環境の3次元情報をカメラシステムから再構成することなく,目標値を生成するために,2つのカメラの画像間に存在するエピポーラ拘束を推定した.(2)推定されたエポピ-ラ拘束を用いて,画像内で障害物が背景から分離できるという制限のもとで,ロボットアーム先端の画像内での軌跡を生成する手法を提案した.5.提案した目標値の生成方法を適応型視覚サーボ系に適用することによって,ロボットシステムと環境に関する知識がほとんどない場合にも,障害物回避軌道を生成することができ,また,実際に障害物に回避できることを構成した実験システムにより検証した.
著者
細田 耕
出版者
大阪大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2004

昨年度試作した空気圧二足歩行ロボットを用い,床面の変化に伴う行動の変化についての検討,股関節の剛性変化による行動変化の検討を行った.さらに空気圧駆動の肩関節ひじ関節などの試作を行い,弾道学的運動のための制御則を考案した.(1)試作した二足歩行ロボットによる歩行の確認試作したロボットによって,弾道学的な歩行が実現できることを確認し,さらにさまざまな床面でロバストに歩行可能であることを実験的に確認した.(2)床面の変化に伴う行動の変化の観測床面の変化に伴い,二足歩行の歩行周期が変化することがわかったので,床面変化を歩行周期から推定する方法について提案し,床面変化に対応できる制御則を考案した.(3)股関節の剛性変化に伴う行動変化の検討股関節の空気圧を調整することにより関節剛性を変化可能であることを示し,剛性変化によって歩行行動がどのように変化するか,特に歩行周期がどのように変化するかについての調査を行った.この知見は,人間の二足歩行において股関節がどのような寄与をしているかについての重要な知見になると考えられる.(4)空気圧駆動の肩関節・ひじ関節の試作と弾道学的制御則の検討二足歩行ロボットの作成に関する知見を踏まえ,2自由度肩関節および1自由度のひじ関節を試作した.また,肩関節のみのロボットについて,運動開始時と終了時のみに空気圧弁の操作を行い,それ以外ではロボットの動特性に従って弾道学的な運動をする制御則を提案し,この制御則によって終点まわりに大きなオーバーシュートを発生することなく,短時間でスムーズな運動が実現できることを示した.
著者
細田 耕 荻原 直道 今西 宣晶 名倉 武雄 清水 正宏 池本 周平 菅本 一臣 成岡 健一 MACEDO ROSENDO Andre Luis 伊藤 幸太
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本研究課題では,脳やせき髄からの投射がない場合の,歩行状態における人間の足部の機械的特性を計測するために,歩行状態を再現するための歩行シミュレータを作成し,これに屍体の足部を取り付け,二方向エックス線透視撮影装置の中で歩行させることによって,足部内部の骨の動きを観察するためのプラットフォームを開発した.これに関連して,歩行状態を再現するための歩行シミュレータの制御や,透過画像から各骨の三次元運動を精密に再構成するための画像処理技術などを開発した.足部に存在する機械的特性のうち,中足骨関節に着目し,同等の機能の足部をもつ二足歩行ロボットを開発,実験によって中足骨関節の歩行安定性への寄与を調べた.
著者
坂本 達昭 早見(千須和) 直美 細田 耕平
出版者
日本健康教育学会
雑誌
日本健康教育学会誌 (ISSN:13402560)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.3-12, 2018-02-28 (Released:2018-02-28)
参考文献数
27

目的:家の食事の楽しさと中学生と保護者の食事中のスマートフォン等の利用および共食頻度の関連を検討すること.方法:福井県内の中学2年生762名を対象に横断調査を実施した(有効回答者759名).調査内容は,基本属性,家の食事の楽しさ,中学生・保護者の食事中のスマートフォン等の利用,共食頻度とした.分析では食事中のスマートフォン等の利用は「週に1日以上使うことがある」群と「使うことがない」群に,共食頻度は「週4日以上」と「週3日以下」の2群に分けた.家の食事の楽しさを従属変数,食事中のスマートフォン等の利用,朝食・夕食の共食頻度を独立変数として男女別にロジスティック回帰分析を行った.結果:家の食事が楽しい者は,男子308名(82.6%),女子329名(85.3%)であった.多変量ロジスティック回帰分析の結果,男子の食事の楽しさには母親が食事中にスマートフォン等を利用しないこと(調整オッズ比(AOR):2.60,95%信頼区間(95%CI):1.29-5.25)が関連し,女子は父親が食事中にスマートフォン等を利用しないこと(AOR: 2.29,95%CI: 1.15-4.57),夕食の共食頻度(AOR: 2.62,95%CI: 1.37-5.04)が関連していた.結論:中学生が家の食事楽しいと感じるためには,保護者は食事中のスマートフォン等の利用を控えるべきであることが示唆された.
著者
坂本 達昭 細田 耕平
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.75, no.5, pp.141-149, 2017 (Released:2017-11-10)
参考文献数
29

【目的】朝食の共食機会がほとんどない中学生の中で,QOL(Quality of Life)が良好な者の家族との食事のあり方の特徴を明らかにすること。【方法】2015年9月に福井県内中学校7校の中学2年生797名を対象に調査を実施し,762名より有効回答を得た。質問項目は,属性,家族との食事のあり方,家の食事の楽しさならびにQOLとした。家族との食事のあり方については,朝食および夕食の共食頻度,平日および休日の夕食の食事時間,食事中に家族が話を聞く程度,食事中に注意される頻度等をたずねた。QOLの測定には中学生用のQOL尺度(Kiddo-KINDLR)を用いた。朝食の共食機会が「ほとんどない」者を,対象者全員のQOL総得点の中央値でQOL高得点群およびQOL低得点群に2分し,両群の家族との食事のあり方を男女別に比較した。【結果】朝食の共食頻度がほとんどない者は300名であり,そのうちQOL高得点群は男子63名,女子56名であった。男女共にQOL高得点群はQOL低得点群と比べ,夕食の共食頻度が高く,食事中に家族がよく話を聞き,家族から注意される頻度が低く,家の食事を楽しいと感じている者が多かった。【結論】朝食の共食機会がほとんどない中学生において,夕食の共食頻度が高いこと,食事中に家族が話をよく聞くこと,家の食事を楽しいと感じていることは,QOLが良好な者の特徴であることが示唆された。
著者
石黒 浩 浅田 稔 板倉 昭二 細田 耕 宮下 敬宏 神田 嵩行 港 隆史 池田 徹志 MACDORMAN K.F.
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2004

知的な情報システムを実現する方法には2つあり,人間のように,比較的数の少ないセンサと;脳が行うような高度な情報処理機能を組み合わせる方法と,ロボットだけでなく環境もセンサでくまなく覆い,目的達成のために必要な情報をより直接的に得る方法である.本研究では後者のアプローチにおいて,知的な情報処理システムを実現する研究に取り組んだ.具体的には,本研究とは独立に開発してきた知覚情報基盤プロトタイプ(多数のセンサからなる次世代のコンピュータネットワーク)を発展させ,これまでに開発してきた人間との対話を目的としたロボットを組み合わせることで,人間の行動に応じて知的に振舞う知的情報処理システムを実現した.研究期間における研究は,(a)行動に関する知的情報処理,(b)ロボットの行動支援のためのセンサネットワーク,(c)環境一体型ロボットの知的情報処理の主な3項目からなる.行動に関する知的情報処理では,ロボットの歩行や腕の制御,皮膚感覚の学習等,ロボットの基本機能と,ロボットやアンドロイドの見かけの問題をはじめとする人と関わるロボットに関する研究に取り組んだ.センサネットワークに関する研究では,基礎アルゴリズムに加え,床センサやカメラネットワークの利用法を研究した.環境一体型ロボットに関する研究では,センサネットワークと連動して活動するロボットを実装すると共に,遠隔操作等,それに関わる機能について研究を行った.