著者
森本 泰貴 藤本 典幸 萩原 兼一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告バイオ情報学(BIO) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.126, pp.177-180, 2008-12-10

インターネットを介した買い物や情報収集の際に有用なサービスとして,ユーザの行動履歴から推測したユーザの興味に合う情報等を推薦するリコメンドサービスがある.リコメンドサービスは行動履歴を得られる日常的な反復行為にも応用できると考えられる.我々はその一例として,衣服コーディネイトリコメンドシステムを開発した.本システムはベイジアンネットにより衣服コーディネイトをモデル化することで衣服コーディネイトの推薦を実現している.またシステムが推薦した衣服コーディネイトに対してユーザが評価を行い,その結果を反映してモデルを修正することで,各ユーザの嗜好に合わせた衣服コーディネイトの推薦が可能となっている.Recommendation services are useful for shopping or acquiring information on the internet. Such services provide appropriate contents from past actions. We think that recommendation can be applied to routine work, so we developed a system that recommends coordination of clothes. The system recommends coordination of clothes using bayesian network model. The system can recommend coordination subject to user preference with modification of the model reflecting user's evaluation of the coordination recommended by the system.
著者
萩原 兼一
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.60, no.9, pp.890-893, 2019-08-15

平成28年度から平成30年度にかけて実施した文部科学省大学入学者選抜改革推進委託事業「情報学的アプローチによる『情報科』大学入学者選抜における評価手法の研究開発」では,「知識・技能」だけでなく「思考力,判断力,表現力」を評価する高校共通教科「情報」の入試問題およびその作問方法を研究した.さらに,コンピュータを用いてこれらの試験問題を出題/解答するCBTシステムを研究開発し,CBTを用いて情報入試の実証実験をした.この委託事業は,コンピュータ科学者が実施したので,随所にComputational Thinkingによる対策をしている.本記事では,これらを解説する.
著者
松浦 敏雄 清水 素彦 香西 省治 萩原 兼一
雑誌
2017年度 情報処理学会関西支部 支部大会 講演論文集 (ISSN:1884197X)
巻号頁・発行日
vol.2017, 2017-09-15

大学入学者選抜改革推進委託事業の一つとして、大阪大学が中心となって「情報科」入試に関する研究開発を進めている。本研究はこの中で試作しているCBTシステムでの問題作成を支援するための機能の実現について報告する。
著者
森本 泰貴 藤本 典幸 萩原 兼一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告データベースシステム(DBS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.65, pp.133-138, 2007-07-02

近年、GPS 機能の普及により、携帯端末のユーザは自分の現在地を地理座標として取得することが可能となっている。そのため、指定された地理座標を原点とし、その周辺の地理情報を検索するシステムが有用であると考える。そこで我々は、以前に開発したロボット型住所関連情報検索システムを応用し、住所文字列をキーワードとしたロボット型検索により、指定地理座標周辺の住所関連情報を検索する手法を提案する。提案手法は指定地理座標周辺の住所を取得し、取得した住所文字列を以前に開発したシステムの入力として住所情報を検索する。実験の結果、住所をキーワードとしたロボット型検索という直接的な手法に少し改良を加えることで、指定地理座標周辺の住所関連情報検索に有効な手法となりうるという結論を得た。Current and next generation mobile phones are equipped with a GPS unit, enabling users to know their current geographical location. Given this ability, a system to retrieve Web information based on location is useful. In order to implement such a system, we propose a method that performs robot-type keyword retrievals using address strings as keywords. We present experimental results to evaluate the effectiveness of this method. The results demonstrate that our method with future improvement will be effective for implementing web retrieval for a given geographical scope.
著者
藤本 典幸 萩原 兼一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. DE, データ工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.173, pp.61-66, 2005-07-08
被引用文献数
3

個人ユーザを対象に, 数Mbps程度のインターネット回線1本とコモディティPC1台のみを用いて, ウェブページ上に掲載されているマルチメディアデータをキーワード検索するシステムの設計と実装, および評価結果について述べる.サポートされるデータ形式は, 画像(JPEG, GIF, PNG), 動画(MPEG, FLASH, RealMediaなど), 音声(MP3, wave, MIDIなど), PDFファイルなど, HTMLのIMGタグ, Aタグ, OBJECTタグ, EMBEDタグで記述できるもの全てである.本システムはユーザがクエリーと収集時間を入力した後に, Google Web APIを用いて取得したウェブページ群を種ページとして, 指定された時間の間, トピック主導型クローリングを行い, 収集したHTMLのテキストベースの解析を行う(マルチメディアデータの内容解析は行わない).クローリングアルゴリズム, スコアリングアルゴリズムを工夫し, マルチスレッドプログラミングを行うことにより, 本システムは, 各ウェブサイトにかかる負荷を考慮しつつ, ユーザのクエリー入力後30秒間で150ページ前後のウェブページをクローリング, 解析し, 300個程度のマルティメディアデータ(多くは画像)をスコア順に出力することができる.
著者
松田 俊広 伊野 文彦 萩原 兼一
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J94-D, no.5, pp.852-861, 2011-05-01

本論文では,実時間の画像ノイズ除去を目的として,GPU(GraphicsProcessing Unit)に基づく高速な全変動最小化手法を提案する.既存手法と異なり,提案手法はカーネルを二つに分割する.この分割はGPU内の同期を増加させるが,メモリアクセスパターンを簡素化し,メモリアクセスに起因する分岐を削減できる.更に,オフチップメモリの実効バンド幅を最大化し,その読み書き量を最小化するために,スレッドブロックの大きさや形状を適切に定める.実験の結果,提案手法は単一カーネルに基づく既存手法よりも30%ほど高速であった.また,スレッドブロックの形状に応じて,性能が4%ほど向上した.1024 × 1024画素からなる時系列臨床画像に対し,秒間46フレームの実時間ノイズ除去及び可視化を実現できた.
著者
森本 泰貴 藤本 典幸 萩原 兼一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告数理モデル化と問題解決(MPS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.126, pp.177-180, 2008-12-10
被引用文献数
1

インターネットを介した買い物や情報収集の際に有用なサービスとして,ユーザの行動履歴から推測したユーザの興味に合う情報等を推薦するリコメンドサービスがある.リコメンドサービスは行動履歴を得られる日常的な反復行為にも応用できると考えられる.我々はその一例として,衣服コーディネイトリコメンドシステムを開発した.本システムはベイジアンネットにより衣服コーディネイトをモデル化することで衣服コーディネイトの推薦を実現している.またシステムが推薦した衣服コーディネイトに対してユーザが評価を行い,その結果を反映してモデルを修正することで,各ユーザの嗜好に合わせた衣服コーディネイトの推薦が可能となっている.Recommendation services are useful for shopping or acquiring information on the internet. Such services provide appropriate contents from past actions. We think that recommendation can be applied to routine work, so we developed a system that recommends coordination of clothes. The system recommends coordination of clothes using bayesian network model. The system can recommend coordination subject to user preference with modification of the model reflecting user's evaluation of the coordination recommended by the system.
著者
佐々木 智充 伊野 文彦 藤本 典幸 萩原 兼一
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.7-12, 2002
参考文献数
12
被引用文献数
4

医療分野においてガンの早期発見などを目的として,ボリュームレンダリング(VミR)が利用されている.本研究では高解像度のボリュームデータ(VD)に対して実時間VRを実現するために,分散メモリ型並列計算機上で動作する並列VR手法を提案する.提案手法は,Segmented Ray-Casting法を基に(I1)画像合成における通信量の削減および(I2)負荷分散を実現する.(I1)では通信量を削減できるプロセッサの組に着目し,(I2)では医者の視点が連続的に移動する点に着目する.128CPU構成のPCクラスタを用いた実験の結果,提案手法は従来手法と比較して約2.7倍高速であり,解像度が1024^3のVDに対して秒間1.5回のVRを実現できた.
著者
和田 幸一 萩原 兼一 都倉 信樹
出版者
電子通信学会
雑誌
電子通信学会論文誌 D (ISSN:0374468X)
巻号頁・発行日
vol.68, no.5, pp.p1011-1018, 1985-05

VLSIチップを平面格子と呼ばれるグラフでモデル化し,回路を素子間の配線の仕方を表すグラフGで表し,Gを平面格子に埋込んだとき,どれほどの面積を占めるかはVLSIチップの設計においては重要な問題であり,種々のグラフに対して,平面格子に埋込んだときの面積の上下界が議論されている.本論文では,次数が5以上のグラフが埋込めるように拡張したモデルのもとで,d次シャフルグラフを平面格子に埋込む問題を考える.d次シャフルグラフはシャフルエクスチェンジグラフやCCCなどと同様にデータの置換などを高速に行なうことができ理論的にも興味深いグラフである.ここでは,グラフの交差数と面積の関係を用いて,無限個のd,kに対して,dk頂点d次シャフルグラフを埋込むために(dk+1/k)2に比例した面積が必要となることを示す.この結果を用いると従来の面積の下界が改善される.また,あるグラフGの埋込みに対して,すでに埋込み面積がわかっているグラフを利用したGの埋込みの手法を与え,この結果を用いて,dが2のベキ乗の場合,dk頂点d次シャフルグラフは(dk+1/k)2に比例した面積で埋込めることを示す.
著者
香西 省治 角谷 良彦 西田 知博 植原 啓介 萩谷 昌己 萩原 兼一
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:21888930)
巻号頁・発行日
vol.2020-CE-153, no.24, pp.1-10, 2020-02-08

文部科学省の大学入学者選抜改革推進委託事業(情報分野)で研究開発した CBT (Computer Based Testing) システムを実装面から概説する.本事業の目的は,思考力・判断力・表現力を評価する「情報科」の試験問題を研究することである.この評価のためには,紙による出題よりプログラミング能力などを効果的に評価しやすい CBT による出題の方が試験問題の幅を広げることができると考えた.この CBT システムは,「CBTならでは」の試験問題を受験者に出題することを重視して,実際に作成された「CBTならでは」の模擬試験問題を一般化・仕様化し,その後発生する仕様変更にも柔軟に対応できるブラウザ型の専用システムとして開発した.この CBT システムは,出題する試験問題を確認する作問機能部,受験者が受験するための機能を持つ試験機能部,試験結果を採点・集計する採点・集計機能部の 3 論理サブシステムから構成される.CBT システムによる試験実施運用シーケンスに基づく各論理サブシステムの動作と,プログラミング問題,ゲームブック型問題等の特徴的な 5 形態の試験問題の処理を示すことを通して,開発した CBT システムがこの事業で研究した「CBTならでは」の試験問題を出題できることを示す.尚,2017 年と 2018 年に実施した実証実験では,主にサーバ負荷の面で問題は発生していない.
著者
西田 知博 植原 啓介 角谷 良彦 鈴木 貢 中山 泰一 香西 省治 高橋 尚子 中西 通雄 松浦 敏雄 増澤 利光 萩谷 昌己 萩原 兼一
雑誌
情報教育シンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.2017, no.28, pp.182-187, 2017-08-10

我々は,文部科学省委託事業 「情報学的アプローチによる 「情報科」 大学入学者選抜における評価手法の研究開発」 の中で,これまで情報入試研究会として実施してきた大学情報入試全国模擬試験を出発点とし,「思考力 ・ 判断力 ・ 表現力」 を評価するという視点も加えて 「情報科」 大学入学者選抜を CBT システム化するためにはどのような機能が必要かを検討している.ここではその検討経過と,今年度実施する試行試験用システムおよび,新しい出題フレームワークなど現在検討している出題方式を紹介する.
著者
萩原 兼一
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.58, no.9, pp.840-843, 2017-08-15

文部科学省大学入学者選抜改革推進委託事業「情報学的アプローチによる「情報科」大学入学者選抜における評価手法の研究開発」に関する概略を説明する.この事業では「知識・技能」だけでなく「思考力,判断力,表現力」を評価する高校共通教科「情報科」の入試問題の検討,およびその作成方法を研究する.さらに「情報科」の入試をコンピュータで実施することを研究し,それを実現するCBTシステムを開発する.また,コンピュータを用いるがゆえに実現可能な試験問題を検討する.本事業を広報することにより,「情報科」を入試科目とする大学の学部/学科を増やすこと,高校での情報教育に良い影響を与えることも目標とする.
著者
坪内 佑樹 置田 真生 伊野 文彦 山川 聡 柏木 岳彦 萩原 兼一
雑誌
研究報告ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)
巻号頁・発行日
vol.2012-HPC-133, no.31, pp.1-7, 2012-03-19

本稿では,重複排除ストレージのための SHA(Secure Hash Algorithm)-1 計算の高速化を目的として,SSE(Streaming SIMD Extensions) 命令に基づくスループット向上手法を提案する.提案手法は,異なる入力ファイルに対する処理が独立であることに着目し,SSE 命令によるベクトル処理および OpenMP によるマルチスレッド処理を併用する.実験では,単一ファイルを並列処理する既存手法と比較して 1.5 倍の速度向上を得ている.このときの実行効率は 93% に達し,計測したスループット 80 Gbps は PCI Express の実効帯域幅を超えている.したがって,重複排除ストレージにおける性能ボトルネックを除去できていると考える.
著者
井上 美智子 萩原 兼一 都倉 信樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-コンピュータ = The transactions of the Institute of Electronics, Information and Communication Engineers (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.76, no.7, pp.405-406, 1993-07-25

本論文では,非同期の超立方体状ネットワークでの最小重み生成木構成分散問題のメッセージ複雑度の下界がΩ(nlogn)であることを示す(最悪時評価,n:プロセッサ数).上界O(nlogn)は知られているので,この下界はオーダ的には最良である.
著者
伊藤信悟 伊野 文彦 萩原 兼一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌コンピューティングシステム(ACS) (ISSN:18827829)
巻号頁・発行日
vol.48, no.13, pp.235-246, 2007-08-15
被引用文献数
2

GPGPU (General-Purpose Computation on Graphics Processing Units) とは、GPU をグラフィクス処理の枠を越えて汎用問題に適用する試みのことである。本稿では、典型的な GPGPU 実装を対象として、GPU による高速化の見込みを予測するための性能モデルを提案する。提案モデルは、GPGPU 実装の多くがメモリ集中型の問題を対象として規則的にデータを参照する点に着目し、実装全体の性能を主記憶、ビデオメモリおよび GPU 内演算器間の各データパスの転送性能で表す。転送性能の各々は、GPGPU アプリケーションとは独立に計測できるバンド幅および遅延時間のみの簡単な組で表す。提案モデルを画像フィルタおよび LU 分解に適用し、3 世代にわたる GPU 上で評価した結果、誤差は最悪で 20%であった。GPU 内キャッシュの効果がさほど大きくない場合、誤差は 10%以内であることから、提案モデルは典型的な実装に対して GPU による高速化の見込みを見積もる際に有用であると考える。GPGPU stands for general-purpose computation on graphics processing units (GPUs), aiming at applying the GPU to general problems beyond graphics problems. This paper presents a performance model for typical GPGPU implementations, which is capable of predicting the possibility of the acceleration achievable by the GPU. Our model focuses on the fact that most of GPGPU implementations deal with memory-intensive problems and have regular access to data. Based on this fact, we represent the entire performance as the transfer performance of data paths connecting main memory, video memory, and processors inside the GPU. Each of the transfer performance here is simply represented by a combination of bandwidth and latency, which are independent of GPGPU applications. We applied the model to an image filter and LU decomposition to estimate their performance on three generations of GPUs. We found that the model has a 20% error at the worst case. We think that the model is useful for estimating the possibility of typical GPU-accelerated implementations, because the observed errors are less than 10% if GPU cache does not have significant effects on performance.
著者
小谷 裕基 伊野 文彦 萩原 兼一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.106, pp.37-42, 2006-10-06

本稿では,GPUグリッドにおける遊休資源の定義を示し,資源選択手法を提案する.ここでGPUグリッドとは,GPUを装備するPCを計算資源とするデスクトップグリッドを指し,GPUを用いる大規模な汎用計算処理の実現を目的とする.定義は次の2つの観点に基づいて実験的に定める.(1)資源所有者への外乱を最小化すること,および(2)グリッドユーザへ提供する演算性能を最大化すること.提案手法は低オーバヘッドで遊休GPUを検出することを目的として,スクリーンセーバを基とし,資源のVRAM便用量およびCPU使用率を調べる.また,ベンチマークおよびマッチメイキングを組み合わせることで資源選択を実現する.実験の結果,遊休資源の定義が妥当であることを示せた.また,高々262ミリ秒の低オーバヘッドで遊休資源を検出できた.This paper presents a resource selection method and shows a definition of idle resources for the GPU Grid. The GPU grid here consists of desktop computers at home and the office, utilizing idle GPUs and CPUs as computational engines for GPGPU applications. We experimentally define the idle state that minimizes interference to resource owners and maximizes application performance provided to grid users. Our method is based on a screensaver-based approach with low overhead sensors. The sensors detect idle GPUs by checking video random access memory (VRAM) usage and CPU usage on each computer. Detected resources are then selected according to a matchmaking framework and benchmark results. The experimental results show that the definition is reasonable. We also find that our method achieves a low overhead of at most 262 ms, minimizing interference to resource owners.
著者
森本 泰貴 藤本 典幸 長屋 務 出原 博 萩原 兼一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.90, no.2, pp.245-256, 2007-02-01
参考文献数
20
被引用文献数
2

近年,インターネットの普及とともに,飲食店などの様々な施設をWeb上で検索する機会が多くなつた.しかし現在の施設検索サイトは,事前に登録されている施設の情報を返すもの(登録型サイト)であり,登録されていない情報は得られないという問題点がある.特に,探したい種別の施設を扱う登録型サイトが全く存在しない場合,既存の登録型サイトでは探したい施設はそもそも検索不可能である.そこで我々は,ロボット型施設検索システムを開発した.本システムは施設の種別などのと地名の一部を入力とし,Webをクロールして,指定された地域内にあり(地名の指定がない場合は日本全国を対象とする),かつに適合する住所とその関連情報を自動抽出する.そしてユーザに,検索した住所の位置と抽出した情報を記載した地図を提示する.本システムを用いれば,既存の施設検索サイトが扱わない情報も含めて,様々な住所関連情報をその地理的分布とともに提示することが可能である.
著者
奥山 倫弘 伊野 文彦 萩原 兼一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. 計算機アーキテクチャ研究会報告 (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.19, pp.145-150, 2008-03-05
参考文献数
6

本論文では全点対最短経路(APSP:All-Pairs Shortest Path)問題をGPU(Graphics Processing Unit)を用いて高速化した結果を述べる.提案手法は,GPUで動作するプログラムをGPU向けの開発環境CUDA(Compute Unified Device Architecture)を用いて記述する.アルゴリズムには単一始点最短経路を繰り返し求める手法(SSSP反復法)を用いる.問題全体での逐次処理を減らしてより高い速度向上を得るために,1っのSSSP問題を1つのタスクとし,それらのタスクを並列処理する.さらに,共有メモリを用いてタスク間でデータを共有し,グローバルメモリの参照を削減する.結果,既存手法よりも3.5〜18倍高速であった.また,SSSP反復法の性能がグラフの特性に依存して変動することを示す.
著者
藤本 典幸 萩原 兼一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告データベースシステム(DBS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.68, pp.659-664, 2005-07-15

個人ユーザを対象に,数Mbps程度のインターネット回線1本とコモディティPC1台のみを用いて,ウェブページ上に掲載されているマルチメディアデータをキーワード検索するシステムの設計と実装,および評価結果について述べる.サポートされるデータ形式は,画像(JPEG GIF PNG),動画(MPEG FLASH RealMediaなど) 音声(MP3 wave MIDIなど) PDFファイルなど,HTMLのIMGタグ,Aタグ,OBJECTタグ,EMBEDタグで記述できるもの全てである.本システムはユーザがクエリーと収集時間を入力した後に,Google Web APIを用いて取得したウェブページ群を種ページとして,指定された時間の間,トピック主導型クローリングを行い,収集したHTMLのテキストベースの解析を行う(マルチメディアデータの内容解析は行わない).クローリングアルゴリズム,スコアリングアルゴリズムを工夫し,マルチスレッドプログラミングを行うことにより,本システムは,各ウェブサイトにかかる負荷を考慮しつつ,ユーザのクエリー入力後 30秒間で150ページ前後のウェブページをクローリング,解析し,300個程度のマルティメディアデータ(多くは画像)をスコア順に出力することができる.This paper describes the design, implementation, and evaluation of a novel Web multimedia search engine software. The hardware resources required by our engine are only one commodity personal computer (PC for short) and only one Internet connection with a few Mbps. For a given query and a given time interval,our engine retrieves Web pages relevant to the query during the time interval. Then, our engine analyzes the collected Web pages and finally enumerates multimedia data in the Web pages in the descending order of score for the query. We evaluated our engine on 2.4GHz Intel Pentium 4 PC with 512MB RAM and 16.66Mbps effective bandwidth to the Internet. Our experiments show that,due to our sophisticated Web crawling algorithm, multimedia data discard algorithm, and multimedia data scoring algorithm, our engine can typically select 273 multimedia data of 395 multimedia data in 206 Web pages in 33.92 seconds.