著者
山根 宏彰 萩原 将文
出版者
Japan Society of Kansei Engineering
雑誌
日本感性工学会論文誌 (ISSN:18840833)
巻号頁・発行日
vol.13, no.4, pp.493-500, 2014

Increased demand for web advertising has resulted in a corresponding increase in the need to develop online personalized advertisement. This paper proposes an advertising slogan generation system reflecting preferences of users on the web. By using a social networking service (SNS) site as knowledge base of word preferences, and by employing an advertising slogan corpus, the proposed system aims to generate slogans that reflect advertising posts on SNS. Using model slogans selected from the corpus containing 24,472 slogans, the proposed system generates slogan candidates using the knowledge obtained from a post on SNS. These slogan candidates are selected by the following three indexes; the natural level given by a large scale balanced corpus, the semantic relations score using the advertising slogans, and the preference level obtained from SNS sites. Especially, the proposed system extracts preference data from these SNS fan pages and estimates preference level on each word based on bag-of-words model. This enables the proposed system to select slogans in fashion. The authors conducted an objective experiment to examine the quality of generated slogans. The result shows that (1) the natural level and semantic relation level are effective to select slogans that reflect a post (2) the preference level index contributes to select preferred slogans that interest people.
著者
北田 純弥 萩原 将文
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:03875806)
巻号頁・発行日
vol.42, no.5, pp.1232-1241, 2001-05-15
参考文献数
20
被引用文献数
8

本論文では, 大規模な知識を有する電子辞書を利用し, 認知心理学に基づく比喩による文章作成支援システムを提案する. 比喩は, 言語による情報伝達のみでなく, 我々の思考や概念化, 記憶などの認知過程にも深くかかわっていることが広く認識されている. また, 自然言語処理の観点から, 比喩研究の成果から反映できる技術やモデルは, 応用範囲が広いと考えられている. 一方, 従来のコンピュータを利用した比喩研究は比喩理解に関する研究が多く, 使用する知識ベースの獲得にも大きな問題があった. 認知心理学においては, 比喩の処理過程には情緒・感覚的類似性やカテゴリ的類似性, 修飾語との共起関係の強さが比喩の生成に大きな影響を与えるといわれている. そこで, 本論文ではこれらの概念が工学的に導入された, 電子辞書を用いた比喩による文章作成支援システムを提案する. 提案システムでは, 情緒・感覚的類似度, カテゴリ的類似度, 共起度の3点を満たした比喩度と呼ばれる概念を導入し, 柔軟な比喩の計算を行う. また, 知識ベースとして大規模な知識を有するEDR電子化辞書を利用している. さらに, 発散的思考支援ツールとしての立場に立ち, 文章作成支援システムという形で, 実際にユーザが使用できるシステムを実装している. 詳細な評価実験により, 提案システムの有効性が確認されている.
著者
蓑谷 彩香 萩原 将文
出版者
日本感性工学会
雑誌
日本感性工学会論文誌 (ISSN:18840833)
巻号頁・発行日
pp.TJSKE-D-16-00070, (Released:2016-11-16)
参考文献数
20
被引用文献数
1

In this paper, we propose a support system to convert users' manuals to comics. In the proposed system, comics are generated using the texts and images taken from a manual in advance. The user selects sentences and images used to generate comics, from candidate sentences and candidate images. Furthermore, the user can select the favorite font size and style, and generate comics that matches the preference of each user. We carried out two kinds of evaluation experiments: the first one is the comparison between the generated comics and the original PDF file, the second one is the evaluation of the user-friendliness of the proposed system. As the results, it is confirmed that the proposed system can generate manuals which are easy to read and attract interest by usage of comic representation. In addition, it is also confirmed that users can generate favorable comics as expected by simple operations.
著者
山根 宏彰 萩原 将文
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.671-679, 2012-04-15 (Released:2012-04-26)
参考文献数
40

本論文では,ことわざすかしの自動生成システムを提案する.提案システムでは,身近であることわざを「すかし」と呼ばれるオチに利用することにより,面白い文章を生成する.すなわち,ことわざの文末を変更して,ユーザの予想を裏切ることで笑いを生む短文を出力する.提案システムには以下の3つの特徴がある.まず第1に,前述のような笑いに関する新しいフレームワークである「すかし」の利用である.第2に,2,550億単語から構築された膨大な情報量を有するGoogle N-gramを活用した大量で多様な候補の生成である.第3に,これまでの駄洒落研究などにおいて扱われてきた,音の長さ,単語間音韻類似度,単語間意味類似度に加えて,さらにイメージのし易さ,具象度の考慮である.これによりファジィルールの構築と面白さの自動評価を行い,優れた候補の選択が可能となった.評価実験により,人手作成に近いレベルで意外性が高く面白いすかしの生成が可能であることなどが確認された.
著者
佐藤 紀章 萩原 将文
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 = The transactions of the Institute of Electronics, Information and Communication Engineers. D-II (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.85, no.4, pp.622-629, 2002-04-01
被引用文献数
1

本論文では視覚システムに基づく動物体認識ニューラルネットワークを提案する.提案ネットワークは,視覚情報処理の並列階層性に着目した構造となっており,動物体を認識することができる.提案ネットワークは運動認識モジュール,動物体推定モジュール,動物体認識モジュールから構成される.運動認識モジュールでは視覚において運動認識を行う部分をモデル化したニューラルネットワークを用いて運動の認識を行う.動物体推定モジュールではバックプロパゲーション(Back Propagation:BP)アルゴリズムによる階層型ニューラルネットワークを用いて運動の特徴から動物体の推定を行う.動物体認識モジュールでは抑制方法を改良した多重構造ニューラルネットワークを用いて動物体を形の特徴から認識する.運動認識モジュールから動物体推定モジュールを通して動物体認識モジュールへ情報を伝達することによって運動認識,パターン認識の統合を行い,動物体を認識することができる.歩行人物認識の計算機シミュレーションにより提案ネットワークの有効性が示されている.
著者
長名 優子 服部 元信 萩原 将文
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング
巻号頁・発行日
vol.95, no.598, pp.73-80, 1996-03-18
参考文献数
22
被引用文献数
1

本報告では, 1対多の連想を可能とするカオス双方向連想メモリ(Chaotic Bidirectional Associative Memory : CBAM)を提案している. 従来の多くの連想記憶モデルでは, 想起時に生じる干渉のために1対多の連想を行うことはできない. また, 1対名の連想が可能なモデルでも, 想起時に生じる干渉を取り除くために人為的な制御や特別なネットワークを必要とする. これに対して, 提案モデルは従来の双方向連想メモリ(Bidirectional Associative Memory : BAM)の一部にカオスニューロンを用いた非常にシンプルな構造で, 1対多の連想を実現している. 提案モデルでは, 学習パターンに文脈情報を付加して学習し, この文脈情報に相当する部分にカオスニューロンを用いている. カオスニューロンが想起時につくり出すカオスによって文脈情報が遷移することで, 1対多の連想を可能にしている. 計算機シミュレーションを行い, 提案モデルの動作を確認し, 有効性を示した.
著者
齋藤 雅裕 萩原 将文
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.480, pp.1-6, 2009-03-04
被引用文献数
1

本論文では,自然言語の文書から知識を学習し,それに基づき類推を行うニューラルネットワークを提案する.ニューラルネットワークは生理学的な知見を活かした処理が可能であり,優れた学習能力が注目されている.また,類推は人間の知能において重要な役割を果たすと言われている.そこで提案ネットワークでは,学習能力を持ち,類推を行うことのできるニューラルネットワークを提案する.ネットワークに入力される文書はまず,構文解析器による前処理が行われる.これに基づき,提案ネットワークの結合の学習が行われる.また,従来のニューラルネットワークでは学習に用いた情報しか活用することができなく,知識獲得に問題があった.提案ネットワークでは,大規模な辞書であるNグラム辞書を用いることで,この点の解決を図っている.類推では,ニューロンの発火パターンが記憶部に記憶される.そして,類似する発火パターンが出現した際に記憶部が検索される.過去の発火パターンから推論が行われることで,類推が可能となった.実験では,goo辞書やWikipediaから知識を学習し,類推を検証した.実験により提案ネットワークが類推を行えることを確認した.
著者
堀田 創 野澤 貴 萩原 将文
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 : 日本知能情報ファジィ学会誌 : journal of Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.347-356, 2008-06-15
被引用文献数
1 1

本論文では,位置情報に基づく新しいインターネット広告システムを提案する.インターネット上の広告システムは,一般的に効果の高いと考えられるユーザに対して広告を配信するものが望ましい.本研究では,広告効果向上の方法の一つとして,位置情報を根拠とする方式を提案している.位置情報に基づくインターネット広告配信は,ターゲットとしたい地域から近い位置に居るユーザに広告を配信することで実現される.しかしながら広告の効果的な範囲は地域ごとの特性および広告の質によってそれぞれ異なり,それらを詳細に広告主が指定するのは極めて困難である.その結果,産業界における実現可能性が非常に低くなるという問題がある.提案システムは,ニューラルネットワークにより自動的に広告の効果的な範囲を推定し,それを配信アルゴリズムに組み込むことで広告主に負担をかけない広告配信を可能としている.このシステムは携帯電話用の広告配信として利用され,現在も実際に運用されている.検証実験の結果,広告の効果的な範囲の自動推定および,位置情報に基づく広告が有効であることが確認されている.
著者
小柳 壮摩 萩原 将文
出版者
日本感性工学会
雑誌
日本感性工学会論文誌 (ISSN:18845258)
巻号頁・発行日
pp.TJSKE-D-22-00066, (Released:2023-04-20)
参考文献数
23

In this paper, we propose an interactive support system for generating picture books. The proposed system consists of two parts: a sentence generation part and a picture book image generation part. The sentence generation part takes a topic and an opening sentence of a picture book as inputs, and generates sentences of the picture book in an interactive manner. The user can select the most appropriate sentence from the generated sentences to create a story for the picture book, and can modify specific parts of the sentences. The image generation part generates a background image of the picture book using the text as an input, and acquires the necessary image objects for the picture book from the web. Using the retrieved images, the user can paste the image objects into the background image to create a picture book image. With these two parts, a picture book can be created without the user having to directly write the text and pictures. Through evaluation experiments, we confirmed that the proposed system can generate a picture book that is comfortable as a story and that can arouse the reader’s interest.
著者
浅野 利郎 萩原 将文
出版者
The Institute of Electrical Engineers of Japan
雑誌
電気学会論文誌C(電子・情報・システム部門誌) (ISSN:03854221)
巻号頁・発行日
vol.122, no.2, pp.217-223, 2002-02-01 (Released:2008-12-19)
参考文献数
30
被引用文献数
1 1

In this paper, we propose a new system reflecting user's emotion in a virtual space. In the system, a user inputs his/her emotion using 6 emotional parameters in detail, and he/she chooses some shapes of objects to exist in a virtual space. From these information, the proposed system reflects user's emotion in 6 aspects using fuzzy logic and weighted average calculation. The aspects are 1) an extent of the space, 2) background colors of the space, 3) colors of the objects, 4) size of the objects, 5) moving speed of the objects, and 6) the number of the objects. In the created virtual space, user can go forward, go back and turn as he/she likes. The system is evaluated by objective questionnaires by 13 testees and the effectiveness has been shown.
著者
小池 隆斗 萩原 将文
出版者
日本感性工学会
雑誌
日本感性工学会論文誌 (ISSN:18845258)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.49-55, 2022 (Released:2022-02-28)
参考文献数
23
被引用文献数
1

The generation of attractive sentences for consumers is an important issue. In this paper, we propose a new method to generate title sentences that are more popular on YouTube, which is gaining large popularity in recent years. In the proposed method, the automatic generation of titles is regarded as a sentence style transfer task; The title sentence generated by the video creator is transformed into a more attractive one. Specifically, first, the latent variable is obtained by the back translation method. In the back translation method, it translates the original title into another language and retranslates it into Japanese. Then, style transfer is performed based on this latent variable to generate a more attractive title sentence. In addition, transfer learning is employed to address the problem of scarce training data. Subjective evaluation experiments have been conducted to show the effectiveness of the proposed method.
著者
磯島 和樹 萩原 将文
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.378-386, 2021-01-15

本論文では,話題語を応答に反映させる話題語Seq2Seqを用いた,共感と助言に着目した自動相談システムを提案する.相談においては相手の感情に共感する発話と,相手に対して情報を与える助言の発話が求められる.提案システムでは相談者の入力文から抽出した感性語や話題語をもとに共感と助言の2つの発話を使い分ける.共感の発話にはテンプレート文を用い,助言の発話には話題語を応答に反映させる話題語Seq2Seqを提案する.話題語Seq2Seqにより,ありきたりな応答を生成しやすい従来のSeq2Seqを改善し,相談内容に関する多様な応答を生成できるようになった.評価実験では,従来のSeq2Seqを用いた相談システムと比較する主観評価実験を行った.その結果,従来システムよりも多様でユーザに寄り添う応答を生成できることが示された.
著者
家田 暁 琴 智秀 萩原 将文
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌
巻号頁・発行日
vol.9, no.4, pp.163-172, 2010
被引用文献数
1 2

本論文では感性を反映した構図修正による,デジタル写真の品質向上システムを提案する.提案システムでは入力画像に適した構図を自動選択し,画像の構図を原画像の印象を保ちながら修正することで,画像の品質向上を行うことができる.修正は4 段階の処理によって行われる.まず,入力された画像から主となる顔,際立つ領域,三角部分,水平線,対角線,遠近法消失点の6 種類の構成要素が検出される.検出された各構成要素の位置や他構成要素との関係から,それぞれの構成要素に適すると考えられる出力構図案が計算される.次にそれらの構図案から,原画像の印象から大きく変わってしまう案が削除される.すなわち,画像に対する構成要素の位置が大きく移動する案が削除される.最後に,残った出力構図案の中から原画像の印象を最も保つことが可能な構図案,すなわち切り出す面積が最も小さい構図案が選択され,その構図案に従い画像の構図修正が行なわれる.ユーザアンケートによる2 種類の評価実験を行った.その結果,提案システムによってユーザにとって好ましい修正が行われること,また既存手法と比較しても好ましい修正が行われることが確認された.
著者
磯島 和樹 萩原 将文
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.378-386, 2021-01-15

本論文では,話題語を応答に反映させる話題語Seq2Seqを用いた,共感と助言に着目した自動相談システムを提案する.相談においては相手の感情に共感する発話と,相手に対して情報を与える助言の発話が求められる.提案システムでは相談者の入力文から抽出した感性語や話題語をもとに共感と助言の2つの発話を使い分ける.共感の発話にはテンプレート文を用い,助言の発話には話題語を応答に反映させる話題語Seq2Seqを提案する.話題語Seq2Seqにより,ありきたりな応答を生成しやすい従来のSeq2Seqを改善し,相談内容に関する多様な応答を生成できるようになった.評価実験では,従来のSeq2Seqを用いた相談システムと比較する主観評価実験を行った.その結果,従来システムよりも多様でユーザに寄り添う応答を生成できることが示された.
著者
関 悠介 萩原 将文
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集 第31回ファジィシステムシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.661-666, 2015 (Released:2016-02-26)

本稿では,色彩調和と構図に基づく画像の審美的品質評価システムを提案する.人間とシステムの円滑なインタラクションのためには,人間が見たものに対してどのような印象を抱いているかをシステムが共有することが重要である.そこで本稿では,写真の印象に大きく関わる色彩と構図に着目し,人間の感性に沿った審美的品質の評価を目指した.配色技法や写真撮影の知識に基づいて色彩の美しさと構図の良さをそれぞれ数値化し,ファジィ推論によって審美的品質を複合的に評価した.評価実験では,ウェブ上から収集した画像を用い,人間の評価と提案システムによる評価との間に高い相関が見られ,人間に近い写真の評価を行うことが示唆された.
著者
松井 辰哉 萩原 将文
出版者
Japan Society of Kansei Engineering
雑誌
日本感性工学会論文誌 (ISSN:18840833)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.35-42, 2017 (Released:2017-02-24)
参考文献数
41
被引用文献数
1

In this paper, we propose a dialogue system with emotion estimation and knowledge acquisition functions. In the emotion estimation part, 9-emotions are treated in the proposed bimodal approach using voice and natural language processing. In the voice processing part, 396-dimensional features are extracted from the voice data, and they are used in learning of Stacked Denoising AutoEncoder. In the natural language processing part, two methods are proposed. The first one is to consider the implications of the relationship between emotional expression dictionary and input sentence's words. The second one is to consider the co-occurrence frequency of the emotion words in emotion dictionary. In the knowledge acquisition part, the relationship patterns from the input sentences are extracted. In the evaluation experiments, we can confirm that the proposed dialogue system obtains higher score than the existing system in term of the adequacy of the feeling estimation and the variety of response sentences.
著者
片岡 桂太郎 萩原 将文
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.730, pp.91-96, 2003-03-11
参考文献数
28

本論文では,自然言語を人間の記憶と結びつけて扱うための手法として,意味記憶とエピソード記憶を統合的に扱える新しいニューラルネットワーク(意味記憶及びエピソード記憶ニューラルネットワーク - Semantic memory and Episodic memory Associative Neural Network: SEANN)を提案する.提案ネットワークでは意味ネットワークによって表された意味記憶部分を,文章概念記憶ニューラルネットワークを領域表現を用いた多方向連想メモリに記憶させる.そして,別の文章概念記憶ニューラルネットワークにエピソード記憶部分を記憶させ,エピソード記憶に関連した事項を,領域表現を用いた多方向連想メモリを通じて,意味記憶部分より想起させるのものである.計算機実験では,一つの単語から複数の意味記憶が想起できること,提案ネットワークにおいて意味記憶がエピソード記憶に関する想起を行えることを確認し,自然言語処理に対する提案ネットワークの有効性を確認した.
著者
竹越 智也 萩原 将文
出版者
日本感性工学会
雑誌
日本感性工学会論文誌 (ISSN:18840833)
巻号頁・発行日
pp.TJSKE-D-15-00023, (Released:2015-10-15)
参考文献数
41
被引用文献数
3

This paper proposes an automatic robot manzai (comic dialogue) generation system. In the proposed system, input sentences such as a tale, story, etc. are converted into a manzai script composed of boke (stupid joke) and tsukkomi (comeback). Then, two humanoid robots play the manzai taking roles of a funny man and a straight man, respectively. Their motions are determined from the motion database based on a verb in the utterance. The contributions of the paper are the following three points; a proposal of the novel system for an automatic robot manzai generation which can accept a normal story, convert it to the manzai script and play the manzai: verification of the usefulness of motions in the manzai to make it funnier by experiments: indication of the effectiveness of the proposed system by experiments.
著者
北田 純弥 萩原 将文
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.42, no.5, pp.1232-1241, 2001-05-15

本論文では,大規模な知識を有する電子辞書を利用し,認知心理学に基づく比喩による文章作成支援システムを提案する.比喩は,言語による情報伝達のみでなく,我々の思考や概念化,記憶などの認知過程にも深くかかわっていることが広く認識されている.また,自然言語処理の観点から,比喩研究の成果から反映できる技術やモデルは,応用範囲が広いと考えられている.一方,従来のコンピュータを利用した比喩研究は比喩理解に関する研究が多く,使用する知識ベースの獲得にも大きな問題があった.認知心理学においては,比喩の処理過程には情緒・感覚的類似性やカテゴリ的類似性,修飾語との共起関係の強さが比喩の生成に大きな影響を与えるといわれている.そこで,本論文ではこれらの概念が工学的に導入された,電子辞書を用いた比喩による文章作成支援システムを提案する.提案システムでは,情緒・感覚的類似度,カテゴリ的類似度,共起度の3点を満たした比喩度と呼ばれる概念を導入し,柔軟な比喩の計算を行う.また,知識ベースとして大規模な知識を有するEDR電子化辞書を利用している.さらに,発散的思考支援ツールとしての立場に立ち,文章作成支援システムという形で,実際にユーザが使用できるシステムを実装している.詳細な評価実験により,提案システムの有効性が確認されている.
著者
相良 司 萩原 将文
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.461, pp.495-500, 2010-03-02
参考文献数
23

本論文では,自然言語の文書から知識を学習し,想起と推論を行う言語処理ニューラルネットワークを提案する.提案システムでは,自然言語の文が入力されると,まず前処理として文の知識への分解と単語の深層格推定が行われる.この前処理に基づき,ネットワークが作成される.提案システムのネットワークは文層,知識層,10種の深層格層,辞書層から成る.10種の深層格層とは,対象格や場所格などといった単語の意味的役割のニューロンが格納される層である.深層格層の導入により,複雑な文章の扱いが可能となった.また,学習させた知識から未知の知識を推測できるように,辞書層を導入した.辞書層では,日本語語彙大系を用いて単語が属している概念が検索される.辞書層は,検索された概念が格納されることで,脳の長期記憶部の役割を果たす.ネットワークの学習では,へブの学習則に則り,結合を強化する学習が行われる.学習文と関連した質問への応答実験により,提案システムが自然言語の文書から知識を学習し,想起と推論が可能なことを確認した.