著者
藤森 大輔 本村 友一 山本 晃之 原 義明 西本 哲也 高橋 希 柄澤 智史 高橋 功
出版者
一般社団法人 日本外傷学会
雑誌
日本外傷学会雑誌 (ISSN:13406264)
巻号頁・発行日
pp.36.3_06, (Released:2022-03-30)
参考文献数
8

74歳男性. シートベルトを着用し軽乗用車運転中に意識を失い前方の車両に追突し, フロントエアバッグが作動した. ドクターヘリで当院へ搬送され, CT検査で胸骨骨折・内胸動脈損傷・多発腰椎圧迫骨折の診断となり, 経カテーテル的内胸動脈塞栓術を施行した. 入院後より経時的に血中CPK値が上昇し, 代謝性アシドーシスと高乳酸血症も進行した後, 心停止・自己心拍再開を経て腸管虚血に至り, 第4病日に死亡した. 経過中のCT検査より胸部大動脈原性の両下肢の筋梗塞を含む多発塞栓症が疑われた. 安全装置であるエアバッグとシートベルトによる鈍的胸部外傷に起因した二次的な大動脈原性塞栓症で広範な筋梗塞を認めた例は稀有であり報告する.
著者
大音 三枝子 薩摩 由香里 梅田 節子 新城 拓也 西本 哲郎 池末 裕明 室井 延之 橋田 亨
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.147-151, 2020 (Released:2020-06-11)
参考文献数
14

がん疼痛に対して,ヒドロモルフォン注射剤から投与を開始し鎮痛効果を評価した研究は少なく,注射剤と経口剤の換算比を検討した研究もほとんどない.そこで,中等度から高度のがん疼痛を有する患者において,ヒドロモルフォン注射剤から経口剤に変更する際の換算比の検討を目的とし,症例集積調査を行った.2018年7月から2019年12月に,ヒドロモルフォン注射剤から経口剤へ変更した入院がん患者を対象とし,1:5の換算比で変更した後の鎮痛効果と副作用の発現状況を調査した.対象患者6例のうち3例では適切な鎮痛効果が得られたが,1例で鎮痛効果が不十分で増量を要し,2例で有害事象の眠気が出現し減量を要した.この結果より,ヒドロモルフォン注射剤から経口剤に変更するときは,症例ごとに変更後の鎮痛効果と有害事象を慎重に観察し,投与量を調節する必要性が示唆された.
著者
西本 哲也 村上 成之 阿部 俊昭 小野 古志郎
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 A編 (ISSN:03875008)
巻号頁・発行日
vol.61, no.591, pp.2386-2392, 1995-11-25 (Released:2008-02-21)
参考文献数
16
被引用文献数
7 6

The purpose of this study is to understand the mechanical properties of the human cranium in order to develop a FEM simulation model of the head. Craniectomy samples, autoclave bone flaps and dry cadaver skulls were tested using values of radial bending moment considered typical in the case of head injury. In this study, we developed a procedure for estimation of the mechanical properties of the cranium by assuming a proportional relation between the bone mineral density and Young's modulus. The mechanical properties of the human cranium have been determined from the three-point bending test and the bone mineral density measured by the dual energy X-ray absorptiometry. The human cranium consisted of inner and outer tables (cortical bones) and a diploe (a cancellous bone). The stress on the cortical and the cancellous bones in the field of bending stress was assumed that the cranium was a beam in which two different materials were combined. The experiment showed that fresh cranial fractures start at the inner table and the diploe and then propagate to the outer table. The fracture of a cranium taken out of a human being will exhibit elastic-plastic fractures. This fact implies that the inner table and the diploe fractures can occur even if no fracture is detected using plain X-rays in cases of acute extradural hematomas (EDH).
著者
西本 哲也
出版者
THE JAPAN EVALUATION SOCIETY
雑誌
日本評価研究 (ISSN:13466151)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.147-159, 2007

不良債権処理に伴う失業者に対する雇用対策として、緊急雇用対策交付金の創設を中心としてセーフティネットの構築が図られ、2001年度補正により予算も付けられた。しかし、この雇用対策が本当に効果的であったかどうかは、実はよくわかっていない。雇用対策の実施を担った厚生労働省は「おおむね効果があった」と自己評価していたが、報道や国会質問により、自己評価に対する疑問や政策の効果に対する疑問が呈されていたためである。<BR>他方、わが国の政策評価制度は、「評価の評価」(メタ評価) を行なう機能があらかじめ設定されている。その役割を担うのは、総務省行政評価局による客観性担保評価と呼ばれる活動である。この緊急雇用対策交付金に対しては、客観性担保評価が一歩進んだ形で行なわれたが、同時に課題や限界も明らかになった。
著者
西本 哲也 望月 康廣
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
pp.13-00729, (Released:2015-01-14)
参考文献数
26
被引用文献数
1

The aim of this study was to examine micro injuries of brain tissue to gain a better understanding of head injury tolerance. Compression stress relaxation experiments were conducted in vitro, using porcine brain tissue and subsequently analysed using two stain methods; immunofluorescent stain and immunoenzymatic stain. In these in vitro stress relaxation experiments, brain specimens were compressed quasi-statically at 1 mm/s, for compression strains ranging from 10% to 50%, in ten percent increments. Using the immunofluorescent stain method, it was observed that axon tear occurred at a compression strain of 30% or greater. The distribution of the damage ratio of the transverse length to the longitudinal length of brain nerve cells (referred to as an aspect ratio) using immunoenzymatic stain method in the brain tissue under loading was also examined. This indicated that at a compression strain of 30% or greater the aspect ratio exceeded 2.0. The results of this study show that a compression strain of 30% corresponds to the threshold for the extreme aspect ratio of 2.0; where the transverse length of deformed nerve cell is two times greater than longitudinal length.
著者
本村 友一 松本 尚 益子 邦洋 篠田 伸夫 西本 哲也
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.513-518, 2018-06-30 (Released:2018-06-30)
参考文献数
10

はじめに:2016年わが国の交通事故死亡者は3,904人であった。重症外傷の転帰には受傷から根治手術までの時間がきわめて大きく影響する。救急自動通報システム:より早期に医師が患者に接触するために,交通事故の工学情報を根拠に医師を現場派遣することが効果的と考えられた。事故情報から乗員の死亡または重症外傷受傷確率(以下,死亡・重症率)を判定するアルゴリズムが開発され,重大事故時には発生場所や乗員の死亡・重症率などをドクターヘリ基地病院と消防へ送信し,医師を現場派遣する救急自動通報システム(D-Call Net)が開発された。すでにトヨタ自動車,本田技研工業の一部車種に搭載され2015年11月より試験運用が開始されており,これによりドクターヘリの起動が17分早まることが見込まれている。考察:D-Call Netは交通事故の工学的情報を根拠に医師派遣システムを起動させる世界初のシステムで,有効活用によりわが国は世界一安全な道路交通社会を実現可能であろう。
著者
西本 哲 三村 護 中川 征樹
出版者
神戸医療福祉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

ファイバー束の性質を知るための方法として特性類を計算することがある.ファイバー束の中で最も重要なのが普遍束であり, その特性類を決定することは構造群の分類空間のコホモロジーを計算することにあたる.それを計算するための道具としてスペクトル系列があり, 今回は例外リー群E_7, E_8の分類空間のmod 3コホモロジーへ収束するスペクトル系列のE_2-項の代数構造を計算した.それから分類空間のコホモロジーと密接に関係している, Weyl群の極大トーラスの分類空間のmod 3コホモロジーへの作用による不変式環をE_7の場合に計算した.
著者
種本 翔 藤野 雅広 山下 裕之 西本 哲也 兒玉 拓 長尾 光城
雑誌
川崎医療福祉学会誌 = Kawasaki medical welfare journal
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.214-217, 2013

生活習慣病などの改善を目的に実施される運動は,強度や時間の設定次第で,活性酸素種の発生増加を引き起こす.簡便な指標による検討が少ないため,心拍数で強度規定し,酸化ストレス度および抗酸化力の変化について検討した.対象は,運動習慣のある男子学生7名(20.3±2.3歳)とした.漸増負荷での自転車エルゴメータを用いた運動を行い,その後30分の安静を設けた.運動前,60%HRR時,80%HRR時,終了後30分の計4回採血し,酸化ストレス度および抗酸化力を測定した.運動に伴い,d-ROMs testは増加傾向を示した.また,BAP testは運動により有意な増加を認めた.抗酸化力において認められた変化は,酸化-抗酸化の均衡が破綻した状態である可能性が示唆された.一定の運動強度を上回る負荷には注意が必要であることが考えられる.[Purpose] The aim of this study was to examine changes of oxidative stress and antioxidant status during incremental load exercise prescribed by a simple index. [Subjects]Seven students participated in this study. [Method] Subjects performed incremental load exercise on a cycle ergometer. Blood samples were taken at 4 time points: before exercise(Pre), at 60%HRR, 80%HRR, and 30 minutes after exercise, to analyze oxidative stress(d-ROMs) and antioxidant status(BAP). [Results] d-ROMs showed a tendency to increase. BAP were significantly higher in 60%HRR and 80%HRR compared with Pre. [Conclusion] These results suggested that more attention should be paid to load than on constant intensity.
著者
西本 哲也 小原 謙一 藤田 大介 土屋 景子 西本 東彦
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, 2007-04-20

【目的】理学療法教育場面で学生のモチベーションの問題は大きく取り上げられ、多数の養成校で授業や実習形態の工夫がなされている。問題解決型学習やクリニカルクラークシップなどもそうであり、臨床に即した実践・模擬実践を通して学生のモチベーションや臨床適応能力向上に効果があることが報告され、それらから学ぶべきことが非常に多い。我々はモチベーションが向上する背景には必然的にポジティブ感情が伴っているような漠然としたイメージを抱いている。Fredricksonはポジティブ感情が思考と行動のレパートリーを増加させるという拡大-構築理論を提唱しているが、今回我々はポジティブ感情の付与要素を創造・実現的刺激と、娯楽・癒し的刺激に分け、各々が行動意欲にどのような影響を及ぼすかを検討し、学生に有効なポジティブ感情を付与するための要素を見出そうとした。<BR>【方法】岡山県内の福祉施設業務に従事する介護関係職、看護師、ボランティアの計49名を対象とし、約2時間のイベント前後の行動意欲および気分について調査した。イベントはA群(男性6名・女性14名、平均31歳)が「介護予防におけるリハビリの基本技術」研修会、B群(男性4名・女性11名、平均34歳)が一般に人気の娯楽番組を2番組続けて鑑賞、C群(男性4名・女性10名、平均36歳)はコントロール群でイベントは通常の業務内容であった。行動意欲は単語レベルの自由記載で現在したいことを全て記入してもらい(5分間)、その後幾つかのカテゴリーに分類した。気分については坂野らの気分調査票を使用した。行動意欲、気分調査はイベント前後での記載数、点数を比較(Wilcoxon検定;p<0.05)し、カテゴリー、項目のイベント前後での増減についての比率も比較検討した(2サンプル比率検定;p<0.05)。またA・B群は終了後の満足度についての5段階評価も行った。<BR>【結果】行動意欲については小川らの研究を参考に10のカテゴリーに分類した。A・B群ではイベント前後で記載事項が有意に増えており、A群では「勉強・仕事」が有意に増加していた。B群では「遊び」など幾つかのカテゴリーでの増加傾向が見られたが有意に増えたカテゴリーはなく「勉強・仕事」はむしろ減少傾向であった。C群でも有意に増えたカテゴリーはなかった。気分調査ではどの群もイベント前後で有意な変化は見られなかったが、A・Bでは「爽快感」で増加傾向が、「疲労感」「不安感」で減少傾向が見られた。満足度はA・B群とも2名を除き4以上であった。<BR>【考察】A・B群ともイベントによる行動意欲の拡大が示唆されたが、A群ではより創造・実現的な要素が拡大され、B群のイベントである娯楽的な刺激ではその要素はむしろ減少した。息抜きは癒しになるが創造・実現なポジティブ感情を誘発することは難しい可能性がある。今後は行動意欲とストレス尺度や不安尺度との関連を調査する必要性を感じた。
著者
西本 哲昭 塩崎 正雄 山本 肇 石塚 和裕
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.64, no.7, pp.257-265, 1982-07-25

1977〜1978年の有珠山噴火によって林地に堆積した噴出物と, それによって埋没した林地土壌が時間の経過とともにどのように変化していくかを, 5か所に固定調査地を設けて3年間にわたって調査した。1)一般に噴出物に含まれる水溶性成分は時間とともに減っていき, 埋没土壌では一度増加したあとで減少に向かう。すたわち, 上層から下層への流下が考えられる。その速さは陽イオンについてはNa>K・Mg>Caで, 陰イオンについてはCl>SO_4である。2)埋没土壌のECが一時的に増加したが, その値は1m mho/cmを越えることはなく, 森林への影響は考えられない。3)噴出物のpHは初め7〜8であったが, しだいに低下して4〜7になった。埋没土壌への影響は小さかった。4)噴出物のリン酸は, より難溶性へと変化した。5)噴出物層の細菌数は埋没土壌での値に近かったが, 放線菌と糸状菌数はきわめて少なかった。埋没土壌での微生物相の変化は初期にのみ認められた。6)噴出物の厚さに比例して土壌のガス拡散が抑制されており, 林木の根が呼吸障害を起こしている可能性がある。
著者
"妹尾 勝利 西本 哲也 石浦 佑一 東嶋 美佐子"
出版者
川崎医療福祉大学
雑誌
川崎医療福祉学会誌 (ISSN:09174605)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.217-226, 2005

"本研究の目的は,10名の健常成人と1名の右上腕切断者を対象として,上腕能動義手の手先具操作時の筋活動量と酸素摂取量及び自覚的身体疲労度を,利き手と非利き手及び肘継手の屈曲角度の違いによって測定し,義手非装着側の腋窩部の痛みと身体疲労の要因を検討することであった. 義手操作時間は9分間とし,操作中の筋活動量と酸素摂取量を測定した.筋活動は義手装着側と義手非装着側の三角筋前部線維,大胸筋,前鋸筋に貼り付けた表面電極より導出し,積分して比較筋活動量(%MVC:Maximum Voluntary Contraction)とした.自覚的身体疲労度は,Visual Analog Scaleにて調査した.実験は,一人の被験者に4回(肘継手屈曲50度で1回目が非利き手 → 利き手,2回目が利き手 → 非利き手,肘継手屈曲110度で3回目が非利き手 → 利き手,4回目が利き手 → 非利き手)行った. 健常者の%MVCは,利き手と非利き手及び操作時期によって有意差はなかった.義手装着側と義手非装着側の前鋸筋の%MVCは,大胸筋と三角筋より大きかった(p<0.05).肘継手屈曲110度の%MVCは,屈曲50度より大きかった(p<0.05).酸素摂取量と自覚的身体疲労度は,利き手と非利き手及び肘継手の屈曲角度の違いによって有意差はなかった.右上腕切断者の%MVCは,義手装着側の前鋸筋,義手非装着側の大胸筋が大きかった.酸素摂取量は,肘継手屈曲110度では操作時間の経過とともに大きくなった.肘継手屈曲110度での自覚的身体疲労度は屈曲50度より大きかった. 切断者における身体疲労は,切断側肩関節周囲筋の筋力低下の影響が示唆された.義手非装着側腋窩部の痛みは,前鋸筋と大胸筋の作用によるハーネスの圧迫が要因になっていることが示唆された."