著者
塚崎 栄里子 岩上 将夫 佐藤 幹也 田宮 菜奈子
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
pp.20-055, (Released:2020-12-26)
参考文献数
24
被引用文献数
1

目的 精神的苦痛を有する集団における,精神疾患での通院と種々の背景の関連を明らかにする。方法 平成25年度国民生活基礎調査の匿名データ(健康票,世帯票)に含まれる97,345人の中で,15歳以上65歳未満である56,196人のうち,精神的苦痛をあらわすKessler Psychological Distress Scale(K6)の合計点が5点以上の17,077人(男性7,735人,女性9,342人)を研究対象者とした。健康票・世帯票の質問項目の中から,精神疾患を理由とした通院に関連しうる項目として,K6合計点(5~24点),年齢,性別,飲酒状況,喫煙状況,世帯人数,世帯所得,教育状況,就労状況,他疾患での通院の有無を選択した。「うつ病やその他のこころの病気」による現在の通院の有無をアウトカムとし,多変量ロジスティック回帰分析を行い,各因子の通院「有り」に対する調整後オッズ比(aOR)および95%信頼区間(95%CI)を求めた。結果 研究対象者17,077人のうち,精神疾患で現在通院していると回答したのは914人(5.4%)であった。通院している人のK6合計点の平均値(±標準偏差)は12.6(±5.1)点であり,通院していない人の平均値8.8(±3.8)点より有意に高かった。年齢ごとでは35~44歳で最も通院率が高かった。通院をしていると回答した人の女性の割合は58.3%で,通院していないと回答した集団より有意に多かった。飲酒状況,喫煙状況,世帯人数,就労状況,他疾患での通院の有無が,精神疾患での通院の有無とのカイ二乗検定で有意差が認められた。多変量解析の結果,飲酒,3人以上での家族との同居,仕事や家事は通院を阻害する方向に関連を示した。K6合計点が高い人や,35~44歳,高校以上の教育,喫煙,他疾患での通院をしている人がより多く通院している傾向にあった。結論 自己治療になりうる飲酒や,時間的余裕を妨げうる仕事が精神科への通院を阻害する可能性が示された。必要な通院を推進するには,若年者や高齢者,高校以上の教育を受けていない,飲酒しているといったハイリスク集団を意識した上で,社会的体制の充実,精神疾患に関する情報の普及が必要である。
著者
杉山 雄大 今井 健二郎 東 尚弘 冨尾 淳 田宮 菜奈子
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.67, no.9, pp.567-572, 2020-09-15 (Released:2020-10-10)
参考文献数
20
被引用文献数
1

目的 米国CDCについて概説し,今般のCOVID-19拡大とその対応を受けて今後日本版CDCを構想する際に検討するべき論点について提案する。方法 筆者らがCDCを訪問した際のインタビュー,ウェブサイト等からの情報をもとに,CDCについて概説した。その上で,日本版CDCに関する既存の見解や本邦の現状,COVID-19対応の教訓を踏まえて日本版CDCを構想する上で検討するべき論点を整理した。結果・結論 CDCは「健康,安全,セキュリティの脅威から米国を守る」ことをミッションとする,公衆衛生の主導的立場にある米国連邦政府機関である。実地疫学,緊急準備と対応,サーベイランス・統計調査,検査方法・調査方法の開発,情報発信,人材育成,検疫,予算配分などを行っており,COVID-19にも様々な対応をしている。日本版CDCを構想する際には,対象とする疾患や課題のスコープ,組織体制,ミッション,科学的中立性の担保,人材育成のあり方などについて議論する必要がある。
著者
塚崎 栄里子 岩上 将夫 佐藤 幹也 田宮 菜奈子
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.118-130, 2021-02-15 (Released:2021-02-26)
参考文献数
24

目的 精神的苦痛を有する集団における,精神疾患での通院と種々の背景の関連を明らかにする。方法 平成25年度国民生活基礎調査の匿名データ(健康票,世帯票)に含まれる97,345人の中で,15歳以上65歳未満である56,196人のうち,精神的苦痛をあらわすKessler Psychological Distress Scale(K6)の合計点が5点以上の17,077人(男性7,735人,女性9,342人)を研究対象者とした。健康票・世帯票の質問項目の中から,精神疾患を理由とした通院に関連しうる項目として,K6合計点(5~24点),年齢,性別,飲酒状況,喫煙状況,世帯人数,世帯所得,教育状況,就労状況,他疾患での通院の有無を選択した。「うつ病やその他のこころの病気」による現在の通院の有無をアウトカムとし,多変量ロジスティック回帰分析を行い,各因子の通院「有り」に対する調整後オッズ比(aOR)および95%信頼区間(95%CI)を求めた。結果 研究対象者17,077人のうち,精神疾患で現在通院していると回答したのは914人(5.4%)であった。通院している人のK6合計点の平均値(±標準偏差)は12.6(±5.1)点であり,通院していない人の平均値8.8(±3.8)点より有意に高かった。年齢ごとでは35~44歳で最も通院率が高かった。通院をしていると回答した人の女性の割合は58.3%で,通院していないと回答した集団より有意に多かった。飲酒状況,喫煙状況,世帯人数,就労状況,他疾患での通院の有無が,精神疾患での通院の有無とのカイ二乗検定で有意差が認められた。多変量解析の結果,飲酒,3人以上での家族との同居,仕事や家事は通院を阻害する方向に関連を示した。K6合計点が高い人や,35~44歳,高校以上の教育,喫煙,他疾患での通院をしている人がより多く通院している傾向にあった。結論 自己治療になりうる飲酒や,時間的余裕を妨げうる仕事が精神科への通院を阻害する可能性が示された。必要な通院を推進するには,若年者や高齢者,高校以上の教育を受けていない,飲酒しているといったハイリスク集団を意識した上で,社会的体制の充実,精神疾患に関する情報の普及が必要である。
著者
田宮 菜奈子
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.274-277, 2008 (Released:2008-07-14)
参考文献数
6
被引用文献数
3 4
著者
江川 優子 麻原 きよみ 大森 純子 奥田 博子 嶋津 多恵子 曽根 智史 田宮 菜奈子 戸矢崎 悦子 成瀬 昂 村嶋 幸代
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.70, no.10, pp.677-689, 2023-10-15 (Released:2023-10-28)
参考文献数
22

目的 日本公衆衛生学会に設置された「平成29/30年度公衆衛生看護のあり方に関する委員会」では,公衆衛生および公衆衛生看護教育の実践と研究のための基礎資料を提供することを目的として,公衆衛生および公衆衛生看護のコンピテンシーの明確化を試みた。方法 米国の公衆衛生専門家のコアコンピテンシーおよび公衆衛生看護におけるコンピテンシーを翻訳し,共通点と相違点を検討した。次に,米国の公衆衛生看護のコンピテンシーと日本の公衆衛生看護(保健師)の能力指標の共通点と相違点を検討し,公衆衛生および公衆衛生看護のコンピテンシーの明確化に取り組んだ。結果 公衆衛生と公衆衛生看護のコンピテンシーには,集団を対象とし,集団の健康問題を見出し,健康課題を設定し働きかけるという共通点がみられた。しかし,集団の捉え方,健康問題の捉え方と健康課題設定の視点,集団における個人の位置づけに相違があった。公衆衛生では,境界が明確な地理的区域や民族・種族を構成する人口全体を対象とし,人口全体としての健康問題を見出し,健康課題を設定しトップダウンで働きかけるという特徴があった。また,個人は集団の一構成員として位置づけられていた。一方,公衆衛生看護では,対象は,個人・家族を起点にグループ・コミュニティ,社会集団へと連続的かつ重層的に広がるものであった。個人・家族の健康問題を,それらを包含するグループ・コミュニティ,社会集団の特性と関連付け,社会集団共通の健康問題として見出し,社会集団全体の変容を志向した健康課題を設定し取り組むという特徴があった。日米の公衆衛生看護のコンピテンシーは,ともに公衆衛生を基盤とし公衆衛生の目的達成を目指して構築されており,概ね共通していた。しかし,米国では,公衆衛生専門家のコアコンピテンシーと整合性を持って構築され,情報収集能力,アセスメント能力,文化的能力など,日本では独立した能力として取り上げられていない能力が示され,詳細が言語化されていた。結論 公衆衛生の目的達成に向けたより実効性のある公衆衛生・公衆衛生看護実践を担う人材育成への貢献を目指し,日本の公衆衛生従事者の共通能力が明確化される必要がある。また,公衆衛生看護では,これまで独立した能力として言語化されてこなかった能力を一つの独立した能力として示し,これらを構成する詳細な技術や行為を洗い出し,言語化していく取り組みの可能性も示された。
著者
大森 純子 梅田 麻希 麻原 きよみ 井口 理 蔭山 正子 小西 美香子 渡井 いずみ 田宮 菜奈子 村嶋 幸代
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.66, no.3, pp.121-128, 2019-03-15 (Released:2019-03-26)
参考文献数
48
被引用文献数
1

目的 日本公衆衛生学会に設置された「公衆衛生看護のあり方に関する委員会(第6期)」では,「実践で活用できる」コミュニティ・アセスメントの新しいモデルを考案した。本モデルを公衆衛生活動に適用可能な「活動展開技法モデル」(以下,モデル)と位置づけることにより,保健師が経験的に蓄積してきた実践手法の理論化とその手法の共有を試みた。方法 平成26年10月から平成29年9月の3年間に7回の委員会を開催し,以下の4つのステップに沿ってモデルの検討と検証を行った。ステップ1では,コミュニティ・アセスメントの定義や手法についてブレーンストーミングを行いながら,文献検討の枠組みを検討した。ステップ2の文献検討では,コミュニティ・アセスメントに関する既存の理論や知見,実践に関する情報を収集・整理した。次のステップでは,これらの情報と委員会メンバーの実践経験を照らし合わせながら,モデルを作成した。最後のステップでは,作成したモデルの汎用性を行政および産業における保健師に参照して,本モデルの公衆衛生活動への適用について検証した。活動内容 本委員会では,コミュニティ・アセスメントを「QOLの向上をめざすすべての活動場面においてPDCAサイクルを駆動するために用いる実践科学の展開技法」と定義し,包括的または戦略的な意図により,2つに類型化した。作成したモデルでは,コミュニティ・アセスメントは,あらゆる公衆衛生活動のPDCAサイクルにおいて継続的かつ発展的に実施されていること,地域住民の「QOLの向上」を志向して行われていることを示した。また,アセスメントを行う者の経験的科学的直観と倫理的感受性がコミュニティ・アセスメントの質を左右する要因であることを示した。結論 本委員会が保健師の実践に沿って作成した活動展開技法モデル「コミュニティ・アセスメント」は,公衆衛生活動における事業や地区活動など多様な実践に適応できる可能性があることが示唆された。
著者
荒井 由美子 田宮 菜奈子 矢野 栄二
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.40, no.5, pp.497-503, 2003-09-25 (Released:2011-02-24)
参考文献数
23
被引用文献数
96 101

要介護高齢者を介護する者の介護負担を客観的に測定することは極めて重要である. 本研究の目的は, 我が国で頻用されている Zarit 介護負担尺度日本語版 (J-ZBI) の短縮版を作成することである.鹿児島県肝属郡内の6町の在宅要介護高齢者1,713名を対象に, 訪問調査を実施した. この1,713名のうち, 同居家族が主介護者であった735名に対しては, 訪問時に主介護者の性, 年齢, 介護負担 (J-ZBI) に関する調査も行った.短縮版の項目の選定にあたっては, 因子分析 (最尤法, Varimax 回転) を行った. 因子分析の結果, 固有値1以上の因子が4つ抽出された. 固有値の大きさと原版の因子構造を参考に, 第一因子 (Personal strain), 第二因子 (Role strain) から, 因子負荷量の高い項目を, それぞれ5項目, 3項目を選択し, J-ZBI短縮版 (J-ZBI_8) とした. J-ZBI_8の内的整合性を確認するために, Cronbach's αを計算したところ, 0.89であり, 下位尺度 Personal strain, Role strain それぞれの Cronbach's αの値は0.87, 0.82であった. また, J-ZBI_8の併存的妥当性を検討するために, J-ZBI_8とJ-ZBIおよび項目22との相関を検討したところ, それぞれr=0.93, 0.68であった (共に, p<0.001). さらに構成概念妥当性を検討すべく, 介護で困っていると答えた介護者のJ-ZBI_8得点と困っていないと答えた介護者とのJ-ZBI得点を t-test により, 比較したところ前者が9.31点 (SD=7.19), 後者が3.45点 (SD=4.57) であり有意差がみられた(p<0.001).J-ZBIの短縮版, J-ZBI_8の信頼性, 妥当性は原版と同様高いものであり, 充分に実用に耐えうるものと確認された.
著者
佐藤 幹也 伊藤 智子 谷口 雄大 大森 千尋 金 雪瑩 渡邉 多永子 高橋 秀人 野口 晴子 田宮 菜奈子
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.69, no.8, pp.617-624, 2022-08-15 (Released:2022-08-04)
参考文献数
23

目的 介護保険総合データベース(介護DB)の導入により,悉皆的な介護保険研究が可能になった。反面,介護DBでは死亡情報が含まれず他データとの突合も制限されているため,死亡に関する研究は実施困難である。本研究では,統計法に基いて入手した介護保険受給者台帳(受給者台帳)と人口動態統計死亡票(死亡票)を用いて,受給者台帳の受給資格喪失記録を死亡の代理変数として使用することの妥当性を評価した。方法 受給者台帳に記録された受給者情報の月次断面を2007年4月から2017年3月まで累積し,介護度が自立または年齢が65歳未満の者を除外した510,751,798件を研究対象とした。受給者台帳の異動区分コードが終了の場合を受給資格喪失とし,これと死亡票とを確定的マッチング(性別,生年月日,死亡年月日,居住市区町村)で突合できた場合を死亡例として,受給資格喪失の死亡に対する検査特性(感度,特異度,陽性反応的中率,陰性反応的中率)を算出した。結果 受給者台帳510,751,798件中の5,986,991件(1.17%)で受給資格喪失となり,うち5,295,961件の死亡が特定された。受給資格喪失の死亡に対する感度は100%,特異度は99.9%,陽性反応的中率は88.5%,陰性反応的中率は100%だった。陽性反応的中率を層別化すると,2012年以前は85~88%程度,2013年以降は91%前後,男性(91.9%)は女性(85.9%)よりも高く,年齢階級(65-69歳:80.6%,70-74歳:86.7%,75-79歳:86.4%,80-84歳:86.7%,85-89歳:88.0%,90-94歳:90.6%,95歳以上:93.4%)や要介護度(要支援1・2含む要支援:72.2%,要介護1:79.7%,要介護2:85.9%,要介護3:89.3%,要介護4:92.3%,要介護5:94.0%)とともに上昇した。結論 受給資格喪失を死亡の代理変数として用いると偽陽性が1割程度発生するため,受給資格喪失を死亡率そのものの推計に用いるのは適切ではない。しかし曝露因子間の交絡の影響や曝露因子の死亡への効果が過小評価される可能性があることに留意すれば,受給資格喪失を死亡の代理変数としてアウトカムに用いることは許容できると考えられた。
著者
小竹 理奈 羽成 恭子 岩上 将夫 大河内 二郎 植嶋 大晃 田宮 菜奈子
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.67, no.6, pp.390-398, 2020-06-15 (Released:2020-07-02)
参考文献数
27

目的 介護老人保健施設(以下,老健施設)での看取りの実施割合は増加傾向にあり,老健施設での質の高い看取りを提供することは重要である。しかし,日本で老健施設における遺族による看取りの質の評価と施設の体制との関連を調査した研究はない。そこで本研究では,老健施設における看取りの質の指標のひとつである遺族の満足度と施設体制との関連を明らかにすることを目的とした。方法 全国老人保健施設協会が2014年1に実施した調査の個票匿名データを,二次的に分析した。調査対象は,同会会員施設の各施設で計画的な看取りを行った直近3ケースの遺族であった。従属変数は,遺族における看取りの「満足度」(「直後は悔いのない看取りだったと思えましたか」という5段階の質問に対して,最良の「大いに思えた」およびそれ以外)とした。独立変数は,各施設での各種説明体制(入所~死亡までにおける説明の状況など),運営・教育等への取り組み状況とした。単変量解析および多変量ロジスティック回帰分析により,従属変数と独立変数との関連を検討した。結果 分析対象は363人の遺族であった。このうち250人(68.9%)が「満足度」では「大いに思えた」を選択していた。多変量ロジスティック回帰分析の結果,遺族の看取り「満足度」と有意に正の関連を示したのは,利用者への定期的な診察があること,(オッズ比2.94,95%信頼区間1.52-5.70),入所時に利用者に対し疾病状態の説明が医師・多職種協働でなされていること(2.07,1.01-4.25),病態悪化時に利用者および家族に対し状況説明が医師・多職種協働でなされていること(3.12,1.17-8.33),施設職員のストレスマネジメントに取り組んでいること(3.63,1.84-7.16)であった。結論 遺族の看取りの高い満足度に関連する要因として,利用者および家族への説明において医師以外の職種の関わりが多いことや,管理医師が施設職員へのストレスに配慮していることが示唆された。施設の運営でこれらの要素を重視することによって,老健施設での看取りの質が向上する可能性がある。
著者
BOLT Timothy 田宮 菜奈子
出版者
埼玉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

A Discrete Choice Experiment (DCE) among the public, older people and caregivers in Japan will be used to measure end-of-life care service feature and health outcome priorities. This includes the difficult trade-offs between direct health outcomes, Quality of Life (QoL) factors and other goals.
著者
安藤 裕一 植嶋 大晃 渡邊 多永子 田宮 菜奈子
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.67, no.5, pp.311-318, 2020-05-15 (Released:2020-06-02)
参考文献数
20

目的 日常的に運動を行うことは,生活習慣病の予防ならびに健康寿命を延伸するための一つの要素とされている。本研究は,高齢者の参加と安全配慮に主眼をおき全国に展開する「総合型地域スポーツクラブ」(総合型クラブ)の現状を分析し課題を考察することを目的とした。方法 スポーツ庁が2016年に実施した「総合型地域スポーツクラブ活動状況調査」を二次利用し,年代別会員数の記載のある2,444クラブを対象とした。総会員数に対するシニア会員数の割合(シニア会員割合)の4分位点を算出した上で,シニア会員割合が少ない群から順にA群,B群,C群,D群としこれを独立変数とした。また総合型クラブの所在地に基づき6地域に分類したものをもう一つの独立変数とした。従属変数は,総会員数,シニア会員数,シニア会員割合,1人当たりの月会費,クラブ収入総額,会員1人当たりの年予算,スポーツ・レクリエーション活動種目数,スポーツ指導者数,会員10人当たりのスポーツ指導者数,危機管理方策・事故防止対策(全13項目),法人格取得の有無とした。結果 シニア会員割合が高いD群は,会員数,1人当たりの会費,クラブ収入総額,会員1人当たりの年予算が低く,スポーツ指導者数ならびに,会員10人当たりのスポーツ指導者数が少なかった。またD群は危機管理方策・事故防止対策の6項目(健康証明書提出,賠償責任保険加入,安全講習会実施,熱中症対策,医師との連携,AED設置)の実施割合が最も低く,法人格の取得割合も最も低かった。地域間の比較では,シニア会員の割合は,中国四国が高く,中部が低いという地域差を認めたもののいずれの地域もその中央値は20%台であった。危機管理方策・事故防止対策の実施割合は,関東は10項目で最も高かったのに対し,近畿は8項目で最も低かった。結論 高齢の会員割合が高い総合型クラブは人的規模ならびに予算規模が小さく,危機管理方策・事故防止対策が遅れていること,またこれらの規模や安全対策に地域差がみられることが示された。「高齢者は疾病を抱える可能性が高いことを鑑みれば,高齢の会員割合が高い総合型クラブは安全配慮が重要であるにも関わらず取り組みが遅れている」という現状を,該当する総合型クラブならびに関係機関は理解した上で改善を進めることが必要である。
著者
田宮 菜奈子 森山 葉子 山岡 祐衣 本澤 巳代子 高橋 秀人 阿部 智一 泉田 信行 Moody Sandra Y. 宮田 澄子 鈴木 敦子 Mayers Thomas Sandoval Felipe 伊藤 智子 関根 龍一 Medeiros Kate de 金 雪瑩 柏木 聖代 大河内 二郎 川村 顕 植嶋 大晃 野口 晴子 永田 功 内田 雅俊 Gallagher Joshua 小竹 理奈 谷口 雄大
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-07-18

誰もが満足できる人生の幕引きができるシステム作りのための、介護医療における実証研究およびそれに基づく提言を目的とした。まず、内外のガイドライン等レビューを行い、次に、我が国における医療・介護における実態・分析として、①看取り医療の実態と予後の検証(医療の視点)を救急病院での実態やレセプト分析により、②老人保健施設における看取りの実態(介護の視点)を、介護老人保健施設における調査から実施した。実態把握から根拠を蓄積し、本人の納得のいく決定を家族を含めて支援し、その後は、適切な医療は追求しつつも生活の質を一義としたケアのあり方を議論し、工夫実行していくことが重要であると考える。
著者
佐藤 幹也 田宮 菜奈子 伊藤 智子 高橋 秀人 野口 晴子
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.66, no.6, pp.287-294, 2019-06-15 (Released:2019-06-21)
参考文献数
22

目的 全国の介護報酬明細個票(介護保険レセプト)から介護サービス利用額を利用時間に換算し,在宅要介護者のフォーマルケア時間を要介護度別に推計して在宅介護の公平性を検討した。方法 調査対象は2013年6月に介護保険在宅介護サービス(居宅系サービスと通所系サービスを合わせた狭義の在宅介護サービス,および短期入所サービスに細分化)を利用した全国の65歳以上の要介護者(要介護1-5)2,188,397人である。介護報酬の算定要件に基づいて介護保険サービスのサービス項目ごとにケア時間を設定し,利用者ごとに1か月間の利用実績を合算して得られたケア時間を30で除したものを1日当たりのフォーマルケア時間として,これを男女別に層化した上で要介護度別に集計した。結果 居宅系サービスと通所系介護サービスの狭義の在宅介護サービスおよび短期入所サービスを合算した1日当たりの総フォーマルケア時間は,要介護1で男性97.4分と女性112.7分,要介護2で118.3分と149.1分,要介護3で186.9分と246.4分,要介護4で215.2分と273.2分,要介護5で213.1分と261.4分であった。短期入所サービスのフォーマルケア時間は要介護度とともに増加したが,短期入所を除いた狭義の在宅介護サービスのフォーマルケア時間は要介護3で頭打ちとなり要介護4-5ではむしろ減少した。狭義の在宅サービスをさらに居宅系介護サービスと通所系介護サービスに細分化すると,前者は要介護度に応じて増加したが,後者は要介護3で頭打ちとなっていた。結論 在宅介護サービスの利用量を時間の観点から評価した本研究の結果からは,介護ニーズが増大する要介護4-5の在宅要介護者でむしろフォーマルケアの供給が減少しており,介護保険制度によるフォーマルケアは必ずしも介護ニーズに対して公平ではないことが分かった。在宅介護の公平性を保ちつつ介護保険制度の持続可能性を高めるためには,高要介護度者に対して時間的効率性の高い在宅介護サービスを推進するなどして高要介護度者のフォーマルケア時間を増加させるような施策を推進する必要があると考えられた。
著者
加藤 剛平 田宮 菜奈子 柏木 聖代 赤坂 清和
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.17-26, 2011-02-20

【目的】地域在住要介護者等の外出頻度に関連する環境因子を横断研究により検討する。【方法】通所リハビリテーション利用者(77名)を対象にした。多重ロジスティック回帰分析を用いて,外出頻度が低い状態に関連する利用者の基本属性および環境因子を探索した。一週間の外出頻度を従属変数とし,性別,年齢,疾病の種類,日常生活活動能力,利用施設,一週間の通所リハビリテーション利用日数,環境因子を独立変数とした。環境因子は,Home And Community Environment(HACE)日本語版を用いて評価した。【結果】地域の障害の多さを示すHACE日本語版の地域移動性得点が高いことは,一週間の外出頻度が通所リハビリテーションの利用を除くと「まったく外出しなかった(調整オッズ比[95%信頼区間]:8.84[1.80-67.02])」と独立に関連した。また,通所リハビリテーションを外出頻度に含めた二次的分析でも同様の結果が得られた。【結論】地域の物的障害が多いことは,地域在住要介護者等の低い外出頻度に関連する環境要因として重要である。
著者
田宮 菜奈子
巻号頁・発行日
2012

科学研究費助成事業(科学研究費補助金)研究成果報告書:基盤研究(B)2009-2011