著者
鈴木 静男 田中 康平 大沼 巧 玉置 慎吾 大庭 勝久 酒井 基至 竹口 昌之 白井 秀範 芳野 恭士
出版者
公益社団法人 日本工学教育協会
雑誌
工学教育 (ISSN:13412167)
巻号頁・発行日
vol.69, no.4, pp.4_80-4_85, 2021 (Released:2021-08-01)
参考文献数
11

In the experiments performed in the advanced course of the National Institute of Technology, Numazu College, data science education was conducted remotely by using asynchronous and synchronous interactive methods. The Tellus platform with satellite and terrestrial data was used to analyze data in a cloud environment. We adopted the development of data engineering, data analysis, and value creation skills as basic educational guidelines. From the answers to the questionnaire, we conclude that 1) the asynchronous interactive method made us aware of many benefits, 2) the synchronous interactive methods gave us some issues to be solved, and 3) the three guidelines were successfully achieved.
著者
廣澤 愛子 武澤 友広 織田 安沙美 鈴木 静香 小越 咲子
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.61-73, 2019 (Released:2021-06-20)
参考文献数
16

本研究では,9歳から11歳の知的障害のない自閉スペクトラム症の児童6名,支援者6名,参与観察者3名による療育活動の参与観察分析を通して,児童の社会性の発達と,それに伴う支援者の係わりを明らかにした。児童と支援者の相互作用を量的・質的に分析した結果,どの児童に対しても支援者は,活動前半には,共感的に児童の言動に耳を傾けたり,逆に自分の意見を伝えたりしながら関係作りを行い,さらに,児童同士が係われるよう仲介していた。そして活動後半には,誤りを指摘したり,児童の思いを明確化するなどして各児童の発達課題にアプローチし,さらに,児童ら自身で協働活動が行えるよう支援していた。一方,児童の社会性については,全児童において,活動終盤には自他境界を意識した言動もしくは他児との協働活動の増加が見られ,社会性に係わる言動の増加が見られた。但し,そのプロセスについては,「自己中心から他者理解へ」「集団の辺縁から集団の中心へ」「孤立から他者との関係性の芽生えへ」の3つに類型化され,個別性が見られた。今後は,このような社会性の発達と密接に係わる自他理解の発達過程が,自閉スペクトラム症の子どもと定型発達の子どもとの間でどのように異なるのかを明らかにすることが課題である。
著者
鈴木 静香 村田 雄二 杉本 彩 永井 智貴 正木 信也 田中 暢一
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.Cb0511, 2012

【はじめに、目的】 上腕骨近位部骨折や鎖骨骨折患者において、困難となる日常生活動作の一つとして結帯動作がある。しかし、結帯動作の制限因子について言及している文献は少なく、その因子も画一化されたものではない。そこで、結帯動作を再獲得するため、その制限因子を検討した。結帯動作を運動学的に捉えると、肩関節伸展・内旋・外転の複合運動である。また、解剖学的に捉えると、肩関節の筋・靭帯・関節包の影響を受けると考えられる。今回は制限因子として短期間で効果が得られる筋に着目し、制限因子を検討することとした。【方法】 対象は右上肢に整形外科疾患の既往のない健常者15名(男性11名・女性4名、年齢:22~37歳)とした。結帯動作の運動学的要素のうち肩関節伸展・内旋の可動域(以下ROM)に影響する筋として、烏口腕筋・棘下筋・小円筋を対象とした。各筋に2分間ストレッチを実施する群と筋に介入を加えず2分間安静臥位とする群の計4群(烏口腕筋群・棘下筋群・小円筋群・未実施群とする)にて、前後の結帯動作の変化について検討した。結帯動作は立位にて右上肢を体幹背面へと回し、第7頸椎棘突起-中指MP関節間の距離(以下C7-MP)を測定し、各筋の介入前後にて評価した。C7-MPの変化は、実施前の距離を100%とし変化率として表した。被験者15名には各筋に対する介入効果が影響しないよう、各群間で介入後1週間以上の期間を設けて実施した。次に、C7-MPの変化に及ぼす因子の検討として、肩関節でのLift off・第2内旋・伸展の3項目(以下関連項目)を測定した。Lift offの測定は、腹臥位にて右上肢を体幹背面へと回し、尺骨茎状突起をヤコビー線に合わせ、肩関節内旋により尺骨茎状突起がヤコビー線から離れた距離とした。統計処理は、C7-MPの変化率について4群間での比較を一元配置分散分析にて行い、多重比較はTukey法を用いた。次に、有意差を認めた2群間について関連項目での比較にはt検定を用いた。有意水準はそれぞれ5%未満とした。【倫理的配慮、説明と同意】 全ての被験者に対して事前に研究参加への趣旨を十分に説明し、同意を得た。【結果】 C7-MPの変化率については烏口腕筋群と未実施群間(P=0.006)、棘下筋群と未実施群間(P=0.009)で有意差を認めた。有意差を認めた各群間での関連項目の検討では、烏口腕筋群と未実施群間で第2内旋ROMに有意差を認め(P=0.009)、棘下筋群と未実施群間で伸展ROMに有意差を認めた(P=0.019)。【考察】 烏口腕筋と棘下筋が、介入前後でのC7-MPの変化率に未実施群と有意差を認めたことより、これらの筋が結帯動作の制限因子となっていることが示唆された。また、烏口腕筋への介入により第2内旋ROMの改善を認め、棘下筋への介入により伸展ROMの改善を認めており、運動学的にこれらが結帯動作改善の因子と考えられる。烏口腕筋・小円筋は起始・停止より、第2内旋ROMの制限因子と考えられる。結果では、烏口腕筋のみに結帯動作の改善を認め、第2内旋ROMの改善に関与していた。烏口腕筋は、肩関節前面に位置しており、小円筋は後面に位置している。結帯動作では肩前面に伸張が生じることから、烏口腕筋の介入の影響が大きかったと考える。棘下筋は伸展・内旋で伸張されるという報告があり、伸展ROMの制限因子と考えられ、烏口腕筋も起始・停止より伸展ROMの制限因子と考えられる。結果では、棘下筋のみに結帯動作の改善を認め、伸展ROMの改善に関与していた。これらの筋は、伸展・内旋ROMに関与しており結帯動作の制限因子となると考えられる。烏口腕筋に有意差を認めなかった原因として、今回筋のみに着目しているが前関節包や靱帯の影響が大きく、伸展ROMの改善を認めなかったと考える。今後は、関節包や靭帯等も視野に入れた検討が必要である。今回、烏口腕筋・棘下筋・小円筋を対象に検討したが、小円筋は未実施群と有意差を認めなかった。有意差を認めなかった原因は、有意差を認めた烏口腕筋や棘下筋は肩関節中間位において肩関節伸展すると伸張される。しかし、小円筋は肩関節中間位では肩関節伸展時、伸張位とはならない。これより、小円筋への介入が結帯動作に影響を及ぼさなかったと考える。また、結帯動作では伸展運動が生じた後、内旋運動が生じる。以上を踏まえると、結帯動作の改善には伸展ROM改善の影響が大きく、棘下筋への介入により伸展ROM改善を認めたことから、棘下筋への介入が最も効果があるのではないかと考える。【理学療法学研究としての意義】 烏口腕筋・棘下筋が結帯動作の制限因子と示唆されたことにより、これらに介入する事で早期に結帯動作の再獲得となり、日常生活・QOLの改善につながると考える。
著者
鈴木 静香 村田 雄二 杉本 彩 永井 智貴 正木 信也 田中 暢一
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.39 Suppl. No.2 (第47回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.Cb0511, 2012 (Released:2012-08-10)

【はじめに、目的】 上腕骨近位部骨折や鎖骨骨折患者において、困難となる日常生活動作の一つとして結帯動作がある。しかし、結帯動作の制限因子について言及している文献は少なく、その因子も画一化されたものではない。そこで、結帯動作を再獲得するため、その制限因子を検討した。結帯動作を運動学的に捉えると、肩関節伸展・内旋・外転の複合運動である。また、解剖学的に捉えると、肩関節の筋・靭帯・関節包の影響を受けると考えられる。今回は制限因子として短期間で効果が得られる筋に着目し、制限因子を検討することとした。【方法】 対象は右上肢に整形外科疾患の既往のない健常者15名(男性11名・女性4名、年齢:22~37歳)とした。結帯動作の運動学的要素のうち肩関節伸展・内旋の可動域(以下ROM)に影響する筋として、烏口腕筋・棘下筋・小円筋を対象とした。各筋に2分間ストレッチを実施する群と筋に介入を加えず2分間安静臥位とする群の計4群(烏口腕筋群・棘下筋群・小円筋群・未実施群とする)にて、前後の結帯動作の変化について検討した。結帯動作は立位にて右上肢を体幹背面へと回し、第7頸椎棘突起-中指MP関節間の距離(以下C7-MP)を測定し、各筋の介入前後にて評価した。C7-MPの変化は、実施前の距離を100%とし変化率として表した。被験者15名には各筋に対する介入効果が影響しないよう、各群間で介入後1週間以上の期間を設けて実施した。次に、C7-MPの変化に及ぼす因子の検討として、肩関節でのLift off・第2内旋・伸展の3項目(以下関連項目)を測定した。Lift offの測定は、腹臥位にて右上肢を体幹背面へと回し、尺骨茎状突起をヤコビー線に合わせ、肩関節内旋により尺骨茎状突起がヤコビー線から離れた距離とした。統計処理は、C7-MPの変化率について4群間での比較を一元配置分散分析にて行い、多重比較はTukey法を用いた。次に、有意差を認めた2群間について関連項目での比較にはt検定を用いた。有意水準はそれぞれ5%未満とした。【倫理的配慮、説明と同意】 全ての被験者に対して事前に研究参加への趣旨を十分に説明し、同意を得た。【結果】 C7-MPの変化率については烏口腕筋群と未実施群間(P=0.006)、棘下筋群と未実施群間(P=0.009)で有意差を認めた。有意差を認めた各群間での関連項目の検討では、烏口腕筋群と未実施群間で第2内旋ROMに有意差を認め(P=0.009)、棘下筋群と未実施群間で伸展ROMに有意差を認めた(P=0.019)。【考察】 烏口腕筋と棘下筋が、介入前後でのC7-MPの変化率に未実施群と有意差を認めたことより、これらの筋が結帯動作の制限因子となっていることが示唆された。また、烏口腕筋への介入により第2内旋ROMの改善を認め、棘下筋への介入により伸展ROMの改善を認めており、運動学的にこれらが結帯動作改善の因子と考えられる。烏口腕筋・小円筋は起始・停止より、第2内旋ROMの制限因子と考えられる。結果では、烏口腕筋のみに結帯動作の改善を認め、第2内旋ROMの改善に関与していた。烏口腕筋は、肩関節前面に位置しており、小円筋は後面に位置している。結帯動作では肩前面に伸張が生じることから、烏口腕筋の介入の影響が大きかったと考える。棘下筋は伸展・内旋で伸張されるという報告があり、伸展ROMの制限因子と考えられ、烏口腕筋も起始・停止より伸展ROMの制限因子と考えられる。結果では、棘下筋のみに結帯動作の改善を認め、伸展ROMの改善に関与していた。これらの筋は、伸展・内旋ROMに関与しており結帯動作の制限因子となると考えられる。烏口腕筋に有意差を認めなかった原因として、今回筋のみに着目しているが前関節包や靱帯の影響が大きく、伸展ROMの改善を認めなかったと考える。今後は、関節包や靭帯等も視野に入れた検討が必要である。今回、烏口腕筋・棘下筋・小円筋を対象に検討したが、小円筋は未実施群と有意差を認めなかった。有意差を認めなかった原因は、有意差を認めた烏口腕筋や棘下筋は肩関節中間位において肩関節伸展すると伸張される。しかし、小円筋は肩関節中間位では肩関節伸展時、伸張位とはならない。これより、小円筋への介入が結帯動作に影響を及ぼさなかったと考える。また、結帯動作では伸展運動が生じた後、内旋運動が生じる。以上を踏まえると、結帯動作の改善には伸展ROM改善の影響が大きく、棘下筋への介入により伸展ROM改善を認めたことから、棘下筋への介入が最も効果があるのではないかと考える。【理学療法学研究としての意義】 烏口腕筋・棘下筋が結帯動作の制限因子と示唆されたことにより、これらに介入する事で早期に結帯動作の再獲得となり、日常生活・QOLの改善につながると考える。
著者
鈴木 静 高橋 弘子 村山 正子
出版者
日本母性衛生学会
雑誌
母性衛生 = Japanese Lournal of Maternal Health (ISSN:03881512)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, pp.625-632, 2006-01-01
参考文献数
7
被引用文献数
6

助産所におけるフリースタイル分娩の体験を記述することで, 分娩の達成感にいたる経緯を明らかにし, 助産の実践の場で活用し得る知識とすることを目的とした。産褥2〜6日の褥婦16名にインタビューを実施した。インタビュー実施期間は平成12年5〜8月で, インタビュー逐語録を元にして質的に分析した。分娩の達成感の構造は4個の大力テゴリーから形成された。すべてのカテゴリーの基礎となるのは【安心したお産】で, その上位に【楽しいお産】と【家族の出発としてのお産】がある。これらのカテゴリーが関係した結果, 分娩の達成感は【ゆるぎない自信】となった。1.【安心したお産】: 《助産師のケアへの安心感》《安心して産める環境》の2個の中カテゴリーよりなる。2.【楽しいお産】: 《自分の力を発揮する充実感》《お産のプロセスを楽しむ》の2個の中カテゴリーよりなる。3.【家族の出発としてのお産】: 《育児性が育つ》《家族の絆の強化》の2個の中カテゴリーよりなる。4.【ゆるぎない自信】: 《価値ある自分の発見》の1個の中カテゴリーよりなる。
著者
牧 充子 岡部 芳江 鈴木 静子
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.22, no.5, pp.239-243, 1975

白ソースは冷凍による品質劣化が著しい,その冷凍による影響については,粘度,チクソトロピー,離水量,官能検査などにより差異を検討した。<BR>(1) 白ソースの-25℃~-28℃で1週間の冷凍により,上記の各項について品質の著しい劣化が認められた。<BR>(2) レシチン,カラゲーナン,混合添加物(レシチン,アルギン酸ナトリウム,カラゲーナン各等量混合)などの0.1%添加した場合,冷凍白ソースの品質劣化防止には効果が認められないが,アルギン酸ナトリウムでは多少の効果が認められた。
著者
鈴木 静香 田中 暢一 村田 雄二 永井 智貴 高 重治 正木 信也
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.40 Suppl. No.2 (第48回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.48102087, 2013 (Released:2013-06-20)

【はじめに、目的】 我々は、第47回日本理学療法学術大会において、結帯動作の制限と考えられる筋に対してストレッチを施行し、結帯動作の即時効果の変化を捉えた。そして、結帯動作の制限因子は、烏口腕筋、棘下筋であることを報告した。その後、「烏口腕筋・棘下筋は介入回数が増えることでより効果が増大し結帯動作は改善するのではないか?」また、「小円筋は介入回数が増えることで効果が出現し結帯動作は改善するのではないか?」という疑問が出てきた。そこで今回は、前回介入した筋に対して、介入する回数を増やし結帯動作の変化を捉えることを目的に研究を行なった。【方法】 対象は左上肢に整形外科疾患の既往のない健常者10名(男性7名、女性3名、年齢22~36歳)とした。結帯動作の制限因子と考えられる烏口腕筋、棘下筋、小円筋を対象とし、これらの筋に対してストレッチを週2回を2週間、計4回実施した。結帯動作の評価方法は、前回同様、立位にて左上肢を体幹背面へと回し、第7頸椎棘突起から中指MP関節間の距離(以下C7-MP)を介入前後で測定し比較を行った。各筋に2分間ストレッチを実施する群(烏口腕筋群、棘下筋群、小円筋群)とストレッチを加えず2分間安静臥位とする群(未実施群)の計4群に分類し、複数回の介入による結帯動作の経時的変化を検討した。よって、1回目介入前の値を基準値とし、C7-MPの変化は、基準値に対し各介入後にどれだけ変化したかを変化率として統計処理を行った。また、それぞれの筋に対する介入効果が影響しないよう対象者には1週間以上の間隔を設けた。統計処理では、各群について、複数回の介入による結帯動作の変化を検討するために対応のある一元配置分散分析を用い、多重比較にはTukey法を用いた。【倫理的配慮、説明と同意】 全ての被験者に対して事前に研究参加への趣旨を十分に説明し、同意を得た。【結果】 棘下筋群の変化率の平均は、1回目10.8%、2回目11.4%、3回目15.7%、4回目19.5%であった。一元配置分散分析の結果、棘下筋群のみに有意差を認めた(p=0.0003)。しかし、多重比較では各回数間の有意差は認めなかった。また、烏口腕筋群や小円筋群や未実施群は、有意差は認めなかった。【考察】 結果では棘下筋群のみに有意差を認め、前回の介入でも棘下筋に効果を認めた。高濱らは、結帯動作の制限因子は棘下筋であると述べている。以上より、棘下筋に介入することで結帯動作を改善することができるとわかった。しかし、多重比較において、有意差を認めなかったため、どの回数間で効果が得られているのかを追究することができず介入回数についての考察に至ることができなかった。その原因としては、症例数が少ないことが考えられる。今後は症例数を増やし、複数回の介入による結帯動作の変化について取り組み、介入回数についても考察したいと考える。烏口腕筋では、前回、介入において即時効果を認めていたが、複数回の介入による結帯動作の変化は認めなかった。烏口腕筋は肩の屈筋であり、上腕骨の内面に付いているために伸展および内旋で緊張するという報告もあり、結帯動作における制限因子の可能性は高いと考えられる。しかし、今回有意差を認めなかった原因は、症例数が少ないことや、他にストレッチの強さや場所など方法になんらかの問題があったとも考えられる。今後、方法を確立した上で、症例数を増やし、複数回の介入による結帯動作の変化について取り組んでいきたいと考える。小円筋では、小円筋は介入回数が増えることで効果は出現し結帯動作は改善するのではないかと考えていた。しかし、即時効果・複数回の介入による効果はともに結帯動作の変化に有意差を認めなかった。高濱らは、結帯動作は肩の外転・伸展・内旋の複合運動であり、小円筋は内転位であるために下垂位では緩んでいると述べている。以上より、即時効果・複数回の介入による効果はともに結帯動作の変化に有意差を認めず、結帯動作における改善には小円筋は関係がないと考える。【理学療法学研究としての意義】 今回の結果より棘下筋に複数回介入することで、結帯動作の変化率はより増大することがわかった。臨床において結帯動作が困難な症例に対しての介入の一つとして有効である可能性がある。具体的な介入回数について追究できなかったため、今後の課題として取り組んでいきたい。
著者
鈴木 静香 田中 暢一 村田 雄二 永井 智貴 高 重治 正木 信也
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2012, pp.48102087-48102087, 2013

【はじめに、目的】 我々は、第47回日本理学療法学術大会において、結帯動作の制限と考えられる筋に対してストレッチを施行し、結帯動作の即時効果の変化を捉えた。そして、結帯動作の制限因子は、烏口腕筋、棘下筋であることを報告した。その後、「烏口腕筋・棘下筋は介入回数が増えることでより効果が増大し結帯動作は改善するのではないか?」また、「小円筋は介入回数が増えることで効果が出現し結帯動作は改善するのではないか?」という疑問が出てきた。そこで今回は、前回介入した筋に対して、介入する回数を増やし結帯動作の変化を捉えることを目的に研究を行なった。【方法】 対象は左上肢に整形外科疾患の既往のない健常者10名(男性7名、女性3名、年齢22~36歳)とした。結帯動作の制限因子と考えられる烏口腕筋、棘下筋、小円筋を対象とし、これらの筋に対してストレッチを週2回を2週間、計4回実施した。結帯動作の評価方法は、前回同様、立位にて左上肢を体幹背面へと回し、第7頸椎棘突起から中指MP関節間の距離(以下C7-MP)を介入前後で測定し比較を行った。各筋に2分間ストレッチを実施する群(烏口腕筋群、棘下筋群、小円筋群)とストレッチを加えず2分間安静臥位とする群(未実施群)の計4群に分類し、複数回の介入による結帯動作の経時的変化を検討した。よって、1回目介入前の値を基準値とし、C7-MPの変化は、基準値に対し各介入後にどれだけ変化したかを変化率として統計処理を行った。また、それぞれの筋に対する介入効果が影響しないよう対象者には1週間以上の間隔を設けた。統計処理では、各群について、複数回の介入による結帯動作の変化を検討するために対応のある一元配置分散分析を用い、多重比較にはTukey法を用いた。【倫理的配慮、説明と同意】 全ての被験者に対して事前に研究参加への趣旨を十分に説明し、同意を得た。【結果】 棘下筋群の変化率の平均は、1回目10.8%、2回目11.4%、3回目15.7%、4回目19.5%であった。一元配置分散分析の結果、棘下筋群のみに有意差を認めた(p=0.0003)。しかし、多重比較では各回数間の有意差は認めなかった。また、烏口腕筋群や小円筋群や未実施群は、有意差は認めなかった。【考察】 結果では棘下筋群のみに有意差を認め、前回の介入でも棘下筋に効果を認めた。高濱らは、結帯動作の制限因子は棘下筋であると述べている。以上より、棘下筋に介入することで結帯動作を改善することができるとわかった。しかし、多重比較において、有意差を認めなかったため、どの回数間で効果が得られているのかを追究することができず介入回数についての考察に至ることができなかった。その原因としては、症例数が少ないことが考えられる。今後は症例数を増やし、複数回の介入による結帯動作の変化について取り組み、介入回数についても考察したいと考える。烏口腕筋では、前回、介入において即時効果を認めていたが、複数回の介入による結帯動作の変化は認めなかった。烏口腕筋は肩の屈筋であり、上腕骨の内面に付いているために伸展および内旋で緊張するという報告もあり、結帯動作における制限因子の可能性は高いと考えられる。しかし、今回有意差を認めなかった原因は、症例数が少ないことや、他にストレッチの強さや場所など方法になんらかの問題があったとも考えられる。今後、方法を確立した上で、症例数を増やし、複数回の介入による結帯動作の変化について取り組んでいきたいと考える。小円筋では、小円筋は介入回数が増えることで効果は出現し結帯動作は改善するのではないかと考えていた。しかし、即時効果・複数回の介入による効果はともに結帯動作の変化に有意差を認めなかった。高濱らは、結帯動作は肩の外転・伸展・内旋の複合運動であり、小円筋は内転位であるために下垂位では緩んでいると述べている。以上より、即時効果・複数回の介入による効果はともに結帯動作の変化に有意差を認めず、結帯動作における改善には小円筋は関係がないと考える。【理学療法学研究としての意義】 今回の結果より棘下筋に複数回介入することで、結帯動作の変化率はより増大することがわかった。臨床において結帯動作が困難な症例に対しての介入の一つとして有効である可能性がある。具体的な介入回数について追究できなかったため、今後の課題として取り組んでいきたい。
著者
北山 兼弘 清野 達之 里村 多香美 相場 慎一郎 長谷川 元洋 鈴木 静男
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2001

この研究の目的は、樹木多様性がどのように熱帯降雨林生態系の機能を支配しているのかを明らかにすることであり、地域レベルの種多様性が極端に異なるハワイ諸島とマレーシアの比較を行った。4年間に渡り、2地域に設けた土壌発達傾度に沿った複数の森林試験地において毎木調査を行い、木部の肥大成長量を算出した。また、全試験地に設置されたリタートラップからリター回収を2週間から1ヶ月毎に行い、回収したリターの器官別仕分け及び乾重測定を行い、リターの生産速度を明らかにした。ハワイ諸島については過去2年の、マレーシアについては過去4年のリター生産量が明らかになった。肥大成長量にリター生産量を加味して、森林の地上部純一次生産量を算定した。土壌栄養の減少に植物や従属生物がどのように適応しているのかを明らかにするため、特に共生菌根菌に焦点を絞り、マレーシアの代表的なサイトに於ける菌根バイオマスと菌体バイオマスの定量化を行った。各サイトから土壌を採取し、細根、菌根、土壌の3つに仕分けし、エルゴステロールを生化学マーカーとして菌体量の定量分析を行った。また、土壌微生物群集の群集解析を生化学的PLFA法を用いて行った。また、貧栄養に対する樹木の適応を組織解剖学的に明らかにするために、材の通導組織観察と葉の水ポテンシャル測定を行った。以上の結果、地域の種多様性が高いと、土壌栄養塩の減少に対して、組織的、生態生理的により栄養塩利用効率の高い(適応的)種への入れ替わりが起こり、熱帯降雨林の機能は維持されるとの新たな知見が得られた。一方、地域の種多様性が低いと、種の入れ替わりが起こらず、土壌栄養塩量を反映して森林の機能は大きく変化した。この結果により当初の作業仮説は指示された。