著者
武田 昌一 長谷川 優 津久井 勤 桐生 昭吾
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CQ, コミュニケーションクオリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.404, pp.141-146, 2015-01-15

競技かるた選手の間で「熟達した競技かるた選手は決まり字の前に来る音素の微妙な違いによって,次に何の字が来るか予測できる」と言われている.このことを,聴取実験と音響分析を組み合わせて,選手が出札を認識する時刻を精密に計測する手法を考案し用いることにより実証した.また,この認識結果を用いて,決まり字直前で出札を認識した音素部の音響的特徴を「た」で始まる首を例として,サウンドスペクトログラムとフォルマント周波数の分析により調べた.その結果,後続音素(子音や続く母音)のフォルマント周波数の特徴に従って,第2フォルマント周波数の時間に対する上昇,下降,不変,高域周波数の増大などの特徴の違いが見られることがわかった.
著者
藤原 充 長谷川 優子 鈴木 啓介 内山 恵典
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.39 Suppl. No.2 (第47回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.Eb1268, 2012 (Released:2012-08-10)

【はじめに、目的】 院内における入院患者の転倒事故は、排泄への移動を契機に発生することが多いと報告されている。しかし、一般的に理学療法士が、患者に対して行う転倒リスク評価は、いわゆる“尿意がない”状態での運動機能評価に留まっている。先行研究では強い尿意は認知機能を低下させるとの報告もあることから、より現実に近い状況での転倒リスク評価を行うためには、“尿意がある”状態での運動、注意機能評価が必要なのではないかと考えた。本研究では健常成人男性を対象に、“尿意がない”状態と“尿意がある”状態での運動機能、注意機能を評価し、その違いの有無を明らかにすることを目的とする。【方法】 健常成人男性7人(平均年齢27歳)を対象に、尿意を感じない時点“尿意なし”と、強い尿意を感じる時点“尿意あり”における、運動機能と注意機能の違いについて検討した。評価項目としては、尿意に関するものとして、NRSとVASの評価、膀胱容量の測定を行った。運動機能については、10m歩行速度と歩数、左右の最大一歩幅、左右の握力を測定した。また、注意に関する課題としてTMTを施行した。プロトコールは、排尿後に尿意を感じない時点でのNRSとVASを評価し、TMT、10m歩行速度と歩数、最大一歩幅、握力を順次評価した。1Lの飲水後、尿意がNRS“8”となった時点で再度、同一評価を行った。なお、10m歩行テスト、左右の最大一歩幅、左右の握力は各々3回ずつ測定して平均値を算出した。尿意のNRS、VASは“0”を「尿意なし」とし、“10”を「最大に我慢した状態」とした。また、膀胱容量はブラッダースキャンを用いて評価した。評価結果について、尿意ありと尿意なしをSPSSver.19を用いて統計学的に検討した。統計学的手法は、対応のあるt検定を用い、有意水準は危険率5%未満とした。【倫理的配慮、説明と同意】 本研究の実施の先立ち、被験者に対して研究の意義、目的について十分説明し、口頭および文書による同意を得た。【結果】 最大一歩幅は“尿意なし・右”平均120.1±6.1cm、“尿意なし・左”117.8±7.9cm、“尿意あり・右”109.7±9.3cm、“尿意あり・左”108.9±9.6cmとなり、“尿意あり”で有意に低下した(p<0.05)。その他、TMT、10m歩行速度と歩数、握力については有意差を認めなかった。なお、“尿意あり”の状態でのVAS平均は、8.11±0.81cm、膀胱容量は平均367±100.2mlであり、自覚的、他覚的にも尿意を確認できた。【考察】 “尿意なし”と“尿意あり”の時点における運動機能、注意機能の比較では、“尿意あり”の状態で、最大一歩幅のみが有意に低下した。このことから、日常臨床で行っている転倒リスク評価の結果は患者能力の一側面であり、“尿意あり”の状態での評価では違う結果が生じることが示された。一般に最大膀胱容量は成人300~500mlで、尿意は膀胱容量が150~200mlで感じるとされている。しかし、通常排尿は前頭葉からの橋排尿中枢の抑制、自律神経による蓄尿反射と体性神経による外尿道括約筋収縮により抑制されている。尿意がNRS“8”の時点では、膀胱内圧が急激に上昇した状態と言えるため、随意的に外尿道括約筋の収縮を強め、腹圧を高められない状態での運動を強いられることになったと推測される。これにより体幹が安定せず、運動機能が低下したと考えた。今後の課題は、転倒リスク評価における適切な評価項目の選定と“尿意なし”と“尿意あり”で生じた違いに対する原因追究のための指標を用意することである。【理学療法学研究としての意義】 “尿意なし”と“尿意あり”の状態での運動機能、注意機能の違いを捉えることで、転倒リスクを評価する上での視点が増える。また、今回のように“尿意あり”の状態で、パフォーマンス低下が認められた場合、トイレ誘導に関して、失敗や転倒のない適切なタイミングを示すことができる。これらを通し、排泄を契機に発生している転倒事故を減らすことができるものと考えられる。
著者
藤原 充 長谷川 優子 鈴木 啓介 内山 恵典
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.Eb1268, 2012

【はじめに、目的】 院内における入院患者の転倒事故は、排泄への移動を契機に発生することが多いと報告されている。しかし、一般的に理学療法士が、患者に対して行う転倒リスク評価は、いわゆる"尿意がない"状態での運動機能評価に留まっている。先行研究では強い尿意は認知機能を低下させるとの報告もあることから、より現実に近い状況での転倒リスク評価を行うためには、"尿意がある"状態での運動、注意機能評価が必要なのではないかと考えた。本研究では健常成人男性を対象に、"尿意がない"状態と"尿意がある"状態での運動機能、注意機能を評価し、その違いの有無を明らかにすることを目的とする。【方法】 健常成人男性7人(平均年齢27歳)を対象に、尿意を感じない時点"尿意なし"と、強い尿意を感じる時点"尿意あり"における、運動機能と注意機能の違いについて検討した。評価項目としては、尿意に関するものとして、NRSとVASの評価、膀胱容量の測定を行った。運動機能については、10m歩行速度と歩数、左右の最大一歩幅、左右の握力を測定した。また、注意に関する課題としてTMTを施行した。プロトコールは、排尿後に尿意を感じない時点でのNRSとVASを評価し、TMT、10m歩行速度と歩数、最大一歩幅、握力を順次評価した。1Lの飲水後、尿意がNRS"8"となった時点で再度、同一評価を行った。なお、10m歩行テスト、左右の最大一歩幅、左右の握力は各々3回ずつ測定して平均値を算出した。尿意のNRS、VASは"0"を「尿意なし」とし、"10"を「最大に我慢した状態」とした。また、膀胱容量はブラッダースキャンを用いて評価した。評価結果について、尿意ありと尿意なしをSPSSver.19を用いて統計学的に検討した。統計学的手法は、対応のあるt検定を用い、有意水準は危険率5%未満とした。【倫理的配慮、説明と同意】 本研究の実施の先立ち、被験者に対して研究の意義、目的について十分説明し、口頭および文書による同意を得た。【結果】 最大一歩幅は"尿意なし・右"平均120.1±6.1cm、"尿意なし・左"117.8±7.9cm、"尿意あり・右"109.7±9.3cm、"尿意あり・左"108.9±9.6cmとなり、"尿意あり"で有意に低下した(p<0.05)。その他、TMT、10m歩行速度と歩数、握力については有意差を認めなかった。なお、"尿意あり"の状態でのVAS平均は、8.11±0.81cm、膀胱容量は平均367±100.2mlであり、自覚的、他覚的にも尿意を確認できた。【考察】 "尿意なし"と"尿意あり"の時点における運動機能、注意機能の比較では、"尿意あり"の状態で、最大一歩幅のみが有意に低下した。このことから、日常臨床で行っている転倒リスク評価の結果は患者能力の一側面であり、"尿意あり"の状態での評価では違う結果が生じることが示された。一般に最大膀胱容量は成人300~500mlで、尿意は膀胱容量が150~200mlで感じるとされている。しかし、通常排尿は前頭葉からの橋排尿中枢の抑制、自律神経による蓄尿反射と体性神経による外尿道括約筋収縮により抑制されている。尿意がNRS"8"の時点では、膀胱内圧が急激に上昇した状態と言えるため、随意的に外尿道括約筋の収縮を強め、腹圧を高められない状態での運動を強いられることになったと推測される。これにより体幹が安定せず、運動機能が低下したと考えた。今後の課題は、転倒リスク評価における適切な評価項目の選定と"尿意なし"と"尿意あり"で生じた違いに対する原因追究のための指標を用意することである。【理学療法学研究としての意義】 "尿意なし"と"尿意あり"の状態での運動機能、注意機能の違いを捉えることで、転倒リスクを評価する上での視点が増える。また、今回のように"尿意あり"の状態で、パフォーマンス低下が認められた場合、トイレ誘導に関して、失敗や転倒のない適切なタイミングを示すことができる。これらを通し、排泄を契機に発生している転倒事故を減らすことができるものと考えられる。
著者
竹内 外夫 高橋 邦郎 長谷川 優 鈴木 輝雄
出版者
日本武道学会
雑誌
武道学研究 (ISSN:02879700)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.11-18, 1975-09-30 (Released:2012-11-27)
参考文献数
9

The purpose of this study was to investigate the relationship between victory or defeat of the Judo contest (3,299 match, team game of university students were held from May,1970 to June,1974) and grade (Dan), height, weight and Rohrer's index. On the same time, the authors analyzed the details of the contest too.The results may be summarized as follows:1. The contests decided victory or defeat showed 63%, the residual game 37%ended in a draw. The percentage of a drawn game was ascending with increasing the tournament scale.2. The decided performance elicited the greatest percentage in UCHIMATA, followed in order by OSOTO-GARI, SEOI-NAGE, HARAI-GOSHI, KAMISHIHO-GATAME and YOKOSHIHOGATAME.3. According the difference increasing of grade, height, weight and Rohrer's index, the standings by win percentage of dominant Judoists was ascending, the drawn game decreased further.4. It is satisfactory to the weight difference set up about 10 kg from the above mentioned results.
著者
出口 佳一 長谷川 優 山下 裕生 吉田 英樹 大柴 小枝子 山口 政光
出版者
一般社団法人 照明学会
雑誌
照明学会誌 (ISSN:00192341)
巻号頁・発行日
vol.105, no.1, pp.38-44, 2021-05-01 (Released:2021-05-18)
参考文献数
22

Many studies on the effects of LED on living organisms have been performed recently thanks to the ease and precision with which the power and wavelength of the LED can be regulated. To investigate the effects of LED irradiation on Drosophila activity, we monitored the locomotive activity of Drosophila for six days continuously. The data showed that wild-type flies behave similarly under fluorescent light, incandescent bulb, and white LED irradiation, which is equivalent to the intensity of an incandescent bulb. We next investigated the effects of red, blue, and yellow-green LED irradiation under same intensity as white LED on the locomotive activity of a wild-type fly and a Drosophila model of autism spectrum disorder (ASD). The results showed that the amount of locomotive activity in the wild-type flies with red LED irradiation was significantly increased throughout the day (excluding morning peaks) while that with blue LED irradiation was decreased in evening peaks and at nighttime. Yellow-green LED irradiation increased the locomotive activity during the midday siesta but decreased the activity of the morning and evening peaks.It is known that the rugose (rg) mutant, the Drosophila homolog of human Neurobeachin, shows locomotive hyperactivity. In our study, the red LED irradiation did not affect the locomotive activity of the rg mutant at all. Taken together with the effects of red LED irradiation to the wild-type, it seems that red LED irradiation enhances the neural circuit to positively regulate the locomotive activity, and rg functions in the neuronal cells by negatively regulating the neural circuit enhanced by red LED irradiation. Thus, the neuronal cells expressing the rg gene appear to play an important role for the regulation of activity during the midday siesta and while sleeping at night. In contrast, irradiation with yellow-green and blue LED to the rg mutant had similar effects to those of the wild-type. This demonstrates that irradiation with yellow-green and blue LED negatively regulates the locomotive activity through the neural circuit not related to rg, or downstream of the neural circuit actively regulated by red LED irradiation.
著者
吉村 綾華 平井 祥之 長谷川 優 武田 昌一
出版者
Japan Society of Kansei Engineering
雑誌
日本感性工学会論文誌 (ISSN:18845258)
巻号頁・発行日
vol.13, no.5, pp.571-578, 2014 (Released:2014-12-26)
参考文献数
15

This study is designed to obtain primary knowledge relevant to impressions on figures, and clarify the effects of color, shape, and location on the impressions on figures by psychology experimentation. A measurement is conducted using the combinations of 3 types of shape, 4 types of color, and 5 types of location. The experimental results show that the most dominant factor that affects the visual impression is the location of a figure, and suggest that the central location is considered well-balanced and favorable. Then, the color is the second most influential factor in the visual impression, and “yellow” yields impressions of gaiety and cuteness, however, “blue” to the contrary yields impressions of gloom and no cuteness. Additionally, the results suggest that the shape is the least influential factor in the visual impression and almost neither types of shape used in this experiment are nice-looking nor cute and have any specific features.
著者
村松 常司 高橋 邦郎 竹内 外夫 長谷川 優
出版者
日本武道学会
雑誌
武道学研究 (ISSN:02879700)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.59-68, 1986-07-31 (Released:2012-11-27)
参考文献数
19

A quentionnaire survey was conducted to clear the smoking habits among male university athletes. 425 male students aged 18-23 responded to the questions of their smoking habits, daily dietary life and sleeping anonymously. The differences of smoking habits among athletes are analyzed in this report.The results are as follows;.1) Among the male university athletes,45.2% have smoking habits..2) The percentages of the smokers among Kendoists, Ruggers and Gymnasts are high (82.7%,73.4%,61.9%, respectively), and those among Soccer players, Judoists and Swimmers are low (8.1%,11.5%,18.2%, respectively)..3) There is a remarkable difference of daily diet and sleep between the smokers and the nonsmokers. The Nonsmokers have more desirable diet and enough sleep, and also, there is a remarkable difference between events of athlete..4) Volleyballers, Track and Field athletes and Swimmers obtain higher scores of Dietary Index more than players of other events.
著者
竹内 外夫 長谷川 優
出版者
中京大学
雑誌
中京体育学研究 (ISSN:02870088)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.51-55, 1979-02-01

昭和45年5月から昭和49年6月までにおこなわれた学生団体試合 (判定の基準は技有以上) 467試合をもとにオーダー別に, 勝敗の内容, 段, 身長, 体重, ローレル指数と勝敗との関係について検討した結果を要約すると以下のようである。1 団体戦において, 勝敗の決する割合は中堅が最も多く, 次いで副将, 大将である。2 一本勝ちの内容は, 足技, 抑込技, 手技の順で勝敗の決する割合が多いが, 先鋒においては, 手技で勝敗の決する割合が多い傾向である。3 段・身長・体重・ローレル指数の先鋒から大将までの勝者, 敗者, 引分者の平均は, 段では先鋒から大将までほぼ同等であり, 身長, 体重, ローレル指数では, 先鋒から大将に行くにしたがって大きくなる傾向である。
著者
武田 昌一 長谷川 優 津久井 勤 桐生 昭吾
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CQ, コミュニケーションクオリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.404, pp.141-146, 2015-01-15

競技かるた選手の間で「熟達した競技かるた選手は決まり字の前に来る音素の微妙な違いによって,次に何の字が来るか予測できる」と言われている.このことを,聴取実験と音響分析を組み合わせて,選手が出札を認識する時刻を精密に計測する手法を考案し用いることにより実証した.また,この認識結果を用いて,決まり字直前で出札を認識した音素部の音響的特徴を「た」で始まる首を例として,サウンドスペクトログラムとフォルマント周波数の分析により調べた.その結果,後続音素(子音や続く母音)のフォルマント周波数の特徴に従って,第2フォルマント周波数の時間に対する上昇,下降,不変,高域周波数の増大などの特徴の違いが見られることがわかった.