著者
前島 郁雄 鈴木 啓介 田上 善夫 岡 秀一 野上 道男 三上 岳彦
出版者
東京都立大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1987

本年度は、3年間の研究計画の最終年度であり、研究成果をまとめると以下の通りである。1.全国19地点の日記の天候記録をもとに、1771-1840年の70年間について、夏季4ケ月(6〜9月)の毎日の天候分布図を完成した。次に、北海道を除く全国を5つの地域に区分し、各地域毎に降雨の有無の判定を行なった。降雨の有無を1と0とで表現し、その組み合せから、全32タイプの天候分布型を設定して毎日の天候分布型の分類を行なった。その結果を天候分布型カレンダ-としてまとめた(成果報告書参照)。2.一方、現在の天候デ-タを用いて、上記と同様の方法で1975〜84年の10年間について、天候分布型の分類を行なった。気圧配置型については、吉野ほか(1967、1975、1985)による分類法を若干修正して用いることにした。各天候分布型に対応する日の気圧配置型を集計して、両者の対応関係を検討した。その結果、一つの天候分布型に対して必ずしも一義的に気圧配置型が対応しないことが明らかになった。3.最終的に、次の手順で気圧配置型の復元を試みることにした。(1)歴史時代の毎日の天候分布図を作成し、上述の方法で32通りの天候分布型に分類する。(2)現在の観測デ-タに基き作成した各天候分布型に対応する前線と高低気圧・台風中心位置の合成図を参考に、ワ-クシ-トを作成する。ワ-クシ-トには、想定される概略的な前線と高低気圧の中心位置を書き込む。この場合、連続性や高低気圧の移動速度等を考察する。(3)完成したワ-クシ-トをもとに、毎日の気圧配置性を吉野らによる分類法にしたがって復元する。本研究では、実際に1783年(天明の飢餓年)の6〜7月の気圧配置型の復元を試みた。
著者
藤原 充 長谷川 優子 鈴木 啓介 内山 恵典
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.39 Suppl. No.2 (第47回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.Eb1268, 2012 (Released:2012-08-10)

【はじめに、目的】 院内における入院患者の転倒事故は、排泄への移動を契機に発生することが多いと報告されている。しかし、一般的に理学療法士が、患者に対して行う転倒リスク評価は、いわゆる“尿意がない”状態での運動機能評価に留まっている。先行研究では強い尿意は認知機能を低下させるとの報告もあることから、より現実に近い状況での転倒リスク評価を行うためには、“尿意がある”状態での運動、注意機能評価が必要なのではないかと考えた。本研究では健常成人男性を対象に、“尿意がない”状態と“尿意がある”状態での運動機能、注意機能を評価し、その違いの有無を明らかにすることを目的とする。【方法】 健常成人男性7人(平均年齢27歳)を対象に、尿意を感じない時点“尿意なし”と、強い尿意を感じる時点“尿意あり”における、運動機能と注意機能の違いについて検討した。評価項目としては、尿意に関するものとして、NRSとVASの評価、膀胱容量の測定を行った。運動機能については、10m歩行速度と歩数、左右の最大一歩幅、左右の握力を測定した。また、注意に関する課題としてTMTを施行した。プロトコールは、排尿後に尿意を感じない時点でのNRSとVASを評価し、TMT、10m歩行速度と歩数、最大一歩幅、握力を順次評価した。1Lの飲水後、尿意がNRS“8”となった時点で再度、同一評価を行った。なお、10m歩行テスト、左右の最大一歩幅、左右の握力は各々3回ずつ測定して平均値を算出した。尿意のNRS、VASは“0”を「尿意なし」とし、“10”を「最大に我慢した状態」とした。また、膀胱容量はブラッダースキャンを用いて評価した。評価結果について、尿意ありと尿意なしをSPSSver.19を用いて統計学的に検討した。統計学的手法は、対応のあるt検定を用い、有意水準は危険率5%未満とした。【倫理的配慮、説明と同意】 本研究の実施の先立ち、被験者に対して研究の意義、目的について十分説明し、口頭および文書による同意を得た。【結果】 最大一歩幅は“尿意なし・右”平均120.1±6.1cm、“尿意なし・左”117.8±7.9cm、“尿意あり・右”109.7±9.3cm、“尿意あり・左”108.9±9.6cmとなり、“尿意あり”で有意に低下した(p<0.05)。その他、TMT、10m歩行速度と歩数、握力については有意差を認めなかった。なお、“尿意あり”の状態でのVAS平均は、8.11±0.81cm、膀胱容量は平均367±100.2mlであり、自覚的、他覚的にも尿意を確認できた。【考察】 “尿意なし”と“尿意あり”の時点における運動機能、注意機能の比較では、“尿意あり”の状態で、最大一歩幅のみが有意に低下した。このことから、日常臨床で行っている転倒リスク評価の結果は患者能力の一側面であり、“尿意あり”の状態での評価では違う結果が生じることが示された。一般に最大膀胱容量は成人300~500mlで、尿意は膀胱容量が150~200mlで感じるとされている。しかし、通常排尿は前頭葉からの橋排尿中枢の抑制、自律神経による蓄尿反射と体性神経による外尿道括約筋収縮により抑制されている。尿意がNRS“8”の時点では、膀胱内圧が急激に上昇した状態と言えるため、随意的に外尿道括約筋の収縮を強め、腹圧を高められない状態での運動を強いられることになったと推測される。これにより体幹が安定せず、運動機能が低下したと考えた。今後の課題は、転倒リスク評価における適切な評価項目の選定と“尿意なし”と“尿意あり”で生じた違いに対する原因追究のための指標を用意することである。【理学療法学研究としての意義】 “尿意なし”と“尿意あり”の状態での運動機能、注意機能の違いを捉えることで、転倒リスクを評価する上での視点が増える。また、今回のように“尿意あり”の状態で、パフォーマンス低下が認められた場合、トイレ誘導に関して、失敗や転倒のない適切なタイミングを示すことができる。これらを通し、排泄を契機に発生している転倒事故を減らすことができるものと考えられる。
著者
和田 太成 鈴木 啓介 黒澤 和生
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.341-345, 2020 (Released:2020-06-20)
参考文献数
19
被引用文献数
1

〔目的〕膝蓋下脂肪体(IFP)の変形と膝関節痛の関係を検討する前段階として,健常若年者の膝関節運動(0~45°)に伴うIFPの形態変化を調べた.〔対象と方法〕健常若年者23名を対象に,超音波画像診断装置を用いて膝伸展位,15°,30°,45°屈曲位でのIFPの遠位部と中央部の厚みを測定した.〔結果〕IFPの遠位部は,伸展位から15°屈曲位の運動範囲で最も厚みの減少量が大きかったが,中央部では有意差を示さなかった.〔結語〕IFPは伸展位から15°屈曲位の運動範囲では,遠位部で膝関節屈曲に伴いIFPが介在する膝蓋靭帯深部の空間容積が増加して圧迫され変形が生じるが,中央部では変化がなかった.IFPの膝関節痛への関与が今後の検討課題である.
著者
藤原 充 長谷川 優子 鈴木 啓介 内山 恵典
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.Eb1268, 2012

【はじめに、目的】 院内における入院患者の転倒事故は、排泄への移動を契機に発生することが多いと報告されている。しかし、一般的に理学療法士が、患者に対して行う転倒リスク評価は、いわゆる"尿意がない"状態での運動機能評価に留まっている。先行研究では強い尿意は認知機能を低下させるとの報告もあることから、より現実に近い状況での転倒リスク評価を行うためには、"尿意がある"状態での運動、注意機能評価が必要なのではないかと考えた。本研究では健常成人男性を対象に、"尿意がない"状態と"尿意がある"状態での運動機能、注意機能を評価し、その違いの有無を明らかにすることを目的とする。【方法】 健常成人男性7人(平均年齢27歳)を対象に、尿意を感じない時点"尿意なし"と、強い尿意を感じる時点"尿意あり"における、運動機能と注意機能の違いについて検討した。評価項目としては、尿意に関するものとして、NRSとVASの評価、膀胱容量の測定を行った。運動機能については、10m歩行速度と歩数、左右の最大一歩幅、左右の握力を測定した。また、注意に関する課題としてTMTを施行した。プロトコールは、排尿後に尿意を感じない時点でのNRSとVASを評価し、TMT、10m歩行速度と歩数、最大一歩幅、握力を順次評価した。1Lの飲水後、尿意がNRS"8"となった時点で再度、同一評価を行った。なお、10m歩行テスト、左右の最大一歩幅、左右の握力は各々3回ずつ測定して平均値を算出した。尿意のNRS、VASは"0"を「尿意なし」とし、"10"を「最大に我慢した状態」とした。また、膀胱容量はブラッダースキャンを用いて評価した。評価結果について、尿意ありと尿意なしをSPSSver.19を用いて統計学的に検討した。統計学的手法は、対応のあるt検定を用い、有意水準は危険率5%未満とした。【倫理的配慮、説明と同意】 本研究の実施の先立ち、被験者に対して研究の意義、目的について十分説明し、口頭および文書による同意を得た。【結果】 最大一歩幅は"尿意なし・右"平均120.1±6.1cm、"尿意なし・左"117.8±7.9cm、"尿意あり・右"109.7±9.3cm、"尿意あり・左"108.9±9.6cmとなり、"尿意あり"で有意に低下した(p<0.05)。その他、TMT、10m歩行速度と歩数、握力については有意差を認めなかった。なお、"尿意あり"の状態でのVAS平均は、8.11±0.81cm、膀胱容量は平均367±100.2mlであり、自覚的、他覚的にも尿意を確認できた。【考察】 "尿意なし"と"尿意あり"の時点における運動機能、注意機能の比較では、"尿意あり"の状態で、最大一歩幅のみが有意に低下した。このことから、日常臨床で行っている転倒リスク評価の結果は患者能力の一側面であり、"尿意あり"の状態での評価では違う結果が生じることが示された。一般に最大膀胱容量は成人300~500mlで、尿意は膀胱容量が150~200mlで感じるとされている。しかし、通常排尿は前頭葉からの橋排尿中枢の抑制、自律神経による蓄尿反射と体性神経による外尿道括約筋収縮により抑制されている。尿意がNRS"8"の時点では、膀胱内圧が急激に上昇した状態と言えるため、随意的に外尿道括約筋の収縮を強め、腹圧を高められない状態での運動を強いられることになったと推測される。これにより体幹が安定せず、運動機能が低下したと考えた。今後の課題は、転倒リスク評価における適切な評価項目の選定と"尿意なし"と"尿意あり"で生じた違いに対する原因追究のための指標を用意することである。【理学療法学研究としての意義】 "尿意なし"と"尿意あり"の状態での運動機能、注意機能の違いを捉えることで、転倒リスクを評価する上での視点が増える。また、今回のように"尿意あり"の状態で、パフォーマンス低下が認められた場合、トイレ誘導に関して、失敗や転倒のない適切なタイミングを示すことができる。これらを通し、排泄を契機に発生している転倒事故を減らすことができるものと考えられる。
著者
鈴木 啓介 佐久間 俊
出版者
公益社団法人 日本船舶海洋工学会
雑誌
日本船舶海洋工学会論文集 (ISSN:18803717)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.51-59, 2010 (Released:2011-01-28)
参考文献数
9
被引用文献数
1

When a high speed vessel is designed, it is important how we make her sectional area curve effectively on purpose to minimize the hull resistance. But on a sectional area curve, there are, in general, some constraints caused by the requirement of ship arrangement and we cannot reject them simply because we must build not only a small resistance ship but also an easily operable ship. A sectional area curve under these constraints is usually made from the experience of designers by referring one of a type ship, but we don't think we can get a true optimal curve easily only by the experience.In this report, we introduce the linear wave-making resistance theory into the optimal problem and Series 64 model 4793 is chosen as the object for analysis. The sectional area curve of Series 64 model 4793 is expanded into Mathieu function series and the performance is evaluated from the viewpoint of the wave-making resistance. Then we make the optimal curve for the improved hull form theoretically using calculus of variation under some constraints which are established artificially by us.Finally, we carry out resistance experiment of the improved hull form to evaluate our optimal method and it shows good result that the residual resistance of improved hull form becomes around the half of that of the original hull form.
著者
小原 智永 山﨑 一史 鈴木 啓介 廣野 文隆 小林 敦郎 甲賀 英敏 岡部 敏幸
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2013, 2014

【はじめに,目的】静岡県高校野球メディカルサポート(以下:MS)は,静岡県高校野球連盟の要請を受け昨年の第95回全国高等学校野球選手権静岡大会(以下:夏季大会)にて11年が経過した。静岡県のMSは,県士会の公益事業として組織的に活動が可能となっているため,1回戦から決勝までの県内全10球場にて試合前・中に関わる処置や試合後のcooling downを行っている。近年では,熱中症に対する処置(観客も含む)や啓蒙活動において力を入れており,その一つに球場内で暑熱環境の指標として運動時の熱中症の予防措置に用いられるWet-bulb Globe Temperature湿球黒球温度(以下:WBGT)を測定し,場内の注意喚起を促している。夏季大会のWBGTと熱中症罹患との危険性の関連を明らかにすることは,大会での熱中症予防・パフォーマンス低下回避の一助となると考えられる。そこで,本研究の目的は球場内のWBGTなどの暑熱環境と熱中症罹患の特徴を明らかにすることとし,分析・検討を行った。【方法】平成25年7月13日から同年7月29日の暑熱環境を計測するために乾球温・湿球温・黒球温・WBGTを熱中症指標計(京都電子工業製WBGT-203A)を用いて測定した。県内全10球場のうち4球場(西部・東部地区の各1球場と中部地区2球場)にて,各試合前・試合中(5回終了時)と全ての試合終了後にグランド中央で計測を行った。分析は,観客を含めた熱中症有りの計測群(以下:有群)と熱中症無しの計測群(以下:無群)に分け乾球温・湿球温・黒球温・WBGTの差を独立したt検定を用いて求めた。また,熱中症罹患についてはROC曲線を用いWBGTのカットオフ値を算出した。有意水準は危険率5%未満とした。【倫理的配慮,説明と同意】大会役員,責任教師,審判,選手に対してWBGTの測定について説明し,同意を得た。今回の報告にあたっては,個人情報の保護,倫理的配慮に十分注意し集計を行った。【結果】全計測回数は150回であり,その内有群は24回(観客を含む)であった。1回戦で17回,2回戦で1回,3回戦で2回,4回戦で1回,準々決勝で2回,準決勝で1回であった。選手の罹患件数は,1回戦で9人,2回戦で0人,3回戦で2人,4回戦で1人の計12人であった。また,ポジション別では投手3人,捕手1人,1塁手2人,3塁手1人,遊撃手3人,中堅手1人,補欠1人であった。重症度別では,筋痙攣などのI度が8人,頭痛や倦怠感などのII度が4人,意識消失などのIII度が0人であった。各測定項目の平均値は,乾球温30.9±2.0℃,湿球温62.9±8.5℃,黒球温35.8±3.9℃,WBGT28.3±1.4℃であった。無群の平均値は,乾球温27.9±2.75℃,湿球温70.4±10.4℃,黒球温32.9±4.2℃,WBGT26.4±2.0℃であり,有群と無群との比較では乾球温,黒球温,WBGTが有意に高く,湿度は有意に低かった(p<0.05)。またWBGTは,曲線下面積0.77(漸次有意確率p<0.05),カットオフ値27.35℃であった(感度83.6%,1-特異度39.7%)。【考察】日本体育協会運動指針(以下:運動指針)では,WBGTの27.35℃は「警戒レベル」である。中井らによるとWBGT28℃以上になると熱中症罹患が増加するとしている。今回の静岡県の夏季大会におけるWBGTのカットオフ値が指針や先行研究よりも低値であったことは,野球が全身を覆う着衣での競技であり熱放散しにくい着衣環境であるため,通常より熱中症罹患率が高いと考えられる。そのため,野球では運動指針を一段階下げて注意喚起を促す必要があると考えられる。一方で,夏季大会においてWBGTが31℃の「運動は原則中止」の段階に至ったとしても,中止になることはない。熱中症罹患時は,1回戦に最も多く認めておりMSによる1回戦からの介入や熱中症予防の啓蒙活動は,有意義な活動と考えられる。重症度別では,III度の救急搬送を必要とする重度の選手を出さなかったことも,MSによる活動が浸透し予防または早急に対応が出来たこともうかがえる。選手の熱中症罹患の傾向を見ると,最も運動頻度が高い投手だけでなく,様々なポジションで熱中症罹患が生じることが考えられる。今回の結果は,観客を含めた球場全体の熱中症罹患件数での検討であったため,この結果を,来年度から球場全体への注意喚起を具体的な数値とリスクや対応を示し,観客を含めた熱中症予防に活かしていく必要がある。さらに今後,一昨年から開始した高校へMSが指導に出向くMS訪問事業においても,統一した適切な熱中症予防の指導を行い,熱中症予防における啓蒙活動の実施が重要な課題である。今回選手のみのデーター数が少なかったため,今後もデーターを蓄積し,選手のみのWBGTカットオフ値を求めて熱中症予防に活かしていきたいと考える。【理学療法学研究としての意義】熱中症予防における啓蒙活動の発信により,障害予防・パフォーマンス低下を未然に防ぐことが期待される。
著者
楊 昊軒 貝沼 重信 鈴木 啓介 楊 沐野 豊田 雄介
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.6, pp.22-00288, 2023 (Released:2023-06-20)
参考文献数
27

鋼道路橋において,溶射皮膜上に塗装が塗布され,重ね皮膜になる場合があるが,その重ね皮膜の耐久・防食特性については不明な点が多い.そこで,本研究ではAlとZnの溶射と重防食塗装の重ね皮膜部の耐久・防食特性を解明するために,クロスカット傷を導入した溶射単膜,および溶射と塗装の重ね皮膜部を有する鋼板試験体を用いて複合サイクル腐食促進試験を行った.また,重ね皮膜部の膨れ性状の測定,分極特性などの電気化学測定,SEM-EDXによる断面元素分析およびXRDによる生成物の同定分析を実施した.これらの結果から,溶射と塗装の重ね皮膜では,Al溶射の重ね皮膜がZn溶射に比べて早期に劣化し,耐久性が低下することなどを明らかにした.また,塩類に曝される腐食性の高い環境におけるAlとZnの溶射と塗装の重ね皮膜の劣化機構を示した.
著者
松下 健 田中 誠也 白川 絢日 宮本 聖也 岡田 麻央 辻本 昌史 鈴木 啓介 中島 浩敦
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
pp.12256, (Released:2022-08-09)
参考文献数
41

【目的】診療記録を用いて肩関節周囲炎における臨床症状および日常生活動作(以下,ADL)や手段的日常生活動作(以下,IADL)の特徴の性差について検討した。【方法】肩関節周囲炎と診断され理学療法を実施した片側罹患例45名(男性17名,女性28名)を対象として,理学療法開始時点での患者背景情報および身体機能検査,画像検査,Shoulder36(以下,Sh36)について解析した。【結果】夜間痛の有無,患側Range of Motion(ROM)の外転,握力,臼蓋上腕角,上腕骨頭径について男女間で有意差を認めた。Sh36においては,36項目中17項目で女性が有意に低値であった。Sh36のドメインでは,健康感を除いた5項目で女性が有意に低値であった。【結論】肩関節周囲炎の日常生活への影響に性差がある可能性が示唆された。肩関節周囲炎に起因するADL・IADL制限に対しては性別を考慮した評価が必要と考える。
著者
岩室 樹 鈴木 啓介 黒澤 和生
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.253-258, 2021 (Released:2021-04-20)
参考文献数
23

〔目的〕外来心臓リハビリテーション(外来心リハ)に参加している高齢者がレジスタンストレーニング非実施となる特徴を明らかにする.〔対象と方法〕外来心リハ患者24名(平均年齢78.9 ± 7.8歳)に対し,健康関連QOLや自己効力感に関する質問紙を実施した.毎回レジスタンストレーニングを行う実施群(11名)と行わない非実施群(13名)に分け検討した.〔結果〕非実施群は実施群に比べ,SF-36サマリースコアの身体的側面(PCS)が有意に低く,役割/社会的側面(RCS)が有意に高かった.〔結語〕外来心リハ時に身体的,社会的な側面の評価を行い,レジスタンストレーニングを定着させる介入を検討することが必要である.
著者
榎本 裕治 鈴木 啓介 沖田 誠治 江藤 昂平 片山 英二
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌D(産業応用部門誌) (ISSN:09136339)
巻号頁・発行日
vol.141, no.5, pp.423-430, 2021-05-01 (Released:2021-05-01)
参考文献数
25
被引用文献数
6

We have been studying the application of amorphous metals, which have a significantly lower loss than electrical steel sheets, to motors. Thus far, we have studied simple-shaped iron cores that can be machined only by shearing for radial motors. However, it is considered that the loss can be further reduced if the iron core is entirely made of amorphous metal. Here in this report, we report the results of a trial evaluation of a motor in which an amorphous metal is punched using a press die to form a stator core.
著者
鈴木 啓介 長澤 徹哉
出版者
The Society of Synthetic Organic Chemistry, Japan
雑誌
有機合成化学協会誌 (ISSN:00379980)
巻号頁・発行日
vol.50, no.5, pp.378-390, 1992-05-01 (Released:2010-01-28)
参考文献数
114
被引用文献数
34 32

The present article deals with a short review on the recent methodological progress in O-glycoside synthesis. Particular stress is laid on the design of newer classes of glycosyl donor, which allow the selective activation/O-glycoside formation under specific reaction conditions. Based on the anomeric leaving group, glycosyl donors are classified into nine classes, 1) fluoride, 2) thioglycoside, 3) O-acylate, 4) O- and S-carbonate derivatives, 5) phosphate derivatives, 6) trichloroacetimidate, 7) 1-hydroxyl sugar, 8) 4-pentenyl glycoside, 9) glycal, and their selective activation methods are tabulated. Also described are the other approaches based on different principles, e.g., glycosylidene carbene, anomeric O-alkylation, internal cyclization or glycoside synthesis based on physical means;light, electric, thermal, and high pressure. Recent topics in this field are also included, 1) new protecting groups, 2) stereochemical control in manno- and 2-deoxy-sugars, and 3) the armed/disarmed concept.
著者
鈴木 啓介 後藤 真康 柏 司
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.187-191, 1968
被引用文献数
1

米粒にメチルパラチオン, スミチオンを1 : 1の割合で, 0.1, 0.5, 1.0, 2.0, 10ppmになるように添加し, メチルパラチオンをスミチオンから分離し, 定量する試験を行なった.ガラスフィルターを用い, 米粒からメチルパラチオンをエーテルで溶出, アルミナカラムで精製し, 濃縮したのち, 電子捕獲ガスクロマトグラフィーで分離定量した.カラム充てん剤, 10%高真空グリース (HVSG) /クロモソープW (40~60メッシュ);ガラスカラム, 外径1/8インチ, 長さ5フィート;分離管温度, 180℃;キャリヤーガス, 窒素;流速, 20m<I>l</I>/min, 本法の回収率は0.1~10ppmの範囲で70~101%でかなり良好な結果が得られた.
著者
鈴木 啓介
出版者
The Society of Synthetic Organic Chemistry, Japan
雑誌
有機合成化学協会誌 (ISSN:00379980)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, pp.367-377, 1988-04-01 (Released:2009-11-13)
参考文献数
28
被引用文献数
11 20

Contrary to the firm and long-standing credence on the involvement of racemization, the “cationic” 1, 2-rearrangement reactions may proceed stereospecifically under suitable reaction conditions to allow the complete 1, 2-chirality transfer. This fact provides a solid basis for the development of a novel and useful synthetic reactions to achieve the highly selective acyclic steoeocontrol. This paper deals with a survey of the new synthetic methodology based on the novel 1, 2-rearrangements under Lewis acidic conditions as well as the newly exploited silicon-directed relative streocontrol, which would find a broad applicability in the highly stereoselective synthesis of a wide variety of useful compounds including chiral pheromones, macrolides, and so on.