著者
今関 光雄
出版者
日本文化人類学会
雑誌
民族學研究 (ISSN:00215023)
巻号頁・発行日
vol.67, no.4, pp.367-387, 2003-03-30

本稿は、「ファン・コミュニティ」の文化人類学的研究というテーマの下に、あるラジオ番組のリスナーたちの行っている「集い」を、フィールドワークによる調査研究に基づいて分析し、オーディエンス/ファン同士のコミュニケーションの重層性を明らかにするものである。リスナーが番組に「告知」を投書し、行う集会を「集い」と呼ぶ。実際に出会うことで友人関係を構築しようという試みである。そこでは、同じ番組に関する情報を持つ「比較可能で代替可能な者」同士の関係を、具体的な「個別性を持った顔のある誰か」同士の関係に変換していくという実践が見られる。これは、メディアを介して作られたファン・コミュニティにおけるコミュニケーションを情報交換のみの関係として語ってきた「おたく」論の一面性を批判するものである。また、オーディエンス研究において「受け手」の能動性を考える場合、受け手の行う「流用」がよく議論される。ここで明らかになるのは、その「流用」がメディア上だけで、すなわち顔の見えない「サイバースペース」だけでなされるのとは違って、「個別性を持った顔のある誰か」との繋がりにおいてなされることが重要であるということである。本稿は、そのような顔の見えない「サイバースペース」における繋がりを「個別性を持った顔のある誰か」との繋がりに変換し、コミュニケーションの重層性を創りだしていることに注目する重要性を明らかにする。それらの実践がメディアによる人びとの分断や抽象空間としての「国民文化」への回収に抵抗する「流用」であるということを示唆する。
著者
今関 光雄
出版者
日本文化人類学会
雑誌
民族學研究 (ISSN:24240508)
巻号頁・発行日
vol.67, no.4, pp.367-387, 2003-03-30 (Released:2018-03-27)

本稿は、「ファン・コミュニティ」の文化人類学的研究というテーマの下に、あるラジオ番組のリスナーたちの行っている「集い」を、フィールドワークによる調査研究に基づいて分析し、オーディエンス/ファン同士のコミュニケーションの重層性を明らかにするものである。リスナーが番組に「告知」を投書し、行う集会を「集い」と呼ぶ。実際に出会うことで友人関係を構築しようという試みである。そこでは、同じ番組に関する情報を持つ「比較可能で代替可能な者」同士の関係を、具体的な「個別性を持った顔のある誰か」同士の関係に変換していくという実践が見られる。これは、メディアを介して作られたファン・コミュニティにおけるコミュニケーションを情報交換のみの関係として語ってきた「おたく」論の一面性を批判するものである。また、オーディエンス研究において「受け手」の能動性を考える場合、受け手の行う「流用」がよく議論される。ここで明らかになるのは、その「流用」がメディア上だけで、すなわち顔の見えない「サイバースペース」だけでなされるのとは違って、「個別性を持った顔のある誰か」との繋がりにおいてなされることが重要であるということである。本稿は、そのような顔の見えない「サイバースペース」における繋がりを「個別性を持った顔のある誰か」との繋がりに変換し、コミュニケーションの重層性を創りだしていることに注目する重要性を明らかにする。それらの実践がメディアによる人びとの分断や抽象空間としての「国民文化」への回収に抵抗する「流用」であるということを示唆する。
著者
関 光博
出版者
日経BP社
雑誌
日経ベンチャ- (ISSN:02896516)
巻号頁・発行日
no.210, pp.64-66, 2002-03

年秋、東京・吉祥寺の飲み屋で旧友の佐藤利雄氏と会った。彼は岩手県の花巻市起業化支援センターで主任研究員を務めている。その佐藤氏が連れてきたのが古こ川がわ純也氏だ。青森県五所川原市にあるエーエムエスの二代目で、現在は取締役として父親を補佐している。宴席は大いに盛り上がり、私は「近いうちに五所川原に行く」とつい約束してしまった。
著者
三澤 智則 小関 光弘 小林 宏
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
ロボティクス・メカトロニクス講演会講演概要集
巻号頁・発行日
vol.2002, 2002

重機(パワーショベルなど)を操縦する際の運転者の技能の評価を数値的に評価する際の実験方法, 評価方法についての基礎的研究の発表。
著者
関 光世
出版者
京都産業大学
雑誌
京都産業大学論集. 人文科学系列 = Acta humanistica et scientifica Universitatis Sangio Kyotiensis (ISSN:02879727)
巻号頁・発行日
no.50, pp.131-143, 2017-03

本論は,英国ロンドン大学東洋アフリカ研究学院(SOAS)のジョンストンコレクションに残された『猛虎集』を手がかりに,徐志摩(1897-1931)と清朝最後の皇帝愛新覚羅溥儀(1906-1967)の帝師を務めたレジナルド・フレミング・ジョンストン(1874-1938)との交流について,可能な限り明らかにしたものである。 この『猛虎集』初版本には,徐志摩のサインが残されているとの記録がある。しかし,筆者の現地調査によって未公表の献辞が確認できており,その文言は,二人の交流が従来知られているよりも長く,深いものであることを示唆している。徐志摩とハーディ(1840-1928)やフライ(1866-1934)らとの交流はよく知られているが,留学から帰国した後の西洋人との交流については,ほとんど取り上げられていない。 本論は,献辞の文言や日付などの情報を手がかりに,コレクションに残された他の中国知識人の書籍,ジョンストンの著書『紫禁城の黄昏』, 溥儀の自伝『わが半生』,徐志摩の日記や書簡など関係資料を参照し,二人の交流の起点と終点及びその過程について仮説による叙述を試み,以下の点を明らかにした。 1. 徐志摩とジョンストンの出会いは,1924 年のタゴール(1861-1941)訪中時よりも早い1922 年冬,つまり徐志摩の帰国直後であった可能性が高く,タゴール訪中は二人の交流が一層深まる契機となったに過ぎない。 2.二人の出会いと交流において,胡適は仲介者として重要な役割を果たした。 3.『 賀雙卿雪壓軒集』上のサインは,二人の交流が長期間継続しただけでなく,彼らの交友関係が,中国文学界においては相当程度共通していたことを物語っている。 4. 献辞の文言や当時の社会情勢から,『猛虎集』初版本は,出版から徐志摩が事故死するまでの短い期間に直接手渡されたと判断し,その時期と場所を概ね特定した。 以上を総合すると,徐志摩とジョンストンの交流は,徐志摩が留学から帰国した直後に始まり,タゴールの皇帝謁見を機に深まり,1931 年,互いに極めて多忙な中で最後の対面を果たすまで続いたと結論づけることができる。 本論は,ジョンストンコレクションに見られるジョンストンと徐志摩及び胡適ら中国の知識人との交流の詳細を初めて解明し,従来ほとんど取り上げられたことのなかった徐志摩とジョンストンの交流の起点と終点,及びその過程を明らかにしており,徐志摩の西洋理解,ひいては1920 年代における中国と西洋の文化交流について,その一端を理解する上で価値あるものである。
著者
関 光世
出版者
京都産業大学
雑誌
京都産業大学論集. 人文科学系列 (ISSN:02879727)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.82-101, 2008-03

0 はじめに1 二人称敬語体代詞"您"をめぐる諸説と問題点 1.1 "您"についての説明 1.2 陳(1986)の論点 1.3 ディクテーション結果から見た問題点2 《编辑部的故事》に見る"你"と"您"の使用 2.1 話し手自身の特徴―年齢・性別・性格 2.2 聞き手との関係―高親密度下における使用状況 2.3 親密度の変化とその影響 2.4 意図的な変換と無意識の変換3 まとめ 3.1 《编辑部的故事》における代詞の選択と変換 3.2 効果的な学習のための提案
著者
西井 修 荒川 文男 石橋 孝一郎 中野 定樹 志村 隆則 鈴木 敬 橘 貢 戸塚 米太郎 津野田 賢伸 内山 邦男 山田 哲也 服部 俊洋 前島 英雄 中川 典夫 成田 進 関 光穂 島崎 靖久 里村 隆一 高須賀 知哉 長谷川 淳
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ICD, 集積回路
巻号頁・発行日
vol.98, no.23, pp.17-24, 1998-04-24
被引用文献数
6

2命令を同時に実行し、チップサイズが58mm^2のマイクロプロセッサを開発した。0.25ミクロン, 5層配線CMOSプロセスを用い、200MHz動作時の消費電力は1.2Wである。本報告は、チップ概要、低電力のための機構、および高性能化のために行った設計内容について述べる。浮動小数点演算の高性能化のため、1クロックにつき7個の単精度浮動小数点演算を処理可能なグラフィックFPU、およびサポート命令を設けた。このグラフィックFPUは2ステージ構成の4元内積(積和)演算器を有する。該内積演算器のディレイ(シミュレーション値)は3.69nsである。
著者
関 光
出版者
大阪大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究では、1)植物トリテルペン配糖体の生合成/構造多様化の過程において重要な役割を果たしている糖転移酵素(UGT)を単離し、機能を解析するとともに、各種トリテルペノイドアグリコンをインビボ生産する組換え酵母においてUGTを共発現することにより、「組換え酵母における多様なトリテルペン配糖体のインビボ生産」の実行可能性を検証することを目的とした。平成25年度内に、酵母内在の2,3-オキシドスクアレンから4-エピ-ヘデラゲニンを生産するように改変した組換え酵母に、さらにタルウマゴヤシUGT73F3遺伝子を導入することで、酵母内在の糖供与体(UDP-グルコース)を利用して4-エピ-ヘデラゲニンの28位配糖体をインビボ生産する酵母の作出に成功した。平成26年度は、同システムを利用して様々なトリテルペン配糖体を生産することを目指して、新規のトリテルペン配糖体生合成関連UGTの単離を進めた。その結果、マメ科カンゾウからグリチルレチン酸の3位および30位それぞれにグルコースを転移することが強く示唆される新規UGTを同定した。同時に、酵母が生産する糖供与体のバリエーションを増やすことを目的として、UDP-グルコースをUDP-グルクロン酸に変換するUDP-グルコースデヒドロゲナーゼの候補遺伝子をカンゾウから6種単離し機能解析を行ったところ、4種について酵母内在のUDP-グルコースを基質としてUDP-グルクロン酸を生成する活性を認めた。今後、研究代表者らがこれまでに既に作出している各種トリテルペノイド生産酵母に平成26年度内に単離した新規UGTおよびUDP-グルコースデヒドロゲナーゼ遺伝子を導入することで、組換え酵母での各種トリテルペン配糖体の生成が可能であると考えられる。