著者
松倉 公憲 青木 久
出版者
日本地形学連合
雑誌
地形 = Transactions, Japanese Geomorphological Union (ISSN:03891755)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.175-196, 2004-04-25
参考文献数
147
被引用文献数
11

We briefly review some problems arising in papers on the Schmidt hammer used in a geomorphological context. There are several types of Schmidt hammer, and many measurement methods including ways of collecting data have beeen proposed, but no standard method for taking measurerements has yet been established. We propose continueous (repeated) impacts for assessing the hardness of intact rock and single impact for assessing the hardness of a rock surface, including the weathering layer.
著者
青木 久美子
出版者
首都大学東京・都立大学社会学研究会
雑誌
社会学論考
巻号頁・発行日
no.32, pp.83-107, 2011-10-31

1990年代半ばから2000年代半ばにかけて, 「昭和30年代(1955~1964)」 がメディア等で頻繁に取り上げられるようになった.この「昭和30年代ブーム」において,昭和30 年代は「貧しくても夢があった時代」といった語りによって,おおむね肯定的に捉えられている.本稿は,この「昭和30年代ブーム」 が時間的経過のなかでいかに変化したかを,過去のモノや出来事をどのように取り扱うかという観点から分析するものである.分析にあたり,「断片化」, 「概念化」という分析枠組みを設定する.「断片化」は,モノや出来事を当時の文脈から切り離しそれ自体を強調して扱う態度を指す.その際,特定の側面を強調し,感情に訴えるような扱い方をここでは「キッチュ」と呼ぶ. 「概念化」は,モノや出来事のあり方をふまえて,特定の社会像を再構成する作業である.その際に当時の生活様式などが理想化され,極端な形になると今後の社会の目指すべき指針として「イデオロギー」的になることもある.「昭和30年代ブーム」における過去の扱い方は,当初,「断片化」された懐かしいモノなどへの愛着という「キッチュ」 が主流であったが,「概念化」され理想として語られるようになり,明確に「イデオロギー」的に利用するような現象も見られるようになった.そうした「イデオロギー」化においては,往々にして,モノや出来事のもつ具体性が巧妙に利用されている.
著者
青木 久
出版者
Japanese Association of Communication Disorders
雑誌
聴能言語学研究 (ISSN:09128204)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.41-46, 2002-04-25
参考文献数
8

本報告では,我々がこれまでに開発した1つのスイッチで操作するコンピュータ使用支援機器と,現在研究を進めている重度身体障害児・者用の新しい入力手段を紹介した.新しい入力方法は,文字認識に対する皮膚電位変化をスイッチの作動信号に採用したので,スイッチを操作するためにどのような動作も必要としない方法である.4名の健常な被検者の左手掌から記録した皮膚電位には,ターゲット文字の判別時に交感神経皮膚反応(SSR)が観察された.4名の被検者における文字認識時のSSR出現率の平均値は,63%であった.SSRのような皮膚電位をスイッチ作動信号として使用することには,脳波によるBrain Computer Interfaceと比較して,記録方法や信号判別の簡便さや,利用者の特別な訓練を必要としない点などの多くの利点があることが明らかになった.しかし,実用化するには,SSRの反応潜時が長いこと,出現率が低いこと,慣れなどの問題を解決する必要があることが示唆された.
著者
青木 久 岸野 浩大 早川 裕弌 前門 晃
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
JpGU-AGU Joint Meeting 2017
巻号頁・発行日
2017-03-10

津波石とは,津波により陸上に打ち上げられた岩塊のことである.先行研究によると,宮古島や石垣島をはじめとする琉球列島南部の島々には,過去の複数の津波によって石灰岩からなる巨礫,すなわち津波石が打ち上げられていることが報告されている.本研究では,津波によって陸上に打ち上げられた津波石のうち,海崖を乗り越えて海岸段丘上に定置している津波石に焦点をあてて野外調査を行い,過去に琉球列島南部,宮古諸島と八重山諸島に襲来した津波営力の違いについて考察を行うことを目的とする.本研究では,宮古諸島に属する宮古島・下地島,八重山諸島に属する石垣島・黒島の4島を調査対象地域として選び,宮古島東平安名崎海岸,下地島西海岸,石垣島大浜・真栄里海岸,黒島南海岸において,津波石の調査が実施された.これらの海岸では琉球石灰岩からなる海崖をもつ海岸段丘が発達し,段丘上や崖の基部,サンゴ礁上に大小様々な津波石が分布する.各海岸の背後には,岩塊が供給されうる丘陵などの高台が存在しないため,段丘上の岩塊は津波によって崖を乗り越えた可能性が高いと判断し,本研究では3 m以上の長径をもつ巨礫を津波石とみなした.津波石の重量(W)と海崖の高さ(H)に関する以下のような調査・分析を行った. Wを求めるため,津波石の体積(V)と密度(ρ)の推定を行った(W=ρgV,gは重力加速度). Vは津波石の長径と中径と短径の計測および高精細地形測量(TLSおよびSfM測量)による3D解析を併用し求められた.ρは弾性波速度の計測値から推定された.Hはレーザー距離計を用いて計測された.津波石は,宮古島ではH=17 mの段丘上に14個,下地島ではH=10 mの段丘上に1個,石垣島ではH=3 mの段丘上に4個,黒島ではH=3~4 mの段丘上に6個,計25個が確認された.段丘上の津波石が津波によって崖下から運搬されたと仮定すると,W・Hは津波石の鉛直方向の移動にかかった仕事を示すことから,津波石を崖上に運搬するのに必要な津波営力(運動エネルギー)の指標となる.さらに各島のW・Hの最大値は,各島における過去最大の津波を示すと考え,それらの値を比較してみると,その大小関係は下地島≧宮古島>石垣島>黒島となった.この結果は,過去に宮古諸島に八重山諸島よりも大きな津波が襲来したことを示唆し,石垣島周辺で最も大きい津波が襲来したとされる1771年の明和津波とは異なっている.
著者
上田 順宏 今井 裕一郎 後藤 安宣 青木 久美子 山川 延宏 井上 聡己 山本 一彦 川口 昌彦 桐田 忠昭
出版者
一般社団法人 日本口腔腫瘍学会
雑誌
日本口腔腫瘍学会誌 (ISSN:09155988)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.37-44, 2014-06-15 (Released:2014-07-25)
参考文献数
28

本研究の目的は,術後の消化管運動と栄養状態に対する大建中湯(DKT)の効果について検討することである。2008年3月から2013年5月の間に,進行口腔癌の切除後に生じる欠損部に対して遊離組織移植による即時再建術を施行した40例を対象とした。20例には術翌日からDKT 15g/dを投与した。他の20例はDKTを投与しない対照群とした。消化管機能として腸蠕動音,排ガスおよび排便の確認時期,経腸栄養(EN)の開始時期,術後2週の体重減少量および体重減少率について後向きに検討した。その結果,腸蠕動音(p<0.001),排ガス(p<0.005),ENの開始(p<0.01),排便(p<0.005)はDKT投与群で早期に確認された。また,術後2週の体重変化量(p<0.05),体重変化率(p<0.05)ともDKT投与群で有意に抑えられていた。術前化学放射線療法や手術侵襲は,これらの指標に影響を及ぼさなかった。以上の結果より,DKTは進行口腔癌患者における遊離組織移植による再建術後の消化管機能の改善と体重の維持に有用であることが示唆された。
著者
北山 若紫 山本 一彦 小松 祐子 青木 久美子 藤本 昌紀 桐田 忠昭
出版者
社団法人 日本口腔外科学会
雑誌
日本口腔外科学会雑誌 (ISSN:00215163)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.164-168, 2008-03-20 (Released:2011-04-22)
参考文献数
20
被引用文献数
2

We report a case of glandular odontogenic cyst (GOC) arising in the mandible. The patient was a 55-year-old woman who presented with a painful swelling of the right premolar region of the mandible.Roentgenographic examination revealed a multilocular radiolucent lesion from the right first molar across themidline to the left second premolar region. The clinical diagnosis was a mandibular cyst. Enucleation of the cystand extraction of the teeth were performed with the patient under general anesthesia. Histological examinationshowed a multicystic lesion partially lined by non-keratinized epithelium with focal plaque-like thickening. Thesurface epithelium included eosinophilic cuboidal and ciliated cells. Cyst-like spaces and glandular structureswere also observed within the epithelium. Epithelial islands were also seen in connective tissue of the cyst.Immunohistochemically, epithelial cells were strongly positive for cytokeratin (CK) 13 and 19, but almost negativefor CK18. The histological diagnosis was GOC. The postoperative course was satisfactory, and no recurrencehas been noted 4 years 6 months after the operation.
著者
北山 若紫 山本 一彦 小松 祐子 青木 久美子 藤本 昌紀 桐田 忠昭
出版者
Japanese Society of Oral and Maxillofacial Surgeons
雑誌
日本口腔外科学会雑誌 (ISSN:00215163)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.164-168, 2008-03-20
被引用文献数
2

We report a case of glandular odontogenic cyst (GOC) arising in the mandible. The patient was a 55-year-old woman who presented with a painful swelling of the right premolar region of the mandible.Roentgenographic examination revealed a multilocular radiolucent lesion from the right first molar across themidline to the left second premolar region. The clinical diagnosis was a mandibular cyst. Enucleation of the cystand extraction of the teeth were performed with the patient under general anesthesia. Histological examinationshowed a multicystic lesion partially lined by non-keratinized epithelium with focal plaque-like thickening. Thesurface epithelium included eosinophilic cuboidal and ciliated cells. Cyst-like spaces and glandular structureswere also observed within the epithelium. Epithelial islands were also seen in connective tissue of the cyst.Immunohistochemically, epithelial cells were strongly positive for cytokeratin (CK) 13 and 19, but almost negativefor CK18. The histological diagnosis was GOC. The postoperative course was satisfactory, and no recurrencehas been noted 4 years 6 months after the operation.
著者
青木 久美子 ブレイ エリック キムラ バート リム ロン ユー キムラ メアリ 石橋 嘉一 宮添 輝美 モルナー パル
出版者
独立行政法人メディア教育開発センター
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

この研究においては、最近インターネット上で無料で使用可能となっている様々なコミュニケーションツールを用いて、国境を隔てて繋ぐクラスベースの遠隔教育に焦点をおいて、実際にそういったツールを活用して実験授業を行うことにより、課題等の認識、及び、解決策を見出すといったアクションリサーチ研究方法により、その可能性を追求した。また、授業方式として、従来の講義中心の授業ではなく、学生に主体性を持たせるプロジェクト型授業による遠隔教育の学習デザインを探求した。
著者
大谷 寛之 相場 雄一 大和 純一 青木 久幸
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.54, pp.43-44, 1997-03-12

近年、データベースの大規模化、マルチメディアサーバの発展に伴い、大容量、高スループットアクセスが可能なファイルシステムの需要が高まっている。そこで我々は、多数の記憶装置が接続されたワークステーションクラスタシステム上で動作する並列ファイルシステム (MFS)^1 を開発した。しかし、クラスタシステムでは、個々の装置の障害によって全体がその影響を受けるために、フォールトレラントや、障害リカバリーが重要な課題である。本稿ではMFSにおける障害リカバリー後の整合性検査機能について記述する。一般にファイルシステムにおいて障害が発生した後は、ファイルシステムの整合性検査が必須である。これは、障害でシステムダウンしたことにより、メモリ中に存在していたファイルキャッシュの内容と、記憶装置上に残された内容に矛盾が生じている可能性があるためである。この処理は、すべてのファイルの管理情報を調査するため、比較的コストを要する処理である。特に、多数の記憶装置から構成される大規模なファイルシステムにおいては、膨大なコストを要する。そこで、検査処理の高速化を目的とし、並列的に検査処理を実行する並列検査機能の実装を行なった。