著者
原田 悠紀 青木 久
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集 2018年度日本地理学会春季学術大会
巻号頁・発行日
pp.000213, 2018 (Released:2018-06-27)

1.はじめに 海水飛沫帯の岩石表面に形成される微地形に,タフォニやハニカム構造(以下,単にハニカムとする)がある.両者は塩類風化によって岩石表面の強度が低下した結果形成される窪みであるが,一般に,ハニカムはタフォニよりも窪みが浅く,蜂の巣状の平面形態を示す地形である.ハニカムはタフォニの生成初期の地形であると指摘する研究が存在するものの,両者の関係性を実証的かつ定量的に考察された研究はない.本研究では,海岸域に建設された砂岩塊からなる石垣表面にタフォニとハニカムがみられることに着目し,それらの分布,窪み深さ,および岩石強度を調べ,タフォニとハニカムの形成条件を明らかにすることを目的とする.さらにそれらの結果からタフォニとハニカムの関係性について考察する. 2.調査地域 千葉県銚子市海鹿島海岸は砂浜や波食棚が発達している.その波打ち際には全長約100 m,高さ約2.5 mの昭和初期に建てられた石垣が存在する.石垣は砂岩塊で積み上げられた最大7段の積み石からなっている.砂岩塊の大きさは,幅約40 ㎝,高さ約30 ㎝である. 3.調査方法 まず観察により,砂岩塊表面に見られる微地形について,窪みの有無,風化物質の有無,平面形態に基づき地形分類を行った.タフォニとハニカムのように窪んでいる地形については窪み深さを計測した.次にエコーチップやシュミットハンマーを用いて砂岩塊表面の強度計測を行った. 4.調査結果と考察砂浜背後の砂岩塊には,多くのハニカムが形成されており,波食棚背後の砂岩塊にはタフォニが卓越していた.潮間帯の砂岩塊は風化物質が付着しておらず,ほとんど窪んでいなかった.タフォニとハニカムの窪み深さを比較してみると,タフォニの方がハニカムよりも大きかった.風化していない砂岩塊(以下,未風化砂岩),タフォニ,ハニカムの岩石強度を比べてみると,岩石強度は,タフォニ<ハニカム≦未風化砂岩であった.この結果から,タフォニはハニカムに比べて,塩類風化によって強度が大きく低下した砂岩塊に形成される地形であり,ハニカムとタフォニの形成の差異は,砂岩塊表面の風化による強度低下量の違いに関係することがわかった.同一の砂岩塊においてハニカムとタフォニが共存していたり,ハニカムの側壁に穴が空いていたりする地形が観察された.以上のことから,塩類風化によってわずかに強度低下した砂岩塊に形成されたハニカムは,風化の進行に伴い,窪みがより深くなり,側壁が破壊されることによってタフォニに変化していくと推察される.付記 本研究は科研費(17K18524)の助成を受けて実施された成果の一部である.
著者
三浦 誠司 西岡 道人 野澤 慶次郎 藤田 正信 青木 久恭 和田 浩明 捨田利 外茂夫 三重野 寛治 小平 進
出版者
The Japan Society of Coloproctology
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.18-23, 1998-01
参考文献数
12
被引用文献数
1 1

22歳,男性.主訴は入工膣からのガス・便の排出.1年10か月前に海外で膣造設術を含む性転換手術を受けている.造影および内視鏡検査では瘻孔は高位にあり,直腸膣中隔の膣側上皮は広汎に欠損していた.手術は経仙骨的アプローチで施行し,直視下に瘻孔を切除して層々に縫合閉鎖した.術後3年以上経過した現在,再発はない,本症例は腹部や大腿部に創痕が残るような術式を拒んだため,瘻孔を閉鎖できたが,膣を安全に使用できるような術式ではなかった.男性性転換手術者に発生する直腸膣瘻の治療は困難で,その理由として発生原因が人工膣の萎縮防止用ステントを長期間使用したための圧迫壊死であること,および造膣手術時に広範囲に剥離が行われていて周囲組織を瘻孔閉鎖手術時の修復に利用できないことなどがあげられている.欧米の報告では本症の発生率は低いが,観察期間が短いものが多いことから過小評価されている可能性が考えられる.
著者
中尾 教子 三輪 眞木子 青木 久美子 堀田 龍也
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.49-60, 2014-05-20 (Released:2016-08-11)
被引用文献数
5

本研究では,日常的に実物投影機とコンピュータが活用されている小学校の事例の分析を通じて,ICT活用に関する教員間コミュニケーションの特徴を明らかにすることを目的とする.教員へのインタビューの結果を元に,情報や助言を求める相手,求められる相手について,矢印を用いた「コミュニケーションフロー」として図示した.その結果,多くは,教職経験の短い教員から長い教員へ,また実物投影機やコンピュータの活用開始時期の遅い教員から早い教員へ情報を求める傾向があった.さらに,矢印が集中する2名の教員の存在が明らかになった.調査対象校では,ほぼ全ての教員が,この2名を中核とする全校的なコミュニケーションのネットワークに組み込まれており,教科指導におけるICT活用についてだけでなく実物投影機やコンピュータに関する技術的な内容についても情報や助言を得ることができる環境にあることが明らかになった.
著者
青木 久
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:13479555)
巻号頁・発行日
vol.77, no.4, pp.195-208, 2004-04-01 (Released:2008-12-25)
参考文献数
31

礫浜におけるカスプの形成過程を明らかにするために野外実験と室内実験を実施した.相模湾真鶴岬先端付近のポケットビーチ(礫浜)における野外実験では,既存のカスプを壊して平滑に整地した後,カスプが回復する過程を観察した.室内水槽実験では,平滑な一様勾配斜面から成る模型海浜を作り,遡上波帯の地形変化を含めて,カスプの出現・成長過程を観察した.カスプスペーシングは野外では2.2~2.5m,室内では29~35cmとなった.フルードの相似則に基づいたスケーリングによって,室内実験値を野外スケールに換算すると7.7~9.5mとなり,オーダーレベルで野外実測値と一致することがわかった.カスプ形成に関しては,野外と室内実験のいずれにおいても,不規則地形(野外では巨礫集積部,水槽内では側壁)から遡上波フロントの屈曲が起こり,カスプの形成が始まった.この遡上波フロントの屈曲とそれに同調する前浜上の凹凸地形の相互作用が,連続したカスプを形成することがわかった.
著者
青木 久美
出版者
沖縄工業高等専門学校
雑誌
独立行政法人国立高等専門学校機構沖縄工業高等専門学校紀要 (ISSN:1881722X)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.29-38, 2010-03

「逆対応」とは西田幾多郎の用語であり、絶対と相対(人間)という相対立するものが、自己否定的に対応しあう宗教的関係を表している。西田によれば、このような否定を媒介するものは絶対者の自己表現であるところの言葉であり、仏教の場合は名号がそれにあたる。では、言葉を否定し、一切が空であるとする空観においては、このような逆対応的関係は成立しないのであろうか。空の経験は、それだけでは、西田が「平常底」と呼ぶ自在的立場を意味するものではない。空の自覚による肯定的転換を経て、はじめて、人は、否定と肯定という二項対立をはなれ、執着をはなれた自在的立場に達することができる。空の哲学を築いたといわれる『中論』において、このような自在的立場に到る道は「中道」と呼ばれている。それは、空にほかならない仏陀が、慈悲による自己否定により示した道である。このような仏陀の慈悲に導かれて、人は、自らが空であるという仏陀の自覚を自覚する。そして自覚が深まるにつれて、世界はより慈悲に満ちたものとして経験されるのである。このような宗教経験は西田が「逆対応」と呼ぶものに相当する。空の経験において言葉は止滅するが、言葉がなければ仏教的真実は示されない。このような逆対応的経験において、ひとは、仏陀の慈悲を表現する世界の自己表現点となり、それを通して、仏教的真実が示されるのである。ただし、「中道」を歩む者に対して仏陀は、同時に空であるという自己矛盾的側面を露呈する。このような仏陀の自己矛盾的側面によって、「中道」を歩む者は、自己を際限なく否定し、その自覚はより深まるのである。
著者
青木 久
出版者
公益社団法人 東京地学協会
雑誌
地学雑誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.126, no.4, pp.413-424, 2017-08-20 (Released:2017-09-27)
参考文献数
31
被引用文献数
2 2

To investigate cliff recession processes and rates for the purpose of studying the development of horizontal shore platforms, data taken from a masonry seawall at Ashikajima located on the Choshi Peninsula coast is used. The seawall is composed of artificially cut blocks of Cretaceous sandstone, which is the same rock type as that forming shore platforms in the area. The seawall with a horizontal length of 100 m was built 90 years ago to protect reclaimed land on pre-existing shore platforms. Two sites are selected for this study: Site A without a shore platform in front of the seawall and Site B with a platform. The surfaces of sandstone blocks in the supratidal zone are depressed at both sites; Site B has a more noticeable depression. The depression depth (i.e. erosion depth) after the period of 90 years is considerably larger (more than double) at Site B than at Site A, in spite of Site A suffering direct attacks from waves, irrespective of tidal stages, while Site B experiences low-energy waves only during high tides due to the presence of the horizontal platform. Granular disintegration occurs markedly on the sandstone surface at Site B, but little occurs at Site A. This strongly suggests that salt weathering is prevalent at Site B, reducing the strength of rocks. The moisture content in sandstone blocks at Site B is lower than that at Site A, which implies that Site B is more susceptible to weathering than Site A which is always exposed to waves and tides. It would be reasonable to consider that the seawall at Site A is analogous to a cliff at the initial stage of platform development, while the seawall at Site B is similar to a cliff at its middle stage. Horizontal shore platforms start to develop due to wave action alone, but as they grow wider the importance of salt weathering increases and the combined effects of waves and weathering become crucial to platform development.
著者
森山 裕太 青木 久
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2017, 2017

<br><br>1.はじめに<br><br> 岩石海岸における特徴的な波食地形に波食棚がある.波食棚とは,海崖基部から海側に向かって平坦面をもち,その海側が急崖となっている地形である.波食棚の高さは,波の侵食力や岩石の抵抗力(力学的強度)などの諸要因によって規定されると報告されている.本研究では,まず静岡県須崎半島の岩石海岸に卓越する波食地形を把握する.そして恵比須島に発達する,火山角礫岩と砂岩からなる波食棚の形成高度の違いについて,岩石の抵抗力という観点から定量的に明らかにすることを目的とする.<br><br>2.調査地域の概観<br><br> 須崎半島は,静岡県下田市東部に位置する半島であり,伊豆半島ジオパーク下田エリアの一部となっている.恵比須島は,須崎半島南部の沖にある小さな島であり,須崎ジオサイトとなっている.恵比須島を調査地域として選定した理由は,(1)島の周囲には「千畳敷」と呼ばれる火山角礫岩と砂岩で構成される波食棚が発達すること,(2)それらの波食棚は近接して存在するため,作用する波の侵食力や潮汐の場所的違いが少なく,波食棚の地形と構成岩石との関係を考察しやすいと考えたためである.<br><br>3.調査方法<br><br> まず地形図の読図と現地観察に基づき,須崎半島南部に発達する波食地形を分類し,地質図を用いて,構成岩石との対応関係を調べた.次に,恵比須島に発達する波食棚を構成する火山角礫岩と砂岩の分布を調べ,地質図の作成を行った.さらに火山角礫岩と砂岩からなる波食棚に測線を設け,レーザー距離計を用いた縦断面測量を行い波食棚の形成高度を把握した.またシュミットハンマーによる岩石強度の計測を行った.<br><br>4.結果・考察<br><br> 須崎半島南部の岩石海岸は火山角礫岩,砂岩,安山岩で構成されており,波食棚の地形が卓越することがわかった.安山岩からなる海岸では,一部海食崖(プランジングクリフ)となっている海岸も存在した.<br><br>恵比須島に発達する波食棚は,火山角礫岩の波食棚のほうが砂岩の波食棚よりも高い位置に形成されていた.構成岩石の強度は火山角礫岩のほうが砂岩よりも大きな値を示した.このように力学的強度の大きい火山角礫岩の方が,砂岩に比べて波食棚の形成高度が高いという結果は,火山角礫岩の波食棚は砂岩に比べ,波によって下方に侵食されにくく,高い位置に形成されていることを示唆している.
著者
露木 基勝 大儀 和彦 今井 裕一郎 青木 久美子 山本 一彦 桐田 忠昭
出版者
Japanese Society of Oral and Maxillofacial Surgeons
雑誌
日本口腔外科学会雑誌 (ISSN:00215163)
巻号頁・発行日
vol.53, no.7, pp.430-434, 2007-07-20 (Released:2011-04-22)
参考文献数
31
被引用文献数
1

An odontoma is an odontogenic, tumor composed of enamel, dentine, and cementum, commonly less than 30 mm in diameter. We describe a large compound odontoma arising in the left anterior region of the mandible.A 16-year-old boy was referred by an orthopedist to our hospital for evaluation of a radiopaque lesion in the left side of the mandible. Clinical examination revealed a bony-hard swelling in the left anterior region of the mandible at presentation. The left mandibular canine and lateral incisor were not erupted. Radiographic and CT examinations showed a large, circumscribed, radiopaque lesion, measuring 30×40×28mm and surrounded by a thin radiolucent area accompanied by two impacted teeth. There were many small tooth-like structures within the lesion. The clinical diagnosis was odontoma. The tumor and the impacted teeth were surgically removed by an intraoral approach under general anesthesia. The tumor was covered by a thin capsule and consisted of 321 small tooth-like structures. The histopathological diagnosis was a compound odontoma. The clinical course has been uneventful for 4 years 3 months after surgery.
著者
青木 久美子
出版者
首都大学東京・都立大学社会学研究会
雑誌
社会学論考
巻号頁・発行日
no.32, pp.83-107, 2011-10-31

1990年代半ばから2000年代半ばにかけて, 「昭和30年代(1955~1964)」 がメディア等で頻繁に取り上げられるようになった.この「昭和30年代ブーム」において,昭和30 年代は「貧しくても夢があった時代」といった語りによって,おおむね肯定的に捉えられている.本稿は,この「昭和30年代ブーム」 が時間的経過のなかでいかに変化したかを,過去のモノや出来事をどのように取り扱うかという観点から分析するものである.分析にあたり,「断片化」, 「概念化」という分析枠組みを設定する.「断片化」は,モノや出来事を当時の文脈から切り離しそれ自体を強調して扱う態度を指す.その際,特定の側面を強調し,感情に訴えるような扱い方をここでは「キッチュ」と呼ぶ. 「概念化」は,モノや出来事のあり方をふまえて,特定の社会像を再構成する作業である.その際に当時の生活様式などが理想化され,極端な形になると今後の社会の目指すべき指針として「イデオロギー」的になることもある.「昭和30年代ブーム」における過去の扱い方は,当初,「断片化」された懐かしいモノなどへの愛着という「キッチュ」 が主流であったが,「概念化」され理想として語られるようになり,明確に「イデオロギー」的に利用するような現象も見られるようになった.そうした「イデオロギー」化においては,往々にして,モノや出来事のもつ具体性が巧妙に利用されている.The purpose of this paper is to analyze how "thebooms of the Showa 30s" has changed. "The Showa 30s(1955-64)" has received media attention since the mid 1990s. Themedia considers the era positively as it was special era whenpeople could have dreams despite their poverty; In this paper, Ifocus on the changes in the ways to treat things and events in thepast.For analyzing these changes , I use two categories;fragmentation and conceptualization ."Fragmentation" is definedas the attitude of someone in which they try to emphasize somecertain things and events in the past by taking them up from theoriginal contexts. "Kitsch" is used here to explain the way inwhich an emotional attachment is put on the things and the eventsin the past." Conceptualization" is defined as to rearrange oldthings and events in order to reconstruct specific past images. Theway of life in the past is often idealized , and it becomes"ideological as it is politically treated as a new guideline for thefuture.I would argue that the way of treating things and events inthe past has changed as follows; firstly ," kitsch" was themainstream of the boom, as it only aroused nostalgias through"fragmented" things and events , secondly the particular images ofthat era was "conceptualized" as ideal , and finally , it was used as"ideology". The case of "the booms of the Showa 30s" shows theprocess of constructing our pasts.
著者
三浦 誠司 西岡 道人 野澤 慶次郎 藤田 正信 青木 久恭 和田 浩明 捨田利 外茂夫 三重野 寛治 小平 進
出版者
The Japan Society of Coloproctology
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.18-23, 1998 (Released:2009-06-05)
参考文献数
12
被引用文献数
1 1

22歳,男性.主訴は入工膣からのガス・便の排出.1年10か月前に海外で膣造設術を含む性転換手術を受けている.造影および内視鏡検査では瘻孔は高位にあり,直腸膣中隔の膣側上皮は広汎に欠損していた.手術は経仙骨的アプローチで施行し,直視下に瘻孔を切除して層々に縫合閉鎖した.術後3年以上経過した現在,再発はない,本症例は腹部や大腿部に創痕が残るような術式を拒んだため,瘻孔を閉鎖できたが,膣を安全に使用できるような術式ではなかった.男性性転換手術者に発生する直腸膣瘻の治療は困難で,その理由として発生原因が人工膣の萎縮防止用ステントを長期間使用したための圧迫壊死であること,および造膣手術時に広範囲に剥離が行われていて周囲組織を瘻孔閉鎖手術時の修復に利用できないことなどがあげられている.欧米の報告では本症の発生率は低いが,観察期間が短いものが多いことから過小評価されている可能性が考えられる.
著者
青木 久 松倉 公憲
出版者
日本地形学連合
雑誌
地形 (ISSN:03891755)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.267-276, 2004-07-25
被引用文献数
8

We introduce the equotip hardness tester and present the relations between the Equotip rebound value (L-value) and the unconfined compressive strength (UCS) for intact rock samples. Based on existing data and the results of our laboratory tests, an equation is derived connecting UCS (MPa) and L-value obtained from single impacts, L_s, and porosity, n (%), using multiple linear regression analysis: it is found that UCS = 0.079 e^<-0.039n> L_s^<1.15>
著者
青木 久美
出版者
沖縄工業高等専門学校
雑誌
独立行政法人国立高等専門学校機構沖縄工業高等専門学校紀要 (ISSN:1881722X)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.47-59, 2008-03

『中論』においてナーガールジュナは、言語が現実をそのまま言い表すことができるという人々の考え方を批判し、言語がそこで止滅するところの空を示そうとする。ただし、彼は空という見解を主張しようとしたわけではない。テトラレンマに基づいたナーガールジュナの帰謬法的論法は、自らの主張さえをも否定する。ナーガールジュナはむしろ、二項対立的言語が陥らざるを得ないアポリアを暴露し、それによって空を示そうとするのである。言語が陥らざるを得ないアポリアとは、言語世界の裂け目であり、非言語世界への開けである。このような開けとして経験される空は、伝統的解釈でいわれるような、自性の否定ではない。空が自性の否定と解されてきたのは、自性は縁起と相容れないものであるがゆえであるが、自性がなければそもそも事物の存在すら成り立たない。自性が非言語に開けているとき、事物は自立していると同時に他に依存している。つまり、自己同一的存在として縁起によって生じうるのである。
著者
小川 和洋 庄子 哲雄 青木 久彦 藤田 範生 鳥越 泰治
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学會論文集. A編 (ISSN:03875008)
巻号頁・発行日
vol.66, no.647, pp.1370-1376, 2000-07-25
被引用文献数
4 2

A two-layer plasma sprayed thermal barrier coating on Ni base superalloy substrate was characterized. The coating was comprised of an inner layer of MCrAlY bond coating and an outer layer of 8wt% yttria stabilized zirconia (YSZ) thermal barrier coating (TBC). After aging, the reaction layer at interface between YSZ and MCrAlY was observed. The reaction layer had two different contrast layers in the SEM images. One was black which was closer to MCrAlY and the other was gray which was closer to YSZ. The thickness of both layers increased with aging. Also countless porosities at the gray layer and microcrack at YSZ were observed. Most of the macrocrack grew through the porosities. From this viewpoint one may say that the mechanism of macrocrack formation is a deterioration of adhesion which was accompanied by an increase of the porosities or the microcrack.
著者
青木 久夫
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.8, no.4, pp.298-306, 1976-07-01 (Released:2011-05-24)
参考文献数
22

知能障害児1, 325名, 知能正常児4, 852名につきシスチン尿症の頻度を調べた結果・本症が有意の差を以って知能障害児に高い傾向が見出された.さらにこれらシスチン尿症患者に経口的リジン負荷テストを行ないリジン吸収能を調べた結果, 知能障害を伴う本症患者では腸管におけるリジン吸収能の低下を示す例が多く認められた.これらの知見により, 本症患者ではリジンの輸送機構の障害, 特に腸管吸収不全という遺伝的障害があり, それに脳発達の旺盛な乳幼児期の栄養条件が加わって知能障害に陥る頻度が高くなるものと推測された.
著者
加來 卯子 中村 比菜子 庄山 茂子 青木 久恵 栃原 裕
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.69, 2017

<b>目的 </b>循環型社会形成推進基本法が施行され、人々のリサイクルへの意識は高まっている。衣料品は、複合度の高さや製品の多様性からリサイクルし難いと言われるが、制服は同一素材であり一度に回収が可能なことから、リサイクルに適するのではないかと考えられている。そこで、制服着用の有無が制服に対する印象やリサイクルへの意識ならびに被服の消費行動にどのような違いをもたらすか調査した。 <br> <b>方法 </b>福岡県内の制服着用者群(女子専門学校生88名、平均年齢19.90歳、SD 0.77歳)と私服着用者群(女子大学生96名、平均年齢19.81歳、SD 0.81歳)を対象に質問紙によるアンケート調査を2016年6月に行った(回収率100%)。制服・私服の着用の印象、職場での制服採用に関する賛否、衣服のリサイクルへの意識、実施状況、衣服の消費量等について回答を求めた。分析は、単純集計、t検定。<br> <b>結果 </b>制服着用者群は、制服に対する印象について「学内に一体感がでる、私服を考えなくてよい、資源の節約につながる、個人的費用が削減される」と評価した。制服着用者群は、私服着用群より将来一般職での制服の採用について賛成の割合が高かった。その理由には、「職場のイメージアップになる、組織のつながりを深める」という意見が多かった。また、衣服の消費量やリサイクル意識に関しては制服着用の有無によって差はみられなかった。制服着用者群、私服着用者群ともに衣料品の3Rに対する意識は低く、衣服を環境問題やリサイクルと結びつけて考えていなかった。
著者
渡邊 眞紀子 坂上 寛一 青木 久美子 杉山 真二
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
Geographical review of Japan, Series B (ISSN:02896001)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.36-49, 1994-06-30 (Released:2008-12-25)
参考文献数
30
被引用文献数
2 2

わが国に広く分布する火山灰土壌の特徴は,その黒くて厚い腐植層にある。これは,アルミニウムに富む非結晶質の粘土鉱物と結合し,微生物の分解に抵抗して2万年以上も安定的に存在する「腐植」に起因する。腐植はまた土壌をとりまく水熱条件に敏感に反応する性質をもっことが知られている。これらの性質を踏まえて完新世火山灰を母材とする埋没土の腐植特性を用いて過去の気候植生環境を推定することが可能であると考える。しかしながら,土壌は様々な環境因子の支配を複合的に受けるたあ,土壌の保有する古環境情報を抽出するためには,調査地域の設定が大きな鍵をにぎる。本研究は,古土壌研究,さらに土壌生成研究に際して意義のある土壌の属性レベルにおける分布特性に関する方法論を提示するものである. 本研究では,日本各地の火山灰土壌に腐植特性の高度分布とその規則性を明らかにした。土壌試料を火山麓緩斜面に沿って採取することによって,高度変化に伴う腐植特性と気候・植生因子との対応関係をみることができると考える。 4っの火山地域(十和田火山,日光男体火山,赤城火山,大山火山)から採取した60の表土試料を用いて,有機炭素含有量と腐植酸Pg吸収強度の腐植特性を分析した。また,気候環境にっいては国土数値情報気候ファイルによって地点ごとに温量指数および乾湿指数を算出し,植生環境にっいては植物珪酸体組成分析を行った。腐植特性の分布には,っぎのような規則性があることが明きらかとなった。 1) 有機炭素含有量によって示される腐植集積量は気候環境と対応する空間分布を示す。腐植集積が最大となる標高は調査地域によって異なるが,腐植集積の最大を与える気候条件として,乾湿指数17~22の共通条件が求められた。 2) 土壌腐植酸に含まれる緑色色素の発現の強さを定量した腐植酸Pg吸収強度も標高の変化に伴う垂直成帯性がみられる。 Pg吸収強度と温量指数との間には強い負の相関が認められた。 3) 植物珪酸体組成分析にもとついて,腐植の生成・集積に寄与したと考えられるイネ科草木植生の植物生産量を推定した。その結果, Pg吸収強度はイネ科タケ亜科クマザサ属と強い正の相関がみられ,一方イネ科非タケ亜科のススキ属とは負の相関が認められた。気候指数と植物珪酸体組成の分析結果を照合すると,森林の林床植生として繁茂するクマザサ属の増加と低温条件の卓越に伴いPg吸収強度は増大する傾向があり, Pg吸収強度は植生環境を指示する属性の一っとして評価することができる。また,各調査地域でPg吸収強度の急激な上昇がみられる地点は, 典型的な黒ボク土であるmelanic Andisolと森林土壌としての性質の強いfulvic Andisolの分布境界を与えると判断できる。 4) Pg吸収強度と比較すると,有機炭素含有量にっいては植物推定生産量との有意な関係は認められなかった。 4っの調査地域を総合的に比較すると,赤城山の事例において腐植特性と気候・植生環境の空間分布の対応が最も明瞭に示された。これにっいては,赤城山で対象とした斜面の水平距離および垂直高度が,気候・植生因子の影響を抽出あるいは強調し,さらに地形,地質母材,人為的影響といった他因子の影響を消去あるいは最小限にするたあに適したスケールとなっていることが指摘できる。 腐植集積の極大域およびPg吸収強度の上昇が始まる地点は,気候・植生環境の変化に伴う移動が予想される地域である。今後の研究課題として、本稿で扱った土壌属性が埋没土においても表土と同様に,土壌の初成作用として働いた気候植生環境の情報を保有していることを確認する必要がある。その上で,埋没土を対象とした空間分布特性の規則性を明らかにし,表土との比較を行うことが次の研究手順となる。
著者
庄山 茂子 大谷 紗友理 窪田 惠子 青木 久恵 栃原 裕
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.339-348, 2017-04-25 (Released:2017-04-27)
参考文献数
28

大学病院に勤務する看護師20 名を対象に,通常のユニフォーム,各自好きなユニフォーム,病棟内の話し合いで決定したユニフォームを着用した場合の3 条件で職務を遂行してもらい,ユニフォームの採用条件の違いが看護師の心理やチーム医療にもたらす効果を比較した. (1)病棟内の話し合いにより決定したユニフォームを着用した場合の看護師の仕事に対するやりがい感は,通常のユニフォームを着用した場合より有意に高かった.患者や同僚への声かけ,ストレス,緊張感については,ユニフォームの採用条件の違いによる差はみられなかった. (2)チーム医療に関する評価では,ユニフォームの採用条件の違いによる差はみられなかった.しかし,病棟内の話し合いにより決定したユニフォームを着用した場合においてのみ,「目標達成と向上心」が高い看護師は,患者や同僚への声かけが多く,やりがい感が高かった.「職務協働性」が高い看護師は,同僚への声かけが多かった.
著者
庄山 茂子 青木 久恵 窪田 惠子 栃原 裕
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.172-179, 2013-02-20 (Released:2017-05-30)
参考文献数
15

異なる6スタイルの看護服を看護師,歯科衛生士に着用してもらい,患者と看護師ならびに歯科衛生士(病院群)を対象に各スタイルの印象を調査し,スタイル間の印象の違いを明らかにした.(1)6スタイルの中で,「花柄のチュニックと白のパンツスタイル」は,患者群と病院群ともに看護 服として好ましい割合が高く,「ダークレッドパープルのスクラブと白のパンツスタイル」は,両群ともに好ましくない割合が高かった.特に,病気や治療に不安のある患者ほど「好ましくない」と回答した. (2)6サンプルの印象について因子分析の結果,患者群では,「思いやり,信頼・責任,積極性,活動性」の4因子,病院群では,「思いやり,信頼・責任,活動性,洗練」の4因子が得られた. 「思いやり」は花柄のチュニックや花柄のスクラブの因子得点が高く,「信頼・責任」は白のワンピースや白のチュニックに白のパンツスタイルの得点が高かった. 看護服のスタイルや色により,印象評価が異なることから,今後看護服の採用にあたっては十分な配慮が求められる.