著者
須藤 春夫
出版者
日本スポーツ社会学会
雑誌
スポーツ社会学研究 (ISSN:09192751)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.23-37,122, 2005-03-21 (Released:2011-05-30)
参考文献数
28

メディアにとってスポーツの存在は、競技の事実を伝える報道対象にとどまらず、メディアの普及やメディア間の競争を有利に展開する手段として利用されている。日本では戦後、全国紙の部数競争にプロ野球が広告シンボルとして利用されたが、民放テレビの全国普及によってプロ野球は視聴率を獲得する有力な番組コンテンツとしての機能を担うようになった。1990年代以降は、国際的潮流においても人気の高いプロサッカー、オリンピックなどのスポーツ競技が、メディア (とりわけテレビメディア)の有力なコンテンツとしての地位を占めるに至り、これらのスポーツ放送権を獲得する競争が熾烈化している。メディアとスポーツの癒合は、一方でメディア技術の発展によって進行するが、他方ではメディア市場におけるスポーツの独占的な「囲い込み」の結果であり、スポーツはメディアの経営戦略に大きく影響を受けることになる。メディアにとってスポーツはコンテンツ商品であり、メディアマーケティングの対象として扱われるが、スポーツも自らの商品価値を高めるためのマーケティングによってメディア対応を図ることから、市場を媒介とする両者の融合はいっそう進展する。マルチメディア時代に入りメディアの多様化と競争の激化は、スポーツコンテンツをさらに重視するが、スポーツビジネスに成功することがスポーツの発展を意味しないのは、ヨーロッパのプロサッカーチームの消長が示している。スポーツを楽しむファンの存在を脇に置き、市場の作用力がスポーツ全体を覆い尽くす現状は、メディアで「見るスポーツ」を人間の身体性の表現行為からエンターテイメントと広告媒体のコンテンツに変容させたといえよう。
著者
舩橋 晴俊 寺田 良一 中筋 直哉 堀川 三郎 三井 さよ 長谷部 俊治 大門 信也 石坂 悦男 平塚 眞樹 小林 直毅 津田 正太郎 平林 祐子 金井 明人 仁平 典宏 土橋 臣吾 宮島 喬 壽福 眞美 池田 寛二 藤田 真文 鈴木 宗徳 羽場 久美子 茅野 恒秀 湯浅 陽一 須藤 春夫 佐藤 成基
出版者
法政大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-05-31

本年度は, 年度途中で廃止になったが, それでも, 下記の研究実績を上げることができた。【公共圏とメディアの公共性班】法政大学サスティナビリティ研究所内の「環境報道アーカイブス」に蓄積した東日本大震災及び福島原発関連の映像に付されたメタデータの分析を行った。分析から, 震災・原発関連番組の論点の変化や報道対象地域の偏りなどを見出した。【エネルギー政策班】『原子力総合年表一福島原発震災に至る道』を2014年7月に公刊した(すいれん舎刊)。また, 青森県下北半島における核燃料サイクル事業の動向を把握するため, 『東奥日報』を基に詳細年表を作成し, 地域社会の長期的な構造変動を追跡可能な情報基盤を整えた。エネルギー戦略シフトに関し, 各地の市民団体の調査および支援を実施した。【年表班】英文環境総合年表(A General World Environmental Chronology)を刊行した。英文による包括的な年表は世界初の試みであり, 環境問題に関する国際的なデータベース構築の第一歩を記した。また, その年表の成果をもとに, 7月に国際シンポを開催し, 各国の研究者との交流を図った。【基礎理論班】2013年12月に開催した国際シンポと講演会を基に, 論文集『持続可能な社会に向かって―ドイツと日本のエネルギー転換(仮題)』(法政大学出版局, 2015年)の編集作業を継続している。並行して, 『ドイツ・エネルギー政策の形成過程1980~2014―資料集』(新評論, 2015年)の本文編集作業はほぼ終了し, 現在は巻頭論文を執筆中である。【食・農と包括的コミュニティ形成班】学内の「食・農」に関する社会的活動拠点でもある「スローワールドカフェ」の活動に関与しながら, 個別に研究を進めてきた。研究成果は, 社会学部授業科目「社会を変えるための実践論」と「多摩地域形成論」に一定程度反映させてきている。
著者
舩橋 晴俊 壽福 眞美 徳安 彰 佐藤 成基 岡野内 正 津田 正太郎 宮島 喬 吉村 真子 上林 千恵子 石坂 悦男 藤田 真文 奥 武則 須藤 春夫 金井 明人 池田 寛二 田中 充 堀川 三郎 島本 美保子 樋口 明彦 荒井 容子 平塚 眞樹 三井 さよ 鈴木 智之 田嶋 淳子 増田 正人 小林 直毅 土橋 臣吾 宇野 斉 鈴木 宗徳 長谷部 俊治 原田 悦子 羽場 久美子 田中 義久 湯浅 陽一 伊藤 守 上村 泰裕 丹羽 美之 宮本 みち子
出版者
法政大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

本プロジェクトは、グローバル化問題、環境問題、移民・マイノリティ問題、若者問題、メディア公共圏、ユビキタス社会、ケア問題といった具体的な社会問題領域についての実証的研究を通して、社会制御システム論、公共圏論および規範理論に関する理論的研究を発展させた。公共圏の豊富化が現代社会における制御能力向上の鍵であり、それを担う主体形成が重要である。また、社会制御には合理性のみならず道理性の原則が必要である。